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2007年09月 アーカイブ

2007年09月03日

建築学会大会/九州ランドスケープ・ワークショプ

29日。建築学会の大会に出席するため羽田へ。出発直前、遅れに遅れて10+1原稿提出。なんとか着いたときにはつかもと師はじめ、研究室の人は勢揃い。

午後、福岡大学に到着。後輩Kと学食に籠りスライドをまとめつつ発表準備。「表層と深層」を軸に、建築類型と都市形態の関係を高らかにマニフェスト。いい台本ができたのでは、と軽く盛り上がり会場へ。

ところが、会場に着くとラップトップにアダプターがないことが発覚。冷静なふりをしてアダプターを持っている人を探すK。たまたま同じセッションでMacユーザーがいたので、なんとかデータを移し、発表にこぎ着ける。

練習不足に加え、直前のちょっとしたアクシデントにより若干の動揺。何度か噛んだ上、全体に棒読みなところを指摘される。

ふたつほど質問も頂くが、Kの答えが「なっていない」とつかもと師。さらには「お前のフォローもなっていない」ととばっちりを食らう。つかもと師のそう言いたい気持ちもわかるが・・・。

31日午後、ひと通り関係者の発表を聞き終え、一行と分かれて「九州ランドスケープ・ワークショプ」の会場へ。どひ研の大先輩で今は福岡大学で教えている柴田さんと再会。

「九州ランドスケープ・ワークショプ」は福岡大学のほか、九州大学、同芸術工科大学、熊本大学、九州工業大学など、いくつかの大学の建築と土木を学んでいる学生の主催で、互いの作品を紹介し合い、講評し合うという趣旨でこの日が記念すべき第1回。僕と柴田さんはゲストクリティークとして呼んで頂いた。

発表はどれも興味深かった。まちづくりワークショップ、研究室で進めたプロジェクト、ランドスケープや建築の実施設計等々。最後のディスカッションでは表層と深層、しまいには南後君の「有名性」を持ち出して議論。大いに盛り上がる。

修了後、学内の食堂で軽く懇親会。その後大名に移動し、2次会。公共空間の計画に学生が参加する意味について議論。所有者、行政、使用者のどれでもない、という立場から、逆に各セクターの利害を超えて、ファシリテーションできることに意味があるのではないかというある学生の意見に納得。

柴田研をはじめとする土木系の学生は住民や行政など、外部の人々との接触の機会が多いからか、とても場慣れしていると感じる。誰に振っても堂々とした意見が返ってくるし、乾杯の音頭も上手いし、シンポジウムにしろ飲み会にしろ、準備や進行などの手際が良い。

今回は異分野のいろんな事例を知って勉強になったし、柴田さんと久しぶりに議論できたし、何よりもたくさんの意欲的な学生達に会えて、とても楽しかった。ぜひまたこのような場に参加させてもらえれば、と思う。
fujimura

2007年09月08日

新スケープ 都市の異風景 / 建築ノート3号

先日、中央アーキ編著による『新スケープ 都市の異風景』が出た。同世代のグループがこのような本を作り上げたことに対して、その行動力に感心する。

後半にインタビュー「お気に入りの風景」が掲載されている。建築家は藤村龍至、小嶋一浩、西沢大良、宮本佳明、藤本壮介、石上純也といった顔ぶれ。

ある日突然電話があり、その2日後にインタビューと撮影があった。

インタビューはルポ風、語り風、コラム風といろいろあるのだが、僕のはサカカヨとの対談風にまとめさせてもらった。同世代感を出しつつ、中央アーキを軽く批評し、さらに彼らの師匠である小嶋さんに接続し、アトリエワンなどの東京論などを外観して、「表層と深層」の構図を作ってみた。

自分の考えもあるのだが、彼らの考えを聞けたのは楽しかった。今回はイントロ的だったけど、彼らの本作りの衝動というのが、どの辺りから出てくるものなのか、そのうちその深いところを聞き出せればと思う。

論理というより雰囲気があり、展開というよりリズムがある全体のテイストは、とても今風で、彼らの鋭い感受性が出ている。ビジュアルとテキストが半々な感じもとてもいい。ぜひお手に取ってご覧頂きたい。

7日、16:00k-project現場。いろいろミニバトルがあるが(というか攻められっぱなしだが)、冷静にまとめていく。知識や経験も大事だが、結局のところ大事なのはコミュニケーション能力。

