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2008年12月 アーカイブ

2008年12月02日

空間帝国主義を引き継ぐ!?

「URBAN COMMONS」展、無事終了しました。

最終日は西田司さんと共に山本理顕さんを迎え、シンポジウム。程よく人も集まり、山本さんも手加減無く質問を振って下さったので、思う存分考えを述べることができ、シンポジウム三昧だった2008年を締めくくるにふさわしいイベントになったと思います。

City_Scape「URBAN COMMONS/COMMONSから都市を語る」

毎度のことだが、終わった後はぐったりと頭の芯が疲れ、ある種の虚脱感に襲われる。未だに慣れない。

驚いたのは会場に東浩紀さんがいらしていたこと。しかもその場で原稿を依頼される(!)。たまたま通りかかったそうだが、ありがたいことに、最後まで聞いて下さっていた(会場の後ろの方にいらして、途中見えなくなったので帰られたのかと思ったら前の方に移動していらした)。残念ながら会場が騒がしく、きちんと聞き取って頂けたかは定かではないが。

終了後お話しようと思うも山本理顕さんと話し込んでいて、僕の方もいろいろな方にご挨拶していて結局じっくり話せず。夜楽校のときもバタバタで話せなかったので、結局20文字以上話していないのでは。ともあれ、プレゼンテーションを聞いて頂けたのは嬉しい。

今回、シンポジウムで確認できたことのひとつは、1970年代に「情報・イベント」といった概念によって建築が不要とされるなかで、山本さんがあえて「空間」の役割を主張していたということ。情報化、郊外化の進行した1995年以後の社会は1970年代の状況を構造的に反復しているとすれば、西田さんと僕がこうして山本さんと対話できたことには一定の時代的な意味があるように思える。

僕たちが今回、あえて都市のコモンズを主張し、空間や建築の可能性を謳ったのは、それを主張しなければ建築はただの私的な営みとして片付けられてしまうからだ。私性に籠らなければ建築が作れない、なんて大ウソだ。山本さんが「空間帝国主義者」と呼ばれてもなお、空間に拘って来たことに、大きく共感する。そのことをシンポジウムでは伝えようとしたが、上手く伝わっただろうか。

ところで、2人展と言うのは今回初めてやらせて頂いたが、なかなか面白かった。個展と違い、内容に軸が作れるし、うまくキュレーションすれば、互いを映し合うような関係が生まれる。またどこかで誰かとやれればと思う。

展示の内容には悩んだが、いつも展示している内容を再びベースにバージョンアップすることにした。プリズミック、風景の解像力と見に来ている人には申し訳ないが、新しくこの展示を知ってもらえる人の数の方が多いと判断した。

29日、さらっと横トリも見たが、あまりピンと来なかった。特に映像は見る気がしない。ネタ動画ならyoutubeでいいではないか。

作品よりも、新港ピアの会場構成のほうが印象に残った。大空間+作品毎のブースと言うのは完全な見本市型で、経験としてはモーターショーみたいでもあるが、会場構成として中央にプロムナードが貫通しているのが新しい。「金沢」も「十和田」も脇の道だけだったが、ここでは中央にプロムナードがあるおかげで、さらっと全体をブラウジングできるのだ。きちんと脇道や裏道もあり、しかも回遊性があるのがいい。この構成は商業施設としても可能性があるのではないか。

空間をきちんと使えないと淘汰されて行くのは建築家も美術家も同じだ。2009年、考えるべきテーマになるかも知れない。
fujimura

2008年12月06日

第13回アートスタディーズのお知らせ

山崎です、こんにちは。 目前に迫ってからの告知で申し訳ないのですが、12月8日に、アートスタディーズでショートレクチャーを行います。お時間ある方はぜひお越しいただければと思います。 「20世紀の名品」が大テーマなので、僕はアトリエ・ワンを題材に、彼らがどのように重要な存在であるかを話します。 詳しくはこのサイトから。以下が概要です。

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第13回のお知らせ

『第13回アート・スタディーズ 』へのお誘いです。
12月8日(月)午後6時から京橋のINAX:GINZAです。
いよいよ現在にもどって、1995年〜です。
近過去の歴史化は困難ですが、やさしく、柔らかに探索します。

                ディレクター・彦坂尚嘉
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レクチャー&シンポジウム:20世紀日本建築・美術の名品はどこにある?
第13回アート・スタディーズ 
1995年〜2004年大震災以後の建築と美術

◆ゲスト講師

【建築】テーマ 《超現代化する建築》
◇山崎泰寛(編集者)

サブテーマ 「『公共』のゆらぎ/アトリエ・ワンの時代」
        
◇五十嵐太郎(建築史・建築批評・東北大学准教授) 
サブテーマ 「伊東豊雄ビッグバン」

【美術】テーマ 《シニフィエ化する美術》

◇保坂 健二朗(東京国立近代美術館研究員)
サブテーマ 「ドローイングは極私的メディアか 奈良美智を手がかりにして」  
  
◇中村 誠 (埼玉県立近代美術館学芸員)
サブテーマ「ポスト・ミュージアム世代の作家たちとアジアへのまなざし、秋元珠江の映像作品を取り上げて」                        
                 
                 
『アート・スタディーズ』とは?

