建築夜楽校2日目の打ち上げの最中、突然携帯が鳴る。菊竹事務所の塚本さんからで、明日10時に菊竹清訓さんがBUILDING Kに来て下さるという。
先日INAX:GINZAで行われた菊竹さんのレクチャーを聴きに行った際、メガストラクチャー+方法論という組み合わせに勝手に親近感を抱いてはいたが、恐れ多くて話しかけることなどできず、そそくさと帰ろうとしたときのこと。スタッフの塚本さんが紹介して下さった。恐る恐る名刺交換させて頂き、「メガストラクチャーとテンション構造で集合住宅を作りました」と言うと、「今度見に行きます」と菊竹さん。
そしてついに実現。
概略をご説明し、構造の説明に及んだとたん「基礎梁はどのように入っているのですか」「杭長は」と質問が始まる。少し興味を持って頂けたのか「これまで設計の経験は」「大学は」とバックグラウンドに質問が及び、まず「構造が上手ですね。寸法も上手です」とコメントを頂く。
だんだんとボルテージが上がり、「吊り材のジョイントは」「たわみの調整方法は」といったディテールレベルから「なぜ窓はこんなに小さいのですか」「あなたのコンセプトは何ですか」といったコンセプトレベルまで、質問が鋭くなる。しどろもどろになりつつ、夢中になって答えていると「それは理由になりません」「そんなものはコンセプトではありません」とどんどんハードルが上がっていく。
最上階の空中路地に着く。「いや、大変面白い。これだけの才能をお持ちなのだから、もっと表現するべきです。」「スケッチをしなさい。言いたいことはスケッチに表れます。」「海外に出なさい。そして仲間を見つけなさい。あなたの言うことを理解する人が必ず現れます。」と激励を頂く。
思い切って「なぜ先生は方法論を問題にされようとしたのですか」と伺ってみた。すると菊竹さんは「それは仮説を問題にするためです」と即答された。「ノーベル賞を取った学者も言っていたでしょう。仮説が重要なのです。」仮説とはもちろん「か、かた、かたち」の「か」に他ならない。
力強い激励のお言葉を頂いていると、伊東さんや藤本さんが「思いっきりやれ」と言うのがなんとなく理解できた。壮大なイマジネーションと強固なアイデンティティがないとこの気迫に対抗できない。
わずか1時間ほどではあったが、何か強烈な印象を残して帰られた。この日のことは一生忘れないだろう。
お忙しい時間を割いて下さった菊竹先生と、スケジュールの調整に骨を折って下さったスタッフの塚本さんに感謝したい。いつの日かまたお目にかかれればと思う。
fujimura