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2008年06月 アーカイブ

2008年06月05日

BUILDING Kを見た

5月31日にBUILDING Kを見ることができた。1階がテナント、2〜5階が住居。ガラス張りの1階に、4本の構造体が立ち上がっている。これらの構造体は5階まで達しており、5階以下のフロアはこの構造体から吊り下がっている。さらに、この4本の構造体には設備系統がすべて収納(内蔵)されているという。

その建ち方が小気味よい。高円寺駅を南口に降りて、雑多な商店街を通る。たしか、この通りの先には佐藤修悦さんが展示をした古着屋さんがあったはず。一言で「高円寺的」と言われてしまうような通りだ。ファーストフード、風俗店、飲み屋、コンビニ、古本屋、BUILDING K。中央線快速ホームからも見えるのだが、通りを歩くといっそう面白い。 次々と通りすぎる小さな店舗の少し上あたりに、少しずつビルの上階が見え隠れする。高さがばらばらだから、山のシルエットに近い。この第一印象がとてもよい。よい、というか、腑に落ちる。そして建物の前に差し掛かると、引きを取って建つ大きなガラス壁が突然目に飛び込んでくる。ぱっと見ると、巨大なガラスの空間が上の大きなビルを支えているようにも見える。それはありえない建物だ。ただ、瞬間的に「ありえないもの」として見えるために、この建築がとてもチャーミングなものに思えた。

既存のまちなみの雑多さを複雑化することなく、しかしすでに見事になじんでいる。

たぶんこの1階には、ドラッグストア的なテナントが似つかわしいのかもしれない。路面は、ファーストフード、風俗店、飲み屋、コンビニ、古本屋、ドラッグストアと変化する。生れるのは日本の商店街のきわめて日常的な風景に見える。しかし、それは、つくり直されたものだ。新たな意味を押し付ける(あるいは声高に提案する)のではなく、まちがもともと持っている文脈から外れない建築によって再構築された、新しい都市の風景だと思う。

それは、「よくある建物」という意味ではもちろんない。既視感はなく、しかしまちにフィットした建築(しかも新築の)が建っている。まちの文脈が流れ込む血管を太く鍛え上げて、都市的欲望との終わらない闘いに耐え抜く建築がつくられたと思う。

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でも、質問してみたい箇所もあります。プランニングと構造ではない部分についてです。

まず、共用部について、藤村くんがどうやってあの内装にたどり着いたのか、知りたいです。5階以下の共用部の床は、どういう経緯で黒いゴムチップの床になり、天井の高さが決まり、壁の塗り方や階段のあり方が決まったのでしょうか。あるいは決めたのでしょうか。内装や素材の話はこれまであまり聞いたことがないので、どう考えているのか、いちどお聞きしたいのです。めんどくさい質問ですみません。

もうひとつ細かい話ですが、設備が詰まっているスペースは非常に見栄えがよかったのですが(手前のメーターボックスに入る検針の人もらくちんだろうし)、あそこに入る扉だけが、共用部におけるガラス扉(しかも大きなガラス)であるために、やけに個性的に見えました。それはまるで「マシーンさん」の部屋のような、ある種の人格を帯びている印象さえ受けました。外に見せないように設備を収めたのなら、なぜ住民が見えないようにしなかったのか、少し不思議でした。そこで、なぜそのような扉なのかをお聞きしたいです。

yamasaki

2008年06月08日

BUILDING K竣工

山崎さん、感想+質問ありがとうございます。

素材については、外装はメンテナンスも考慮して基本的に素地のものでハードに、内装はスケールに対応して金属っぽい感じを消してソフトにしよう、みたいな感じでまとめていきました。ゴムチップは近所の歩道橋にヒントを得たもので、遮音のことを考えても合理的な選択だったと思いますが、見た目の素材感としてもわりと好評でしたね。

