美と崇高、ストックとフロー
2日の建築夜楽校はすごかった。動員が心配だったが、ふたを開ければ満員御礼。パネラーやコメンテーターの顔ぶれが豪華であったこともあり、「グローバル社会における『建築的思考』の可能性」などという堅めのタイトルにも関わらず大いに盛り上がった。
以下、ブログの速報です。
DESIGN HUB「建築夜学校2008 経済を愛する方法」
archi theater「建築夜楽校1/愛される建築のために」
shoya.n design site「建築夜学校2008 グローバル社会における『建築的思考』の可能性」
9日も盛り上がると思うので乞うご期待!
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25日、18:00東京理科大学の宇野研にてレクチャー。作品>理論>方法論>メディアといういつもの流れで1時間+討議。こじんまりとした空間だったのでじっくりと議論できて充実していた。学生のひとりに「説明に完璧を尽くそうとするから逆に反論したくなる」と言われなるほどと思う。宇野さんに『ストリートスマートな建築へ』を頂く。宇野さんの「建築学的多様性」という概念に興味を持つ。
26日、9:20南後君と待ち合わせ、TXで流山おおたかの森へ。社会学者の若林幹夫さんと駅前のSCを見学。噂通り、駅と巨大SCとタワーマンションだけで街がつくられており、ランドスケープがない工学主義の街。中村竜治さんの「short cut」を見学後、シンポジウムの打ち合わせ。その後、現場定例、コンペ打ち合わせなど。
27日、11:00H邸地鎮祭。クライアント夫妻、工務店関係者、構造家のオーノ氏と。いい天気。来年の春先には角地に不思議なスケールの住宅が建つだろう。住宅は初めてだが気合い入れて行きたい。
夕方、土肥研の先輩である古山さんの就職お祝いパーティ@東工大。OBもたくさん集まり、ちょっとした同窓会。社会工学科の人たちと話すのはいつも新鮮で楽しい。3:00くらいまで話す。
28日、11:00アトリエワンの新作の見学。旗竿敷地。フォルマリスティックで、レトリカル。とても知的な建築でとても盛り上がる。アプローチから見ると本しか見えないのもいい。
15:00塚本由晴先生と貝島桃代さん来訪@BUILDING K。竣工後、初めてご案内させて頂く。下から順にご案内し、最上階の事務所にて進行中のプロジェクトをお見せし、じっくりと感想を伺う。貴重な時間である。「各パートの説明は明解だが、もっと関係を説明した方がいい」とアドバイスを頂く。
29日、11:00乾久美子さん来訪@BUILDING K。じっくり見て頂き、感想を伺う。ちょうど乾さんの作品集『そっと建築をおいてみると』が届いたばかりだったので、そちらの感想なども話す。
15:00柄沢祐輔君と待ち合わせ、東浩紀さんと打ち合わせ@新宿。東さんとは初めて顔を合わせる。シンポジウムの趣旨、当日の運びなど説明。「批判的工学主義」についても事前にテキストを読んで頂いたので、「むしろあなた方と議論したい」と言って頂き、イベントの趣旨や進行について説明し、軽く議論。東さんの著作はいろいろ読んで来たので、直接議論できるのは嬉しい。
18:00編集委員会@建築学会。来年の企画案など審議が続く。終了後の飲み会で五十嵐さんにベニスビエンナーレの写真なども見せて頂く。
30日、9:30東京理科大の野田キャンパスへ。今学期より、初めての非常勤講師を務めさせて頂くことになった。野田はTXのおかげで思ったより近かった。運河があり、芝生が広がるキャンパスはオランダの風景を思い出させる。小嶋さんにご紹介頂いて学生に挨拶。
14:00銀座PJ打ち合わせ@築地。今後の方針と予定を確認して16:00塚本研ゼミ。9/30付けで博士課程を単位取得退学するため、これが学生最後のゼミとなる。つかもと師といつものように議論しつつ、あまり最後という気もしないが、しばらくはこの場に参加することもないだろうと思うと不思議な気分となる。
