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2008年05月 アーカイブ

2008年05月11日

論理と感覚

30日、塚本研全体ゼミ。今期のテーマは「ヴォイド・メタボリズムに向けて」。後輩たちがばっちり資料を準備している。1960年代のメタボリズム関連の言説の読み直しからスタートし、2010年代版メタボリズムの提唱を目指す。

2日、11:00新建築の中村光恵さんにK-PROJECTの現場に来て頂く。VOXEL HOUSE(2004)以来、全プロジェクトを見て頂いている。一通り現場をご案内し、帰りに現場近くの「天助」にて天丼を食す。

20:00デザイナー刈谷氏来社。打ち合わせ。新婚旅行から帰って来たばっかりで日焼けしている。いわゆるひとつの幸せオーラである。

24:00つかもと師打ち合わせ@塚本研。そのまま飲み。

3日、11:00この日は中央アーキの方々をK-PROJECTの現場にご案内。いろいろな部屋を見せ、最後に屋上へ。外の風景を眺めて、「これは新スケープだね」とか話し合っている。面白いリアクション。その後彰国社の矢野さんをご案内。

6日、坂本先生の「水無瀬ANNEX」の見学会へ。坂本先生の住宅を初めて見学することができ感激。先日『Ka』のインタビューで、形式+便宜(論理)vsスケール+プロポーション(感覚)という図式でお話を伺ったのだが、この建築はまさにそれ。

「目線のちょっと上くらいにある大きな庇が隣に立つ本体との関係も含めて全体を統合しており、その他のあらゆる部位は全体性を不用意に構築してしまわないように注意深く部分化されている。」みたいな形式的、論理的な理解もできるが、「CH=2000-2200mmの間に広がる世界。歩くとゾクゾクする」という身体的、感覚的な理解もできる。

形式は書籍や議論でも理解できるが、スケールは経験しないとなかなか理解できない。逆に言えば、スケールは経験すれば誰にでも理解できるが、形式は一定のリテラシーを要求する。つまり、坂本建築の評価にはリテラシーも経験も要求する。

論理と感覚の関係は人によって違うが、坂本建築のように説明可能性と説明不可能性の両方をすっきり分けられる建築は見ていて心地よい。説明可能なだけの建築や説明不可能なだけの建築ほどつまらないものはない。

19:00久しぶりにチーム・ラウンドアバウトのメンバーで集合。ワソサソこと王銘顕さんにRAJvol.7が掲載された『Dialogue』を頂く。今後の企画やメディア展開について打ち合わせ。各メンバーからいろいろな意見が出るが、徐々にひとつにまとまっていく。2008年後半もいろいろ仕掛けていきたい。

8日、9:00『JA』の編集者有岡さんとカメラマンの大沢さんに来て頂き、K-PROJECTの現場を撮影。有岡さんに「あそこはなんでトラスにしなかったんですか」と聞かれ、何のことだろうと思ったら2階の幕板の下地のことだった。確かに2階床で全ての力を受けているように見える。

18:00電車を乗り継ぎ本郷へ。スタッフの伊藤とともに東大へ。学会の委員会でご一緒している竹中工務店の北さんがレクチャーをされるというので聞きにいく。

レクチャーはまず日本のゼネコンに明治以前から続く宮大工系大工の系譜(竹中、清水等)と、明治以降に操業した請負系大工の系譜(鹿島、大成等)の分節からスタート。「竹中調」の説明など、竹中のアイデンティティが語られる。途中「ストロングビル」「東京本社ビル」など近年の話題作も挟みつつ、伝統建築やコンバージョンなど様々なタイプの取り組みを紹介。

とても包括的な内容で興味深かったが、その包括性ゆえにストーリーテーリングになり得ないジレンマも感じた。個人なら、どんなささいなことでもストーリーにして話すことができる。それゆえにより大きな共感を得ることもできる。逆に言えば、ゼネコン、組織系建築家の唯一にして最大の弱点はストーリーの構築不可能性であり、個人建築家の唯一にして最大の武器もそこにある。

9日、朝後輩Kと走る。最近は早朝に多摩川土手を4km程度走る短めのコースに。K宅に向かう途中、自転車のチェーンの調子が悪く、何度も外れる。7:00集合のところを7:25に到着したところ、「もはや早朝ではないですが」とブーブー言われる。