MBのガラスについては、基本的に建物の裏側を感じさせないようにメガストラクチャーは隠蔽していますが、他方で住人が建物の裏側を忘れずに暮らすことは大事なことだと思うので、ちょっとしたヒントがあることは大事かと理由でああなっています。どちらかというと思想の問題のようなもので、機能的に説明されるものではありませんね。

1日、BUILDING K内覧会2日目。最終的に来場者は400人を超えた。いい天気で屋上のテラスが気持ちよい。1階で説明して、見送って、1時間ほどすると興奮気味に下りてくる。

自分たちはこの建築を全く新しい建築だと思っているが、どうやってその新しさを伝えればよいのかわからない。ただ、いろいろな人に説明していくうちにポイントはわかってくる。

この日はメガストラクチャーというコンセプトを主に空間的な側面から説明したが、社会的側面から説明しても良かったかも知れない。例えば、坪単価を教えると反応が変わる。意匠、構造、設備の融合とは、形式美だけの問題ではなく、コストパフォーマンスやサステイナビリティの問題等も当然入って成立している。そのあたりをどう伝えていくか。

19:00スタッフ打ち上げ@抱瓶。担当の城間の労をねぎらう。設計を受注してからというものの、本当にいろいろなことがあり、血も凍るような場面もいくつも経験した。細かい反省点はいろいろあるにせよ、担当者の能力に助けられた建築だと思う。

2日、11:00新建築編集部の中村光恵さんご案内@K。一通りご案内し、記事の作り方、撮影の仕方など作戦会議。それほど間を置かずに発表できそうだ。その後東工大へ戻り設計製図のアシスタント。事務所に戻り20:00Table of Youth。

3日、11:00展覧会打ち合わせ@INAX:GINZA。既にリリースされているが、6/10に発売される『JA』の若手建築家特集「風景の解像力」のメンバー(乾久美子、藤本壮介、中山英之、平田晃久、中村竜治、石上純也、藤村龍至、長谷川豪)8名の合同展示が6/28(土)から7/5(土)までINAX:GINZAで行われる。面白い展示になりそう。

4日、論文佳境。つかもと師と打ち合わせを繰り返す。この日は深夜1:00スタート。3:30終了。それから修正作業。寝る暇がありません・・・。

5日、9:00撮影@K。あいにくの雨なのでひと部屋のみ。塚本研の連中が見学にやってくる。11:00過ぎシャネルモバイルアートへ。五十嵐太郎さんに話を頂き、周囲の学生に声を掛けてよいとのことだったので、先日の即日ブログレポートに参加してくれた学生にお礼の意味を込めて声を掛けた。総勢14名でザハ建築をうろうろ。

17:00現代研究室の小倉さんと柳澤田実さん来社。『ディスポジション 配置としての世界』の刊行記念シンポジウム(6/21 14:00-17:00@代官山ヒルサイドプラザ)にお声掛け頂き、参加させて頂くことになった。

http://www.hillsideterrace.com/art/080621.html

6日、9:00論文打ち合わせ@ハウス・アンド・アトリエワン。つかもと師とランチ・ミーティングならぬ、ブレックファースト・ミーティング。いわゆる「てにをは」のミスが多く「音読していないからだよ」と横にいた貝島さんに指摘される。

10:30各誌取材@K。新建築大沢さんと鳥村さん、川辺さん、MDR荻原さんの撮影が同時進行。5-6人でポイントを移動しながら撮影を進めていく様子は映画製作の現場のよう。

14:00過ぎ、五十嵐淳さんご案内@K。この日はお施主様や銀行関係者など来客が多く、残工事もあり落ち着かない。ゆっくりお話しできず残念。20:00過ぎ無事撮影と引き渡しが完了。

7日、事務所で打ち合わせ後、13:30菊竹清訓レクチャー@INAX:GINZA。「か・かた・かたち論」。ブリジストンの一連の仕事から1958年のスカイハウス、1968年の『代謝建築論』へ至るストーリー。

氏の主張は「形態ではなく、方法論を問うべき」というものでとても明快。その他にも、使い方から建築を考える、という発想は、意外にも大江匡さんとの連続性が感じられた(ちなみに大江さんは菊竹事務所の出身)。

