2008年07月04日

建築を使う

昨日から、自分たちで設計した建築を自分たちで使っています。すごく不思議な感覚です。仮に使っているだけなのではないか、数日したら渋谷のあの部屋に戻るのではないか、という錯覚にときどき襲われつつも、快適に過ごしています。

使ってみるといろいろ気がつくことがあります。今のところ使い勝手は悪くないし、寸法もいい感じ。昼の感じも、夜の感じも、なかなか気に入っています。建築を使うことが、こんなに楽しく、気持ちのよいものだとは。

「批判的工学主義」について、コメントが続けて出ています。

10+1ウェブサイト
議論が拓く世界──「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」評釈(前篇)|倉方俊輔
http://tenplusone.inax.co.jp

建築史の倉方俊輔さんが、LIVE ROUND ABOUT JOURNALのレビューと、それをもとに議論を展開して下さっています。

LRAJの発表を聞く限り、誤解の種になりそうなポイントは大きく2つある。
ひとつは、既往の建築論との違いに重きを置くあまり、単なる「工学主義」と混同されてしまいそうな点。(中略)もうひとつは、どこまでが「批判的工学主義」の理念で、どこからがそれを達成する手法であるかが、混同されやすい点である。

厳しいなあ(^_^;)。でも、まさにその通りです。

ここでいう「新たなる場所性」とは何か? 「批判的工学主義」を《手段》としたときの《目的》とは何か? 衒いを捨てて、次に論じなければならないようだ。

そうそう、そうなんですよ(-_-)/!!。

明日のINAX:GINZAで、できれば論じたいです。そこんとこ、よろしくお願いします>倉方様

もうひとつは千葉大学の岡部明子先生。

建築雑誌オールレビュー
『建築雑誌』6月号

古き良き都市を標榜する反動的な都市論が目を背けてきたマーケットの必然的産物であるコンビニやタワーマンションや郊外地区。建築家としてこれらと正対しようとする姿勢は頼もしい。

ありがとうございます。

ただ、工学主義を利用する「戦略」とは具体的に何なのか。「メディア論と建築の共同作業」(長谷川一、メディア論)、「計画学と行政の連携」(岩佐明彦、建築計画)が手がかりとして出てはくるが、いかにも動きが遅く弱い。商業主義がマーケティングに圧倒的な投資をして築いているデータベースの牙城を我がものにしている限り、「批判的工学主義」に実効性のある戦略を期待しうるのだろうか。

倉方さんの問いとも通じる問いかけですね。今後の運動の展開や、設計の実践で徐々に示して行きたいと考えています。

30日、18:00編集委員会@建築学会。先日ネットで藤村批判を繰り広げていた学生は五十嵐研の院生ということが判明。

1日、10:00BUILDING Kの掲載打ち合わせ@新建築社。ページ構成を考え、写真を選ぶ。13:00『建築雑誌』に連載中の「建築マンガ」のため漫画家さんと打ち合わせ@外苑前。15:00インタビュー@TNA。武井さんは塚本研出身なのでお話する機会は多いが、じっくりコンセプトやルーツについて伺うのは初めて。とても面白い。

事務所に立ち寄る間もなく地下鉄で移動し、伊東豊雄×セシル・バルモンドの講演会へ。打ち合わせ続きでぼーっとしていたら話しかけられること数回。卒業設計講評会で出会った人が東京に出て来たり、社会人になったり。頼もしい。

セシルの英語は聞きやすく、論理構成がかなり図式的でわかりやすい。

曰く、
1.中心があり、対称的な幾何学
2.中心がずらされ、歪曲された幾何学
3.アルゴリズムで構成されたダイナミックな幾何学

モダニズムは1、デコンは2、自身の展開は3。

アルゴリズムで出来た空間の意味は「ラブリー」以上には語られないのだが、それでサマになるのだから文句は言うまい。建築の新しい展開として、とても面白い。

伊東さんのレクチャーでは「諏訪湖博物館・赤彦記念館」(1993)が1として反省的に語られ、「サーペンタイン・ギャラリー」(2002)が3として位置づけられている。「多摩美術大学図書館」(2007)は2だし、UCBのギャラリーなども2であろう。伊東建築は2と3のあいだで試行錯誤を繰り返していることがよくわかる。

会場(1800人収容)は満員御礼。学生も多いが、スーツを着た社会人も多い。セシルの思想はヨーロッパのサロンでは熱狂的に迎えられているとしても、現代の日本社会ではすぐに応用可能であるとは言い難いからだ。

僕らはどうやってレファランスすればいいんだろう。レクチャーで盛り上がって、翌朝オフィスにつく頃には忘れるのか、その日から実務に応用するのか。思想と実務が連続する社会ならもっと面白くなるはずだ。ではどうすればいいのか。それは「批判的工学主義」のミッションのひとつでもある。

3日、11:00打ち合わせ@エクスナレッジ。先が見えて盛り上がって来た。14:00ゼミ@東工大。20:00永山祐子さんインタビュー。23:00事務所に戻る。

最後に、告知を。アキレスの皆さんと、神戸芸工大の皆さんのご協力を得て、10日に以下のイベントを行います。神戸近辺の方はぜひいらしてください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ラウンド・アバウト・ジャーナルVol.8公開収録
「若手建築家のアジェンダ」

1995年以降、経済のグローバル化と、情報技術の環境化によって建築設計を取り巻く環境は厳しさを増している。1970年代に始まったアトリエ系建築家と組織・ゼネコン系建築家の乖離や、2000年代以降のあいつぐ建築専門誌の休刊によって議論の場が消滅したことによるメディア環境の断絶は、解決の糸口も見えないまま私たちの前に立ちはだかっている。
2002年より活動を開始したROUND ABOUT JOURNALはブログ、フリーペーパー、イベントの開催などを通じてアトリエ系と組織・ゼネコン系、東京と地方などをブリッジする議論の場を設計しようとしている。今回は、関西地区の若手建築家に公開インタビューを行うことで、彼らが何を考え、実践しようとしているのか、それぞれのアジェンダを共有する場としたい。

