22日、山本理顕さん、西田司さん来社。BUILDING Kをご覧頂き、横トリ展示打ち合わせ。
翌日、山本さんから電話。「とても面白かった。構成が緻密だと思った。意匠と構造と設備と。構造は誰?大胆だよねぇ。メガストラクチャーがああいう風に使えるとは思わなかったな。屋上の使い方も新しい。ただ、『周辺に合わせる』って説明する必要があるのかな。でも、とにかく面白かった。」と激励を頂く。
BUILDING Kの屋上の路地は「保田窪」みたいなところもあるし、資本の流れにオーバーライドするという「批判的工学主義」の主張は「建外SOHO」的でもあると勝手に思っていたので、ご本人に見て頂けてとても嬉しい。
25日、ヨーロッパの雑誌でコレスポンダント(特派員)をしているというオランダ人の友人が取材で来社@BUILDING K。「塚本の影響は?」「同世代の建築家との違いは?」などいろいろ聞かれる。これまであまり真剣に考えたことはなかったが、つかもと師の影響も、同世代の他の建築家との違いも、「都市との関係で建築を考えようとすること」なのではないかと思う。
14:00『建築雑誌』のマンガ打ちわせ@外苑前。月イチでいろいろな漫画家の方に会うのは面白い。今回ご担当頂く穂苅さんも強烈な個性を放っているので期待したい。
その後、近代美術館の「エモーショナル・ドローイング」展のオープニングへ立ち寄る。「建築が生まれるとき」に続き、保坂健二朗さんのキュレーション。今回の内容はいわば「芸術が生まれるとき」。アートの分野でプロセス論への関心の高まりがあるのか、保坂さんがそういう文脈を作ろうとされているのかはわからないが、アートの分野でも方法論への関心が高まりつつあるならば、それは興味深い流れだと思う。
26日、ライター加藤さんが取材で来社@BUILDING K。「主観的BUILDING K論」を書いてくれた方。いろいろお話しさせて頂き、楽しい時間を過ごした。プロダクトデザインのことをたくさん書かれているというので、柳宗理の「アノニマス・デザイン」との接続をお話ししたらすごく驚かれ、かつ納得されていた。「そう説明した方がわかりやすいですよ」をアドバイスを頂く。
柳宗理の「アノニマス・デザイン」が偉大だったのは、工業化社会を否定しなかったことにある。工業化がものすごい勢いで拡大するなかで手仕事の復権を唱えたモリス、民芸運動(反機能主義)から一歩進め、工業化の可能性と限界を見極めた上で、批判的に乗り越えようとする柳の精神(批判的機能主義)こそ現代のデザイナーは見習うべきではないか。同じ意味で、情報化、工学化の社会を否定せず、そこに現代の美学を見出そうとする「批判的工学主義」は現代のアノニマス・デザインを目指している(とこの際だから強調しておこう)。
27日、9:00打ち合わせ@虎ノ門。移動し、13:00山崎さんとRAJ関連打ち合わせ@京橋。15:56の新幹線で仙台へ。仙台駅で堀口徹さん、五十嵐太郎さんと合流し、阿部アトリエへ。
阿部アトリエは倉庫ならではの開放的な雰囲気。松川さんたちと作ったsyncを思い出す。その後、五十嵐太郎さんによるインタビュー。編集なしで音声配信するとのことで緊張するがやってみると意外と面白い。RAJの由来、コンセプト、今後の展開など15分でコンパクトに話す。
やがて定刻近くになると小野田泰明さん、石田壽一さん、本江正茂さんなどそうそうたるメンバーが集まって来られ、緊張。会場も、夏休みなので少ないかと思ったが、しばらくすると立ち見も出ていた。
レクチャーの構成は迷ったが、建築プロジェクト「BUILDING K」>理論「批判的工学主義」>方法論「超線形設計プロセス論」>メディア展開「PROJECT ROUND ABOUT」の順に話す。
終了後の討議で、五十嵐さんにみかんぐみの「非作家性」の議論との連続性を指摘される。まさにその通りで、さきほどの「アノニマス・デザイン」や「批判的工学主義」の文脈に照らして、その現代的な意義をを再評価できないかと考えている。他方、みかんぐみがフラットネスを主張してもそのプロセスはブラックボックスなのに対し、僕は「超線形設計プロセス論」によって徹底的にオープン化しようとするという違いも同時に指摘して頂いた。
石田壽一さんには論文と実務の関係性を突っ込まれる。ちょうど8月の黄表紙に論文が掲載されたばかりということもあり、かなり突っ込んだ質問を頂く。「一次オーダーとしての都市形態と二次オーダーとしての建築類型の関係についてどう思っているのか」「一次オーダーに影響を与えようと考えているのか」「研究と設計の関係はどう説明できるのか」などなど。
一生懸命答えるも、しどろもどろで大学院の面接試験のような雰囲気になってしまったが、「超線形設計プロセス論」とは、仮説からスタートし、検証した内容を線形的に書き下すことで再現性を表現する論文の作成方法のような設計手法であると説明する。
東京からわざわざ来て下さった方もいて恐縮したが、学生(主に東北大?)は思ったよりもおとなしかった。先生方が活発だから遠慮が働いたのだろうか。もうちょっと論争などしたかったのだが、またの機会に譲るとしたい。
終了後、先生方と食事。皆さんとじっくり議論の続きをさせて頂き、とても楽しく、励まされた。どうもありがとうございました。
その翌日、五十嵐太郎さんをご案内@BUILDING K。「周辺の写真って見せてないよね」と言われる。確かにアイレベルの写真はあまりプレゼンテーションしていなかった。また、坂本さんの建築のようなぱっと見たときのわからなさがある、とも。
その翌日、石田壽一さんからもメールを頂く。仙台から福岡への移動中、わざわざBUILDING Kへ立ち寄って下さったとのこと。実際に街並のなかに建っているのを見て、「議論を誤っていた感がある」と感じられたとのこと。また学会のときなどにお会いするのが楽しみである。
29日、夕方、中野駅近くの旧桃が岡小学校へ。この秋、UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)の非常勤講師をさせて頂くことになった。この日はオープニング。今村創平さん、会場淳さん、松田達さんに加え、ケン・タダシ・オオシマさんやデイビッド・スチュワート先生もいらしていてご挨拶。乾さんのスタジオがもうすぐ始まるらしい。僕の担当させて頂くスタジオは10月からだが、大変楽しみだ。
またこの日、「建築雑誌オールレビュー」で『新建築』8月号が取り上げられ、岡部明子さんがBUILDING Kに触れて下さった。
最後の一文について。最初はこちらの取り組みをただ茶化されているだけのようにも読めたが、次第に岡部先生のコメントが私の説明の足りない部分を指摘し、かつこの建築の一番ナイーブなところを補足して下さっていることに気がついた。個人的というよりも、集団的な想像力の果てに「かなしさ」を獲得できれば本望であるし、誌面でもその部分についてもっと表現できれば良かったと反省した。
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ところで、先日とりあげた建築公園のふたりが、僕の書き込みを受けて追記をしてくれている。
faas氏曰く、彼はアンチ「私性」らしいが、そもそも「私性」などというものは理論と理論の間、歴史と歴史の間にお口直しのように出てきているもの新しいではないか。そんな一時的で流動的な現象に対抗する方法を模索するより、時代が変わったときに自分が依って立つべき主題や方法論とは何かについて、今探求するべき。新しい時代はすぐそこです。
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これからもいろいろな方に自分の建築を見て頂き、叱咤激励頂ければと思う。
fujimura