個人的にはBUILDING Kの構造システムは東光園に似ているといわれるし、設計プロセス論+メガストラクチャーという表現の組み合わせに勝手に親近感を抱いていたのだが、スタッフの方のご紹介で講演後ご挨拶することができた。

菊竹さんだけではなく、BUILDING Kの全体構成は坂出人工土地(大高)のようでもあるし、ダイヤグラムはメガフォーム+グループフォーム(槇)の組み合わせだし、4本のコアは寒河江町庁舎(黒川)のようでもある。メタボリズムの現代的再構成というテーマについて、もう少し整理してみたい。

佐藤敏宏さんの「ことば悦覧」で4月9日にお話ししたBUILDING Kの設計プロセスについてのインタビューが公開されました。龍光寺眞人さんとの議論も楽しかったです。佐藤さん、ありがとうございます。
http://www5c.biglobe.ne.jp/~fullchin/eturan/toukyou2008haru/07fuzimura/01/fuzi01.htm

そのほか、全力ゼミのメンバーも続々レビューをアップしてくれています。ありがとうございます。

伊庭野大輔ブログ
http://ibano.jugem.jp/?eid=90

松島潤平日記
http://www.ne.jp/asahi/studio/lithium/diarylog.htm#080531

藤井亮介ブログ
http://www.fujii-data.com/


fujimura

2008年06月11日

建築雑誌「批判的工学主義」特集/.JA 70「風景の解像力」

日本建築学会の機関誌『建築雑誌』6月号の第2特集「批判的工学主義に向けて」を担当させて頂いた。

フリーペーパーでの議論をきかっけに柄沢祐輔、南後由和と展開して来た「批判的工学主義」を35,000人の読者に向けて放つ。柄沢+南後+藤村によるテキスト、大江匡氏、林昌二氏、長谷川一氏、岩佐明彦氏へのインタビュー。組織的アトリエの大江氏、アトリエ的組織の林氏、メディア論の長谷川氏、研究者の岩佐氏、と立場は異なるが批判的工学主義を論じる上で欠かせない方々にご登場頂いた。いずれもコンパクトだが重要なコンテンツとなっている。

https://secure1.gakkai-web.net/gakkai/aij_zassi/index.html

僕らは日本社会におけるアトリエと組織・ゼネコン系の対立を問題にしているが、これを『10+1』でやるのと『建築雑誌』でやるのとでは意味も効果も違う。チャンスを下さった五十嵐編集長に感謝したい。

継なる仕掛けは10月に建築会館で開催される建築文化週間のシンポジウムである。1月のLRAJ、6月の『建築雑誌』批判的工学主義特集に続けて、より広い議論の場とするべく仕込み中。

『建築雑誌』学会の会員でない方は南洋堂等で購入できます。お問い合わせを。

http://www.nanyodo.co.jp

もうひとつ、『JA』に初めて取り上げて頂いた。10日から店頭に並んでおり、学生たちからも「買いました」というリアクションがちらほら。

今回選ばれているメンバーは全員30代のアトリエ系建築家のみ。『建築雑誌』に比べると発行部数はずっと少ないのかも知れないが、全編英訳されるということもあって、海外への広がりもあり、とても緊張した。僕はあえて竣工写真をほとんど載せず、理論、方法論、実践をオーソドックスに提示することにした。

あえてピークをつくらない乾さん、模型写真+手描きスケッチでスタイルを提示した石上さん、作品紹介に徹した長谷川さん、スケッチを全面展開した中山さん、コンセプトでまとめた平田さん、絵はがきのようにページ毎のレイアウトを完結させた中村さん、キーワードでまとめた藤本さん、というように8人8様だ。

