5月31日にBUILDING Kを見ることができた。1階がテナント、2〜5階が住居。ガラス張りの1階に、4本の構造体が立ち上がっている。これらの構造体は5階まで達しており、5階以下のフロアはこの構造体から吊り下がっている。さらに、この4本の構造体には設備系統がすべて収納(内蔵)されているという。
その建ち方が小気味よい。高円寺駅を南口に降りて、雑多な商店街を通る。たしか、この通りの先には佐藤修悦さんが展示をした古着屋さんがあったはず。一言で「高円寺的」と言われてしまうような通りだ。ファーストフード、風俗店、飲み屋、コンビニ、古本屋、BUILDING K。中央線快速ホームからも見えるのだが、通りを歩くといっそう面白い。 次々と通りすぎる小さな店舗の少し上あたりに、少しずつビルの上階が見え隠れする。高さがばらばらだから、山のシルエットに近い。この第一印象がとてもよい。よい、というか、腑に落ちる。そして建物の前に差し掛かると、引きを取って建つ大きなガラス壁が突然目に飛び込んでくる。ぱっと見ると、巨大なガラスの空間が上の大きなビルを支えているようにも見える。それはありえない建物だ。ただ、瞬間的に「ありえないもの」として見えるために、この建築がとてもチャーミングなものに思えた。 既存のまちなみの雑多さを複雑化することなく、しかしすでに見事になじんでいる。 たぶんこの1階には、ドラッグストア的なテナントが似つかわしいのかもしれない。路面は、ファーストフード、風俗店、飲み屋、コンビニ、古本屋、ドラッグストアと変化する。生れるのは日本の商店街のきわめて日常的な風景に見える。しかし、それは、つくり直されたものだ。新たな意味を押し付ける(あるいは声高に提案する)のではなく、まちがもともと持っている文脈から外れない建築によって再構築された、新しい都市の風景だと思う。 それは、「よくある建物」という意味ではもちろんない。既視感はなく、しかしまちにフィットした建築(しかも新築の)が建っている。まちの文脈が流れ込む血管を太く鍛え上げて、都市的欲望との終わらない闘いに耐え抜く建築がつくられたと思う。 -- でも、質問してみたい箇所もあります。プランニングと構造ではない部分についてです。 まず、共用部について、藤村くんがどうやってあの内装にたどり着いたのか、知りたいです。5階以下の共用部の床は、どういう経緯で黒いゴムチップの床になり、天井の高さが決まり、壁の塗り方や階段のあり方が決まったのでしょうか。あるいは決めたのでしょうか。内装や素材の話はこれまであまり聞いたことがないので、どう考えているのか、いちどお聞きしたいのです。めんどくさい質問ですみません。 もうひとつ細かい話ですが、設備が詰まっているスペースは非常に見栄えがよかったのですが(手前のメーターボックスに入る検針の人もらくちんだろうし)、あそこに入る扉だけが、共用部におけるガラス扉(しかも大きなガラス)であるために、やけに個性的に見えました。それはまるで「マシーンさん」の部屋のような、ある種の人格を帯びている印象さえ受けました。外に見せないように設備を収めたのなら、なぜ住民が見えないようにしなかったのか、少し不思議でした。そこで、なぜそのような扉なのかをお聞きしたいです。 yamasaki