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ROUND ABOUT JOURNAL vol.8 公開収録「若手建築家のアジェンダ」

8日、20:30松川昌平さんインタビュー@BUILDING K。松川さんとは2002年くらいからおつきあいさせて頂いているが、じっくり話を伺うと見えてくるものもある。特にデザイナーとは何か、建築とは何かについて考えさせられる。

10日、午後イチの新幹線で16:00過ぎ神戸入り。三宮でdot家成俊勝さん、大東翼さんと待ち合わせ。喫茶店でちょっとした打ち合わせ後、学園都市の神戸芸術工科大学へ。小学生4年生のとき地下鉄が名谷から学園都市まで延伸されて父と乗りに来たことがあるので、かれこれ20年ぶりということになる。ザ・郊外的な風景が広がる。

今回の公開収録イベントは、僕が別件の企画で関西方面を訪れる機会があり、それに合わせて家成さん、今井敬子さんらが動いて下さり実現したもの。

18:30、人も程よく集まりイベントスタート。トップバッターはデザイナーの柳原照弘君。女の子の入ったスタイリッシュな写真でコンセプチュアルな作品を説明。プレゼンのスタイルは東京で言うと中村竜治さんのものに近いが、中村さんをもっと社会化したような感じである。クールに自己分析しながら話すスタイルにとても共感した。

続いて市井洋右君。郊外の住宅地に立つ住宅を2つほどプレゼ。「単純な形態で複雑な空間を作りたい」と主張。

3番目はSPACE SPACEの香川貴範さん。住宅、ホヅプロ、熊本駅前広場コンペ案を例に「package」「ヒューマンスケープ」といったキーワードを提示しながら、デザインにおける「『』を設計する」というデザイン行為における問いの立て方そのものを問う。「ぐちゃぐちゃしたものを捉えられないか」と問題提起。

4番目はWASABIの笹岡周平君。インテリアの領域でキャリアを積んだだけあってエモーショナルな空間作りがうまい。結婚式場、福祉施設、住宅と手がける領域も広い。

5番目は今井敬子さん。アトリエ系と組織系両方の勤務経験から、「反工学主義」と「工学主義」の境界は「2000平米がクリティカルになる」と興味深い主張。BUILDING Kがちょうどその規模である。2000平米を超えると設計が自動化していくという。まさに工学主義である。「ある一定規模をどう超えるか。」と鋭く問題提起。

6番目はdot architects。家成さんとは昨年apple storeで講演を2度一緒にやらせてもらった。彼らの考え方は十分に知っているつもりだが、今回もどんどん思考が発展し、仮説が確信に満ちていて正直驚いた。来春竣工予定という「住宅00」はドミニク・チェン君が「設計の道具としては最もコンピュータから遠いが、思考としては最も近い」と述べていたプロジェクト。「脱中心化」「動的編成」をキーワードに掲げる。

最後はランドスケープ・デザイナーの山崎亮さん。いきなり「『批判的工学主義』が何のために『批判的』なのか、金儲けがしたいだけじゃないのか。本当にそのデザインを続けていくことが人を幸せにできるのか。」と挑発的に問い詰める山崎氏。背筋が伸びる。

まずローレンス・ハルプリンの『ニューヨーク・ニューヨーク』を引きながらデザイナーズ・デザインを批判。自身のプロジェクトを簡単に紹介しつつ「人口減少時代にデザインをどう位置づけるか」「市民の主体性をどう引き出すか」「いま建築に何が可能か」「『社会建築家』は可能か」とたたみかける。大きな声と流暢な運び、理論と実践を踏まえた完璧なプレゼに圧倒される。「風景の解像力」展のシンポジウムにこんな人がいたらみんな黙ってしまったであろう。

発表の順番を考えているとき、なんとなく柳原君スタート、山崎さん終わりにするといいのでは、と思ったがこれが大当たり。紋切り型の「デザイナーズ・デザイン」に懐疑的な山崎さんと、紋切り型の「公共」に懐疑的な柳原君の対立軸が実にきれいに浮かび上がった。もうモデレーター要らないくらい。

一旦ブレイクし、個別に質問を。柳原君:「場所性をどう捉えるか」、市井君:「周辺環境をどう捉えるか」、香川さん:「全体性をどう捉えるか」、笹岡さん:「デザイナーの主体性をどう確保するか」、今井さん:「『ある規模』を超えたときの建築的思考の可能性とは何か」、dot:「『脱中心化』していったときの効率をどう確保するか」、山崎亮さん:「デザインの力をどう位置づけるか」。

以降の詳細は長くなるので別の機会に譲るが、個人的には柳原君の「ものをどう楽しんでつくれるか?を伝えたい」「ものをつくらないことも伝えたい」という問いかけが山崎亮さんの問いかけにぴったり重なったのが興味深かった。両者とも「デザイナーとは何か」ということを最も問題にしている。僕が「批判的工学主義」の議論で伝えたいこともそこだ。もっと議論を尽くしたかったがそこでタイムアップ。

最後に神戸芸工大の長濱伸貴先生にコメントを頂いてシンポジウム終了。時間はもっと欲しかったが、濃密な時間を過ごした後の充実感が残った。他方で山崎亮さんの冒頭の挑発に応えきれず、多少の悔しさもあったが、それは12日の深夜、神崎川の河原で開かれた会議にて再び議題とすることでいくらか解消することができた。が、まだまだ議論して問題意識を共有していきたい。他にも香川さんやdotの皆さんが提示していたデザインの問題など、話したりないことも多い。

今回の議論は河原での延長戦も含めて可能な限り録音してあるので、次号のフリーペーパーにて濃密な記事となって皆さんの元にお届けできるはずだ。次世代を切り開く刺激的な議論の萌芽と、それを生み出す熱い建築家達の動きがここにある、ということを確信した。

改めて、今回の議論でお世話になった皆さんに感謝したい。またそのうち続きをやれればと思う。
fujimura

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2008年07月13日 23:26に投稿されたエントリーのページです。

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