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2006年10月 アーカイブ

2006年10月16日

再開します

こんにちは。今日からまたジャーナルをつけはじめることにしました。
ひきつづき、藤村くんは主に東京から、山崎は京都からの書き込みになると思います。
毎日のご報告、といったところでしょうか。おつきあいいただければ幸いです。

yamasaki

2006年10月18日

再び

お久しぶりです。しばらく間が空いてしまいましたが、それぞれ状況も変化したところで、リニューアルさせて頂きました。まずはjournalをサンドイッチ・ブログ形式で再開ということで、よろしくおつきあい下さい。

fujimura

2006年10月19日

新建築10月号の月評

月評に悩む。締切はとっくに過ぎてしまっているのだが・・・。これまでのを読み返してみると、なんともさらりと読めてしまうのだが、これでも毎月毎月七転八倒している。いつも作品を擦り切れんばかりに読み込んで、なんとか刺激的な評論に仕立て上げたいと考えているのだが・・・。

「最近勢いがダウンしている」とつかもと師や後輩諸君にダメ出しされてきたが、10月号の青木藤本論はわりと評判が良かった。「今までで一番いい」という人も何人かいた。二項対立なんて猿でもできる評論の形式で少し安易なのだが(実際そういう批判もあるにはあった・・・F事務所のA君とか)、言いたいことは整理しやすいし、伝わりやすい。

今月はどうしようかな。ラインナップとしては、SANAAのトレド、石上さんの工房、松川さんたちの海の家あたりを攻めようと決めてみた。いろいろな展開があり過ぎてすでに数パターンはスケッチできてしまったのだが、オチが決まらない。うーん。

仕方ないのでいろいろたまっていた仕事を片付ける。労務関係の書類を大量に作成してみたり。今夜中には決着つけなくては。

fujimura

2006年10月20日

永山祐子展「光と影」準備開始

今日から永山祐子展の仕込み。京都精華大学と京都工芸繊維大学から計10名強の学生さんたちが駆り出され、永山事務所の木原さんの切れ味鋭い陣頭指揮のもとでがしがし働いていました。今日は展示の目玉の一つ、超巨大な竣工写真の設置。もうものすごい迫力。ああいう写真を見たことある人はほとんどいないんじゃないだろうか。明日はいよいよ永山さんが来て、一気に配置を終える予定です。

企画段階で「そんなに若いのに展示する内容があるのか?」という反応をもらったことがある。わかる。当然の反応だと思う。ただ今回は、永山さんの活動を振り返るような回顧展的な「陳列」をしたいんじゃなくて、あくまでも、自分の作品を伝えることを通じて、永山さんに「新しい空間」を作ってもらえたらいいなと思っていた。

独特の不思議さ(ほめ言葉です)を背後にもった建築をつくる永山さんだから、きっと「展示なるもの」との相性が良いに違いないと思って、お願いしました。展示ってある意味つかみが重要なので。もちろんそんな期待など軽く吹っ飛ばす「才能」が、実際は展示されることになるわけです。10/21-11/28、どうぞお楽しみに。

yamasaki

2006年10月24日

東浩紀の授業、Table of Youth勉強会など

午前は事務所にて定例。いろいろ確認。13時、昼飯を食べていると不意の来客。青森の祖父母であった。以前から「事務所を見たい」といっていたので見せる。5分で帰り、静岡へ向かう。

14時、移動して東工大で東浩紀の授業「ポストモダンと情報社会」。2年生に混じって受講する。文系の授業なんて10年ぶりである。遅刻したので後ろの方の席だったが、睡魔に倒れる学生が続出し、次第に視界が開けていく。ラカン、デリダ、フーコー、ドゥルーズ、リオタールなどをハイテンションで解説。話が脱線しまくるが「まあそんな話をしてもしょうがない」といって無理矢理戻していく。

「60年代のフランスの現代思想が70年代にアメリカに輸入されたときに、『脱近代』という理論的テーマが『脱工業化』という社会的テーマとブレンドされた。誰もこういうふうには説明していないかも知れませんが、ここが一番大切です。覚えておきましょう。」という結論が印象に残る。東さんらしい説明だ。

