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2007年06月 アーカイブ

2007年06月02日

5月後半を振り返り、コルビュジエ再読の可能性について考える

このところ、諸々慌ただしい。15日、19:00寳神さんと待ち合わせてhhstyle新作発表を覗く。その後伊藤君合流し、中央アーキのサカカヨよりご招待頂いたExit to Safe展@AXISギャラリーのオープニングへ。

展示はどれも面白かったが、アーティストの野老さんの作品が特によかった。衣服をシェルターとして考えるというコンセプトはFINAL HOME的だが、「一枚の布」と「複数のジッパー」いう仕掛けが持つ構成のバリエーションが、オリジナルを凌駕しているようにも思える。

19日、平田晃久展のオープニングへ。会場は相変わらずの混雑だが、人数は適正な感じ。展示は模型+図面+文学的テキスト、という建築展の王道セット。レクチャーも、もっと精緻な理論武装的なものを想像していたら、意外にも素直な内容だった。

平田さんが大阪の堺市の出身だったとは知らなかった。古墳のある原風景について語っていて、土木的なスケールでの幾何学性が緑に覆われて自然のようになる、と平田さんはいう。安中のコンペ案で「土量」について主張していたことが思い起こされる。

20日、16:00バーベキュー@森山邸。住人Nさんのイキな計らいにより、急遽実現。伊藤君夫妻らと6人で押し掛け、森山さんも参加。後輩I(アウトドア系)を連れて行った結果、とてもいい働きで大正解。中間期で天気もよく、最高に気持ちよい。

21日、全体ゼミ。ゼミ後、夜中に後輩Kと走る。往復8km。こちらも気持ちよい。

24日、朝、某社でミーティング。新プロジェクト。流れで定例に合流したらチームの一員に森山邸で会ったばかりの友人Cさんがいてお互い驚いた。面白くなりそう。午後、別プロジェクトの仕込みでミーティング@某銀行。複数の論理を摺り合わせる作業。

事務所に戻り、19:00ミッドタウンのd-laboへ。南後君と柄沢君と合流し、東浩紀さんと北田暁大さんのトークを聞く。RAJのフリペや全体ゼミの流れでMDR飯尾さんよりお話を頂き、10+1で柄沢+南後+藤村の3人で鼎談をすることになったのだが、この日はそのための仕込みも兼ねて。

東さんは最近シンガポールに行ったらしく、伊東さん設計のvivo cityを例に挙げ、「建築家がショッピングモールとか設計するといいと思うんですけどね」と言っていた。何気なく聞いていたが、実は結構本気の発言なのかも知れない。東さんは他にも、「シンガポールで一番飯がうまかったのはvivo cityのフードコートだった」などと述べ、動物化した現代人を積極的に演じてみせる。

トークの大半は下北沢の再開発計画に対するスタンスの違いについての議論の繰り返しだったが、後半になって「最近の東京は車からみないと理解できない」という話へ展開。自動車型のショッピングモールも、コンビニの流通システムも、宅配も、全部繋がっている、という話。建築の畑で「自動車スケールで出来た都市」といえば当然「ラスベガス」が思い浮かぶわけだが、ここでは情報化が絡められている。

終了後、議論しつつ論点を整理。

25日、昨夜の議論の記憶も鮮やかなうちに四谷のMDRに再集合し、10+1の鼎談収録。東京の二層構造から路上観察の系譜、「虚の不透明性」、アルゴリズミック・デザインへという、このところ3人で議論している流れ。いつもしている議論をさも初めて話すかのように話すのは意外と難しいが、柄沢氏の文語体マシンガントークは炸裂。全体として、若い世代の勢いは出ただろうか。

26日、11:00友人Oさんの結婚式@広尾。大勢集まる。17:00ハウス・アンド・アトリエワンへ。ペン大の福西君が帰ってきていることをきっかけにみんなで集まる。神戸の家成さんや、終盤でホンマタカシさんも合流。

28日、新プロジェクトに関連して、朝よりシェアオフィス見学会。総勢20名近くで回る。「シェアオフィス」というとco-labやsyncなど、クリエイティブ系のオープンな空間のイメージを持っていたが、司法系のシェアオフィスは完全クローズド。支配人の話を伺っているとそれでも意外に多様性があることがわかってきた。

29日、20:00山崎さん来社。打ち合わせ。

30日、朝授業、午後ゼミ。なんとか終わって18:00某社打ち合わせ。28日の見学の成果を反映した模型を持参しプレゼ。業務の内容や分担についての共有など。雨のなかダッシュで事務所に帰り、南後君、柄沢君と先日の10+1鼎談の文字起こし原稿の校正を詰める。タイトなスケジュールなのでパソコン持ち寄りでその場でどんどん校正していく。かなりライブだがどんどん話の筋が明快になりテンション上がる。