■日時:2008年7月10日(木)18:30-21:00

■場所:神戸芸術工科大学 セレンディップギャラリー・カフェ(D棟)

■アクセス:http://www.kobe-du.ac.jp/access/index.htm

■参加建築家(敬称略)

柳原照弘(isolation unit)、市井洋右(市井洋右建築研究所)、今井敬子、山崎亮(studio-L)、香川貴範(SPACESPACE)、家成俊勝 大東翼 赤代武志(dot architects)、笹岡周平(WASABI)、藤村龍至 山崎泰寛(TEAM ROUND ABOUT)

■タイムテーブル

18:30-18:50 挨拶・問題提起(藤村)
18:50-21:00 ディスカッション

■主催:TEAM ROUND ABOUT、アキレス

■お問い合わせ
dot architects
tel : 06-7171-1977
mail : dotarchitects@tcct.zaq.ne.jp

■協力:神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

明日は頑張ります。

fujimura

建築を使う

昨日から、自分たちで設計した建築を自分たちで使っています。すごく不思議な感覚です。仮に使っているだけなのではないか、数日したら渋谷のあの部屋に戻るのではないか、という錯覚にときどき襲われつつも、快適に過ごしています。

使ってみるといろいろ気がつくことがあります。今のところ使い勝手は悪くないし、寸法もいい感じ。昼の感じも、夜の感じも、なかなか気に入っています。建築を使うことが、こんなに楽しく、気持ちのよいものだとは。

「批判的工学主義」について、コメントが続けて出ています。

10+1ウェブサイト
議論が拓く世界──「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」評釈(前篇)|倉方俊輔
http://tenplusone.inax.co.jp

建築史の倉方俊輔さんが、LIVE ROUND ABOUT JOURNALのレビューと、それをもとに議論を展開して下さっています。

LRAJの発表を聞く限り、誤解の種になりそうなポイントは大きく2つある。
ひとつは、既往の建築論との違いに重きを置くあまり、単なる「工学主義」と混同されてしまいそうな点。(中略)もうひとつは、どこまでが「批判的工学主義」の理念で、どこからがそれを達成する手法であるかが、混同されやすい点である。

厳しいなあ(^_^;)。でも、まさにその通りです。

ここでいう「新たなる場所性」とは何か? 「批判的工学主義」を《手段》としたときの《目的》とは何か? 衒いを捨てて、次に論じなければならないようだ。

そうそう、そうなんですよ(-_-)/!!。

明日のINAX:GINZAで、できれば論じたいです。そこんとこ、よろしくお願いします>倉方様

もうひとつは千葉大学の岡部明子先生。

建築雑誌オールレビュー
『建築雑誌』6月号

古き良き都市を標榜する反動的な都市論が目を背けてきたマーケットの必然的産物であるコンビニやタワーマンションや郊外地区。建築家としてこれらと正対しようとする姿勢は頼もしい。

ありがとうございます。

ただ、工学主義を利用する「戦略」とは具体的に何なのか。「メディア論と建築の共同作業」(長谷川一、メディア論)、「計画学と行政の連携」(岩佐明彦、建築計画)が手がかりとして出てはくるが、いかにも動きが遅く弱い。商業主義がマーケティングに圧倒的な投資をして築いているデータベースの牙城を我がものにしている限り、「批判的工学主義」に実効性のある戦略を期待しうるのだろうか。

倉方さんの問いとも通じる問いかけですね。今後の運動の展開や、設計の実践で徐々に示して行きたいと考えています。

30日、18:00編集委員会@建築学会。先日ネットで藤村批判を繰り広げていた学生は五十嵐研の院生ということが判明。

1日、10:00BUILDING Kの掲載打ち合わせ@新建築社。ページ構成を考え、写真を選ぶ。13:00『建築雑誌』に連載中の「建築マンガ」のため漫画家さんと打ち合わせ@外苑前。15:00インタビュー@TNA。武井さんは塚本研出身なのでお話する機会は多いが、じっくりコンセプトやルーツについて伺うのは初めて。とても面白い。

事務所に立ち寄る間もなく地下鉄で移動し、伊東豊雄×セシル・バルモンドの講演会へ。打ち合わせ続きでぼーっとしていたら話しかけられること数回。卒業設計講評会で出会った人が東京に出て来たり、社会人になったり。頼もしい。

セシルの英語は聞きやすく、論理構成がかなり図式的でわかりやすい。

曰く、
1.中心があり、対称的な幾何学
2.中心がずらされ、歪曲された幾何学
3.アルゴリズムで構成されたダイナミックな幾何学

モダニズムは1、デコンは2、自身の展開は3。

アルゴリズムで出来た空間の意味は「ラブリー」以上には語られないのだが、それでサマになるのだから文句は言うまい。建築の新しい展開として、とても面白い。

伊東さんのレクチャーでは「諏訪湖博物館・赤彦記念館」(1993)が1として反省的に語られ、「サーペンタイン・ギャラリー」(2002)が3として位置づけられている。「多摩美術大学図書館」(2007)は2だし、UCBのギャラリーなども2であろう。伊東建築は2と3のあいだで試行錯誤を繰り返していることがよくわかる。

会場(1800人収容)は満員御礼。学生も多いが、スーツを着た社会人も多い。セシルの思想はヨーロッパのサロンでは熱狂的に迎えられているとしても、現代の日本社会ではすぐに応用可能であるとは言い難いからだ。

僕らはどうやってレファランスすればいいんだろう。レクチャーで盛り上がって、翌朝オフィスにつく頃には忘れるのか、その日から実務に応用するのか。思想と実務が連続する社会ならもっと面白くなるはずだ。ではどうすればいいのか。それは「批判的工学主義」のミッションのひとつでもある。

3日、11:00打ち合わせ@エクスナレッジ。先が見えて盛り上がって来た。14:00ゼミ@東工大。20:00永山祐子さんインタビュー。23:00事務所に戻る。

最後に、告知を。アキレスの皆さんと、神戸芸工大の皆さんのご協力を得て、10日に以下のイベントを行います。神戸近辺の方はぜひいらしてください。

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ラウンド・アバウト・ジャーナルVol.8公開収録
「若手建築家のアジェンダ」