川沿いの空間は気持ちよい。最後にダッシュして、部活的に走り終える。
fujimura

2008年05月14日

アウトプット

インプットの時期とアウトプットの時期は、交互に訪れる。図渡し、着工、プレゼ、竣工がこの1か月の間に集中している。事務所のスタッフも、徐々に育って来ているのを感じる。あたりまえのことだが、急ぎの仕事を取って来てもきちんとモノを出せるようになって来た。

先日、昨年9月に提出した論文が無事採用された。あとは雑誌編集が3件、書籍の企画が2件。原稿が数件。それらも今週中におおよそのめどがつく。終わったら、溜まっている仕事をこなしたい。

K-PROJECTはなんとか間に合いそうだ。いろいろ細かい反省点はあるが、やるだけやったという気持ちが強い。現場を離れるときに感じる、ある種の充実感。一生のうちにそう何度も味わえるものではないかも知れない。この感覚は覚えておきたい。
fujimura

2008年05月23日

倉橋島へ

10日、9:00ロターリの選考試験。試験官も今年で3年目になる。この日は主に語学の試験で英語で質問。16:30終了、急いで都内に戻り、大学のサイクリング部の友人の結婚パーティ。サイクリング部の諸兄は大手メーカーの開発系に在籍している技術系の人が多いので僕のように独立しているのが珍しいらしく、いつも異端扱いだが、ロターリ同様、いい社会勉強の機会になっている。

19日、朝イチでK-PROJECT現場。さらっと見て帰るはずが、いろいろ捕まって話を聞いているうちに昼を過ぎる。15:00設計製図第一。小課題のプレゼ。つかもと師にコメントを求められ時々口を挟む。

20:00事務所にてTable of Youthミーティング。事務所にオープンデスク以外にも学生が集まる機会があるのは重要。いつもどおり新メンバー6名+継続メンバー6名でこの日が顔合わせ。各自関心のあるテーマを披露。最初から完成形が見える人もいれば、あまりまとまっていない人もいるが、話し合いを重ねて揉んで行く。帰り道、後輩Kたちとともにラーメン→ビールとハシゴして帰宅。

20日、打ち合わせラッシュ。合間に研修希望者が来社し、面接。手が動くタイプのようだ。19:30打ち合わせ@虎ノ門、その後編集者の伏見さんと打ち合わせ@赤坂。

21日、6:07品川発ののぞみ1号にて広島へ。9:50前日から広島入りしている父と弟と待ち合わせ。レンタカーで祖母の墓参りへ向かう。祖母は15年前、阪神大震災の前年に神戸で亡くなった。墓は祖父の出身地である広島の倉橋島にある。小学校の頃と高校の頃にそれぞれ1度ずつ来たことがあったが、父が15年祭を期に墓参りしたいとのことで急遽合流することにした。

弟と父は前日、広島周辺のゆかりのある場所を回ったらしい。鶴羽根神社、白神社、二葉の里、向洋の寮の跡など、高校生の頃一緒に回ったことを思い出す。この日は倉橋島に渡る前に海田町の出先森神社へ。曽祖父の出身地らしい。その後、熊野町、呉経由で倉橋島へ。久しぶりに音戸大橋を渡る。

父の希望で島の海沿いをぐるっと迂回。途中細い道を道なりに進んで行くが、風景が昨年行った長崎の五島の感じにそっくり。今は橋が架かっているので車で移動できるが、昔は広島の宇品港から船で6時間かかったというから、隔世の感がある。

13:30本浦の藤村家到着。神社の宮司をしており、隣に神社がある。うちは分家だが、父の世代が28代、僕の世代は29代で一番新しい世代が30代とのこと。年齢の近い30代氏には会えなかったが、大学を卒業後、呉の酒造メーカーに就職し頑張っているらしい。

親戚の方々が徐々に集まり、歓談。何人か亡くなられたが、皆お元気そう。小学生の頃、東京郊外の流動的な環境に比べて、島で、親戚に囲まれて暮らすという共同体的な環境に驚き、うらやましく思ったことを思い出す。

藤村家の墓は神社の裏の、瀬戸内海を望む高台の畑の一角にある。とても環境の良い場所で、少し家が増えた他は以前と何も変わっていない。都会とは時間の流れ方が違う。遠く愛媛の方の海を眺めながら、前に来たときのことをうっすらと思い出す。いつかまた来たいと思う。そのときも、同じ景色を眺めて、この日のことを思い出すに違いない。
fujimura