31日、定例@某社。関わっている人数が多いため、全体検討会の後分科会へ。構造と設備スペックの詳細詰める。スケジュールがタイト。検討のスピードを上げなければならない。その後MDRへ。先日の鼎談の他につかもと師と共著で論考を書いているのだが、そちらの最終確認。

1日、たまっていた原稿がどんどん片付く。中央アーキの本のインタビュー原稿も送信。16:30某社訪問。その後、近くのco-labへ。mosakiの元子さんが受付にいた。mosakiやpointの長岡勉さんらの仕事場をみせてもらう。フリペに執筆してくれた小川さんにも初対面。

2日、11:00コルビジェ展@六本木ヒルズ。ふとしたきっかけで南条館長のツアーに参加することに。展示自体はコルビュジエの建築というよりは、その作家性の全体を追いかける内容。ユニテの一室を再現した巨大モックアップを始め、膨大な資料が極めて体系的かつ体験的に網羅されている。

面白い展覧会であることは間違いないが、展示としての批評性という意味では疑問も残った。作家性の全体を再構成することよりも、『輝ける都市』化が進行しつつある現代の東京においてコルビジェを再読することの可能性を問いかけるようなキュレーションもありえたのではないか、などと思う。

南条館長の説明では、観光で来るお客さんにもわかりやすいように、という配慮があったという。それは仕方がない。しかし、コルビュジエは近代化が始まりつつある時代に工学化する都市を予言し、そこにおけるヒューマニズムを提言し続けたわけで、工学化がリテラルに実現してしまった現在、そこに再びヒューマニズムが復活されるべきなのか、あきらめられるべきなのか、自然に問いかけるような議論は出来ないのだろうか。

fujimura

2007年06月05日

SKIN+BONES展@国立新美術館

5日、国立新美術館のSKIN+BONES展のオープニングへ。LAのMOCAで開かれた展覧会の巡回展。80年代以降の建築とファッションを比較し、互いの共通点を探る、というもの。日本人建築家は伊東豊雄、SANAA、坂茂らが、ファッションデザイナーは三宅一生、川久保玲、山本耀司、渡辺淳弥などが入っている。

まず展示の感想としては、実物をずらっと並べているファッション作品の迫力に比べ、写真と小さな模型だけの建築作品がやや迫力不足な点は否めなかった。ただ、LAのMOCAでのオリジナル版ではシアトル公立図書館(OMA)やオリンピック・スタジアム(H&deM)の巨大な模型が並んでいて、両者の迫力は拮抗していたというから、ここでは巡回展という事情を踏まえて見たほうがいいのかも知れない。ちなみに図録を見ると、両者のイメージのスケールが等価になり、建築とファッションを横断的に並べてしまうという、この展覧会のコンセプトが持つある種の暴力性を最大限に感じることが出来る。

作品単体では、入り口にあるHussein Chalayanによる「Afterwords」というコレクションの「Convertible Skirt / Table」は面白かった。テーブルがスカートになったり、椅子のカバーが服になったり、椅子の本体が鞄になったりする。ビデオを見ていると、最後に何もなくなるのだが、そこになんとも言えない喪失感のようなものが残るなあ、と思っていたら「紛争で亡命を迫られる」という設定らしい。なんともヨーロッパっぽい。

ただやはり、ブルック・ホッジのキュレーションについては、大量の作品群を整理する体系としては理解できるが、文脈としてはなんとなく発見的でないようにも感じられた。このテーマを展開するとしたら、互いのデザインプロセスを見せることではないかと思う。衣服のデザインがどのようなプロセスでなされるのか、門外漢の私には全く想像がつかないが、恐らくそれは建築のデザインについてもいえるだろう。それぞれの分野のデザイナーがどのような思考を経てモノを作っているのか、という深いところを見せ合えれば、デザイナーにとって互いの製作のヒントとなり得るような気がした。

ともあれ、80年代以降の建築とファッションの流れを知るにはよい機会かと思われます。8/13(月)まで。10:00-18:00、火曜日休。
fujimura

2007年06月19日

着工など

16日、松田達さんのレクチャー@南洋堂。この6月に独立されたばかりであり、「まだ何も建てていないからこそ、出発点を語る」という趣旨。

「ユルバニスム」という概念の紹介、パリでの中庭のリサーチを経て、今後の事務所経営のイメージやつくりたいという「都市建築」のイメージ、過去の作品紹介等。

後半は松田節が炸裂。曰く、
「建築と都市が『都市建築』という概念をつくればいい」
「金沢と東京が離れているなら『金沢東京』という概念をつくればいい」
「感覚と論理が離れているなら『感覚論理』という概念をつくればいい」
と、リズミカルな展開。

