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教育と創作、作家と教育者

20日、首都大へ。第1回エスキス。

建築デザイン第1回エスキス(ARCHI-BLOG)
無くしたものはいらないもの 本物は手に残る(post_tokyo)
システムは作家性を超えうるのか(The things you own end up owning you.)
藤村龍至(NEED MORE)

1週目なので、ひとりあたり1,2個模型ができていればいいな、と思っていたら平均5,6個、多い人は12個くらい作って来ていた。ものすごい盛り上がっている。祭りですねこれは。

履修者が70人(!)もいるので途中からかなり素早く進めたにも関わらず13:00開始で終了は19:00。でも全く飽きなかった。よくいる「何もできませんでした」という人や、何もないのにしゃべるだけ、という人が全くおらず、とても生産的な雰囲気。

プロセスを語り、そのなかで発見したことを語るというプレゼは彼らにとっても初めてだが、見る方も初めて。少々不安だったが、深尾先生と助教の猪熊純君がきちんと論理を見て的確な指摘をしてくれたおかげでスムースにチェックができた。

チェックの内容はなかなか発見的だった。この日はボリュームスタディだったので「ボリュームを立ち上げたら圧迫感があったので小さくしました」という人が多かったのだが、必要な要求面積(100平米前後、最低90平米)をきちんと取った人は少数で、ほとんどは80平米台。ひどい人は70平米しか取っていない人もいた。立ち上がったボリュームの分節を工夫するとか、条件のなかで建築的な想像力を膨らませられた人は少ない。条件のなかでイメージを膨らませる思考を訓練しておらず、イメージに条件を合わせようとする思考だということがよくわかる。

他方、条件が同じで方法論を統一しているにも関わらず、不思議なくらい多様性が出ているのは見ていて楽しかった。例えば、駐車の方法など限られていそうなものだが、70人いて2人だけしか採用していない配置が見つかったりする。

出題するときにもう少し強調するべきだったかも知れないが、与条件を簡単に変える学生が多いことに改めて驚いた。与条件を変えてしまっては「手を使ってサッカーをする」みたいなもの。自由なようでいて、とても不自由な思考だということをまず伝えなければならない。条件とか制約とかルールというものは自由を制限するものではなく、むしろ不自由を開放する道具なのである。

そのように考えると、エスキスは模型に現れている曖昧な個性をひとりひとり立てていく作業となる。短いやり取りで、平凡なかたちが意味のあるものになっていく。それをただ繰り返せばいいのだと思う。

だから、「君は天才だ!」とか、「お前は建築家になれない!」とかいう必要がない。僕が学生のとき、よくそういうことを言う先生がいたが、生徒のやる気と可能性を削ぐだけである。もっとふつうにコミュニケーションすればいいのだ。

エスキスしながら、そんなことを考えた。

終了後、猪熊君と食事でも、と言っているうちに、飲みますか!みたいな話になり、スタジオに残っていた学生20名前後とともに居酒屋へなだれ込む。しばらく学生と話していたが、いつものように(?)猪熊vs藤村の対決図式へ移行。やがて門脇君が藤村側に味方することで猪熊君を追い込み、学生がそれを眺めているという構図へ。

対立のポイントはいわゆる作家性の問題である。「方法論は天才を生まない」という典型的な作家主義者であるロマンチスト・猪熊氏(アトリエ派)と、「天才は勝手に方法論を超えていく。凡人を『意味のある凡人』にすることが最も重要」と主張するリアリスト・藤村(批判的工学主義者)のディベート。

さらに議論は創作と教育の関係、作家と教育者としてもスタンスの問題へ及ぶ。僕は創作も教育も、さらにいえば批評も研究も、全部一貫して考えたいと思うのに対し、猪熊君は「教育は教育、創作は創作」だという。作家としてのコンセプトと、教育者としてのコンセプトが一致していないのは思想として矛盾しているのではないか、と問いつめるが猪熊氏は「バランスが大事」などと真っ当なことを言う。それはずるいのではないか、スタンスが問われるのでは、と追い込み学生に意見を求めると、藤村批判派と擁護派が現れ、クリアなディベートとなる。

課題の最終日に飲むことはあるが、2週目に飲むというのも悪くない。緊張がほぐれ、コミュニケーションが円滑になったところで議論をすると、論点を共有することができる。

もっとも、言わせておけば「藤村さんは『批判的工学主義』とかいいながら、結局作品をつくろうとしているのではないか」とか、「難しく言い過ぎなのではないか」などとなかなか生意気(褒め言葉)なことを言うが、そういう意見が次々に出てくることはむしろ嬉しい。

考えてみると、この課題は学生にふたつのことを求めているのだと思う。まず、課題が示す方法論に対してはロールプレイとして無批判に従って欲しい。しかし、その理念に対しては常に批判的にディベートして欲しい。全員が同じ結論に向かう必要はない。むしろこの課題の提出する理論や方法論をたたき台にして、自分のスタンスを明らかにして欲しい。

当たり前のことではあるが、そういう活発なコミュニケーションを誘発する具体的な方法論を、ここでは探ろうとしているのだと思う。この課題を通じて自分の考えがクリアになれば、みんなもっと建築が好きになるのではないか。
fujimura

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2009年04月22日 01:18に投稿されたエントリーのページです。

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