1995年以降、経済のグローバル化と、情報技術の環境化によって建築設計を取り巻く
環境は厳しさを増している。1970年代に始まったアトリエ系建築家と組織・ゼネコン
系建築家の乖離や、2000年代以降のあいつぐ建築専門誌の休刊によって議論の場が消
滅したことによるメディア環境の断絶は、解決の糸口も見えないまま私たちの前に立
ちはだかっている。
2002年より活動を開始したROUND ABOUT JOURNALはブログ、フリーペーパー、イベン
トの開催などを通じてアトリエ系と組織・ゼネコン系、東京と地方などをブリッジす
る議論の場を設計しようとしている。今回は、関西地区の若手建築家に公開インタビ
ューを行うことで、彼らが何を考え、実践しようとしているのか、それぞれのアジェ
ンダを共有する場としたい。

■日時:2008年7月10日(木)18:30-21:00

■場所:神戸芸術工科大学 セレンディップギャラリー・カフェ(D棟)

■アクセス:http://www.kobe-du.ac.jp/access/index.htm

■参加建築家(敬称略)

柳原照弘(isolation unit)、市井洋右(市井洋右建築研究所)、今井敬子、山崎亮(studio-L)、香川貴範(SPACESPACE)、家成俊勝 大東翼 赤代武志(dot architects)、笹岡周平(WASABI)、藤村龍至 山崎泰寛(TEAM ROUND ABOUT)

■タイムテーブル

18:30-18:50 挨拶・問題提起(藤村)
18:50-21:00 ディスカッション

■主催:TEAM ROUND ABOUT、アキレス

■お問い合わせ
dot architects
tel : 06-7171-1977
mail : dotarchitects@tcct.zaq.ne.jp

■協力:神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科
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明日は頑張ります。

fujimura

建築を使う

昨日から、自分たちで設計した建築を自分たちで使っています。すごく不思議な感覚です。仮に使っているだけなのではないか、数日したら渋谷のあの部屋に戻るのではないか、という錯覚にときどき襲われつつも、快適に過ごしています。

使ってみるといろいろ気がつくことがあります。今のところ使い勝手は悪くないし、寸法もいい感じ。昼の感じも、夜の感じも、なかなか気に入っています。建築を使うことが、こんなに楽しく、気持ちのよいものだとは。

「批判的工学主義」について、コメントが続けて出ています。

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議論が拓く世界──「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」評釈(前篇)|倉方俊輔
http://tenplusone.inax.co.jp

建築史の倉方俊輔さんが、LIVE ROUND ABOUT JOURNALのレビューと、それをもとに議論を展開して下さっています。

LRAJの発表を聞く限り、誤解の種になりそうなポイントは大きく2つある。
ひとつは、既往の建築論との違いに重きを置くあまり、単なる「工学主義」と混同されてしまいそうな点。(中略)もうひとつは、どこまでが「批判的工学主義」の理念で、どこからがそれを達成する手法であるかが、混同されやすい点である。

厳しいなあ(^_^;)。でも、まさにその通りです。

ここでいう「新たなる場所性」とは何か? 「批判的工学主義」を《手段》としたときの《目的》とは何か? 衒いを捨てて、次に論じなければならないようだ。

そうそう、そうなんですよ(-_-)/!!。

明日のINAX:GINZAで、できれば論じたいです。そこんとこ、よろしくお願いします>倉方様

もうひとつは千葉大学の岡部明子先生。

建築雑誌オールレビュー
『建築雑誌』6月号

古き良き都市を標榜する反動的な都市論が目を背けてきたマーケットの必然的産物であるコンビニやタワーマンションや郊外地区。建築家としてこれらと正対しようとする姿勢は頼もしい。

ありがとうございます。

ただ、工学主義を利用する「戦略」とは具体的に何なのか。「メディア論と建築の共同作業」(長谷川一、メディア論)、「計画学と行政の連携」(岩佐明彦、建築計画)が手がかりとして出てはくるが、いかにも動きが遅く弱い。商業主義がマーケティングに圧倒的な投資をして築いているデータベースの牙城を我がものにしている限り、「批判的工学主義」に実効性のある戦略を期待しうるのだろうか。

倉方さんの問いとも通じる問いかけですね。今後の運動の展開や、設計の実践で徐々に示して行きたいと考えています。

30日、18:00編集委員会@建築学会。先日ネットで藤村批判を繰り広げていた学生は五十嵐研の院生ということが判明。

1日、10:00BUILDING Kの掲載打ち合わせ@新建築社。ページ構成を考え、写真を選ぶ。13:00『建築雑誌』に連載中の「建築マンガ」のため漫画家さんと打ち合わせ@外苑前。15:00インタビュー@TNA。武井さんは塚本研出身なのでお話する機会は多いが、じっくりコンセプトやルーツについて伺うのは初めて。とても面白い。

事務所に立ち寄る間もなく地下鉄で移動し、伊東豊雄×セシル・バルモンドの講演会へ。打ち合わせ続きでぼーっとしていたら話しかけられること数回。卒業設計講評会で出会った人が東京に出て来たり、社会人になったり。頼もしい。

セシルの英語は聞きやすく、論理構成がかなり図式的でわかりやすい。

曰く、
1.中心があり、対称的な幾何学
2.中心がずらされ、歪曲された幾何学
3.アルゴリズムで構成されたダイナミックな幾何学

モダニズムは1、デコンは2、自身の展開は3。

アルゴリズムで出来た空間の意味は「ラブリー」以上には語られないのだが、それでサマになるのだから文句は言うまい。建築の新しい展開として、とても面白い。

伊東さんのレクチャーでは「諏訪湖博物館・赤彦記念館」(1993)が1として反省的に語られ、「サーペンタイン・ギャラリー」(2002)が3として位置づけられている。「多摩美術大学図書館」(2007)は2だし、UCBのギャラリーなども2であろう。伊東建築は2と3のあいだで試行錯誤を繰り返していることがよくわかる。