ぱっと見て図像を中心に説明するイメージ派(乾、石上、中村、中山)と形式を中心に説明するフォルム派(藤本、平田、長谷川、藤村)と分けられるように感じる。よくも悪くもイメージとフォルムに拘泥する内向きな建築家像が世代の紋切り的なイメージとして固まってきたような気がするが、このままでいいのだろうか。月末にINAX:GINZAで開催される連動企画展(6/28-7/5)、シンポジウム(6/28,7/5)は、この世代に対する新たな批評を構築する機会としたい。

申し込みはこちらへ。
https://www.japan-architect.co.jp/JA70_Symposium/
fujimura

2008年06月22日

ディスポジション/次世代のコンビニ

BUILDING Kの竣工引き渡し、学会の黄表紙論文の提出を終え、ほっと一息つきたいところだが、書籍企画、原稿依頼、ゲスト審査員依頼などが続く。

28日から始まるJA連動企画「風景の解像力」展の会場調整も佳境。それぞれの建築家の希望を叶えるのは想像以上に骨が折れるが、調整ごとは嫌いではないし、お祭りのようで楽しい。内容は各事務所とも気合いが入っているのでシンポジウムの抽選に外れてしまった人も、展覧会には来て頂ければと思う。会期が短い(6/28-7/5)のでご注意を。

14日、前日に満田衛資さんより連絡がありBUILDING Kへご案内。その後ロータリー財団の最終オリエンテーションのため埼玉の坂戸へ。奨学生を送り出す。13:00から19:00までの長丁場。ロータリーの委員の方々も交代。打ち上げのあと、この日開通した副都心線で渋谷へ。後輩イハツの初担当作である14番出口を通って出ると、本人がいたw。突っ込みどころは満載ではあるが、イハツらしく都会的で端正な仕上がり。内側のガラスにエスカレーターを上り下りする人が映ってカコイイ。

17日、小さな改装の現場。4月入社の櫻井の初担当作。細かなミスが出てしまったが、いいスケールでまとめられたのではないか。お施主様にも喜んで頂けてとりあえず一安心。

19日、この日はアポだらけ。10:00長谷川豪さん、JA編集部の橋本さん、有岡さんとJA展シンポジウム打ち合わせ@新建築社。顔ぶれから言ってどう転んでも面白くなるだろうが、当日の話の道筋をつけるべく若干の議論。

昼食後、13:30PROJECT KOHの定例@品川。いよいよ現場が始まる。気を引き締めて行きたい。移動し、16:00JA展会場打ち合わせ@INAX:GINZA。細かい確認。基本的なことを話し合ったあとはスタッフの伊藤に任せて移動。

18:00過ぎ、スタッフの城間とオーノさんと待ち合わせBUILDING K打ち上げ@リーガロイヤルホテル早稲田。お施主様のお招きで設計事務所、ゼネコン、不動産管理、銀行など、関係者が一同に揃う。お施主様のスピーチに感動。紹興酒に酔いしれて帰宅・・・したいところだが帰社し住宅のお施主様と打ち合わせ。終電ぎりぎりまで。

20日、10:00PROJECT n-GN1の設計分科会@現場事務所。午前中の築地は活気があって面白い。躯体が地上に顔を出して来た。仕上げを徐々にFIXさせていくべく打ち合わせを重ねる。18:00打ち合わせ@MDR。書籍企画と別企画、原稿など3件の打ち合わせ。

21日、10:00住宅打ち合わせ。コストコントロールに苦しんでいるが、何とかまとまりそう。当たり前だが、住宅の計画はビルとは違う難しさがあり、勉強になる。フィードバックを繰り返し、案はどんどん進化している。

14:00『ディスポジション』刊行記念シンポジウム「『うまくいくこと』の倫理と技術」@代官山ヒルサイドプラザ。岡崎乾二郎、小林康夫氏と並んでプレゼンテーション。南後君に「よく引き受けましたねえ」と言われびくびくしていたが、小林先生と岡崎さんにもいろいろ突っ込んで頂き、珍しかったからか会場からも質問が集中。「うまくいくこと」に絡めてきちんと反論できれば良かったのだが、しどろもどろに返答。