製図室で2年生に絡んで若干の議論をし、研究室に顔を出して4年生の論文を見たあと、事務所に戻ってスタッフと打ち合わせ。17時、スーツに着替え、都内某所の測量事務所を訪問し打ち合わせ。その後事務所に戻って着替え、20時から建築ノートの巻末企画「Table of Youth」の勉強会。大学院生を中心に週1回集まっている。若い連中と気ままに議論するのは楽しい。

前回同様、大学院生12名を集めてみんなでコラムを書かせてもらう予定。面白いメンバーが揃ったので濃い内容が期待できそうだ。スタッフと打ち合わせ後、終電で東工大に戻り、後輩と議論とかしつつ、深夜3時ジャーナルを更新。

fujimura

2006年10月28日

今週

今週は既存のプロジェクトに動きがある一方で、新プロジェクトがいくつか動き出しているので、身辺はにわかに慌ただしかった。静かなときは静かなのに、お座敷がかかるときはいつも同時だ。

24日、午前は所内で打ち合わせ。午後はとある件の打ち合わせで横浜へ。久しぶりだ。用件を済ませ、事務所へ戻る。翌日のプレゼ内容を確認し、夜は先日声をかけて頂いたある企業の担当者の方々と会食。先日させて頂いたプレゼについて、担当者の方は「意表を突かれた」と表現されていた。条件を整理して可能性を場合ごとにパターン化して提示させて頂いたのだが(藤村事務所はそういうプレゼが多い)、頂いたお話の内容からすればちょっと枠を広げた内容だったかも知れない。

25日、既存のプロジェクトで懸案事項がまとまりそうだったので久しぶりに関係5者によるミーティング。問題は次から次へと出てきて気が遠くなりそうだが、こういうときこそ緊張を保たなければいけない。その後大学へ飛んでいき、17時過ぎ、塚本研のゼミへ。30分ほど遅刻したため塚本師の機嫌が悪いが、そういうときは内容でフォローしようと頑張るので逆に発言は冴える(気がする)。ゼミは夕食なしで22時30分頃終了。事務所へ飛んで帰り、翌日のプレゼ内容を確認。いろいろやり残しがある。

26日、午後イチで新規プロジェクトの初回プレゼンテーション。いろいろご意見を頂き、修正を約束する。スケジュールが少し延びそうなので、時間があるうちにスタディを重ねることにする。16時、大学へ戻り大学院生の授業へ。Adnan Hrambasicというノルウェー人建築家の集中講義のアシスタントをしているのだが、この日は横で聞いて時々コメントするのみ。半分が外国人留学生ということもあり、グループ作業なので一見よくわからないが、しばらくみていると学生の能力差とか役割、掛けた時間の差、というのは手に取るようによくわかる。仕事上でも、短い時間に掴んだ相手方の人間関係などがプロジェクトの鍵を握ることがあるが、それは自分たちにとっても同じこと。他山の石としよう。

27日、朝から諸手続きで役所を回る。途中、旧渋谷公会堂(C.C.レモンホール)の前に大量の熟年女性が集まっており、何かと思えば氷川きよしのコンサートだった。あれだけ特定の世代にアピールできるのはすごいことかも知れない。夕方、事務所へ戻り書類整理をしていると、最近ヨコミゾ事務所から独立した伊藤君から電話。たまたまその日が事務所のオープニングとのことで偵察に出かける。会場に着くと女の子やガイジンが大量に集まってオサレムードに満たされており、さすが段取り上手の伊藤君・・・と、うっかりと勘違いしてしまいそうであったが、実はシェアしている事務所の方々の合同パーティ。23時、大学へ戻ると学園祭の準備が行われており、若者ムード。デザイン研の連中が設営中で話を聞く。自分たちの作品だからか、緊張感と充実感のある表情がよい。製図室を覗くと学生が数名いたのでいろいろ話を聞く。学年に「やる気のあるやつ」「知識のあるやつ」がいないのが悩みだとか。周りを育てないと、自分も育たないよね。それはいくつになっても同じこと。1時すぎ、研究室で若干の調べものをして帰ろうとすると校門近くで酔っぱらった塚本研の学生たちとすれ違う。コンペの打ち上げで飲みに行っていたらしい。疲れがたまっていたせいもあり、なんとなく調子の合わなさを感じるが仕方ない。