だが肝心の「都市建築」なるものの具体的なイメージは最後まで語られないままであった。あくまで「概念の問題」らしい。

質疑応答はなかなか激しかった。林要次さんが資料について突っ込み、南さん、樫原さんが後輩指導的に内容に厳しく突っ込んだあと、田路先生が「前半はよく勉強しているが、後半の話は『小せぇなあ』という感じ」とバサーリ・・・いろいろ批判されても平然としている本人を見て、この人は60歳くらいになってもこんな感じかも知れない、とふと思う。

18日、K-PROJECT着工。9:00、現場に関係者が集まり四方祓い等。設計期間中はいろいろ問題が発生したり、予定が延びたりするので「一生この建物を設計しているのではないか」と錯覚に陥りそうになるが、ようやく着工までこぎ着けることができた。工事期間中の安全と無事を願いつつ、気を引き締める。

11:00、六本木に移動し、やまさきさんと合流。エイドリアン・フォーティ氏にインタビュー。先日の東大でのレクチャーにはあいにく参加できなかったが、やまさきさんより招集がかかり、同席させて頂くことに。

待ち時間の間、フォーティ氏の旅行に同行していたというやまさきさんに話を聞きつつ、質問を用意する。先日のレクチャーでは「不完全性」がキーワードだったようだ。

難波さんは日記で「当初のデザイン通りに実現されないことをimperfectionというようだが、もうひとつのimperfectionは単にデザインの失敗という意味にすぎないように思える。だとすると議論はあまりに陳腐である。」とバサーリ切り捨てていたのだが、話を聞いていて、どちらかというと、perfectionを求める社会に対し如何に抵抗するか、という文脈でimperfectionという概念を用いているのではないかと感じた。

インタビューはうまく行った。やまさきさん、お疲れさまでした。

15:00設計製図TA@東工大。トレースや調査など、ここまでが毎年長いが、ようやく住宅設計課題にまでたどり着いた。この日はエスキス初日。

寸法とは、形式とは、精神とは・・・1時間くらいで終えるはずが、ひとりひとりとじっくり話しているとあっという間に3時間くらい経っていた。今年はどんな才能と個性に出会えるだろうか。

19日、夕方大阪の先輩Kさんが事務所へ。進行中の内装の図面を見せてもらう。Kさんらしいコンセプトで実現が楽しみ。

その後急いで南洋堂へ。フリーペーパー「ROUND ABOUT JOURNAL」を置かせて頂くことになり、持参。より多くの人の目に留まると嬉しい。
fujimura

2007年06月27日

10+1東京特集など

10+1no.47「東京をどう記述するか?」が発売されました。久しぶりの東京論特集となった今回は、塚本先生との共著「東京のタイポ・モルフォロジー」を寄稿し、柄沢祐輔君、南後由和君との巻頭座談会「アルゴリズムで表層と深層を架橋せよ」に参加しました。

前者は建築類型(タイポロジー)と都市形態(モルフォロジー)の関係を論じたもので、最近の塚本研究室での議論の流れをまとめたような感じにもなっています。博士論文のストラクチャーとなる予定。

後者は3月のフリーペーパー→4月からの塚本研での全体ゼミ→7月のUMAT(堀場国際会議)の流れをまとめたような内容で、勢いに任せたようなところはありますが、3者の色が出されつつ、萌芽的な内容になっていると思います。次号の10+1ではさらに詳しく展開されることになりそうです。

「建築ノート」3号も発売間近。今回も「Table of Youth」を担当させて頂きました。7月は国際会議、Apple心斎橋でのイベント出演、8月はインタビュー記事掲載等、ここ数ヶ月仕込んできたもののアウトプットが続きます。

21日、11:00某プロジェクト定例@虎ノ門。流れを読み、空気を読み、全体が上手く進むように建築をまとめたい・・・ここ1,2週間が正念場。

22日、20:00全体ゼミ@東工大・・・やや遅刻と思ったらつかもと師が帰国していて土産話など。29日に中間報告会をするのだが、あまり準備が進んでいない。ペースを上げなければ。