アート・スタディーズは多くの人の鑑賞に資する、歴史に記録すべき《名品》を求め、20世紀日本の建築と美術を総括的、通史的に検証、発掘する始めての試みです。先人が残してくれた
優れた芸術文化を、多くの世代の人々に楽しんで頂けるよう、グローバルな新たな時代にふさわしい内容でレクチャー、討議いたします。

◆ディレクター
彦坂尚嘉(ブロガー、日本建築学会会員、日本ラカン協会会員、美術家)

◆プロデューサー
五十嵐太郎(建築史家、建築批評家、東北大学助教授)

◆アドバイザー
建畠晢(美術批評家、国立国際美術館館長)

◆討議パネリスト
◇五十嵐太郎(建築史、建築批評、東北大学准教授)
◇伊藤憲夫(元『美術手帖』編集長、多摩美術大学大学史編纂室長)
◇暮沢剛巳(文化批評、美術評論家)
◇新堀学(建築家、NPO地域再創生プログラム副理事長)
◇藤原えりみ(美術ジャーナリスト)
◇橋本純(編集者)
◇南泰裕(建築家、国士舘大学准教授)

◆司会
彦坂尚嘉(アート・スタディーズ ディレクター)

◆年表作成
橘川英規(美術館研究員)

◆日時:2008年12月8日(月)
17:30開場、18:00開始、21:00終了、終了後懇親会(別会場)

◆会場:INAX;GINNZA 7階セミナールーム
(東京都中央区京橋3−6−18/地下鉄銀座線京橋駅2番出口徒歩2分)
(当日連絡先は 090-1212−4415 伊東)
http://inaxginza.info/

◆定員:60名(申込み先着順)

◆参加費:1,000円(懇親会参加費は別途)

◆お申し込み・お問い合わせ
氏名、住所、所属、連絡先、予約人数を明記の上、下記e-mailアドレスへ
art_studies2004@yahoo.co.jp
(FAXでのお申し込みは 0466-36-7228)

◆主催 アート・スタディーズ実行委員会
◆共催 リノベーション・スタディーズ委員会 

◆後援 毎日新聞社
    日本建築学会
    日本美術情報センター    

◆協力 INAX:GINZA/TNプローブ/ART BY XEROX

yamasaki

2008年12月08日

ピーター・クック氏へインタビュー/伊東さんと会う

朝、代官山のアートフロント・ギャラリーへ。ピーター・クック氏へインタビュー。「最近のプロジェクトについて教えて下さい」と言ったら最後、全く淀みなくしゃべり続けること40分。最後の方に質問を辛うじて挟むも、時間が来て終了。

先日の菊竹さんもそうだったが、巨匠とは、話し続け、付け入る隙のない人のことを言うのだと知る。

ただ、聞きたかったメディアや教育と創作との関係、今回の「ヨーロッパ・アジア・パシフィック建築の新潮流」展のポイント、日本人建築家への印象などは話の中に全て盛り込まれていた。聞かれ続け、話し続けていることなのだろう。

流れで、シンポジウムを拝聴。全体に、ストーリーテーリングの上手いイギリス・EU組と、プラクティカルな日本・アジア組の対比が際立つ。EU、アジアとも、見るに耐えないプレゼもあったが、面白い試みをしている建築家もいて勉強になった。

また、討議でC.J.Limが「建築の可能性とはイノベイティブであること」と述べるシーンがあったが、そこのところなどはなかなかよかった。

7日、羽田より飛行機で熊本へ。バスと電車を乗り継ぎ、八代へ向かう。

まず八代市立博物館(1991)へ。城郭の中心、歴史的な建築に囲まれた敷地、柔らかなカーブの重なり、表と裏を意図的に強調するかのような構成。1人の建築家がステップを上がるときの並々ならぬ緊張感のようなものを感じて鳥肌が立つ。

手前に並ぶスチールのドームとテンション材にばかり目が行ってしまうが、収蔵庫まわりはRCのフレームだったり、それほど大きな建築でもないのに、構造の形式が複合的なのがいい。被覆なしスチールパイプのようにも見えるが、実は捨て型枠になっているRC柱も面白い。

空調のダクトにせよ、ぐねぐねの手すりにせよ、あるいは開放型のドレインにせよ、どれも力が入っていて、ディテールが過剰なところも面白い。ああしてみよう、こうしてみようと試行錯誤するクリエイティブなプロセスが想像できる。他方で、平板のまま下地にタッピングビスでバンバン止めている割り切った感じもかっこいい。

途中、通町のギャラリー8を見る。小さな建築なのに、曲線を駆使した複雑な構成。足下のRCの重量感と上部の鉄骨の軽さによる、外観には隠された構成の対比が興味深い。素材は抽象的ではないが、見切り材を極力用いないことで軽さを演出する伊東事務所的ディテール。

続いて、八代広域消防本部庁舎(1995)へ。両端部に設備スペースを確保してベントキャップや室外機、ドレインやダクトが集約されている等、表裏をはっきり作って演出にこだわっている市立博物館に比べるとトータルのディテールやプランニングの完成度は明らかに上がっているのがわかる。

ランドスケープがあり、プログラムが楽しそうに散らばっている感じはラ・ヴィレット・パークなど、当時の楽しい建築の感じがよみがえる。むやみに薄い壁とか作るより、プログラムの配列のほうが開放的で楽しいのではないか。

熊本に戻り、夕方より顔合わせの会食。県庁職員の方々、熊本大学の桂さん、九州大学の末広さんと合流しご挨拶。程なく北京の松原弘典さん、そしてピーター・クック夫妻に再会。

そしていよいよ伊東さんと対面。伊東事務所にオープンデスクに通っていたので、通りすがりに声を掛けてもらったことなどはあったが、きちんとお話しするのは初めて。「藤村さんの世代にとってアーキグラムってどういう感じなの」と聞かれる。気さくな雰囲気とは裏腹に意外と敷居の高い、ザ・イギリス人という感じのクック氏と、若輩に意見を聞こうとするオープンな伊東氏の対比が面白い。

シンポジウム「くまもとアートポリス特別記念シンポジウム『建築家ピーター・クックと未来を語る』」は8日(月)13:00から、県庁横のテルサホールにて行われます。お近くの方は是非。
fujimura