会場(1800人収容)は満員御礼。学生も多いが、スーツを着た社会人も多い。セシルの思想はヨーロッパのサロンでは熱狂的に迎えられているとして、現代の日本社会ではすぐに応用可能であるとは言い難い。

僕らはどうやってレファランスすればいいんだろう。レクチャーで盛り上がって、翌朝オフィスにつく頃には忘れるのか、その日から実務に応用するのか。思想と実務が連続する社会ならもっと面白くなるはずだ。ではどうすればいいのか。それが「批判的工学主義」のミッションのひとつだ。

3日、11:00打ち合わせ@エクスナレッジ。先が見えて盛り上がって来た。14:00ゼミ@東工大。20:00永山祐子さんインタビュー。23:00事務所に戻る。

最後に、告知を。アキレスの皆さんと、神戸芸工大の皆さんのご協力を得て、10日に以下のイベントを行います。神戸近辺の方はぜひいらしてください。

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「若手建築家のアジェンダ」

1995年以降、経済のグローバル化と、情報技術の環境化によって建築設計を取り巻く
環境は厳しさを増している。1970年代に始まったアトリエ系建築家と組織・ゼネコン
系建築家の乖離や、2000年代以降のあいつぐ建築専門誌の休刊によって議論の場が消
滅したことによるメディア環境の断絶は、解決の糸口も見えないまま私たちの前に立
ちはだかっている。
2002年より活動を開始したROUND ABOUT JOURNALはブログ、フリーペーパー、イベン
トの開催などを通じてアトリエ系と組織・ゼネコン系、東京と地方などをブリッジす
る議論の場を設計しようとしている。今回は、関西地区の若手建築家に公開インタビ
ューを行うことで、彼らが何を考え、実践しようとしているのか、それぞれのアジェ
ンダを共有する場としたい。

■日時:2008年7月10日(木)18:30-21:00

■場所:神戸芸術工科大学 セレンディップギャラリー・カフェ(D棟)

■アクセス:http://www.kobe-du.ac.jp/access/index.htm

■参加建築家(敬称略)

柳原照弘(isolation unit)、市井洋右(市井洋右建築研究所)、今井敬子、山崎亮(studio-L)、香川貴範(SPACESPACE)、家成俊勝 大東翼 赤代武志(dot architects)、笹岡周平(WASABI)、藤村龍至 山崎泰寛(TEAM ROUND ABOUT)

■タイムテーブル

18:30-18:50 挨拶・問題提起(藤村)
18:50-21:00 ディスカッション

■主催:TEAM ROUND ABOUT、アキレス

■お問い合わせ
dot architects
tel : 06-7171-1977
mail : dotarchitects@tcct.zaq.ne.jp

■協力:神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科
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明日は頑張ります。

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建築を使う

昨日から、自分たちで設計した建築を自分たちで使っています。すごく不思議な感覚です。仮に使っているだけなのではないか、数日したら渋谷のあの部屋に戻るのではないか、という錯覚にときどき襲われつつも、快適に過ごしています。

使ってみるといろいろ気がつくことがあります。今のところ使い勝手は悪くないし、寸法もいい感じ。昼の感じも、夜の感じも、なかなか気に入っています。建築を使うことが、こんなに楽しく、気持ちのよいものだとは。とにかく開放的です。

「批判的工学主義」について、コメントが続けて出ています。

10+1ウェブサイト
議論が拓く世界──「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」評釈(前篇)|倉方俊輔
http://tenplusone.inax.co.jp

建築史の倉方俊輔さんが、LIVE ROUND ABOUT JOURNALのレビューと、それをもとに議論を展開して下さっています。

LRAJの発表を聞く限り、誤解の種になりそうなポイントは大きく2つある。
ひとつは、既往の建築論との違いに重きを置くあまり、単なる「工学主義」と混同されてしまいそうな点。(中略)もうひとつは、どこまでが「批判的工学主義」の理念で、どこからがそれを達成する手法であるかが、混同されやすい点である。

厳しいなあ(^_^;)。でも、まさにその通りです。

ここでいう「新たなる場所性」とは何か? 「批判的工学主義」を《手段》としたときの《目的》とは何か? 衒いを捨てて、次に論じなければならないようだ。

そうそう、そうなんですよ(-_-)/!!。

明日のINAX:GINZAで、できれば論じたいです。そこんとこ、よろしくお願いします>倉方様

もうひとつは千葉大学の岡部明子先生。

建築雑誌オールレビュー
『建築雑誌』6月号

古き良き都市を標榜する反動的な都市論が目を背けてきたマーケットの必然的産物であるコンビニやタワーマンションや郊外地区。建築家としてこれらと正対しようとする姿勢は頼もしい。

ありがとうございます。

ただ、工学主義を利用する「戦略」とは具体的に何なのか。「メディア論と建築の共同作業」(長谷川一、メディア論)、「計画学と行政の連携」(岩佐明彦、建築計画)が手がかりとして出てはくるが、いかにも動きが遅く弱い。商業主義がマーケティングに圧倒的な投資をして築いているデータベースの牙城を我がものにしている限り、「批判的工学主義」に実効性のある戦略を期待しうるのだろうか。

倉方さんの問いとも通じる問いかけですね。今後の運動の展開や、設計の実践で徐々に示して行きたいと考えています。

30日、18:00編集委員会@建築学会。先日ネットで藤村批判を繰り広げていた学生は五十嵐研の院生ということが判明。

1日、10:00BUILDING Kの掲載打ち合わせ@新建築社。ページ構成を考え、写真を選ぶ。13:00『建築雑誌』に連載中の「建築マンガ」のため漫画家さんと打ち合わせ@外苑前。15:00インタビュー@TNA。武井さんは塚本研出身なのでお話する機会は多いが、じっくりコンセプトやルーツについて伺うのは初めて。とても面白い。

事務所に立ち寄る間もなく地下鉄で移動し、伊東豊雄×セシル・バルモンドの講演会へ。打ち合わせ続きでぼーっとしていたら話しかけられること数回。卒業設計講評会で出会った人が東京に出て来たり、社会人になったり。頼もしい。