2008年05月25日

K-PROJECT プレ内覧会

24日、ブログ等で頑張って情報発信している学生を現場に招いて、レポートを書いてもらうという試みを行った。参加条件は「ブログを持っている」「即日レポートをアップすること」の2点。

参加者は各大学から15名程度。いずれも学部4年生くらいで1986年生まれ世代である。下の階から順番に案内していき、最後に最上階の部屋で軽く議論。言わせておけば「屋上は使いにくいのではないか」「ディテールはもっとスタディできたのではないか」などと言いたい放題であったが、自由な感想を引き出すのがこちらの目的。かわりに「批判的工学主義としての建築」「都市風景を変える建築」など、こちらの話もたっぷり聞いてもらった。

コンセプトは2つ。1つめはボトムアップ式であること。通常の建築ジャーナリズムの順序では、まずオープンハウスを行い、編集者の感触が良ければ取材が行われ、竣工後しばらくして掲載が決まり、撮影が行われる。雑誌に情報が出回るのはずっと後である。読者である学生は一番最後に情報を手にする。

ここではあえて、学生に一番最初に取材してもらった。それは、僕にとって次世代を担う彼らの意見こそが一番重要だからであり、彼らのリアクションを一番最初に聞きたかったからだ。

2つめは、即日発信すること。LIVE ROUND ABOUT JOURNALもそうだったが、即日で言葉にしてもらうことで、ある種の臨場感が生まれる。参加してくれた学生たちも自分が見たこと、感じたことを言葉にして、ブログを通じて他人と共有するという体験をすることで、建築へのまなざしはジャーナリズムに与えられるだけでなくいろいろある、ということを学ぶだろう。

アップされたレポートは下記の通り。

g86山道拓人のレポート
http://d.hatena.ne.jp/sandotakuto/20080524

g86鎌谷潤と坂根みなほのレポート
http://d.hatena.ne.jp/g86/20080524

DESIGN HUB中島弘陽のレポート
http://blog.livedoor.jp/koyonet/

YGSA祖父江一宏のレポート
http://blog.livedoor.jp/shumai_ygsa/archives/50999663.html

コジマラジオ森純平のレポート
http://blog.livedoor.jp/sora_tuki_taiyou/

仙石亜沙子のレポート
http://asacosengoku.blogspot.com/

YGSA百枝優のレポート
http://blog.livedoor.jp/shumai_ygsa/archives/50999913.html

首都大学東京浜田晶則のレポート
http://psycholo66.de-blog.jp/blog/2008/05/k_project_ec6d.html

東京芸大山本亮介のレポート
http://chibi-pick-up.blogspot.com/2008/05/k-project.html

東京理科大学近藤哲朗のレポート
http://cufe.exblog.jp/7979891/

東京理科大学長野楓のレポート
http://mapling730.exblog.jp/8655398/

結果はこちらの期待以上で、皆きちんと即日レポートを書いてアップしてくれました。こちらの話したことをマジメにパラフレーズする者、自らの興味に引き付けて話す者、マイペースに自分の発見を記す者など、書き手の個性も出ていて読んでいて楽しいです。参加してくれた皆さん、どうもありがとう。

本番の内覧会は間もなく行う予定です。週明けにご案内を一斉にお送りしますのでよろしくお願い致します。
fujimura

2008年05月31日

BUILDING K内覧会・初日終了

いよいよこの日を迎えた。あいにくの雨。10:00より開始。午前中は学生、午後から一般の方々を迎える。

見学は諸処の事情があり、ツアー方式とさせて頂いた。4人のスタッフで毎時00分、15分、30分、45分と順番に出発して行く。5分ずつ6部屋回り、全体で所要50分、で1サイクル。

1階の入り口で傘袋+靴袋を渡し、受付、荷物置き、待合、挨拶、解説、ツアーと順番に流して行く。やってみると5階の動線で混乱することがわかり、部屋数を減らして対応。完璧なオペレーションを目指す。

本来であれば私が全ての皆様を個別にご案内させて頂くべきところだが、直接お話できる人数が限られてしまうので、1階に留まらせて頂くことにした。来た方にご挨拶し、解説し、戻って来た人に感想を聞く。それを24回繰り返す。あっという間に終了時刻となった。

終了後、近所で伊藤君と柄沢君と飲む。遠慮せず感じたことを言ってもらう。まさに忌憚なきコメント。それが楽しい。

明日はいい天気になりそう。5階のテラスを心地よい風が通り抜けるだろう。初日の反省を活かし、よりよい内覧会としたい。
fujimura

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