20:30すぎ、渋谷に戻ってTable of Youthの打ち上げに合流。槻橋さんとメンバー7名。完成した3号の誌面をサカナにいろいろ話す。個人的には、1号は「メイキング」に焦点が当たっていたが、2号は「建築」に寄り、3号は「人物」に寄ったなと思う。4号の展開が楽しみ。

巻末のToYは、ある種のかたちができつつある。「出たい」という学生も多いらしい。僕としては、こういう場があることで意欲と野心のある学生達と交流できるのは楽しくていいのだが、メンバーのなかには、少し目的をはき違えていると感じられる人もいたりして、なかなか難しいと感じる今日この頃である。

コルビジュエ展で流されていたシャルロット・ペリアンのインタビューで、「彼は、建築がダメなら絵を描き・・・絵がダメなら文章を書いて・・・ありとあらゆる手段で考えを伝えようとしたけど・・・結局拒否され続けた」という一節がとても印象的だった。

文章など書かなくても建築は建つだろう。でもそれでは足りないから建築家は文章を書くのである。

逆に、そういう切迫感のない文章は読んでいてつまらない。先日も「こんな説明ならば、書かなければいいのに」とある学生のポートフォリオに綴られた、無意味に長い説明文を読みながら思った。彼はただ、何を書いたら自分の考えが伝わるのか、方法を知らないだけなのだが。

絵本のようにふわふわとした世界観が悪いとは言わないが、それでは全く歯が立たないと気がついたのは、やはり留学してからだろうか。

伝えるために書く。伝えることをはっきりさせるために話し合う。4号でも、そういう場を作りたい。日頃から言いたいことが詰まってあふれてるような人には、ぜひ登場してもらいたいと思う。
fujimura

2007年09月12日

SDレビュー2007/小嶋+赤松展など

12日、11:00打ち合わせ@虎ノ門。申請前で検討事項が多く、16:30くらいまでかかる。

その後帰社し、またほどなくしてSDレビューのオープニングへ。去年くらいまでは上の世代と下の世代が半々くらいだったのだが、今年はほぼ完全に同世代以下の建築家ばかり。しかも、処女作の基本設計中、みたいな案が多かった。

たくさんの入賞者の方々に、話しかけて頂いた。世代が近いので、気軽に話しかけてくれたのだろう。

しかし、なぜか「酷評して下さい」というひとが多かった。「酷評」なんて、今までしたことがないのだが(´д`;)。

鉄板のたわみで屋根にやわらかい曲線を出そうとしている大西+百田の「千が滝の別荘」は、いい意味で建築らしくなく、SDレビューらしい処女作性を感じた。実現に向けて頑張って欲しい。

翌13日は小嶋一浩+赤松佳珠子展のオープニング。今回も会場にあふれんばかりの人。スピーチがほとんど聞き取れない。わずかに西沢大良氏が「CAtのデザインは過剰である」と言っているのが聞こえた・・・。

いろいろな人にご挨拶をし、さりげなくインタビューの依頼等も済ませる。

展覧会は進行中の巨大プロジェクトの模型がメイン。個別の方法論はあるにせよ、正直なところ、全体のストーリーが読み切れなかった。

ただ、ひとつ思ったのは、「黒と白」というフレームは「白」と「黒」のハイブリッド構造であるところが特異だということ。昨今の建築界の議論は、「特定の機能が設定されていない」=「白」ということをいたずらに過大に評価する風潮がある(伊東さん、青木さん、藤本さんetc...)が、現代社会の空間は、一方でどんどん「白」くなり、他方でどんどん「黒」くなっているという複合性、対立性がある。「黒と白」はそうした複合性、対立性を外さずに、問題を対象化しうるフレームであるところが面白い。

2次会へ移動する際、藤本さんが先日塚本研で行った僕のプレゼンテーションについて感想をくれた。「普通建築家のいうことって、聞いてだいたいのことはわかるんだけど、藤村君の話は最初から最後まであまりにも意味が分からなさすぎた。」のだそうだ。僕としては、当たり前のことをものすごくわかりやすく話したつもりだったが・・・。

「あの後、あまりにもわからなさ過ぎて、もしかしたら全く新しい世代が出てきたのかも知れない、と思ってちょっと感動したんだよね。」とのこと。

僕が「話が通じなかった」といってしょげていたので励ましてくれたのかも知れないが、そういう捉え方もあるのだろうか・・・。「いやぁ、K-PROJECT楽しみだねぇ」と、プレッシャーを掛けて頂く。頑張りたい。
fujimura