23日、ロータリー財団のオリエンテーション+歓送迎会@坂戸グランドホテル。ロータリー年度の切替りなので年に1度の大イベントである。最後は2 人の奨学生がスピーチや出し物等。漫才とか三味線とか、なかなか器用。2人とも1年間で素晴らしく成長を遂げたと皆さんが誉めて下さっていた。留学先でもぜひ頑張ってきて欲しい。

今年度は学友会(OB会)会長という立場だったので10回以上埼玉まで足を運んだのだが、社会人として、経営者として、勉強になるとことの多い1年だった。

24日、18:00五十嵐太郎さんの新刊『新宗教と巨大建築』刊行記念打ち上げ@銀座。松田さん、寳神さん、南後君などいつものメンバーに混じり、「ワラッテイイトモ」のK.K.さんなど。K.K.さんはがっしりしてて目つきが鋭い感じが石上さんに似ている。

五十嵐さんの妹さんのジャンヌさんともこの日初対面。洞窟絵画の研究をされているという。お話ししていて、探求的な感じは共通しているが、太郎さんが「新宗教」や「結婚式教会」など「社会」との関わりを問題にするのに対し、「芸術の起源」といった「世界」との関わりを問題にするところに違いを感じた。

25日、15:00設計製図講評会@東工大。軸組模型と図面を持って発表。藤岡先生と塚本先生らに挟まって「藤村も何か言え」と言って頂きコメントなどする。エスキース時にはコンセプトや見せかけの形態よりも、寸法や形式など、設計の基本的なことを教えるようにし、講評会のときにはなるべく公平で論理的な議論を心がけている。学生達には、こうした議論を聞きながら、評価されているものと、されていないものの違いをなんとなくつかんで欲しいと思う。

講評会がやや長引き、急いで建築学会の編集委員会@建築会館。五十嵐太郎さんが『建築雑誌』の編集長に就任され、お声掛け頂いて私も委員を務めることになった。フリーペーパーを評価して頂いたらしい。120年の歴史と伝統のある雑誌がどう変わっていけるのか、楽しみだ。

2次会では杉浦久子先生と隣になり、初めてお話しした。メディアテークのコンペのこと、教え子のことなど。

26日、13:30島崎威郎さん来社。ロンドンでの活動のお話やお誘い等。1月にアトリエワンで今村創平さんのご紹介でお会いしたときは、塚本さんとスミッソンズ話で意気投合していらした。島崎さんや塚本さんがいう「コンテクスト」には「オーセンティシティ」とか「サスティナビリティ」が含まれているのだが、作品集を拝見していると「しっとりぬれたレンガ」みたいな、テクスチャーの感覚が含み込まれていると感じた。

同じ「コンテクスト」でも僕の興味は単なる「固有性」のようなもののかも知れない。逆にロンドンにはコンテクストに興味があるデジタル世代の若手建築家とかいないのだろうか。いたら話してみたいと思う。

18:00、某プロジェクト定例@虎ノ門。組織にはいろいろな人がいて、いろいろな誤解もあり、些細な問題が意味もなく重大性を帯びてしまう。ひとつひとつほどいていくしかない。コンセプトもディテールも大事だが、コミュニケーションも同じくらい大事。

23:00、事務所でスタッフと打ち合わせしていると工藤和美さんから電話。建築学会の文化事業委員会に参加して欲しいという。五十嵐さんの編集委員会に続き、委員会を掛け持つこととなってしまったが、せっかくお声掛け頂いたので引き受けさせて頂くことにした。

設計、仕事、研究、論文など、やることは溜まっているが、引き続きこなしていきたい。
fujimura

2007年06月28日

「白の家」を見る

28日、9:30篠原一男の「白の家」を見学。想像以上に大きく、広い。そして暗い。上半分の窓のない抽象的な空間は、あまり空気が動いていない。2階の部屋がとても明るい。1階の書斎は初めて見たが、意外とよい。外観はあまりよく見えないが、かなり大きい。庭はほとんどないが光がきれいに回る。

印象として、現代建築には見えない。古民家か、寺社建築のよう。かつて接続されたであろう伝統とモダニズムの架橋という問題が無効となってしまった現在、この住宅は、自らに引きつけて見るというよりも、彫刻のように外から眺めればよいのかも知れない。

一緒に見学した学生諸兄は一様に「感動した」と言っていた。この住宅が素晴らしいことはよくわかるのだが、発表当時、具体的にどのようなインパクトがあり、どのような議論を起こしたのか、今ひとつ想像できないので、正直なところイマイチ消化できていない。皆は何に「感動」しているのだろうか。「白の家」に入れたという経験に、だろうか。それとも「空間」に、だろうか。
fujimura