セシルの英語は聞きやすく、論理構成がかなり図式的でわかりやすい。

曰く、
1.中心があり、対称的な幾何学
2.中心がずらされ、歪曲された幾何学
3.アルゴリズムで構成されたダイナミックな幾何学

モダニズムは1、デコンは2、自身の展開は3。

アルゴリズムで出来た空間の意味は「ラブリー」以上には語られないのだが、それでサマになるのだから文句は言うまい。建築の新しい展開として、とても面白い。

伊東さんのレクチャーでは「諏訪湖博物館・赤彦記念館」(1993)が1として反省的に語られ、「サーペンタイン・ギャラリー」(2002)が3として位置づけられている。「多摩美術大学図書館」(2007)は2だし、UCBのギャラリーなども2であろう。伊東建築は2と3のあいだで試行錯誤を繰り返していることがよくわかる。

会場(1800人収容)は満員御礼。学生も多いが、スーツを着た社会人も多い。セシルの思想はヨーロッパのサロンでは熱狂的に迎えられているとして、現代の日本社会ではすぐに応用可能であるとは言い難い。

僕らはどうやってレファランスすればいいんだろう。レクチャーで盛り上がって、翌朝オフィスにつく頃には忘れるのか、その日から実務に応用するのか。思想と実務が連続する社会ならもっと面白くなるはずだ。ではどうすればいいのか。それが「批判的工学主義」のミッションのひとつだ。

3日、11:00打ち合わせ@エクスナレッジ。先が見えて盛り上がって来た。14:00ゼミ@東工大。20:00永山祐子さんインタビュー。23:00事務所に戻る。

最後に、告知を。アキレスの皆さんと、神戸芸工大の皆さんのご協力を得て、10日に以下のイベントを行います。神戸近辺の方はぜひいらしてください。

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「若手建築家のアジェンダ」

1995年以降、経済のグローバル化と、情報技術の環境化によって建築設計を取り巻く
環境は厳しさを増している。1970年代に始まったアトリエ系建築家と組織・ゼネコン
系建築家の乖離や、2000年代以降のあいつぐ建築専門誌の休刊によって議論の場が消
滅したことによるメディア環境の断絶は、解決の糸口も見えないまま私たちの前に立
ちはだかっている。
2002年より活動を開始したROUND ABOUT JOURNALはブログ、フリーペーパー、イベン
トの開催などを通じてアトリエ系と組織・ゼネコン系、東京と地方などをブリッジす
る議論の場を設計しようとしている。今回は、関西地区の若手建築家に公開インタビ
ューを行うことで、彼らが何を考え、実践しようとしているのか、それぞれのアジェ
ンダを共有する場としたい。

■日時:2008年7月10日(木)18:30-21:00

■場所:神戸芸術工科大学 セレンディップギャラリー・カフェ(D棟)

■アクセス:http://www.kobe-du.ac.jp/access/index.htm

■参加建築家(敬称略)

柳原照弘(isolation unit)、市井洋右(市井洋右建築研究所)、今井敬子、山崎亮(studio-L)、香川貴範(SPACESPACE)、家成俊勝 大東翼 赤代武志(dot architects)、笹岡周平(WASABI)、藤村龍至 山崎泰寛(TEAM ROUND ABOUT)

■タイムテーブル

18:30-18:50 挨拶・問題提起(藤村)
18:50-21:00 ディスカッション

■主催:TEAM ROUND ABOUT、アキレス

■お問い合わせ
dot architects
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fujimura

2008年07月02日

事務所をBUILDING K内へ移転します

事務所をBUILDING K内へ移転することにした。最上階の一室である。今の渋谷にある事務所は立地もよく、坂を上って行くアプローチや周辺の感じが気に入っていたので特に不満はなかったのだが、最近は手狭になってきたことと、自分たちで設計した建築に入居できるチャンスは少ないと考えたことと、何よりも勉強になると考えた。「風景の解像力」展で模型が出ている隙を見計らって残りを移動するという作戦。

2日、引っ越し1日目。本箱と模型から順番に移動。19:00、この場所で夕食を取るのも最後となる。2005年10月以来、2年9ヶ月。モノがなくなって声がよく響く。事務所開設当時を思い出す。

「UTSUWA」も「BUILDING K」も、「批判的工学主義」も「超線形設計プロセス論」も、フリーペーパーもTable of Youthも、全部渋谷のこの部屋から生まれたものだ。たくさんの学生たちに来てもらった。今となっては連絡の取れない人たちばかりではあるが、感謝しています。

新しい事務所から、さらに多くの建築と、コンセプトと、情報を発信して行きたい。

7/3(木)より連絡先が変更となります。高円寺駅から近い(徒歩3分)ので、お近くにいらした際はぜひお立ち寄り下さい。本日一杯は引っ越し、土曜日はシンポジウムと会場の撤収などでバタバタしていますので、落ち着くのは週明けになりそうですが・・・。

FORM_Story of designにて展示をレビューしてくださいました。私たちの展示やBUILDING Kについてコメントを頂いています。

今回初めて藤村さんの模型をみて正直おどろいた。建築が微に細に入り人間の思考とそして手の動きのなかでこのように具現化されるものなのか、整然とならべられた建築模型から、建築家本人の人格までもがあわわせれていて、まるで優れた私小説を読むような充実した印象をもった。
http://form-design.jugem.jp

五十嵐太郎さんも展示を見て下さったようです。近代美術館における青木淳の「迷宮的」プロセスの展示と私たちの構築的な手続きの展示が比較されています。
http://www.cybermetric.org/50/

そのほか、ブロガー諸兄のリポートも続々UPされています。

g86山道拓人
http://d.hatena.ne.jp/sandotakuto

sawada
http://croquisxcroquis.blog21.fc2.com

taniyaan
http://taniyaan.blog.drecom.jp

最後に、展示を手伝ってくれたDESGIN HUB中島弘陽のブログで、準備風景がレポートされています。
http://blog.livedoor.jp/koyonet