2007年09月17日

現場/座談会/ROUND ABOUT JOURNALミーティングなど

14日は10:00よりNTT-Fと打ち合わせ@田町。意外と長くかかる。

21:00、後輩の鎌谷、小林、山道達へインタビュー。彼らの活動について、僕の活動について、社会学について、ロールモデルについて、議論することの意味について、今後の目標についてなど意見を交換した。充実した記事になりそうだ。

15日9:00、埼玉県某所の現場へ。お茶屋さんの内装である。UTSUWAを気に入って頂いたとのことで、設計のご依頼を頂いたものだ。あまり大きくはないが、条件が複雑であったためにあまりシステマティックにまとめず、模型をつくりながら試行錯誤するという、真っ当な設計手法を適用した結果、決定打がなく、ものすごく苦しんだ。その分、スケールやプロポーションについては細部に至るまで練ったので、仕上がりが楽しみである。感覚を養うためにも、たまにはこういうやり方をしないといけないのかも知れない。

その後19:00、サイクリング部時代の友人Mの結婚パーティへ。部長を務めるなど、人望がある彼のパーティとあって、とても大勢の人が集まっている。懐かしい面々に会い、名刺を渡すと、独立しているというのがよほど珍しいらしく登記や経理の話などいろいろ聞かれる。確かにこのサークルでは建築系はほとんど僕だけで、いわゆるリケイの人たちなので、大企業で開発などをやっている人が多く、社長をやっているのは僕だけであった。

合宿に一緒に参加した先輩や後輩に再会。卒業後企業に就職し、その後なぜかテレビ業界に転職した後、弁護士を目指しているという先輩Nさんに「合宿中ずっと建築の話をしていた」と批判(?)される。そうだったかなと思っていると、後輩Sにも同じ指摘をされる。確かにルートを無理矢理変更して「水の教会」に寄ったりした(往復30km)。誰も興味が無いというところを連れて行った結果、行きは文句を言われたが、帰りは皆「感動した」と言ってくれたのが嬉しかったことを思い出す。懐かしい。

16日10:00RAJミーティング。協賛も決まり、一気に動き出す。特集テーマがずっと決まっていなかったが、この日のブレストで一気に固まった。一部、賭けのような企画があるが、これが実現したらかなり面白くなるだろう。

さっと集まり、さっと密度のある議論をして、さっと散って行く。今の編集チームの面々は、かなりイケていると思う。
fujimura

2007年09月22日

10+1 no.48「アルゴリズム的思考と建築」

22日、10+1 no.48号届く。

今回の特集は「アルゴリズム的思考と建築」。前半は磯崎新、伊東豊雄、藤本壮介、MVRDVヤコブ・ファン・ライスへなど、第一線で活躍する各世代の建築家らへのインタビュー。後半は田中浩也+久原真人、松川昌平、藤村龍至、柄沢祐輔ら、若手世代の論考で構成される。

磯崎さんからワカテまで、「アルゴリズム的思考」をキーワードに世代を串刺しにした編集が素晴らしい。特集記事だけでなく、ドミニク・チェン君の論考などの連載記事もシンクロ感があり、新しい時代の「うねり」が感じられる。

私はここで、「超線形設計プロセス論 ~新たなコンテクスチュアリズムへ~」という論考を寄稿させて頂いた。ここで述べたような設計プロセスに関する議論は、Jt2007年1月号を皮切りに、プリズミック・ギャラリーでの藤村展、round about journal、建築ノート、10+1、Apple Store、そして今回の特集と、このところずっと展開してきたことである。結果的に2007年はそればかり論じていたような気がする。

特集を早速事務所のオープンデスクの学生達に見せたところ、「こういううねりがあることはわかるが、なぜこういう議論が必要なのか、自分に引きつけて考えられない」という反応が返ってきた。彼らの鈍い反応には多少がっかりしてしまうが、実際のところ「早速自分でもやってみよう」と思えない現在の環境下では、仕方がないことなのかも知れない。

今後の課題としては、ここで展開した「超線形的設計」を、UMATで発表した「批判的工学主義」と両輪をなす存在に育て、一貫したストーリーを組み立てることだろうか。

ともあれ、ぜひお手に取ってご覧頂き、「うねり」を感じて頂ければと思う。
fujimura

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