28日、昼前に社会工学科時代の同級生である大東君から電話。社会工学科の同級生はコンサルや金融関係が多いのだが、彼は設計をやっている数少ない同志である。近所に現場があり、渋谷まで来ているとのことで急遽来所。彼は社会工学科の大学院を出た後、外資系の設計事務所に就職している。仕事は外資系のオフィスのインテリアが多いらしい。就職、結婚、子供、と人生双六を快調に駆け上がる彼の次に狙うところは、転職かマイホームか。「子供が小学校に入る頃には自然の多いところに引っ越したい」のだそうだ。オトナだなあ。事務所を隅々までチェックされ、「椅子くらいは良いの買えよ。安いところを紹介してやるよ。」とありがたいアドバイスを頂く。事務所設立時にお施主様から頂いた椅子もあるのでしばらくは控えようと思っていたが、そろそろ考えようか。16時、谷内田事務所のオープンハウスにお邪魔させて頂く。今年に入って3回目だが、今回もまたいろいろ勉強になった。谷内田事務所の仕様は比較的統一されているのだが、逆に担当者の違いが出ていて面白い。今回のはとても繊細な感じがした。途中下吹越事務所の高橋君と会い、仕事の話など聞く。こういうときの情報交換はなかなか得難いものがある。

今週はこんな感じでした。


fujimura

2006年10月29日

伊東豊雄展

永山祐子展、無事オープンしたようで、おめでとうございます>キュレーター氏。こちらではオペラシティギャラリーで開催中の「伊東豊雄 建築|新しいリアル」を見てきたので感想を。

まず会場構成について。展示は以下のようになっていました。
SPACE A:最近のテーマである「エマージング・グリッド」というコンセプトについて解説
SPACE B:「物質」をテーマに、1/1の図面、TOD'Sの1/1モックアップなど
SPACE C:伊東事務所の歴史について、関係者へのインタビューを交え、年表形式で総括
形而上(概念)/形而下(空間)/年表と、かなりオーソドックスな三部構成でした。建築関係以外の人にもわかりやすい感じ。

SPACE Bで壁面のTOD'Sの実物大模型を見て思い出したのが、GAギャラリーで開催された「Alchitecture展」。アルミ建築をテーマにした展覧会で、吹き抜けのところの大きな壁面に1/1の断面模型がありました(よね)。

それを作ったのは何を隠そう私(と友人H)です(威張ることではないが)。伊東事務所のオープンデスクに呼ばれて行ったら、中山さんに「フローニンヘンのアルミの家の実物大断面模型を1/1で作って下さい」と言い渡され、大量のアルミレンガの断面をひたすら切り抜きました。事務所に場所がないということで、自宅に持ち帰って製作したり。

床に並べるはずが、あるとき伊東さんの鶴の一声で壁に吊ることになって、本当に断面を切ったみたいにしようと、スタイロフォームとか、床の断面の根太とか、フローリングとか切って並べました。模型はバラバラのアルミレンガを繋いでいるので精度が出にくかったり、全体を吊っているので垂直を出すのが難しかったりで設営にすごく時間がかかったなあ。設営後、なんとか締切に間に合ってみんなでほっとしていると二川幸夫氏が現れて、車の断面がそうみえなかったらしく、「これ何?」「車です」「・・・あんまり、センスないな」と言われて一同がっかりしたり。懐かしい思い出です。

そのときはアルミの薄さが本当に「薄い」ということを示すという命題があり、「1/1でなければダメ」「断面は垂直面でなければダメ」という具合に、物質性とか空間性をそのまま表現する、というのが展示の趣旨でした。今考えれば、ちょうどその頃「せんだい」の生々しい現場が進行していたわけで、伊東さんの考えが概念的、比喩的なものから、より物質的、空間的なものへと、ドラスティックに変化しつつある頃だったのでしょう。

今回の会場構成は、その分節がSPACE A(概念)とB(空間)の間でより明快なものとされていて、それはまた、伊東さんがずっとこだわっている「ふたつの身体」をそれぞれフォローするものとなっています。