2008年12月11日

超線形スタジオ/3つの壁を克服する

8日、13:00シンポジウム開始。席が伊東豊雄さんの隣だった。

曽我部さんに質問を振って頂き、話す。大人数のシンポジウムは1度しかチャンスは巡って来ないから、振られたときに話したいことは全部話すべし、ということで。伊東さんはメモを取りながらグラフィカルに話すことをデザインしている。その様子が隣で見ていて面白かった。

熊本に巨匠、ピーター・クックがやってきたということ、40歳も歳の離れた若手建築家と並んで壇上に並び、未来について語ることで世代をブリッジする。そんな伊東さんの意図や期待に応えることが出来たかどうか甚だ心もとないが、自分自身は大いに勉強させていただいた。

16:30シンポジウム終了。福岡から駆けつけて来てくれた井出君らと話す。しばらくして懇親会。九州大、福岡大、熊本大、鹿児島大、北九州市立大の学生諸兄と話す。20:00全体で記念写真を撮影し解散。

最後に巨匠に『ROUND ABOUT JOURNAL』を手渡す。ついにRAJが元祖オルタナティブ・メディア『アーキグラム』のリーダーに渡った瞬間である。このときにはすっかり打ち解けて「いい仕事をしたと思うよ」という温かい言葉とともに固く握手してくれた。偶然にも3日連続巨匠と時間を共有することとなったが、この経験を次の活動へと繋げて行きたい。

終了後、松原弘典さん、井出君らと共にロビーに溜まっていた学生を誘い、近所の居酒屋へ移動。議論の続き。ありがたいことに、九州の学生諸兄もこのブログの読者でほぼ完全に僕たちの議論の枠組みを共有している。そしていつものように藤村批判(?)が始まる。応えているうちに夜が更ける。23:00過ぎ解散。

9:00熊本発の飛行機で帰京。空港へ向かう途中、県庁の水上課長代理から電話。お礼を言って搭乗。11:00羽田着、事務所に戻って軽く打ち合わせたあと、16:00UBCのスタジオへ。

この日はスタジオ最終日。15人の残した約100個のスタディ模型を時系列に並べ、ゲストの乾久美子さん、松本文夫さん、木下庸子さん、今村創平さんを迎える。

今回のスタジオでは、「ジャンプしない」「枝分かれしない」「戻らない」をルールとする「超線形プロセス論」を教育プログラムに応用してみた。全員が最初から1/100の模型を作り、毎回記録として残してスタディを進めて行く。

学生によって従来通りかたちをイメージしてしまうなど、プロセスの飲み込み方に多少のばらつきはあるが、アイディアにこだわる必要がないので誰でも論理的にスキームを構築して行くことができ、最終的に大きな落ちこぼれを出さずに、誰もが構造や動線やファサードに意識を行き渡らせた案を完成することが出来た。

それはたまたま「盛り上がった」というような結果論的なものというよりも、もっと方法論的だったように思う。今まで東工大での設計製図や、いろいろな学校でのゲストクリティックに参加して来たが、こういう多様で均質な成果は見たことが無い。普通はもっと単純でばらつく。

よく見ると、最初のモデルで出来るだけ恣意性を排除できた人ほど後半の伸びが大きいと感じた。ヴォリューム、構造、動線、ファサードと条件を複雑にしていって、関係性は複雑だが形態は単純化するような、きれいなインテグレーションを見せた案もあった。反対に、最初に何らかの形をイメージしてしまった人ほどフィードバックが上手く機能せず、案が複雑性の方向へ発展しなかった。他方、恣意的なイメージを排除したままの人は後半でうまく伸びなかった。

そう、設計は論理だけでもダメ。感覚も重要。その感じを伝えるのは難しい。

ここから分かったことは、案の方向をリードするイメージを持たなくてはならないが、最初から出してはダメだということだ。なんと基本的なことか。

授業を通じて、「デザインのプロセス(結果論)とプロセスのデザイン(方法論)は違う、プロセスのデザインはデザインそのものを変える」ということを伝えようとした。最初は戸惑いもあったが、最後にはイメージを共有することが出来たのではないかと思う。教育もまたプロセス。また違う授業等で課題を出す機会があったら試してみたい。

10日、事務所を出て、12:00建築マンガのミーティング@外苑前。13:30工学院大学へ。この日は木下庸子さんのスタジオの最終講評会。3年生の集合住宅の課題。

ちょうど前日がUBCの講評だったこともあり、分析しつつみているとなかなか興味深かった。課題を観察しながらまず思ったことは、彼らの中に「3つの壁」があると言うこと。

1.平面の壁
2.断面の壁
3.イメージの壁

1は基本的な寸法が分かっていないのでモジュールに頼ってしまう人など。集合住宅のように単位が反復する課題だとすぐ「正方形をばらまく」とかやってしまう。模型でごまかされてしまうが、図面を見ると家具の寸法が取れていないのですぐわかる。

2は平面は充実しているのに断面が単調な人。天井高や階段をみるとすぐ分かるのだが、上下の関係まで頭が回らないパターン。

3は平面も断面も自由に描けるのだが、スキームを論理的にデベロップする訓練(考え方)が足りないので既存のイメージに頼ってしまうパターン。ちょっと前だとSANAA、最近だと藤本壮介が元ネタ。石上純也の模型やドローイングの表現を真似る学生は多いが、形式まで真似するのはさすがに難しいらしい。

この日、「3つの壁」を超え、自分の言葉で自由に建築を語ることの出来ていた人は3人だけだった。

3人には多様性とは何か、形態の問題なのか、言語的な問題なのか、その言語は与えたものか、発見されたものか、と議論をふっかける。言語をプロジェクトの固有性の中から発見し、多様性を表現できていた人は1人しかいなかった。彼は3年生としてはなかなかの実力だろう。