5日までで終わってしまうのがもったいない感じもしますが、シンポジウムで盛り上がってしっかり終わりたいですね。

fujimura

2008年06月29日

俎上に上る

8:00会場入り。各事務所のスタッフが続々集まり、テキパキとセッティング。王道的模型展示と映像で構成と生活を見せる長谷川豪さん、巨大なグラフィックと造形的な模型群でコンセプチュアルに攻める平田晃久さん、対照的に小さな本とテーブルを展示し、来週から始まる個展の予告を行う石上純也さん、ジュエリーのように完成度の高い模型と小さな写真で埋め尽くす中村竜治さん、スタディ模型を山のように積み上げた藤本壮介さん、キメの細かい演出でコンセプトをコンパクトに表現する乾久美子さん、繊細なドローイングだけで空気を作ってしまう中山英之さん、というように各建築家の展示も素晴らしくテンションが上がる。

藤村事務所は超線形的なプロセス模型をずらっと並べ、BUILDING Kの1/20を並べ、方法論を展示した。設計のプロセス(結果論)というよりもプロセスの設計(方法論)を提示するということを暗示するために、魚の発生プロセスとエクセル表を掲示。

13:30一旦会場をあとにし、事務所へ。打ち合わせ後、会場へ戻るといきなり混雑が始まっており、手応えを感じる。

16:00関係者顔合わせ。主催者の新建築社、INAX、出展建築家、グラフィックデザインを担当した刈谷さんらが集合。橋本さん、INAX:GINZA辻館長ほかから諸々説明。

17:00シンポジウムスタート。最初は各建築家からのプレゼンテーション。4人とも熱が入りやや伸びるも充実した内容。幕間にコメントを挟む。

休憩後、ディスカッション開始。「司会がしゃべり過ぎ」と突っ込みも入ったが、グローバリゼーションによって顕在化した場所性や慣習の流動化という社会の問題と、情報技術によって可能になった動的な形式性という建築の問題をどう繋げるか、という議論のフレームに4人の実践を位置づけようと試みる。

時間配分に注意しながら議論の流れを作る。LRAJなどで壇上の議論にも少し慣れて来たつもりだが、まとめが難しい。途中一旦ブレイクし、レビューを担当される倉方俊輔さんにコメントを求める。各建築家の立場に明快にコメントをつけてくれたが、「『建築の慣習』というのはつまらない」と司会にダメ出し。

その後の質疑応答は思ったよりも静かだったが、平田さんが「コンテクスチュアリスム(文脈主義)vsフォルマリスム(形式主義)の対立は無効になった」とはっきり宣言してくれて、胸がスカッとした。外部空間についての長谷川さんのコメントは「建築とは街を愛する方法だ」と言っているように聞こえ、とてもいいと思った。

4人の建築家から力強いコメントが出て来て急に気が楽になり、開放的な感じでじゃべりはじめたら急に会場が暖まる。

終了後、司会について「LRAJより俎上に上る覚悟が出ていた(倉方さん)」「最初からあの感じでやればいいのに(新建築編集長・四方さん)」とコメントを頂く。(いつもながら)誉められているというよりけダメ出しに聞こえるのは気のせいか。

来週は自分が発表する番だ。どのような展開になるだろうか。長谷川さんの手腕に期待することとしよう。

倉方俊輔さんが早速昨日の模様をアップしています。昨日参加したブロガー諸兄のレポートも楽しみにしております。

倉方俊輔さんのブログ「建築浴のすすめ」
http://kntkyk.blog24.fc2.com/


fujimura

2008年06月27日

「風景の解像力」展、いよいよ6/28から7/5まで開催

「風景の解像力」展、いよいよ6/28からINAX:GINZA7Fで始まります。先ほど会場から戻ってきました。

20:00搬入開始。一番乗りは長谷川事務所。続いて乾事務所、藤本事務所が到着。平田事務所、中村事務所も続々到着。石上事務所と中山事務所は明日らしい。

展示は各事務所とも気合いが入っている。初日のシンポジウムは5倍の人気だったそうで、東大より人気ですねw。チケット当たった方は外れてしまった方の分もしっかりメモを取って、ブログにがっつり即日レポートするつもりで来て下さい。

明日は朝8:00から設営です。

以前RAJの配布に協力してもらった京都精華大新井研の渡辺雷蔵君から『京都精華大建築学部優秀作品集』を送って頂きました。どうもありがとう。

「この冊子はRAJから直接的に影響を受けています」とのことで、学生にインタビューを行い、それだけで構成している。ちょっと分析的でカウンセリングっぽい話の聞き方など、確かにRAJ風。

話のまとめ方がうまい。学生の皆さんの話の魅力的な部分がうまくパッケージされていて、ストレスなく読めました。この調子で議論がどんどん生まれるといいですね。

他方、東北大五十嵐研の大学院生からインタビュー依頼。「批判的工学主義」に興味を持っているとのこと。

dot architectsの家成俊勝さんを中心とした関西在住の若手建築家の皆さんで7/10に関西方面で計画していたイベントの開催場所が神戸芸工大カフェテリアで決まったそうです。家成さん、会場探しにご協力下さった皆さん、どうもありがとうございます!

詳細は未定ですが、濃密な議論の場にできればと思っています。

東京も、関西も、地方も、どんどん盛り上がって行きましょう。
fujimura

2008年06月24日

批判が続く!?

