« 寒中お見舞い | メイン | 議論の日々 »

オープンデスク考


最初に「設計事務所」というところに行ったのは学部2年生の頃、表参道駅近くのビルの谷間にある、中庭を囲んだ平屋のオサレなオフィスだった。デペロッパーの下請けでマンションばかり設計しているところで、マンションの模型ばかり作り続けた。

そのうちN建設計とかN本設計などの大手組織設計事務所にバイトに行くようになった。「模型番長」みたいな(女の)人がいて、模型の作り方をいろいろ教えてもらった。

初めてアトリエ事務所にオープンデスクに行ったのは大学院に入ってから。SxLのコンペで大賞をもらった時に、つかもと師に「ほうびをやる」と言われて紹介されて以来、伊東事務所に通い始めた。そのときの仕事はアルミ建築をテーマにした「Alchitecture展」の模型作りで、入所したての中山さんが担当だったので毎日楽しかった。伊東さんはたまに見かけるという感じで、気がつくと背後からじっと模型をのぞいていたりする。風のように現れては消える感じに「建築と同じだ!」と興奮を覚えたりした。

その後、事務所を持つようになって、オープンデスクを呼ぶ側になった。「学生」というとどこにでもいるようだが、事務所のスタディのペースに見合うだけの人手をコンスタントに確保するにはそれなりの工夫を要する。とくに私たちのように模型を大量に作る事務所では、人手の確保が設計の質を左右してしまいかねない。

今、うちの事務所に来てくれるオープンデスクの主力は学部2年生と3年生である。4年生になると研究室に所属してしまうので呼ぶことができず、M1は就職を前提に動くので、結局頼りになるは彼らである。

幸い、2004年と2006年は東工大で2年生の設計製図のアシスタントをしていたので、多くの2年生と知り合うことができた。最初の住宅課題が終わった頃、元気の良さそうな学生数人に声を掛け、しばらくつき合っていくうちにコアな数人が残ってレギュラーのように通ってくれている。

建築学科の2年生とはいえ、最初はどうにも使い物にならない。「面取り」も「一枚残し」もろくにできないし、連絡もせずに欠席はするし、挨拶もせずに帰って行く。だから最初はそのあたりを丁寧に教えないといけないのだが、やがてそのうち言わないでもきちんと掃除をし、しっかりと挨拶をして帰るようになる。3年生も後半くらいになると力がついてきて、時間の読みも正確になるし、自分たちで議論しながら段取りをし、手分けしてきれいな模型を作ってくれるようになる。

2006年の夏休みは試みとして、期間を2週間ごとに区切って募集をしてみた。きちんと終わりを定めて通ってもらい、ずるずると期間を伸ばしたりしないことにした。そのかわり期間中は集中して毎日定時に通ってもらった。2週間くらいならばスケジュールも調整しやすく、挨拶や模型道具の使い方など一通り教えるのにちょうどよい長さだと考えたのである。結果、学生の上達も早く、こちらとしても指示が出しやすく、成果としてはまずまずであった。

今年の2年生をみていると、夏休みに2週間手伝いにきていた子たちは、その後の課題でも順調に成果を上げているようにみえる。模型で差がつくのはもちろん、段取りがよくなるのでプレゼもうまくなるし、設計の内容も次第によくなる。ひとつひとつの課題で成果を出すようになれば自信もつくようだ。

こちらとしてはせっかくいい感じに育った連中が4年になると途端に来てくれなくなってしまうのはイマイチ残念ではあるが、実際のところそのくらいのスパンがちょうどよいのかも知れないとも思う。学部のうちは身近な事務所で集中して通い、修士になったら就職を睨んで憧れの事務所に狙いを定めて通うのがよいだろう。

他方、夏休みや春休みなどの長期休暇は、地方の大学に通う学生たちと知り合えるいいチャンスでもある。2006年の夏休みには遠く新潟や大阪からも来てくれた。オープンデスク慣れしている東京の学生に比べると最初は覚束ないが、変にスレていないので上達は早い。

昨夏に1ヶ月ほど通ってくれたある学生は、帰ってから「急に模型が作るのが好きになった僕をみて、皆が驚いていました。」と言っていた。また別のある学生は「人生で最も濃密な時間を過ごせた。」と言っていた。私たちが何か特別なノウハウを提供した訳ではないが、ひとりひとりと丁寧に向き合おうとする姿勢が、どこか通じたのではないかと思う。彼らはこの春休みにも再び参加してくれる予定である。

というわけで(前置きが長いが)、2007年春休みのオープンデスクを募集しております。申し込みはこちらまで。お待ちしております(^_^)/。
fujimura

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.round-about.org/cgi/mt/mt-tb.cgi/22

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2007年01月27日 16:43に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「寒中お見舞い」です。

次の投稿は「議論の日々」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。