その後、この日から加わる留学生の歓迎会を兼ねた壮行会。つかもと師と最初の出会いから回想しつつ話す。塚本研に合格し、大学院からの編入が決まった日がついこの前のようだ。あれから8年。「論文は書けなかったけど、一定の存在感は示した」とのお言葉を頂く。
一応、博士論文は書き上げるつもりなので、この日は制度上の区切りに過ぎないが、塚本研究室で師に教わったことは量りきれず、深く感謝したい。
短くお礼を言い、学生だけで自由が丘へ行き2次会。3:00解散。長かった学生生活の終わり。この先は論文だけになるため、吉村さんや後輩諸兄とはこの日である程度区切りとなるのかも知れない。いろいろお世話になった。
1日、17:00打ち合わせ@空間研究所。篠原聡子さんにお誘い頂いて、10/19(日)に日本女子大で行われるシンポジウムにパネラーとして出席させて頂くことになった。東大の大月敏雄さんと初顔合わせ。
2日、11:00ペンシルベニア大学の大学院生ご一行が来訪@BUILDING K。引率のMattias HollwichさんはOMAでポルトのcasa da musicaなどを担当したそうだ。ペン大の院生だけあって皆落ち着いていて優秀そう。12月の最終講評会に来てくれと言われる。面白いかもしれない。
15:00麹町PJ定例。16:45建築会館へ。いよいよ建築夜楽校。いつもに増して緊張した。続々パネラーの方々が集まって来て、パソコンの設定にあたふたしているとあっという間に本番となり、会場は満員で、議論は大盛り上がり。それもあっという間に終わり、打ち上げと2次会を終えると3時。いつものように、頭の芯から疲れたが、心地よい充実感が残る。
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事前の仕込みにはそれなりに時間を割いたつもりだったが、よくも悪くもコントロールの難しい議論となってしまった。
原因は大山/東さんの「萌え」を位置づけるのに手間取ったこと。大山顕さんは、単なるノスタルジーを超えるために戦略的に「萌え」てみせる。あえて無責任な鑑賞者を演じることで、問題を浮かび上がらせるという大山さんのパフォーマンスには植木等的な二重性があるのだが、そこをうまく牽制できず独走させてしまった。
困っていると、東さんが「制約条件と作家の関係は結局美と崇高の話ではないか」とまとめてくれたのだが、建築的思考の可能性についてここで議論するのは時間もないし無理だろうとあきらめ会場に議論を振るとディスポジションのシンポジウムでお世話になった天内さんが「今日の議論はフローからどうやってストックを抽出できるかについて話しているのではないか」と指摘してくれて、ようやく問いが整理された。
僕らとしては最初からそういう問いを投げかけていたつもりだったが、説明が足りなかったのだろう。作家と鑑賞者の対立軸が最初に前景化してしまい、問いを共有するのにずいぶんと時間がかかってしまった。
終了後、観客の反応はとてもよく、打ち上げの席での会話も弾んだ。だが、肝心の「建築的思考の可能性」については結局踏み込めなかったのはモデレータとして力不足であり、反省しなければと思う。
打ち上げの席で大山さんに聞いた話は面白かった。大山さんが大手家電メーカーに勤務していた際に携帯電話の開発に関わっていて、デザイナーどんなにコンセプチュアルなモデルを提案しても社内で揉まれているうちに無難で切れ味のない製品となってしまう状況にジレンマを抱えていたのだという。それはまさにタワーマンションの抱える問題そのもの。大山さんは最後まで「建築家がタワーマンションを設計すると何かいいことあるんですか」と言っていたが、その一見無責任ふうの問いは自分がタワーマンションの作り手ではないことを自覚して意図的に発しているものだということがわかった。どこまでも戦略的な人だ。
いくつか反省点は残るものの、一度こういうメンバーでこういう議論をしてみたかったので、率直に嬉しい。今回のパネラーの皆さんや東さんとはまた個別にお話しさせて頂きたい。
次週も面白い顔ぶれなので今から楽しみである。しっかり準備をして、いい結論を導きたいと思う。
fujimura