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コンポジションとコンテクスト

28日、18:30新建築のイベントで藤本壮介氏への公開インタビュー@森美術館。新建築編集部の四方さんに「盛り上がらなかったときの助っ人として」召還され参加。観客としていけばいいのかと気楽に出かけたら、左隣が石上純也さんで、右隣が平田晃久さん、しばらくして西沢大良さんが登場し、若い建築家が関係者席にずらりと並んで藤本さんの話を聞くという不思議な集まりに。

インタビューは藤本さんが自作解説を交えながらコルビジェを語るというもので、四方さんの質問に沿って藤本さんが淡々とコルビジェを語っていく。藤本さんの卒論がコルビジェのパースの分析だったこと、「空間というよりも、秩序のようなものが気になる」という言葉などが印象に残った。

で、最後に(一応お仕事として)質問。「コルビジェは『コンポジション』と『コンテクスト』を結びつけて語るという建築家像を提示したが、藤本さんは『新しいコンポジション』は語るけれど、『新しいコンテクスト』は語らないのではないか。」と絡む。

答えは「コンポジションの根源性はコンテクストを超える」というもので、藤本さんらしい。コルビジェというよりカーン的だと感じる。

続いて平田さんは「N-HOUSEでは外形が不定形だったのに、モクバンではキューブになっているのはなぜか」とマニアックな質問。「外形が不定形なこと」が若い世代の建築家が共有されている問題だという(平田さんが気にしているだけなのではと思うが)。藤本さんは「キューブであることとばらばらであることを等価に考えたい」と軽くかわす。

終了後、石上さん、平田さん、藤本さん、新建築、森美術館の方々と近くで会食。建築談義に始まり、事務所経営談義、スタッフの扱い談義など。「スタッフに議論させて、ある結論が出てきたら、そうならないようにする」とか、「スタッフの議論をあえて無視してスケッチを描く」とか、事務所の運営に関しては4者4様でいろいろ工夫を重ねているということがわかって楽しかったが、全員なかなかのワンマンっぷりを発揮していることが明らかになった。

29日、18:00全体ゼミの中間発表会。4月からやってきた勉強会の成果報告として、やや気合いを入れて準備を重ねた。南後君や柄沢君、唯島君が外部から参加してくれたおかげである種の濃度が出て、『10+1』など、いろいろ企画が派生するなど、成果が徐々に出てきている。

発表したレジュメのリストは以下の通り。

1. 1990年代以前の「建築」と「場所」論
 アルド・ロッシ『都市の建築』
 ロバート・ベンチューリ『ラスベガス』
 レム・コールハース『錯乱のニューヨーク』
 デイヴィット・ハーヴェイ『ポストモダニティの条件』

2. アンリ・ルフェーブル『Rythm Analysis』

3. 1990年代以後の「建築」と「場所」論
 Multipulicity『Uncertain States of Europe』
 アトリエワン『フラックス・マネジメント』

建築家による都市論を社会学系の議論とクロスさせるというのがミソで、目玉として、ルフェーブルの『Rythm Analysis』の翻訳を行い、その流れでステファノ・ボエリとアトリエワンを読む、というもの。

ハーヴェイを介した建築論の読みはわりとうまく行って、塚本さんも誉めてくれたが、コールハースとルフェーブルの繋ぎはもう少し練習が必要か。

「コンポジションとコンテクスト」の話でいうと、この日はコンテクストの話オンリー。おそらく、コンポジションに夢中な同世代の建築家諸兄にはまったくアピールしないだろう。

現在の日本の建築シーンにおいて議論の場が崩壊し、「建築はモノだ!」みたいなノーテンキなマニフェストが幅を利かせている原因のひとつは、コンポジションとコンテクストの繋ぎがうまく行っていないからだと思われる。例えば、斜めの壁があったとして、コンポジションの説明をするならば単純に「斜めである」と説明すればよく、コンテクストの話ならばコストなり、上記なり、与件をそのまま説明すれば良いにもかかわらず、壁を斜めにしただけなのに「多様な空間」と書いてしまうような、議論のショートがあまりにも多い。

そういう状況にあって、今回試みたような、建築家が行ってきた議論を社会学系の議論を使って整理しつつコンテクストを制作する、という作業にはそれなりに意味があったのではないかと思う。協力してくれた関係諸兄に感謝したい。

終わってみて、今回は「1990年代」とお茶を濁してみたが、「1995年」を強調することで見えて来る、もっと過激な都市論の輪郭も見えてきたような気がする。機会を見つけて、引き続き展開できればと思う。
fujimura

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2007年06月29日 23:35に投稿されたエントリーのページです。

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