27日、8:00house H現場。その後渋谷の事務所に戻り、資料をチェックして、すぐ飛び出して地下鉄に乗り、刈谷と待ち合わせて11:00打ち合わせ@清澄白河。13:30project KOH現場定例@半蔵門。終了後、15:50東京発の新幹線に飛び乗る。車内で『思想地図』の原稿仕上げ。あと一息。京都に着き、三条京阪に移動し、鴨川沿いのスタバにてレクチャーのスライドを仕込む。
19:30mediashop着。定員30名と聞いていたが、思ったより広い。店長の斎藤さんにご挨拶し、20:00レクチャー開始。
この日は久しぶりに60分のフルセット(シンポジウム用の15分セット、講評会用の30分セット、単独レクチャー用の60分セットがある)。「検索的」「工学的」をキーワードに「BUILDING K」から「批判的工学主義」まで、一気に話す。
1.理論「批判的工学主義」
2.方法論「超線形設計プロセス論」
3.実践「BUILDING K」
少々文字の多いセットになってしまったが、さすが日頃勉強会を粛々と進めているRADらしく、質問がいろいろ出る。
岡田さんからは「『運動』と言っても、結局『スタイル』に回収されてしまうのでは」と(ややクールに)質問を頂くが、「モダニズムという運動がインターナショナルスタイルとして消費されたのは事実だが、モダニズムという運動を興した側に立つべき」と(頑張って)反論。
openlab.×Querycruise 藤村龍至講演会「google的建築家像は可能か」(ブログまでブログ)
google的建築家像は可能か(3216)
文章を書こう(Diagonal runs)
シコウの日々
22:00過ぎ、レクチャー終了。すぐ下の飲み屋で打ち上げ。職人の皆さん、チーム京都(山崎さん命名)の皆さんと話した後、学生諸兄と議論。話していたら、たまたま隣で京大宗本研の学生が打ち上げをしていて数人が乱入(?)してきたので一緒に議論。「藤村さんの本とか読んだことないんですけど、今日話してみて面白かったんで、これから読んで勉強します。」と言っていた。京大生はなかなか生意気な感じがいいですね。
素晴らしい議論の場を提供してくれたRADの川勝君、榊原君を始め、いつも厳しく、暖かい京都の皆さんに感謝したい。3:00終了。
28日、山崎家で目覚める。10::00京阪電車で大阪へ。近畿大学で行われている「建築×合宿」へ。
講評会は、谷尻さんと僕のレクチャーからスタート。その後、講評開始。谷尻さんとご一緒するのはかれこれ3回目なので、コンビネーションはばっちり。
テーマは「住宅を超える」。参加者は15大学から70名近く。5人くらいずつで、全部で14班もある。僕は主に設計プロセスを問い、谷尻さんが主に「それはどんな提案になっているのか」と建築としての批評性を厳しく問う。
初日に「課題」としてA4用紙2枚に書かれた「超線形設計プロセス」のマニュアルを配ったのだが、文字だけで説明が足りるわけもなく、学生たちを随分と混乱させたらしい。しかし、25日に行われた中間講評の講師の先生方(柳原照弘さん、松岡聡さんほか)が丁寧に解題して下さり、翌26日のエスキースチェックの講師の先生方(dot architects, 木村松本の皆さん)がしっかり展開して下さって、当初は訳がわからないと言っていた学生たちも、次第に理解し、どんどん発展させていった。とてもきれいにプロセスを提示してくれているグループもあって、こちらの意図がきちんと伝わったことを実感し、素晴らしい跳躍を見せたグループもあった。
今回わかったことは、超線形プロセスの原則は(1)ジャンプするな、(2)想像するな、(3)後戻りするな、だが、設計をうまく進めるためには、コツのようなものの説明が必要だということ。
そのコツとは(1')仮説的であいまいな型を設定すること(2')プロセスのなかでイメージを膨らせること(3')細かなフィードバックを繰り返して形とコンテクストの間に動的な関係を築くことが重要だということである。(1)と(1')、(2)と(2')、(3)と(3')が互いに対応し、相補的に働く。
これらはデザイナーの「勘」のようなものだが、今回学生の皆さんに課題を出してみて、そのことをどう説明すればいいのかがよくわかった。今回の「建築×合宿」により、「設計」行為のより正確な定義に近づいた。それが最大の成果である。
「超線形設計プロセス」は特殊な方法論に見えるが、デザイナーの暗黙知を形式知化しようとするという意図のもと設計されている方法論である。面的に広がる可能性を線的に切り取っていることや、段階毎に模型にして形態を保存することは、建築デザインの「かたちで思考する」という特徴を形式化したに過ぎない。
少々うまくいかなかった班もあったが、それらは例外なく面的に展開したり、保存を怠ったり、敷地をつくらなかったりと、方法論から外れていた班であった。方法論とは、徹底すればするほど案が進化するし、手を抜くとすぐにクオリティが下がる。そういう意味では、成功した班より失敗した班のほうが方法論の可能性を逆照射してくれることが多い。
今回、学生の皆さんと考えたことは、「こういうプログラミングを行えば複雑な設計を得られる」という設計作業のフィールドワークのようなものだったのだと思う。1,2回生には少々酷だったかも知れないが、意外なくらい皆がついてきたし、いろんな感想や意見をもらうことがができた。やはり対等に接して議論するという姿勢が重要だと改めて感じた。
彼らにとって「設計とは何か」を考える、強烈な経験になっただろうと思う。最後まであきらめずに参加してくれた学生の皆さんに感謝したい。
「スタイルをコピーするな!」と怒るばっかりの先生はたくさんいる。しかし、「設計とは何か」について、根本的に考えたり、議論したりする機会はなかなかないのではないだろうか。この議論の真価は、今年この合宿に参加した学生たちが数年後に証明してくれるだろう。関西圏の学生たちのさらなる盛り上がりに期待したい。
それにしても、この巨大な集団を集め、合宿させるという困難な企画を、学生メンバーだけで自主的に運営しているのは驚異的だ。昨年までに合宿に参加したOB, OGたちが後輩のためにサポートしている姿勢もいい。自分たちで議論の場をつくろうと頑張っている関西地区の学生の盛り上がりを、メディアを鵜呑みにしている諸兄も、学校がつまらないと嘆いているだけの諸兄も見習うべきではないか。
その後集団で移動し、布施の居酒屋で打ち上げ。大宴会場での乾杯は壮観だ。学生たちは「難しかったけど、勉強になりました!」と口を揃える。UBCのときと一緒だ。「ずっと心配だった」という柳原照弘君が「全員が納得していたので驚いた」と言っていたが、試行錯誤を経て、彼らなりにこちらが伝えたいことを理解してくれたのだろうと思う。
学生たちと別れ、心斎橋に移動。アーキフォーラム組と合流する。この日は長坂常さんのレクチャー。聞きたかった。3:00まで話す。後半は少々もうろうと。
議論して、飲んで、議論して、という時間は楽しい。時々ふと何歳くらいまでこうした時間を過ごせるのだろうと不安になるが、高い志を持ち、それを共有しようとする仲間がいる限りは、こうした時間を失わずにいることが出来るだろう。2月の「けんちくの手帖」以来の関西行脚はこれにて一旦区切りがつくが、またそのうち来たいと思う。
fujimura