SPACE Cは、細長い空間に年表が並び、ドキュメンタリーがそのまま空間化されたような展示となっており、これもオーソドックスだけどとても見応えがありました。泉さんが初めてメキシコ出張に出かけたときの話など、なかなかドラマチック。そのほか、佐藤光彦さんの「かつては伊東さんのスケッチを楕円に置き換えたりしていたのが、最近はそのままになってきている」というコメントが、伊東建築の変化を端的に要約しているような気がしました。

展示全体を通じて、本質的な問題はただひとつ。「『生成』が比喩ではなく現実の空間を設計する原理となるかどうか」が繰り返し問われています。1970年代以降、伊東さんの言説は、概念と空間の境界(=今回の展示でいうSPACE AとBの境界)が無くなる状態を目指し続け、それができなかった(「建築」になってしまった)と限界を告白する、ということの反復でした。しかし、「せんだい」が竣工した2000年代以降、プラクティカルなレベルで両者がどんどん近くなってきているという加速度を感じます。

SPACE Aで展示されていた「台中」の模型のフラットな床と、SPACE Bの3次曲面の床の孔。両者は何か共通する異物感を持っています。あれがなければ、もっと空間が概念に近づき、概念は空間に近づくのではないか。そう思った人は多いはずです。個人的には、サーペインタイン・ギャラリーのフラットバーに腰掛けて本を読んでいる人々の光景(構造と家具の融け合った状態)に、何か突破口があるように感じました。


fujimura

2006年10月31日

初等教育

各方面より「ジャーナル復活したんですね」と突っ込みが入っております。

さて、週明けは事務所でさくっと定例。15時、東工大で授業のアシスタント。東工大では毎年秋に集中講義があり、毎年塚本先生よりアシスタント役を頂戴しております。

2003年秋「Urban Farming」講師:Jacob van Rijs氏 吉村靖孝氏
2004年秋「Ookayama Green Scape」講師:Bernt Knies氏
2005年秋「Terraventure」講師:Wiel Arets氏
2006年秋「Tsukiji Workshop」講師:Adnan Harambasic氏

他にもTokyo Canalとか、いろいろ声をかけてもらって部分的なものもありますが、お手伝いしてきました。学部生の頃からいろんなワークショップに参加してきましたし、基本的にワークショップのノリが好きなので、仕切る側になってしまってもなんらかのかたちで関われることは基本的に嬉しいのです。

最近それがだんだん苦痛になってきました。理由はいろいろありますが、
1.議論が図式的になる(代表例:「日本ではコンビニがあるからキッチンはいらない」とか)
2.具体性は問題じゃなくなる(代表例:「看板の裏に住む」とか)
3.設計がどうでもよくなる(代表例:コラージュに満ちたプレゼとか)
など、バックグラウンドの違うメンバーが集まって濃密な時間を共有する面白さを得る代わりに、建築的なコミュニケーションが希薄になってしまい、ちょっと物足りない感じがしてしまうのです。もちろん、いいワークショップはこれの逆なのですが、単なるコクサイコウリュウならば旅行でも行ったほうがマシなのではという授業もありました。

今回のは学生の取り組む姿勢は比較的マシな感じですが、テーマとしては正直いってあまり自分の役割を見いだせないでいます。

最近は大学院生よりも、学部2年生の授業「設計製図第一」のアシスタントのほうがやりがいを感じます。不慣れな分待ち時間的なものは長いけれど、伸びが素晴らしい。慣れてくると「図式とは何か」「形式と何か」「レトリックとは何か」など、だんだん建築的な議論ができるようになり、図面も見違えるように変わっていきます。全然描けない、と泣きついてきたのに、ほんの数時間で一気に伸びる子もいます。もちろん、適当にやり過ごしてばかりでがっかりさせる子もいますが、全体として教わることが多い。教育には昔から興味があるのですが、方向としてはやはり専門教育よりも初等教育のほうに興味があるなあ。

20時、事務所に戻り「建築ノート」関連の勉強会「Table of Youth」。建築系の大学院生がほとんどなのですが、初めて文章書きます、みたいな人も多いので、これも一種の初等教育のようなものかも。もっと専門的なメンバーにして、高度な内容にしたほうがいいのでは、という意見もありましたが、僕としては若い連中とフラットな感じでつきあっている方が勉強になるし、一緒に成長できるような感じがして楽しいので、このまま続けられたらと思っています。

そんな今日この頃。

fujimura

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