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ROUND ABOUR JOURNAL vol.3 全コンテンツ解説

ROUND ABOUT JOURNAL vol.3について配布に協力して下さる方を募集したところ、早速メールが続々。東京近郊、関西圏、地方など地域も様々。学生だったり社会人だったり属性も様々。ただ一様に熱い文面で嬉しくなる。月曜日から順次発送しますので、よろしくお願いします。

さて、恒例(?)の全コンテンツ解説を。

ROUND ABOUR JOURNAL vol.3 特集「都市ビューティ革命」

「1995年以降の建築・都市」をテーマにしたvol.1+2に続く今回は「表層と深層の関係」にテーマを絞って構成。「『批判的工学主義』は『都市ビューティ革命』となりうるか」と問いかけるイントロに続いて11本のインタビュー、座談会、メール対談、レポート、論考を収録し、濃密な議論を展開しています。

シュウ・ウエムラ「からだの深層からきれいになる」
巻頭はビューティ界の巨匠、シュウ・ウエムラ氏。植村さんの提唱されている「美容と健康の関係」は、まさに表層と深層の関係。とても気さくに、かつ論理的にお話を展開して下さいました。特に後半の都市について論じるくだりは新鮮。最後に藤井亮介の小論「美を培う」が補完し、全体として私たちの主張を美しく翻訳しくれています。

柄沢祐輔+ドミニク・チェン+南後由和+藤村龍至「次世代の東京を描く」
「ビューティ」から一転して男子4人組によるガチンコ座談会へ。「批判的工学主義」を提唱する柄沢+南後+藤村と「プロクロニズム」を提唱するチェンの意見交換しつつ、「批判的工学主義」の行先を議論しています。収録は「批判的工学主義」を提唱した東大工学部2号館にて。

平田晃久「泉北ニュータウンから『生命のような建築』を考える」
大阪府堺市の泉北ニュータウン出身の平田さんに、偶然にも同じニュータウンの出身である南後君がインタビュー。堺は古墳が多いことでも知られていますが、「横から見るとただの森だけど上空から見ると幾何学」という古墳のもつ二重性についてや、ニュータウン=均質という図式的理解を超えて、工学的空間に生命性を見出すという思考など、あえて『東京から考える』的な自分語りをして頂くことで、平田さんの持論を引き出すことができました。

中村拓志「『おもてなし』のアーキテクチャー」
このインタビューを読んで中村さんの印象が変わった、という反響をたくさん頂いています。中村さんの展開する「恋する建築」というコンセプトを「アーキテクチャー型権力」の文脈と接続して議論することで中村さんの批評的側面が引き出せたのではないかと思います。

吉村靖孝+吉村英孝「自由を得るために深層を開く」
レッシグを引用して議論を展開している数少ない建築家の一人である靖孝さんと、塚本研の先輩で個人的も関わりの深い英孝さんのおふたりに、初めて同時にインタビュー。MVRDVやアトリエワンなど、時代的に影響の強かった建築についてもいろいろ議論できて楽しかったです。

藤原徹平「『エンデ的建築家像』をもって『科学的公共性』をめざす」
勝矢武之「深層から建築家の立場を考える」
最も組織的なアトリエ事務所のひとつである隈事務所の藤原さんと、最もアトリエ的な組織事務所のひとつである日建設計の勝矢さんへのインタビューを並列させています。グローバル・キャピタリズムの最前線で活躍されるおふたりと、建築家の社会的役割や位置づけについて議論しています。シチュアシオニスト研究の修論がベースになっているという藤原さんと、「降りる自由」を担保するべきだという勝矢さんの主張は、ともに資本に対してクールなのが意外で興味深いです。

長坂常「状況を直視して、ギリギリまでデザインをしないというアプローチ」
武藤圭太郎+虫鹿元博「タイルの可能性を表現し、新たなコラボレーションを誘発する場」
建築家の社会的位置についての議論が続いた後で、現場の状況にフォーカス。まずデビュー作「haramo cuprum」以来、郊外型集合住宅のプロジェクトを手がける長坂さんに、郊外的文脈で働く工学の力のありようと、それに立ち向かう熱い姿勢に敬意を表しつつインタビュー。最新作sayamaのプロセスが前回のインタビュー「ちゅうぶらりんのまま設計する」にそのまま連続しているという話がとても面白い。
次に前田則貞アトリエの武藤さんと、INAXの虫鹿さんにINAX:GINZAの改修プロジェクトについて伺いました。1Fエントランスホールの3次曲面の設計・施工プロセス、90年代のガラス建築ブームのあとでタイルメーカーが模索したマーケティング戦略など、担当者ならではのリアルなお話を伺えました。