先日BUILDING Kへご案内した満田衛資さんがブログで感想を書いて下さっています。

満田衛資さんのブログ「だから構造家は、楽しい。」
http://ameblo.jp/mscblog

非常に正確に見て頂いていると感じる部分と、こちらの説明が足りず、誤解されてしまっていると感じる部分があります。

全体に「超線形設計プロセス論」には比較的共感するものの、「批判的工学主義」には違和感を感じていらっしゃるようです。僕の中では表裏一体なのですが、「なぜそれを主張するのか」というアジェンダ・セッティングの部分がうまく伝えられていないと反省しました。

メールでも叱咤激励を含んだご意見を頂きましたが、そちらもとても刺激的でした。ここで議論を尽くしてしまうと来月のインタビューで聞くことが無くなってしまいますので、話題をしっかり暖めておきたいと思います。

もうひとり、「藤村龍至について」というタイトルで僕のことを論じている人がいました。

itu415さんのブログ「カラー ミー ポップ !」
hhttp://d.hatena.ne.jp/itu415

批判の中に「叱咤激励」的なニュアンスを含む満田さんとは異なり、どちらかというと根本的な「批判」。とはいえ印象論に留まるものではなく、かなり正確に僕の書いたものを読み込んだ上で議論の前提を問いかけてくれています。

構築性を徹底し、飛躍を包含しない「超線形設計プロセス論」は言うならば、最適解のみを生産し続ける資本主義の建築のための方法論である。そこに至った藤村の問題意識は確かに的確であるが、彼が生み出した方法論は徹底すれば資本主義の要請する凡庸な最適解でしかない建築を生み、徹底しなければ建築家の作品としての建築を生む。

書いたものだけで議論を展開させた結果、結論を過剰に単純化させている節もありますが、なるほど、とも思いました。ただ形骸化に陥らず、かといってマニエリスムからも距離を取り、方法論を徹底することによって得られる複雑さを内包した解こそが建築家の作品足りうると主張している私からすれば、彼のイメージする最適解とは、資本主義の要請に従ったかのようにみえて、形骸化してしまった合理主義の産物のことのようで少々違和感が残ります。お会いしたことのない方だと思いますが、いずれお会いして議論してみたいですね。

いずれも自分の議論の伝わり方を知る上で勉強になりました。ありがとうございます。

岡崎乾二郎さんからご返信を頂く。「批判的工学主義」について「輝く都市のコル(アルジェ計画+ビシー政権との絡みも含めて)などの問題とかもっと論じたかった」とのコメント。小林康夫先生からも同じく「検索不能なものとはなにか?ということで議論したかったですね。」とのレスを頂く。ありがたいですね。

17日、藤本壮介さんの事務所へ。前回は『新建築』の月評で「情緒障害児短期療養施設」について執筆するにあたって押し掛けたとき(2006年夏)以来なので、2年ぶり。当時「オープンデスクの風景」と呼ばせてもらった独特の内部空間は「外国人インターンの風景」へと変貌を遂げ、模型の山で事務所が覆い尽くされていました。

「読み飛ばしていた」という『JA70』の拙稿「批判的工学主義」については、「巻末の解説かと思った」「言葉が良くない」と厳しいコメントだったが、背景をお話ししていくうちに「意外と近いかも知れない」と認識を変えて下さった模様。僕の方も、原理的なモデルを量産する藤本さんの設計スタイルについて、コンテクストとの関係をどう取っているのかが理解できなかったが、商業空間の営みを自然現象のように眺めるまなざしがあることを知り、より深く理解できたような気がして楽しかったです。

24日、ぽむ企画の平塚桂さんと会う。学会の委員会などいろいろな場所でよくご一緒するが、じっくり話を伺うのは初めて。建築家の使う言葉に疑問を持ったこと、建築×映像がコンセプトの「建築ナイト」が今から思えば建築×情報だったこと、80年代のニュータウン育ちという共通点、などなど。同時代性を感じられてこちらもとても楽しかったです。

告知:7/10-12に取材で関西・広島に行きます。盛り上がりましょう!詳細は後日。
fujimura

2008年06月22日

ディスポジション/次世代のコンビニ

BUILDING Kの竣工引き渡し、学会の黄表紙論文の提出を終え、ほっと一息つきたいところだが、書籍企画、原稿依頼、ゲスト審査員依頼などが続く。

28日から始まるJA連動企画「風景の解像力」展の会場調整も佳境。それぞれの建築家の希望を叶えるのは想像以上に骨が折れるが、調整ごとは嫌いではないし、お祭りのようで楽しい。内容は各事務所とも気合いが入っているのでシンポジウムの抽選に外れてしまった人も、展覧会には来て頂ければと思う。会期が短い(6/28-7/5)のでご注意を。

14日、前日に満田衛資さんより連絡がありBUILDING Kへご案内。その後ロータリー財団の最終オリエンテーションのため埼玉の坂戸へ。奨学生を送り出す。13:00から19:00までの長丁場。ロータリーの委員の方々も交代。打ち上げのあと、この日開通した副都心線で渋谷へ。後輩イハツの初担当作である14番出口を通って出ると、本人がいたw。突っ込みどころは満載ではあるが、イハツらしく都会的で端正な仕上がり。内側のガラスにエスカレーターを上り下りする人が映ってカコイイ。

17日、小さな改装の現場。4月入社の櫻井の初担当作。細かなミスが出てしまったが、いいスケールでまとめられたのではないか。お施主様にも喜んで頂けてとりあえず一安心。

19日、この日はアポだらけ。10:00長谷川豪さん、JA編集部の橋本さん、有岡さんとJA展シンポジウム打ち合わせ@新建築社。顔ぶれから言ってどう転んでも面白くなるだろうが、当日の話の道筋をつけるべく若干の議論。

昼食後、13:30PROJECT KOHの定例@品川。いよいよ現場が始まる。気を引き締めて行きたい。移動し、16:00JA展会場打ち合わせ@INAX:GINZA。細かい確認。基本的なことを話し合ったあとはスタッフの伊藤に任せて移動。

18:00過ぎ、スタッフの城間とオーノさんと待ち合わせBUILDING K打ち上げ@リーガロイヤルホテル早稲田。お施主様のお招きで設計事務所、ゼネコン、不動産管理、銀行など、関係者が一同に揃う。お施主様のスピーチに感動。紹興酒に酔いしれて帰宅・・・したいところだが帰社し住宅のお施主様と打ち合わせ。終電ぎりぎりまで。

20日、10:00PROJECT n-GN1の設計分科会@現場事務所。午前中の築地は活気があって面白い。躯体が地上に顔を出して来た。仕上げを徐々にFIXさせていくべく打ち合わせを重ねる。18:00打ち合わせ@MDR。書籍企画と別企画、原稿など3件の打ち合わせ。