1の壁を突破できているのはだいたい半分。2の壁を突破できるのはそのさらに半分。3の壁を突破できるのはわずかに数人。ゲストで行くと学生に「うちの学校のレベルは?」とよく聞かれるが、不思議なことにこういう分布は学校によって変わることはなく、大体同じである。最近の学生は個性が無い、とかそういう言うことではなく、働き蟻の法則みたいなもので、昔からそういうものなのだろうと思う。

経験上、1については、基本的な寸法を教えてあげればすぐ克服できる。自分の家の実測等が効果的。2は断面図の訓練。慣れの問題。3はプロセスの問題。生徒にとっては「超線形プロセス」のように型を与えるとわりと理解しやすいように思える。

これらの「寸法で考える」「関係性で考える」「プロセスのなかで積み重ねる」「言語を構築する」こそは「建築的思考」の内実と呼べるものではないか。こういうことの全てをいきなり学生に求めるのではなく、水泳をバタ足から教えるように順番に教えていくと可能性が広がるかも知れない。

やはり初等教育は面白い。自分のデザイン行為そのものがよく見えますね。この日も勉強になりました。

さて、こうしている間にも、ビルと住宅の現場が本格的に始まって来ました。

BUILDING K日記
project KOH 現場 (12/5)
house H 建て方 (12/10)
house H 建て方 (12/11)

設計期間中は一生設計しているのではないかと錯覚するくらいだが、現場が始まるとあっという間である。思えば1年前はBUILDING Kの鉄骨検査をやっていた。竣工してからずいぶん経つ気もするが、まだそんなものなのだ。
fujimura

2008年12月14日

LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009 開催決定!!

ついにリリースです!!

この度、INAX:GINZA(東京都中央区京橋3-6-18)におきまして、下記の通りイベント『LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009』を開催する運びとなりましたので、ご案内致します。

イベント名:『LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009』

内容:「ライブ編集」というコンセプトのもと、会場にて建築家のレクチャー+インタビュー、その文字起こし、レイアウトなど、取材・編集作業をライブ形式で行い、フリーペーパー『ROUND ABOUT JOURNAL』を即日発行するというメディア型のイベントです。

日時: 2009年1月31日(土)10:00開場 11:00開始 20:00終了
会場: INAX:GINZA 7F クリエイティブ・スペース(受付 8F)
定員: 100名(事前申込制・申し込み多数の場合は抽選)(当日先着順)
入場料: 1,000円
申込方法: 2009年1月5日(月)よりウェブサイトwww.round-about.orgにて告知致します
受付期間: 2009年1月13日(火)より16日(金)まで
事前申し込み制は中止とさせて頂きました。

主催 TEAM ROUND ABOUT
   藤村龍至+山崎泰寛+伊庭野大輔+藤井亮介+松島潤平+本瀬あゆみ+刈谷悠三
協賛 株式会社INAX


共通テーマ:「手の内側」
コミュニケーションが複雑さを増し、高度に専門分化した私たちの社会においては、建築にせよ、情報環境にせよ、社会制度にせよ、「誰が」「何を」設計するかが決定的に重要な問題となっています。そこでここでは、設計の方法論(=手)を切り口に、その可能性を明らかにすることによって、現代社会における「設計」の意味について考えます。

ゲスト・レクチャラー:
成瀬友梨+猪熊純/寳神尚史/mosaki(大西正紀+田中元子)/柳原照弘(ISOLATION UNIT)/dot architects(家成俊勝+大東翼+赤代武士)/長坂常/勝矢武之(日建設計)/山崎亮(studio-L)/原田真宏/乾久美子/石上純也/藤本壮介

モデレーター:倉方俊輔
コメンテーター:南後由和+濱野智史
コラボレーター:mashcomix

レクチャーの内容は会場にて公開編集を行ない、フリーペーパー『ROUND ABOUT JOUNAL』として来場者に限定配布されます。なお、イベントにあわせ、フリーペーパー『ROUND ABOUT JOUNAL』vol.8も発行されます。

『ROUND ABOUT JOURNAL』は、建築設計、編集、デザインに関わるメンバーによって2007年3月に創刊されたフリーペーパーで、「議論の場を設計する」を合い言葉として、ブログと雑誌をつなぐオルタナティブなメディアによる独自の情報発信活動を行なっています。

『ROUND ABOUT JOURNAL』
企画・編集:藤村龍至+山崎泰寛
協力:伊庭野大輔+藤井亮介+松島潤平+本瀬あゆみ+刈谷悠三
デザイン:刈谷悠三
発行部数:5000部
配布:希望者への郵送、INAX:GINZAおよび大学、書店、ギャラリー等にて
(現在は配布を終了しています。次号の配布予定は2月以降お知らせ致します)

本件に関するお問い合わせ先:
有限会社藤村龍至建築設計事務所 担当:西村
TEL 03-3330-3765 FAX03-3330-3766
E-MAIL office@ryujifujimura.jp

2009年もまた、2008年と同じ場所で、イベントLIVE ROUND ABOUT JOURNALを開催させて頂くことになりました。ゲストの方々やINAX:GINZAの関係者の方々に無理を言って、なんとかスケジュールを調整して頂きました。昨年同様、とても豪華なラインナップです。大阪からも3組、お呼びすることが出来ました。昨年よりもさらに熱い議論が期待されます。

イベントの構成は昨年のフォーマットをベースにしますが、新しい試みも取り入れます。そのひとつとして、RAJではおなじみのマンガ家集団mashcomixに登場して頂き、コラボレーションをする予定です。お楽しみに。

より充実したイベントにするため、今年から参加は申し込み制、有料とさせて頂くことにしました。申し込みは2009年1月13日から、本サイトで受け付けます。

2009年もTEAM ROUND ABOUTの活動をよろしくお願いします。

fujimura

2008年12月18日

住宅は公共建築である。[1]

*LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009についてはこちら→

今日から、「住宅は公共建築である」というタイトルで、何回かに分けて文章を書いてみたい。いわゆる日記的なものも間に入るだろうけど、それはまた別のタイトルで書くことになるだろう。

ことの経緯はこんなところだ。

12月8日、INAX:GINZAで開かれた第13回アートスタディーズ「阪神・淡路大震災以後の建築と美術」で、ショートレクチャーをした。このシリーズは「20世紀建築・美術の名品はどこにある?」という大きなテーマを掲げていて、55年-65年、50年-60年、といった具合に、10年間を対象としながらも、5年ずつずれながら遡っていく変則的な形式をとっている。今年の3月に20世紀半ばから1900年までの議論を終え、1995年-2004年を扱う今回から、60年代に向かうという。

僕がお話をいただいたのは、最も近い過去である1995年以後の建築についてだった。大体98年の夏頃から建築に関する本を読み始めたので、実は95年からしばらくについては、同時代的に経験したわけでもない。だから、いい勉強の機会を与えてもらったと思って引き受けた(でもすぐに、これは大変なことになってしまったと焦った)。

さて、建築の名品=名作とは何だろう?

すでにいろいろな定義もあるだろうし、おそらくアートスタディーズが独自に持っているフレームもあるだろうとは思ったが、ここは一つ、名作建築を僕なりに発見することにしようと考えた。

まずは「名作とは何か」を定め、次に「何を名作と言えるか」と考えた。僕は仕事中(というか生活全般)において、物事に対して「これは良い/悪い」という判断を意識的にするようにしている。その判断が正しいかどうかは分からないが、とにかく判断するようにしている。そうしないと割と多くのものを自動的に受け入れてしまう性質を、僕自身が持っているからだ。

すぐに分かったのは、この思考実験がかなり楽しいということだ。一意的に決まる、誰もが認める名作なんて、もともとあるはずもない。しかし、僕個人のバックグラウンドにある(うすいけど)社会学的な発想をある程度意識しながら考えることで、ある程度説得力のある議論の軸を、この問いに対して立てることができると感じた。

社会学的な発想の根本には、世の中の「当たり前」を疑う態度がある。誰もが当たり前のように思っていること、使っているもの、その使い方……それらは本当に「当たり前」なのだろうか? なぜ「当たり前」になっているのだろうか? あらゆる出来事や物事に対して使える考え方だ。建築も例外ではないだろう。誰もが当たり前だと思っていることを軽々と、あるいは難儀して超えていく作品というものがある。それを、批評性のある作品だと言うことも、あるいはできるだろう。だから僕は、建築を考える方法を更新してしまった作品を指して、今回、建築的な名品=名作と呼ぶことにした。震災も会のタイトルに入っていたが、震災を特別視した位置づけには抵抗があったので(もちろん、未曾有の出来事だったことは承知の上で)、いったん忘れることにした。

さて、「考え方を更新する作品」は、ひょっとすると、その(同時代の)後の建築の流れを一変させるものだったかもしれない。少なくとも、その新しい流れに何らかの影響は与えていただろう。建築の世界でその時期「以前と明らかに違う状況」はどこにあっただろう? と考えると、一般誌が建築を扱い始めた時期に重なっていることに気づいた。たとえば、Casa BRUTUSが創刊されたのは1998年だ。なぜ、一般誌は建築をテーマにしたのだろうか? それと、いま何気なくメディアという言葉を使ったが、雑誌を「メディア」と呼び始めたのはいつ頃だったんだろう?(これはよく分からない) そういう影響も与えたであろう作品とは、一体何だったんだろう? 与えた影響があるとすれば、それはどんな内容を伴っていたのだろう?

そこで、とりあえず図書館に行き、まずその時期の『新建築』と『住宅特集』を一気読みして時代の雰囲気をつかんでおくことにした。この目的のために、これらの雑誌は本当に適切だと思う。やっぱり関空はかっこいいなあ、とか、横浜やせんだいのコンペがあった年かあ、などと、ぽかんと口を開けながら初めて接する近過去は、だがしかし、どこか違う国の歴史のようでもあった。となると、言説のありようも知らなければならない。よって掲載されていた論考や月評も、(自分比で)割と丁寧に読むことになった。特に月評は面白かった。その人が何を考えているのかが、おそらく作品以上によく分かってしまう面があるからだ。また、作品批評にかこつけて、持論を自由に展開し続ける人がいるのも楽しい。設計者が自由に放談する機会は、あるいは月評以外になかったのかもしれない。個人のブログを読んでいるような気分にもなった。

休日の空いた時間を使うだけなので、読み通すだけで大変に時間がかかった(しかも京都は公立図書館が壊滅状態なので、卒業生でもないのに、京都精華大学の図書館に大変お世話になった)。どうも、日本中、箱モノがいまいち元気のない時期だったようだ。1995年以後の(つまり学生時代の)空気を思い出しながら、経済発展ってしないこともあるんだなと知った、当時の感情を思い出したりした。1997年頃のことだ。就職活動で、何百枚もはがき(はがきである)を出して一通も返事がないと嘆いていた友人がいたことも思い出した。まだネットでのエントリ(←この言葉も当時出始めた言葉だったはず)も一般的ではなかった。就活という略語も、まだなかったのではないか。要するに不況だったのだ。僕はといえば、卒論で保健室の研究にのめり込んでいた(1998年)。宮台真司が『まぼろしの郊外』で郊外化を描き、『終わりなき日常を生きろ』と宣言した時期だったと思い出すこともできる。いろいろ懐かしい、が、なんだか暗い気分にもなった。