残念ながら本の内容について突っ込みを返すことはあまりできなかったが、建築設計における「うまくいくこと」の作業イメージを示すことは辛うじてできただろうか。声を掛けて下さった方々に感謝したい。

本番後も岡崎さんには「超設計プロセス論」のみならず「批判的工学主義」についてもいろいろ突っ込んで頂き、「『批判的工学主義』というのは『批判的批判的地域主義』ということだな!」とご理解(?)頂く。

会場に塚本研の後輩KとSとMYが来ており、打ち上げ後合流して感想を聞く。建築界にはない議論が展開して楽しめたとのことで一安心。帰社し打ち合わせをこなすも頭の芯が疲れる。

22日、10:30近代美術館の「建築が生まれるとき」展へ。担当学芸員の保坂さん経由で『美術手帖』誌での展覧会評のご依頼を頂いた。第一印象としては思考を空間化している青木パートが、青木さんにとって模型を時系列に並べることと設計の手法があまり関係ないように思えた。思考過程の単なるビジュアリゼーション(結果論)と、設計プロセス論(方法論)は大きく違う。逆に青木さんがストーリー(=物語、ナラティブ)についてすごく気にしているのが80年代的思考の影響が感じられて面白かった。

移動し、明治大学へ。学生団体MADS主催のコンペの審査員。お題は社会学的フィールドに建築的な問いを立てる、という趣旨で「次世代のコンビニ」とした。いろいろな案が出たが、形態を提出したもの(曲線で構成された案など)と空間モデルを提出したもの(住宅型のコンビニなど)、に分かれた。両者とも建築的思考と言えるが、より抽象的な後者を高く評価した。

審査では提出された案全てを整理して議論の軸を作り、分析しながら評価を決める、というある意味ではとてもオーソドックスな手続きを採らせてもらった。いいと思う作品をピックアップして、それだけを礼賛するだけだと審査員と選ばれた人だけが楽しいコンペになってしまう。全員の案をきちんと拾って、議論の全体に位置づけるというプロセスが大事だと考えている。そうすれば参加した人全員がコンペの意味を見出せるはず。

終了後のレクチャーは「批判的工学主義」と「超線形設計プロセス論」について。建築の芸術性よりも政治性を強調した。コンペの審議についての考え方と連続する話でもある。今までにあまりみられなかった議論なので、学生たちもきょとんとしている。僕の提示するストーリーは文章よりもレクチャーの方がわかりやすいと思うが、少しはこちらの考えが伝わったのではないかと思う。
fujimura

2008年06月24日

批判が続く!?

先日BUILDING Kへご案内した満田衛資さんがブログで感想を書いて下さっています。

満田衛資さんのブログ「だから構造家は、楽しい。」
http://ameblo.jp/mscblog

非常に正確に見て頂いていると感じる部分と、こちらの説明が足りず、誤解されてしまっていると感じる部分があります。

全体に「超線形設計プロセス論」には比較的共感するものの、「批判的工学主義」には違和感を感じていらっしゃるようです。僕の中では表裏一体なのですが、「なぜそれを主張するのか」というアジェンダ・セッティングの部分がうまく伝えられていないと反省しました。

メールでも叱咤激励を含んだご意見を頂きましたが、そちらもとても刺激的でした。ここで議論を尽くしてしまうと来月のインタビューで聞くことが無くなってしまいますので、話題をしっかり暖めておきたいと思います。

もうひとり、「藤村龍至について」というタイトルで僕のことを論じている人がいました。

itu415さんのブログ「カラー ミー ポップ !」
hhttp://d.hatena.ne.jp/itu415

批判の中に「叱咤激励」的なニュアンスを含む満田さんとは異なり、どちらかというと根本的な「批判」。とはいえ印象論に留まるものではなく、かなり正確に僕の書いたものを読み込んだ上で議論の前提を問いかけてくれています。