21日、10:00住宅打ち合わせ。コストコントロールに苦しんでいるが、何とかまとまりそう。当たり前だが、住宅の計画はビルとは違う難しさがあり、勉強になる。フィードバックを繰り返し、案はどんどん進化している。

14:00『ディスポジション』刊行記念シンポジウム「『うまくいくこと』の倫理と技術」@代官山ヒルサイドプラザ。岡崎乾二郎、小林康夫氏と並んでプレゼンテーション。南後君に「よく引き受けましたねえ」と言われびくびくしていたが、小林先生と岡崎さんにもいろいろ突っ込んで頂き、珍しかったからか会場からも質問が集中。「うまくいくこと」に絡めてきちんと反論できれば良かったのだが、しどろもどろに返答。

残念ながら本の内容について突っ込みを返すことはあまりできなかったが、建築設計における「うまくいくこと」の作業イメージを示すことは辛うじてできただろうか。声を掛けて下さった方々に感謝したい。

本番後も岡崎さんには「超設計プロセス論」のみならず「批判的工学主義」についてもいろいろ突っ込んで頂き、「『批判的工学主義』というのは『批判的批判的地域主義』ということだな!」とご理解(?)頂く。

会場に塚本研の後輩KとSとMYが来ており、打ち上げ後合流して感想を聞く。建築界にはない議論が展開して楽しめたとのことで一安心。帰社し打ち合わせをこなすも頭の芯が疲れる。

22日、10:30近代美術館の「建築が生まれるとき」展へ。担当学芸員の保坂さん経由で『美術手帖』誌での展覧会評のご依頼を頂いた。第一印象としては思考を空間化している青木パートが、青木さんにとって模型を時系列に並べることと設計の手法があまり関係ないように思えた。思考過程の単なるビジュアリゼーション(結果論)と、設計プロセス論(方法論)は大きく違う。逆に青木さんがストーリー(=物語、ナラティブ)についてすごく気にしているのが80年代的思考の影響が感じられて面白かった。

移動し、明治大学へ。学生団体MADS主催のコンペの審査員。お題は社会学的フィールドに建築的な問いを立てる、という趣旨で「次世代のコンビニ」とした。いろいろな案が出たが、形態を提出したもの(曲線で構成された案など)と空間モデルを提出したもの(住宅型のコンビニなど)、に分かれた。両者とも建築的思考と言えるが、より抽象的な後者を高く評価した。

審査では提出された案全てを整理して議論の軸を作り、分析しながら評価を決める、というある意味ではとてもオーソドックスな手続きを採らせてもらった。いいと思う作品をピックアップして、それだけを礼賛するだけだと審査員と選ばれた人だけが楽しいコンペになってしまう。全員の案をきちんと拾って、議論の全体に位置づけるというプロセスが大事だと考えている。そうすれば参加した人全員がコンペの意味を見出せるはず。

終了後のレクチャーは「批判的工学主義」と「超線形設計プロセス論」について。建築の芸術性よりも政治性を強調した。コンペの審議についての考え方と連続する話でもある。今までにあまりみられなかった議論なので、学生たちもきょとんとしている。僕の提示するストーリーは文章よりもレクチャーの方がわかりやすいと思うが、少しはこちらの考えが伝わったのではないかと思う。
fujimura

2008年06月11日

建築雑誌「批判的工学主義」特集/.JA 70「風景の解像力」

日本建築学会の機関誌『建築雑誌』6月号の第2特集「批判的工学主義に向けて」を担当させて頂いた。

フリーペーパーでの議論をきかっけに柄沢祐輔、南後由和と展開して来た「批判的工学主義」を35,000人の読者に向けて放つ。柄沢+南後+藤村によるテキスト、大江匡氏、林昌二氏、長谷川一氏、岩佐明彦氏へのインタビュー。組織的アトリエの大江氏、アトリエ的組織の林氏、メディア論の長谷川氏、研究者の岩佐氏、と立場は異なるが批判的工学主義を論じる上で欠かせない方々にご登場頂いた。いずれもコンパクトだが重要なコンテンツとなっている。

https://secure1.gakkai-web.net/gakkai/aij_zassi/index.html

僕らは日本社会におけるアトリエと組織・ゼネコン系の対立を問題にしているが、これを『10+1』でやるのと『建築雑誌』でやるのとでは意味も効果も違う。チャンスを下さった五十嵐編集長に感謝したい。

継なる仕掛けは10月に建築会館で開催される建築文化週間のシンポジウムである。1月のLRAJ、6月の『建築雑誌』批判的工学主義特集に続けて、より広い議論の場とするべく仕込み中。

『建築雑誌』学会の会員でない方は南洋堂等で購入できます。お問い合わせを。

http://www.nanyodo.co.jp

もうひとつ、『JA』に初めて取り上げて頂いた。10日から店頭に並んでおり、学生たちからも「買いました」というリアクションがちらほら。

今回選ばれているメンバーは全員30代のアトリエ系建築家のみ。『建築雑誌』に比べると発行部数はずっと少ないのかも知れないが、全編英訳されるということもあって、海外への広がりもあり、とても緊張した。僕はあえて竣工写真をほとんど載せず、理論、方法論、実践をオーソドックスに提示することにした。

あえてピークをつくらない乾さん、模型写真+手描きスケッチでスタイルを提示した石上さん、作品紹介に徹した長谷川さん、スケッチを全面展開した中山さん、コンセプトでまとめた平田さん、絵はがきのようにページ毎のレイアウトを完結させた中村さん、キーワードでまとめた藤本さん、というように8人8様だ。

ぱっと見て図像を中心に説明するイメージ派(乾、石上、中村、中山)と形式を中心に説明するフォルム派(藤本、平田、長谷川、藤村)と分けられるように感じる。よくも悪くもイメージとフォルムに拘泥する内向きな建築家像が世代の紋切り的なイメージとして固まってきたような気がするが、このままでいいのだろうか。月末にINAX:GINZAで開催される連動企画展(6/28-7/5)、シンポジウム(6/28,7/5)は、この世代に対する新たな批評を構築する機会としたい。

申し込みはこちらへ。
https://www.japan-architect.co.jp/JA70_Symposium/
fujimura