ROUND ABOUT JOURNALの解説の続きを。vol.2は都市編です。
Droppaper
本瀬から「毎月1回キンコーズに集まり、その場で割付と印刷をして媒体を制作する、という活動を続けている人たちがいる」と聞き、見せてもらったところ、その即物性がなかなかカッコ良く、都市面の表紙をお願いすることに。最後にカリヤ氏が図版を2度傾けたことで、ライブ感をうまく保存できた気がします。
南後由和「『建築的思考』を召還せよ!?」
南後君とは、10+1の現代建築思潮研究会で初めて会い、一度じっくり話をしてみたいと思っていました。ここでは、出たばっかりの『東京から考える』をとっかかりに、社会学と建築学の架橋の可能性について議論しています。この議論を経て、建築家が社会を論じることの価値について堂々と発言してもよいのだ、と素直に思えるようになりました。
唯島友亮「超2層構造論ー『科学的超現実主義』というコラージュ」
ToYなどにも参加してもらっている唯島君ですが、ここではマニアックなキャラを前面に押し出してもらおうと思いました。「竹中久七」という1930年代のマイナーな理論家の文章を発見した、というので、それをベースに展開してもらうことにしました。脚注も遠慮せずに増やしてもらったところ、とてもマニアック・ポップな論考に仕上がりました。
吉田桂子+和泉芳典「『吉田さん』と『和泉くん』」
ルフェーブルvsフーコーという構図は熱いのだけど、そのままだと抽象的になりすぎるので、対談という形式を採ることで問題の構造を人間関係で理解できるようにしたら面白いのでは、と思いました。短い字数でしたが、唯島君の論考と相補的でもあるし、南後君との対談の内容を受けています。
川西敦史「軽さについて」
「1995年」というキーワードに対して、正面から取り組んでくれました。加速する消費社会と、自らの震災体験の記憶の不連続性を彼自身の言葉で紡いでいて、迫力のあるテキストです。
伊庭野大輔「Your Landmarkー無数の超高層建築と、無数の地域的領域」
もともとは構成論として書かれた彼の修士論文を、私小説ふうに開いたもので、景観論としても読めますね。「東京中を自転車で走り回った」というその身体性を強調することで、伊庭野のスポーツマンっぽさも出たし、都市空間に対する身体の介入という現代的なテーマにも接続できたのではないかと思います。
坂東幸輔「ランダムリサーチ」
元スキーマのスタッフで、今ハーバードに在学中の坂東君によるスタジオレポート。主観的な情報の集合から設計に有効な客観性を抽出する手法を指した「ランダムリサーチ」というタイトルは、良い言葉を見つけたな、と思います。
Samira Boon「マスクが作る日本の風景」
デザイナー、Samira Boonのインタビュー。彼女の「フロシキシキ」の名刺入れは、建築業界でも愛用者が多いですね。英語の途中に「ええと、ここでところてんが運ばれてきましてー」という日本語が入る間合いが最高。
村井一+藤井亮介「都市ランニング論ー都市構造を測る!」
長距離をやっていた村井君と、趣味でマラソンをやっている藤井君のマラソン対談。日頃のマラソン体験と、各都市のマラソンコースの比較から、「都市構造を測る」というテーマについて話しています。
藤井亮介「マラソン・モードの東京ー東京マラソン2007体験記」
松島潤平「ローカル・モードの東京ー東京マラソン2007応援記」
時事ネタで東京マラソンレポート。走る側、見る側からみることで、重層的なリポートになっています。当日の非日常性や高揚感を感じさせますね。
小川裕之「交響空間」
代々木公園でのパーティを行って来た過程で獲得された公共性について、体験的に語ってくれています。社会に対して単に抗うのではなく、従うでもなく、周辺と議論しながら自分の居場所を定めようとする意思にとても共感します。
益子悠「(K PROJECTを主題にしたマンガ)」
芸大デザイン科出身で、mashcomixとしての活動や、イラストレーターとしても活躍中の益子さんに、K PROJECTをモチーフにしたマンガの制作を依頼。松島がマンガヲタっぷりを発揮し、素晴らしいやり取りをしてくれて、奥行きのある作品に仕上がりました。
松島潤平「都市の建築をマンガのようにしか経験できない」
隣ページのK PROJECTマンガの解説でもあり、益子論でもあり、建築論でもある。mashcomixの体験から入り、「マンガ中毒キャラ」という設定を介して都市の経験に繋いでいく構成はなかなか完成度高いです。
藤井亮介「早送りされる風景ー世界を映す鏡としてのマンガ」
ToYでも展開してくれた「マンガ建築論」が風景論となってバージョン・アップ。「トラベル」の図像がビデオの早送りに似ている、というところから議論が展開していきました。出版元から図版掲載のOKが頂けたのは大きかったですね。
北川健一「『建築ケーキ』のデザインプロセス」
あのケーキを作ってくれた、ヨックモックのパティシエ北川氏へのインタビュー。伊庭野の「ケーキ用図面」も公開。
尾田のぞみ「先へ」
担当作での体験をベースにしながら、建築がどうやったら自然に建つことができるか、という(真っ当な)問題を論じています。消費社会の中で、それでも建築が生産されなければいけない現代の状況についての戸惑いがストレートに言葉になっています。
土屋匡生「映画館の21世紀」
映画館からみた消費社会論。横浜駅西口の名画座とMM21のシネコンを対比させ、新たなオルタナティブとしてのQ-AXを位置づけています。8講座出身とのことで、北山さんの作品やタームが出てきます。
玉井夕海「水の家」
玉井さんは芸大の建築科出身。「千と千尋の神隠し」リン役を経て、映画「もんしぇん」で脚本・音楽・主演を務め、女優としても活躍中。自分と世界を繋ぐ「水」の尊さ、偉大さ、を語ってくれています。
しんけたつま「ジェスチャーにかんする覚え書きよっつ」
しんけ君のことは10年くらい前から知っていて、しばらく音信が途絶えていましたが、最近再会しました。彼らしいジェスチャーでジェスチャーについて語るという内容。文章の構成と段組みも合っていますね。
刈谷悠三「議論のレイアウトー建築論と都市論のクロス・ワード」
右開き、縦組みで展開されてきた建築論と、左開き、横組みで展開して来た都市論を繋ぐという誌面のコンセプトについて。今回は「1995年以後」という大きな枠組みしか手がかりがなかったので、誌面の形式性によって救われた部分が大きかったと思います。
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うーん、都市面にふさわしい、バラエティに富んだ内容ですね。以上、解説でした。
5月6日までPRISMIC GALLERLYで無料配布中です。
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株式会社INAX 日新工業株式会社 (50音順)
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