« 再び京都へ | メイン | 5〜6月に見たものなど »

0宅論の時代に

20日、13:00西沢立衛さん、MDR荻原さん、斉藤さんと待ち合わせ、乾事務所へ。ある書籍企画のため、乾さんのレクチャーを聴く。西沢さんのコメントに対して、自分の意見を述べる。緊張したが、とても楽しかった。

21日、工藤和美さんにお声掛け頂き、川越市内で開かれた「まちかど講評会」へ。閉鎖した映画館の建物を利用して課題の講評を行う。東洋大学では川越を舞台に課題に取り組んでいるそうだが、僕が川越高校の出身ということで声を掛けて下さった。山崎別邸という大正時代の邸宅を残し、庭に地域の交流施設を計画するという課題。学生の課題に対し、コメント+ショート・レクチャーを行う。

映画館といい、山崎別邸といい、こういう歴史的な資源が豊富な川越は、全てタワーマンションに置き換わってしまった所沢に比べればまだ場所の濃密さが残っていると言える。が、観光地化された旧市街と、マンションが建ち並ぶ駅前の間の対立は以前に比べても深まっているという印象も残る。今や日本全国どこにでも見られる現象だが、我々は設計で答えを出すしかない。

22日、環境エンジニアリングの鈴木悠子さんインタビュー@BUILDING K。塚本研究室の出身で、今は設備設計の分野でキャリアを重ねており、BUILDING Kで初めて本格的に共働した。「設備家」と呼ばれるような、社会に向けて発言することのできる設備エンジニアのロールモデルが作れれば面白い。

23日、桑沢デザイン研究所へ。渡邉健介さんにお誘い頂き、前期課題のクリティークに参加。学生8名に対し、渡辺真理さん、木下庸子さん、大松俊紀さんら総勢7名の講師陣。高密度居住という課題。桑沢と聞くとインテリアのイメージが強いが、都市系の課題にも学生たちは意欲的な取り組みを見せる。

1999年夏、コロンビア大学でのサマースクールに参加した際に、ゲストクリティークに来ていたのが渡邉さんだった。あのとき、トレーシングペーパーで100枚以上のセクションを切る、など腕力で疑似的にコンピューター的思考を導入するスタイルに衝撃を受けた。日本ではスイス建築的なスタティックなボックスを寡黙につくっていくのが主流であったが、コロンビアでは3次曲面と形態生成のためのストーリーテーリングに熱狂していて、そのギャップはなんだろうと考えたことを不意に思い出した。

『新建築』原稿校了。BUILDING Kが8月号に掲載される予定。紙幅に限りがあるが、濃密な誌面ができたような気がする。

BUILDING Kと言えば、FORM_story of designにて詳細に論じて下さっています。
主観的BUILDING K 前編
主観的BUILDING K 後編

同潤会アパートとの比較は面白いですね。ありがとうございます。

時系列的には少し戻りますが、「風景の解像力」展シンポジウムについて、松島潤平のレポートがUPされています。

また、森田一弥さんが、ブログにて先日インタビューのことに触れて下さっています。

森田さんにはいつかお話を伺ってみたいと思っていましたが、お話ししてみると社会との距離とか、自らの職能をかなり正確に位置づけていらっしゃって驚きました。静原の美しい風景を眺めながら、全然フィールドが違うけれど、きっかけが違えば僕もここにいたかも知れない、と思えるような、不思議な交換可能性を感じる。

その前日の満田衛資さんへのインタビューは、ブログで書かれていたことも含め、誤解を解く機会になったのではないかと思う。個人的には構造家としての満田さんにも興味があるが、京都の歴史に位置づけられた建築家としての満田さんのスタンスにも興味があり、今回は主に後者のお話を伺った。設計プロセス論についてや、理論と実践の関係など、もっと突っ込んだ話も伺いたかったのですが、今後も継続的に議論させて頂ければと思う。

場所との関わりで言えば、谷尻誠さんは広島をベースにされているから、もっと広島の話題になるかなと思いきや、あまりそういう話にはならなかった。むしろエリアを限定せずに活躍されているので、広島のことを殊更に意識することもないそうだ。とにかく伝えていきたい、と前向きに話す谷尻さんには大きく刺激を受けた。

24日、田中浩也さんへインタビュー。tEntの事務所を初めて訪れた。様々な工作機械とコンピュータ機器が並ぶ工房。久しぶりにゆっくりディスカッションできた。

26日、10:00小野田泰明さんをBUILDING Kご案内。もっといろいろなことをお話ししたいと思った。12:30、少し遅れて山本事務所へ。山本理顕さん、西田司さんと打ち合わせ。

その後、日本橋に移動し、ラウンドリーディング・プラスに出演。五十嵐太郎さん、槻橋修さん、南泰裕さん、平田晃久さん、吉村靖孝さんと公開読書会を行い、ディスカッションするという企画。

僕の課題は隈研吾さんの『10宅論』。五十嵐さんにこの本を割り当てられたとき、なぜだろうと思ったが、松島JPに「確かに似てますね」と言われる。建築家を社会のなかに位置づけようとする姿勢は共通しているかもしれない。

つかもと師がかつて、住宅を日本の伝統と結びつけた篠原一男を「1宅論」、商品化住宅との対比を指摘した坂本一成を「2宅論」であるとし、その先に「10宅論」を位置づけ、さらに住宅のスタイルが部分化した現代は「1000宅(選択)論」が必要であると主張したが、ここでは現代はスタイルの多様性を生み出す構造そのもの注目するべきであり、住宅というカテゴリーでの議論を一旦キャンセルする「0宅論」を採るべき、と主張してみる。

我ながらキャッチーなのでは、と悦に浸っていたところ、隣に座っていた平田晃久さんに「『0宅論』は『オタク論』とも読める」と突っ込まれる。

会場で五十嵐さんに藤村批判を繰り広げているI君を紹介され、話す。大学院生らしく、いろいろ興味や関心が振れているようだ。批判でも賞賛でもいいが、それがある一貫性に基づいているものでなければ単なる言葉遊びとなる。今後も精力的に評論を量産して欲しい。
fujimura

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.round-about.org/cgi/mt/mt-tb.cgi/126

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2008年07月24日 14:42に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「再び京都へ」です。

次の投稿は「5〜6月に見たものなど」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。