しばらく考えるうちに、アトリエ・ワンの「アニハウス」(1997年)を作品集で見た。

yamasaki

2008年12月19日

第29回INAX DESIGN CONTEST審査委員特別賞

BUILDING Kが第29回INAX DESIGN CONTESTの「審査委員特別賞」を受賞しました。

事務所設立以来、初めて「賞」なるものを頂きました。いつも批判ばかり(?)頂戴していますが、評価して頂けるのは嬉しいですね。関係者の皆様、ありがとうございます。

いくつかインタビュー記事が掲載されました。

OPENERS「いま、世界が注目するニッポンの若手建築家たち」 vol.1 藤村龍至

田島ルーフィングHP「屋上を生活のための空間に」

ご批評、ご感想をお待ちしております。
fujimura

2008年12月23日

「作家とは何か」という問題

11日、10:00とある雑誌のインタビューを受ける。

12日、11:00今村創平さんのお誘いで、UBCの学生とともにスカイハウス見学。今更ながら、この小さな住宅に東光園のエレメントが全部入っていることに驚いた。森山邸と十和田の関係みたいなものか。

19:00久しぶりに東工大のドクター連中と飲む@自由が丘。誰にも遠慮することなく(?)、構成の形式について、言説と創作の一貫性について、構成の修辞について、のびのびと議論。楽しかった。

13日、10:00mashcomixと打ち合わせ@BUILDING K。1月のLIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009でコラボレーションすることになっている。打ち合わせをしていて、改めて彼らの持っているクリエイティビティとラウンドアバウトの活動は相性がいいと感じる。ルーツ、ジェネレーション、プロフェッションなど、交差するところがあるからだろう。

15日、11:00山本事務所で長谷川豪さん、中村拓志さんとmosakiの大西さんらが集まり、山本さんと顔合わせとブレスト。事務所に戻り、その後18:00文化事業委員会@建築学会。1年の総括と忘年会。推薦したmosakiの田中元子さんが委員会に加入。面白くなりそう。

16日、立教大学の中村陽一先生らが来訪。インタビューを受ける。ゼミで「批判的工学主義」が高円寺の地域性を再定義していることに興味を持って下さったようだ。人文系の院生のインタビューということだったが、社会人を経験していてる人たちで、なかには一級建築士の資格を持つ建築畑出身の人もいた。

18日、INAX DESIGN CONTEST表彰式@代官山。オーノさんと一緒に参加させて頂く。公開審査ということもあり、異様な盛り上がりだった。

19日、9:30谷尻誠さん、前田大輔さんをご案内@BUILDING K。谷尻さんはいつ会っても行動的で刺激を受ける。おふたりの作品も見せて頂く。その後入れ替わりでGAの山口さんと石坂さんをご案内。

その夜、同世代飲み@BUILDING K。猪熊純君(1977生まれ)のつながりで首都大の門脇君(1977)、メジロスタジオの古澤君(1976)が遊びにくることになり、そのノリで同世代を集めちゃおう、と1976-77年しばりで声を掛けたところ、総勢13名に。ほぼ同い年の連中が小さなテーブルを囲む、異様な光景が広がる。

アトリエに務めている人、独立した人、大学にいる人、大学を出てすぐ独立した人など、絶妙なバランスで集まった。改めて、建築家にはいろいろな道があるなと思う。共通しているのは、30歳を超え、後戻りも出来ず、もう先に進むしかないというシチュエーションのみ。

途中、門脇君とメジロスタジオの古澤君からプレゼンテーションがあった(ガチ)。その後討議(さらにガチ)。話題は「コンピューター・アルゴリズム」でも「情報アーキテクチャー」でもなく、作家性に集中。結局「作家とは何か」という問いは、作家になろうとする若い世代にとって古くて新しい話題なのだと思う。3:00過ぎ解散。

刺激的ではあるが、微妙な緊張感もあり、居心地の良さと悪さが同居する。それが「同世代」というものかも知れない。この顔ぶれは死ぬまで変わらないだろうから、互いに刺激しあって行ければと思う。

22日、遠藤勝勧さん来訪@BUILDING K。あまりの迫力に圧倒されてしまうが、菊竹事務所時代のエピソードなども伺うことができ、とても勉強になった。菊竹さんはビジョン、遠藤さんはディテールと、水準こそ違うが、迫力がよく似ている。

菊竹さんといい、遠藤さんといい、菊竹事務所とはなんと強烈な場所だったのだろうか。

夕方は編集委員会。企画案を出すものの、(いつものように?)厳しい意見が続出。1年前の「批判的工学主義」特集時の審議を思い出す。委員の方々のご意見を伺っているうちにだんだんとやるべきことが見えてくる。

地下の飲み屋に審議は延長。早いもので、2年間の任期も終わりが見えて来た。

24日、渋谷のUPLINKで行われる下記のイベントに出演します。

『レム・コールハース』DVD発売記念上映会

資本主義的都市の膨張を¥E$(YES=円、ユーロ、ドル)という記号を使い肯定するコールハースの上映会をある意味1年で1番資本主義的なクリスマスイブの夜に開催いたします。

お時間のある方はどうぞ。

fujimura

2008年12月27日

2008年を振り返って

東浩紀+北田暁大編『思想地図』vol.2が面白い。vol.1の「日本」も面白かったが、今回の「ジェネレーション」特集、特に後半の「胎動するインフラ・コミュニケーション」はより自分に引き付けて読める。

23日、その『思想地図』の忘年会にお誘い頂き渋谷へ。定刻に着いたら誰もいない。程なくして東さん登場。しかも宇野常寛さん、濱野智史さんらとともに。何やら派手な人が入って来たと思ったら鈴木謙介さん。東さんと鈴木さんとの間でいきなりハイテンションなやり取りが始まる。