構築性を徹底し、飛躍を包含しない「超線形設計プロセス論」は言うならば、最適解のみを生産し続ける資本主義の建築のための方法論である。そこに至った藤村の問題意識は確かに的確であるが、彼が生み出した方法論は徹底すれば資本主義の要請する凡庸な最適解でしかない建築を生み、徹底しなければ建築家の作品としての建築を生む。

書いたものだけで議論を展開させた結果、結論を過剰に単純化させている節もありますが、なるほど、とも思いました。ただ形骸化に陥らず、かといってマニエリスムからも距離を取り、方法論を徹底することによって得られる複雑さを内包した解こそが建築家の作品足りうると主張している私からすれば、彼のイメージする最適解とは、資本主義の要請に従ったかのようにみえて、形骸化してしまった合理主義の産物のことのようで少々違和感が残ります。お会いしたことのない方だと思いますが、いずれお会いして議論してみたいですね。

いずれも自分の議論の伝わり方を知る上で勉強になりました。ありがとうございます。

岡崎乾二郎さんからご返信を頂く。「批判的工学主義」について「輝く都市のコル(アルジェ計画+ビシー政権との絡みも含めて)などの問題とかもっと論じたかった」とのコメント。小林康夫先生からも同じく「検索不能なものとはなにか?ということで議論したかったですね。」とのレスを頂く。ありがたいですね。

17日、藤本壮介さんの事務所へ。前回は『新建築』の月評で「情緒障害児短期療養施設」について執筆するにあたって押し掛けたとき(2006年夏)以来なので、2年ぶり。当時「オープンデスクの風景」と呼ばせてもらった独特の内部空間は「外国人インターンの風景」へと変貌を遂げ、模型の山で事務所が覆い尽くされていました。

「読み飛ばしていた」という『JA70』の拙稿「批判的工学主義」については、「巻末の解説かと思った」「言葉が良くない」と厳しいコメントだったが、背景をお話ししていくうちに「意外と近いかも知れない」と認識を変えて下さった模様。僕の方も、原理的なモデルを量産する藤本さんの設計スタイルについて、コンテクストとの関係をどう取っているのかが理解できなかったが、商業空間の営みを自然現象のように眺めるまなざしがあることを知り、より深く理解できたような気がして楽しかったです。

24日、ぽむ企画の平塚桂さんと会う。学会の委員会などいろいろな場所でよくご一緒するが、じっくり話を伺うのは初めて。建築家の使う言葉に疑問を持ったこと、建築×映像がコンセプトの「建築ナイト」が今から思えば建築×情報だったこと、80年代のニュータウン育ちという共通点、などなど。同時代性を感じられてこちらもとても楽しかったです。

告知:7/10-12に取材で関西・広島に行きます。盛り上がりましょう!詳細は後日。
fujimura

2008年06月27日

「風景の解像力」展、いよいよ6/28から7/5まで開催

「風景の解像力」展、いよいよ6/28からINAX:GINZA7Fで始まります。先ほど会場から戻ってきました。

20:00搬入開始。一番乗りは長谷川事務所。続いて乾事務所、藤本事務所が到着。平田事務所、中村事務所も続々到着。石上事務所と中山事務所は明日らしい。

展示は各事務所とも気合いが入っている。初日のシンポジウムは5倍の人気だったそうで、東大より人気ですねw。チケット当たった方は外れてしまった方の分もしっかりメモを取って、ブログにがっつり即日レポートするつもりで来て下さい。

明日は朝8:00から設営です。

以前RAJの配布に協力してもらった京都精華大新井研の渡辺雷蔵君から『京都精華大建築学部優秀作品集』を送って頂きました。どうもありがとう。

「この冊子はRAJから直接的に影響を受けています」とのことで、学生にインタビューを行い、それだけで構成している。ちょっと分析的でカウンセリングっぽい話の聞き方など、確かにRAJ風。

話のまとめ方がうまい。学生の皆さんの話の魅力的な部分がうまくパッケージされていて、ストレスなく読めました。この調子で議論がどんどん生まれるといいですね。

他方、東北大五十嵐研の大学院生からインタビュー依頼。「批判的工学主義」に興味を持っているとのこと。

dot architectsの家成俊勝さんを中心とした関西在住の若手建築家の皆さんで7/10に関西方面で計画していたイベントの開催場所が神戸芸工大カフェテリアで決まったそうです。家成さん、会場探しにご協力下さった皆さん、どうもありがとうございます!