岡部明子「EUの表層と深層」
現場から一転してアカデミックかつグローバルに。バルセロナの磯崎アトリエに勤務し、ヌーベルやコールハースなどの建築家にインタビューした処女作『ユーロ・アーキテクツ』から『サステイナブル・シティ』を経て、最近の研究に至るまで、岡部さんのライフ・ヒストリーを語って頂きました。建築家という表層から都市政策という深層へ、岡部さんらしい批判的な眼差しが伺える、貴重なインタビューに仕上がっています。

エイドリアン・フォーティ「カルチュラル・メディアとしてのコンクリート建築」
昨年6月に来日した『言葉と建築』のエイドリアン・フォーティの日本滞在記+ミニ・インタビュー。「大切なことは『批評的であろう』と考え続けることです。」というメッセージは、批判的工学主義を提唱する私たちへのエール!?

マティアス・シューラー「建築と設備のあいだ」
SANAA「ツォルフェライン・スクール」において採用された「アクティブ・インシュレーション」など、独創的なアイディアで注目を集めるエンジニア、マティアス・シューラーへのインタビュー。伊庭野が日建設計の研修旅行でドイツに行った際に採って来た素材を再構成しています。

松島潤平「遠く離れた都市を愛し、力強く変える方法」
国際コンペで必ず問題となる、地域性、場所性についていかにアプローチするか、という課題について、イスタンブール国際コンペを担当した経験からケン・ヤング、MVRDV、隈研吾、黒川紀章、ザハ・ハディト、フクサスらを比較し、批評しています。

伊藤暁「『キティちゃん』問題~複数の作家性が並列可能なプラットフォームをめざして~」
前回藤本事務所の青木君と展開して好評をいただいたメール対談「若手からみるワカテ」の第2弾。今回はヨコミゾ事務所在籍時に「富弘美術館」などの現場を担当した伊藤暁君に登場して頂きました。「キティちゃんの張り紙でも貼れちゃう気分だった」という感覚は、「富弘」~「アルメラ」~「せんだい」を繋ぐ表層と深層を分ける設計手法の流れを位置づけ、あらためて「富弘」の提起した「メタ設計」という問題が再浮上させているように思えます。

g86「冷静と情熱のアーキテクチャー」
ラストは学生は常に建築家や社会学者の出す2次3次情報しか得られない、という自らの情報環境に疑問を持ち、自らインタビューをまとめてネットで公開するという活動を展開し始めた東工大の学部3年生4人組g86へのロングインタビュー。彼らの分析力(冷静)と行動力(情熱)に満ちた言葉は、荒削りではあるけれども、メディアの言説に踊らされ、トートロジーに陥りがちな同世代の学生たちに、いい刺激を与えることでしょう。

益子悠「建築マンガ」
vol.1+2に引き続き、mashcomixの益子悠さんにマンガを描いてもらいました。今回のテーマである「表層と深層」をもとに議論し、干支が次々と脱皮しながら繋がっていき、さらに表紙の女の子に繋がって表紙と裏表紙を繋ぐという、益子さんらしい、クールでフォルマリスティックなマンガに仕上げて頂きました。

以上、全コンテンツ解説でした。

ROUND ABOUT JOURNALvol.3はINAX:GINZAにて配布中です。

引き続き、配布に協力して下さる方を募集します。100部ずつお送りします(学生の方は無料)。送り先の住所、氏名、学校名or勤務先、学年を明記の上、こちらの連絡先までメール下さい。お待ちしております。

私立大学では既に発表会を終えているようですが、東工大では2月に入り卒業設計が本格化。g86も手伝っていました。後輩Yは曲線のプランを描いている。K笹は組織設計みたいなタワーで工学主義(?)。K井は都市空間における城郭の役割がテーマらしく、批判的地域主義(?)的。みんな楽しそう。盛り上がって欲しい。

春休みのオープンデスクも募集中。学部生、初心者歓迎。興味ある方はこちらへ。意欲ある皆さんの応募をお待ちしております。
fujimura

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2008年02月03日 14:42に投稿されたエントリーのページです。

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