その他、西島亮介さん、福島亮大さんなど続々集まって来て、最後に北田さん登場。3号以降の展開について丁々発止の議論。これがシンポジウム会場だったら観客が殺到するのでは。

少々あっけにとられていると、東さんに「藤村さんはシンポジウムの壇上ではクリアで攻撃的なのに、飲み会ではおとなしいのでは」と指摘される。vol.3での原稿の構想について話すと、「建築誌では書けないことを思い切って書いて欲しい」とハッパをかけられる。

2次会へ移動しつつ、鈴木謙介さんと話す。同い年なので「76世代盛り上げようぜ」的に意気投合。その他、濱野智史さんとアーキテクチャー・トーク。この「かなり通じている感」はかなり新鮮。

東さんと北田さん以外ほとんど初対面だったが、かなりの人が「批判的工学主義」のことを知っていた。『筑波批評』のインタビューを読んでくれたのだと言う。恐るべし筑波批評社。2008年の批評界では新世代の書き手が続々登場しているので、今後の交流が楽しみだ。

24日、コールハースDVD上映会@UPLINK。五十嵐さんと一緒にトークショー。コールハースは自分にとっても最大のロールモデルなので嬉しい。

映画では生い立ちからCCTVまで、本人や関係者へのインタビューを時系列的にテンポ良くまとめられている。オランダに留学し、OMAの伊東事務所にバイトに通っていた2002-2003年はちょうどCCTVの設計中だったので映画のなかにはリアルタイムで重なる部分もある。怒号が飛び交う殺伐とした事務所のなかを忙しそうに早足で動き回るコールハースの姿を思い出す。

資本主義社会の最前線で活躍しているコールハースだが、映画を見ているとトップダウンの意思決定が効く特殊なコンテクストでしか建築を実現していないこともよくわかる。オランダ大使館(公共)、CCTV(国営テレビ)、ポルト(公共)、プラダ(ミウッチャ・プラダ)など。

コールハースを後続世代が乗り越えるためには、真の意味でジェネリックシティの建築を実現する新たな建築家像を示す必要があるだろう。トークショーでは前夜の『思想地図』モードで「google的建築家像」を提唱したところ、五十嵐さんにいろいろ突っ込まれる。まだ少し議論は粗いが、自分のなかでストーリーは見えて来ている。『思想地図』で一気にまとめたいと思う。

DVDは特典映像も面白く、一見の価値ありです。

25日、石上純也さん、藤本壮介さんらと忘年会。神楽坂のバーの地下にある、すごく小さな個室にて。たわいもない話で楽しく過ごす。

27日、恒例の事務所忘年会。最初は10人くらいでこじんまりと。やがて続々集まり出してラッシュアワーのようになる。学生、編集者の方々、友人たちと集まって話しているうちに時間が過ぎて行く。

2008年は1月の「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」に始まり、6月のBUILDING K竣工、「批判的工学主義」特集、「風景の解像力」展、10月の「建築夜楽校」、11月の「URBAN COMMONS」展と、めまぐるしい1年だった。

やはりBUILDING Kが竣工したことは大きい。厳しいスケジュールとバジェットのもと、400坪の建築を無事引き渡せたことはひとつの自信になったし、事務所にとっても大きな蓄積になったと思う。9月で大学院を退学し、10月から大学で教え始めたことも心境の変化としてはなかなか大きかった。サポートして下さった関係者の皆様に感謝したい。

2009年は1月のLIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009およびフリーペーパー、インタビュー本の出版を皮切りに、3月に住宅の竣工、6月と9月に2本のビルの竣工がそれぞれ控えている。新しい建築プロジェクトや出版企画も進んでいる。2009年は2008年に提出した理論とプロジェクトをベースに、様々な応用を試みる年となるだろう。

他方で事務所の経営や博士論文など、課題もいろいろある。厳しい社会情勢のなか、より力強い建築家の活動や設計事務所の体制づくりを考え、実践して行きたいと思う。

2008年もご愛読ありがとうございました。2009年もどうぞよろしくお願い致します。
fujimura

2008年12月31日

来年もよろしくお願いいたします

*LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009についてはこちら→

今月もあっという間にひと月経ってしまった。7日に見に行った「文五郎窯」が素晴らしかった。築数十年の倉庫のリノベだが、「既存コンクリートの補修」にこだわっただけあって、丁寧に3色に塗り分けられた補修跡が美しい。初めて行った信楽の町の雰囲気もいい。解説はここ→が詳細かつ的確。設計は田所克庸+上田篤。

8日はアートスタディーズ。90年代後半にアトリエ・ワンが到達した、住宅が示す公共性とは何か。「公共のゆらぎ アトリエ・ワンの時代」と題して、08年における彼らの作品の意義を意識しつつ95年以後の文脈で語る……つもりが、これはとても難しい問題で、11月以後今もずっと考えている。たぶん来年から先も、しばらく考え続けるテーマだと思う。発表を契機に書き始めた「住宅は公共建築である」というエントリを進めながら考えていきたい。他の発表者は、五十嵐太郎さん「伊東豊雄ビッグバン」、保坂健二朗さん「ドローイングは極私的メディアか 奈良美智を手がかりにして」、中村誠さん「ポスト・ミュージアム世代の作家たちとアジアへのまなざし 秋元珠江の映像作品を取り上げて」。打ち上げで、橋本さんから、アニ・ハウス掲載にあたってのjt編集部の様子を伺う。五十嵐さんからも、発表当時の理解について伺う。