詳細は未定ですが、濃密な議論の場にできればと思っています。

東京も、関西も、地方も、どんどん盛り上がって行きましょう。
fujimura

2008年06月29日

俎上に上る

8:00会場入り。各事務所のスタッフが続々集まり、テキパキとセッティング。王道的模型展示と映像で構成と生活を見せる長谷川豪さん、巨大なグラフィックと造形的な模型群でコンセプチュアルに攻める平田晃久さん、対照的に小さな本とテーブルを展示し、来週から始まる個展の予告を行う石上純也さん、ジュエリーのように完成度の高い模型と小さな写真で埋め尽くす中村竜治さん、スタディ模型を山のように積み上げた藤本壮介さん、キメの細かい演出でコンセプトをコンパクトに表現する乾久美子さん、繊細なドローイングだけで空気を作ってしまう中山英之さん、というように各建築家の展示も素晴らしくテンションが上がる。

藤村事務所は超線形的なプロセス模型をずらっと並べ、BUILDING Kの1/20を並べ、方法論を展示した。設計のプロセス(結果論)というよりもプロセスの設計(方法論)を提示するということを暗示するために、魚の発生プロセスとエクセル表を掲示。

13:30一旦会場をあとにし、事務所へ。打ち合わせ後、会場へ戻るといきなり混雑が始まっており、手応えを感じる。

16:00関係者顔合わせ。主催者の新建築社、INAX、出展建築家、グラフィックデザインを担当した刈谷さんらが集合。橋本さん、INAX:GINZA辻館長ほかから諸々説明。

17:00シンポジウムスタート。最初は各建築家からのプレゼンテーション。4人とも熱が入りやや伸びるも充実した内容。幕間にコメントを挟む。

休憩後、ディスカッション開始。「司会がしゃべり過ぎ」と突っ込みも入ったが、グローバリゼーションによって顕在化した場所性や慣習の流動化という社会の問題と、情報技術によって可能になった動的な形式性という建築の問題をどう繋げるか、という議論のフレームに4人の実践を位置づけようと試みる。

時間配分に注意しながら議論の流れを作る。LRAJなどで壇上の議論にも少し慣れて来たつもりだが、まとめが難しい。途中一旦ブレイクし、レビューを担当される倉方俊輔さんにコメントを求める。各建築家の立場に明快にコメントをつけてくれたが、「『建築の慣習』というのはつまらない」と司会にダメ出し。

その後の質疑応答は思ったよりも静かだったが、平田さんが「コンテクスチュアリスム(文脈主義)vsフォルマリスム(形式主義)の対立は無効になった」とはっきり宣言してくれて、胸がスカッとした。外部空間についての長谷川さんのコメントは「建築とは街を愛する方法だ」と言っているように聞こえ、とてもいいと思った。

4人の建築家から力強いコメントが出て来て急に気が楽になり、開放的な感じでじゃべりはじめたら急に会場が暖まる。

終了後、司会について「LRAJより俎上に上る覚悟が出ていた(倉方さん)」「最初からあの感じでやればいいのに(新建築編集長・四方さん)」とコメントを頂く。(いつもながら)誉められているというよりけダメ出しに聞こえるのは気のせいか。

来週は自分が発表する番だ。どのような展開になるだろうか。長谷川さんの手腕に期待することとしよう。

倉方俊輔さんが早速昨日の模様をアップしています。昨日参加したブロガー諸兄のレポートも楽しみにしております。

倉方俊輔さんのブログ「建築浴のすすめ」
http://kntkyk.blog24.fc2.com/


fujimura

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