2007年06月29日

コンポジションとコンテクスト

28日、18:30新建築のイベントで藤本壮介氏への公開インタビュー@森美術館。新建築編集部の四方さんに「盛り上がらなかったときの助っ人として」召還され参加。観客としていけばいいのかと気楽に出かけたら、左隣が石上純也さんで、右隣が平田晃久さん、しばらくして西沢大良さんが登場し、若い建築家が関係者席にずらりと並んで藤本さんの話を聞くという不思議な集まりに。

インタビューは藤本さんが自作解説を交えながらコルビジェを語るというもので、四方さんの質問に沿って藤本さんが淡々とコルビジェを語っていく。藤本さんの卒論がコルビジェのパースの分析だったこと、「空間というよりも、秩序のようなものが気になる」という言葉などが印象に残った。

で、最後に(一応お仕事として)質問。「コルビジェは『コンポジション』と『コンテクスト』を結びつけて語るという建築家像を提示したが、藤本さんは『新しいコンポジション』は語るけれど、『新しいコンテクスト』は語らないのではないか。」と絡む。

答えは「コンポジションの根源性はコンテクストを超える」というもので、藤本さんらしい。コルビジェというよりカーン的だと感じる。

続いて平田さんは「N-HOUSEでは外形が不定形だったのに、モクバンではキューブになっているのはなぜか」とマニアックな質問。「外形が不定形なこと」が若い世代の建築家が共有されている問題だという(平田さんが気にしているだけなのではと思うが)。藤本さんは「キューブであることとばらばらであることを等価に考えたい」と軽くかわす。

終了後、石上さん、平田さん、藤本さん、新建築、森美術館の方々と近くで会食。建築談義に始まり、事務所経営談義、スタッフの扱い談義など。「スタッフに議論させて、ある結論が出てきたら、そうならないようにする」とか、「スタッフの議論をあえて無視してスケッチを描く」とか、事務所の運営に関しては4者4様でいろいろ工夫を重ねているということがわかって楽しかったが、全員なかなかのワンマンっぷりを発揮していることが明らかになった。

29日、18:00全体ゼミの中間発表会。4月からやってきた勉強会の成果報告として、やや気合いを入れて準備を重ねた。南後君や柄沢君、唯島君が外部から参加してくれたおかげである種の濃度が出て、『10+1』など、いろいろ企画が派生するなど、成果が徐々に出てきている。

発表したレジュメのリストは以下の通り。

1. 1990年代以前の「建築」と「場所」論
 アルド・ロッシ『都市の建築』
 ロバート・ベンチューリ『ラスベガス』
 レム・コールハース『錯乱のニューヨーク』
 デイヴィット・ハーヴェイ『ポストモダニティの条件』

2. アンリ・ルフェーブル『Rythm Analysis』

3. 1990年代以後の「建築」と「場所」論
 Multipulicity『Uncertain States of Europe』
 アトリエワン『フラックス・マネジメント』

建築家による都市論を社会学系の議論とクロスさせるというのがミソで、目玉として、ルフェーブルの『Rythm Analysis』の翻訳を行い、その流れでステファノ・ボエリとアトリエワンを読む、というもの。

ハーヴェイを介した建築論の読みはわりとうまく行って、塚本さんも誉めてくれたが、コールハースとルフェーブルの繋ぎはもう少し練習が必要か。

「コンポジションとコンテクスト」の話でいうと、この日はコンテクストの話オンリー。おそらく、コンポジションに夢中な同世代の建築家諸兄にはまったくアピールしないだろう。

現在の日本の建築シーンにおいて議論の場が崩壊し、「建築はモノだ!」みたいなノーテンキなマニフェストが幅を利かせている原因のひとつは、コンポジションとコンテクストの繋ぎがうまく行っていないからだと思われる。例えば、斜めの壁があったとして、コンポジションの説明をするならば単純に「斜めである」と説明すればよく、コンテクストの話ならばコストなり、上記なり、与件をそのまま説明すれば良いにもかかわらず、壁を斜めにしただけなのに「多様な空間」と書いてしまうような、議論のショートがあまりにも多い。

そういう状況にあって、今回試みたような、建築家が行ってきた議論を社会学系の議論を使って整理しつつコンテクストを制作する、という作業にはそれなりに意味があったのではないかと思う。協力してくれた関係諸兄に感謝したい。

終わってみて、今回は「1990年代」とお茶を濁してみたが、「1995年」を強調することで見えて来る、もっと過激な都市論の輪郭も見えてきたような気がする。機会を見つけて、引き続き展開できればと思う。
fujimura

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