13日はマキ(息子)の保育園で生活発表会。0歳の乳児クラスから小学校入学直前の6歳児クラスまで、学年ごとに出し物をする恒例の年末企画を見に行く。息子のいる4歳児クラスは初めての劇。大勢の大人の前でストーリーのある役を演じるのはまだまだ難しいようだったが、0歳時から同じクラスの子どもたちの成長ぶりにあらためて驚く。続いて5歳児のクラスを見て「来年はこんなに成長するのか」とまた驚く。マキがお世話になっている保育園はイベントも多くエキサイティングで、親としてはもちろん、社会人としてもとても勉強になる。就学前教育には大きく二種類あるが、文部科学省管轄で教育に重点が置かれた幼稚園とは異なる、厚生労働省管轄で「親が働いている」という一点のみを共通項とした保育園の存在感はおもしろい。人それぞれだとは思うけど、異年齢集団ってやっぱり良いものだと思う。親もいろいろである。保育園については項を改めて、また考えたい。
午後は「青木淳と建築を考える」とどちらにしようか迷いながらも、家族3人で保坂健二朗さんのレクチャーを聴きに、京都の近美へ。保坂さんキュレーションの展覧会「エモーショナル・ドローイング」では、辻直之さんのアニメーション作品がヒット。鉛筆で描いた線を消し、その上に新しく絵を描き足す。前に描かれた線が痕跡となって、フィルムに残り続ける。"描かれたもの"が連続することで作品となる、ドローイングの可能性を知ることができた。レクチャーを聴くと、ドローイングという手法が持つ自由度の高さを改めて知らされ、というかドローイングの持つ自由度を発見した保坂さんについて、さらに興味が沸く。保坂さんの次の企画展は2〜3年先になるらしく、メルクリ×青木淳展とドローイング展の両方を見ることができた今年は、観覧者としても幸運だったと思う。

14日は、マキと同じ世代の子を持つご近所が集まって「午後のおやつ会」…のはずが、子どもだけじゃなくて大人も集まってしまったので、昼間から飲むただの楽しい飲み会になってしまった。最近自宅の再改装をもくろんでいるのでその話をすると、「手伝うよ!」的なノリで盛り上がる。中には屋根の上に部屋を一つ作り足してしまった夫婦もいて、かなり心強い。皆セルフビルド欲が旺盛で、いろいろと経験を教えてくれる。
ちなみに、ここで集まるご夫婦はみなたいへん個性が強い。とりあえず国籍がバラバラなのだ。オランダ人の夫がアジア各地で種苗を仕入れてくる夫婦(妻は日本人)=子ども2人。大学でフランス語を教えながら小説を書くフランス人の夫と、現代音楽のピアニストの妻(日本人)=子ども1人。画家志望で、現在はテーマパークの建物を塗る塗装職人(かなりの職人芸)の日本人夫とフランス人と日本人のハーフである妻=子ども3人。子どもも、見るからにモンゴリアンなのはマキだけ。各国の教育事情や日本の対外国人政策について聞く。「小学校までは日本でもいいんだけど……」との発言にはなんとなく頷けた。
それぞれに子どもがいて、それぞれにエピソードがある。この日最も共感したのは、「子どもが初めて三輪車に乗ったのを見て思わず泣いた」と話しつつ涙ぐんでいたピアニストの母親の心境。それまではバギー(乳母車)に"乗せられて"移動していた自分の子どもが、三輪車を手にして初めて1人で、自分の意志で乗り物を操って移動する。その子がどんな世界を見始めたのかと思うと、泣けるという。というかここは思い切り泣くところだと思う。

20日は、岡田栄造さん、満田衛資さん、森田一弥さんらと忘年会。スペシャルゲストがJIA U-40コンペでファイナルに残ったためこちらにいらした前田茂樹さん。日本では地元の堺でお仕事をスタートされるらしく、京阪神あたりがさらに面白くなるに違いない。二次会はみなさんを自宅にお招きして……というかむりやり引っ張り込んで、3時頃まで気の置けない話をいろいろ。

27日は中山英之さんにつないでいただいて、京都精華大学片木孝治スタジオの講評会に参加。片木さん、馬場徹さん、河内一泰さん、永山祐子さんという講師陣+ゲストの中山英之さん、岡田栄造さん、森田一弥さん、山崎。講評会なんて見るのは二回目、コメントするのなんてもちろん初めてなので、とても良い勉強をさせていただきました。片木さん、中山さん、ありがとうございました。森田さんが日記に書くように、学生さんの数に対してこの面子はかなり大変なことになっているのではないか。となると面白いのは各々のコメントの違い。僕はきっと的はずれなことも言ったに違いない……。違いないけど、でもそれで良いようにも思う(←図々しい)。13時〜20時半という長時間の講評。21時半から三条ラジオカフェでの打ち上げ+忘年会に家族3人で参加。取材を終えた桂さんも参戦。片木さんからは鯖江市で展開中の産業×アートの試みを伺う。久しぶりに会った永山さんからも近況を。そして、中山さんとアトリエ・ワンの話で盛り上がる。終わりがけにみなさんから「山崎はうるさがたで良いのではないか」とエール(?)を送られた。飲み会の席で自分に言及されることってほとんどないので(あっても、○○に似ているとかなので)恐縮。来年はもっとたくさんの実作を見たい。京都にはもう一人、この日は東京にいらっしゃっていた素晴らしいうるさがたがいる。
この日は、『建築学生のハローワーク』が届く。山崎は編集者の項を書かせていただきました。各章の扉に描かれたマンガ(たかぎみ江)がかなり面白いです。

29日は会社の仕事納め。夜は、妻の両親と1年間のお礼を兼ねたお食事。30日はアクシス1月号が届く。桂さんが書く「ROUND ABOUT JOURNAL」評。写真をチーム内でかき集めて渡したので、クレジットがえらいことになっていて面白い。LRAJ2009も、もうすぐ。その前にRAJ8のいろいろを仕上げなければ……。家の大掃除が半分終わったところで妻が(掃除のしすぎで)体調を崩す。

では、来年もよろしくお願いいたします。

yamasaki

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