ROUNDABOUT JOURNAL vol.8、全コンテンツの解説をお届けします。
*
ROUNDABOUT JOURNAL vol.8
特集:マイ・アイデンティティ
私らしさを纏うために
P.1 巻頭インタビュー:山本里美 [LIMI feu]
「私らしく、日本人らしく、女性らしく」
「アイデンティティ」というテーマに対して、巻頭インタビューを誰にするか、随分考えました。リサーチを重ね、「LIMI feu」の山本里美さんに受けて頂くことができました。2007年にパリコレにデビューし、2008年パリに路面店がオープン。今とても勢いに乗っている方です。
お話を伺って、我々の直感はあまりにも当たっていることが確かめられました。拡大を続ける大手アパレルブランドの前に「生きた化石」のように服を作り続けるデザイナーズ・ブランド、という構図は組織とアトリエの対比と重なります。30代のデザイナーが今、何をなすべきか、ビジネスとクリエイションのバランス、都市や建築について、など、今回の特集で考えるべき課題が全て出てきます。単なる異分野交流ではない、まさに巻頭インタビューにふさわしい内容。
P.2 五十嵐淳(北海道)インタビュー
「『天国』のような空間をめざして、『セオリー』を構築する」
「そもそも都市について論じることに何の意味があるのか」とのっけからRAJの活動に懐疑的な五十嵐さんとの対話。「好きだからつくる、で何が悪いのか」と疑念をぶつける五十嵐さんの問題意識を、徐々にほぐそうと試行錯誤する過程が読み取れます。『1995年以後』の藤本壮介さんや、大西真貴さんらのインタビューのように、多少対立的な意見を持つ人とのディベートは、互いの主張の前提を明らかにするので、濃い議論になりますね。
P.4 迫慶一郎(北京)インタビュー
「ビジュアル・インパクトで『工学主義』的状況を一点突破する」
昨年秋の建築夜楽校「グローバル社会における建築的思考の可能性」でタワーマンションについて議論した翌々日に収録しました。都市についての興味から山本事務所へ、建外SOHOでの経験、中国の若手建築家たちについて伺いながら、迫さんの建築やメディアに対する方法論にとても肉薄した内容になっています。迫さんの対峙している状況は単なる中国固有の状況ではなく、グローバルな状況なんだということを伝える内容になっています。
P.4 山梨知彦(東京)インタビュー
「データベース的建築家像とオープン・プロセスの可能性」
山梨さんと最初にお会いしたのも、建築夜楽校「グローバル社会における建築的思考の可能性」の事前打ち合わせでした。組織とアトリエの技術の格差が決定的になりつつあり、メディアがアトリエ派の建築家ばかりをアーティストのように扱う昨今、この状況を真剣に考えないと、クリエイティブに建築を考える環境はどんどんなくなっていってしまいます。山梨さんは組織設計事務所の限界と可能性を熟慮し発言している、数少ない建築家だと思います。
圧巻は後半。オープン・プロセスとワンストップ・サービスの対立についての議論です。組織とゼネコンの対立(いわゆる専兼問題)は建築業界にとって古くて新しい問題ですが、商業主義が拡大する昨今では、設計事務所は設計プロセスを見直し、設計のあり方を考えないと設計施工に負けてしまうかも知れない。設計の情報化は「設計」という専門職を守るための、最後の切り札になるでしょうか。
P.6 柳原照弘(大阪):「『デザインする状況』をデザインする」
P.6 井手健一郎(福岡):「『デザインすること』について考え、社会に対峙する」
柳原君と井手君は、今僕がもっとも共感するデザイナー、建築家です。RAJのコンセプト「議論の場の設計」ととても近い問題意識を持っており、しかもどんどん行動していて、いつも刺激を受けています。
柳原君の発表を最初に神戸で聞いたとき、こんなにも考えの近い人がいるのか、と感動したことを思い出します。スタイリッシュで知的なコンセプトの背後にある、社会に根ざした自分の立ち位置と戦略。ここでは、彼のルーツから転機、デザインについての考え方等、じっくり読むことが出来ます。
井手君にお会いしたきっかけは、彼からのメールでした。BUILDING Kの事務所でお会いしてみてピンと来て、すぐインタビューをお願いしました。なぜデザイニング展をやろうと思ったのか、そこから学んだことは何か、今どんなことを考えているか、こんなにクリアに語れる人はなかなかいないのではないでしょうか。
全体としては、対立的な五十嵐さんから徐々に共感的な柳原君、井手君へと緩やかなこう配を描いていますね。
P.8 神戸:「デザインの根拠を考える」若手建築家のアジェンダ (2008.7.10)
P.8 広島:「建築の前提を信じること」若手建築家のアジェンダ (2008.9.19)
P.10 東京:「アーキテクチャとは何か!?」LIVE ROUNDABOUT JOURNAL 2009 (2009.1.31)
P.11 東京:「アーキテクチャを設計する方法」LIVE ROUNDABOUT JOURNAL 2009 (2009.1.31)
P.12 大阪:「コミュニケーションとかたちの関係」 (2009.3.7)
後半は各地で展開されたシンポジウムの収録です。いろいろなところを回ってみて、社会との接続の仕方が神戸、大阪はダイレクト型、東京、広島はメディア(作家)型という感触がありました。
そこでRAJは大阪組と集中的に議論を展開するという作戦に出ました。LRAJ2009では大阪から3組来てもらい、その熱が冷めないうちにもう一度討議を反復しています。神戸>LRAJ>大阪と議論を続けて来て、最後には「アーキテクチャ」の概念を手がかりに、作家性の再定義によって場所を取り戻す、という議論のフレームを獲得することができました。RAJの議論の最も進化形ではないかと思います。
P.12 岡田栄造(京都)インタビュー
「ジャーナリストとデザイナーの関係」
岡田さんの「デザインの部屋」にて、後半部分で逆インタビューさせて頂いた部分を収録。「別に『議論の場』は設計したくないんだよね」という岡田さんのスタンスを伺いつつ、後半ではRAJの将来目標について確認する場面もあります。
P.14 鈴木亜生
テキスト「『情動』を設計する --中村拓志『Lotus Beauty Salon』をめぐって」
元NAPの鈴木さんの論考。NAPの「Lotus Beauty Salon」を平田晃久の「桝屋」、乾久美子の「新八代駅前のモニュメント」と比較して論じ、形式と表層のハイブリッドを実現している同プロジェクトの特異性を論じています。あえて若手の作品に限定して論じることで、それぞれの作品の可能性の広がりが感じられるところがいいですね。最近では、そういう具体的な作品批評の場もなかなかありません。
P.14 山崎泰寛
リポート「ベネチアビエンナーレ2008 観戦記 --オランダ館に発見した議論の場」
山崎さん渾身のレポート記事。2008年のベニスビエンナーレオランダ館で繰り広げられていたのは、シンポジウムで討議された内容をその場で文字起こしし、本を発行するというどこかで聞いたようなプロジェクト「ARCHIPHOENIX」。キュレーターAna Dzokicに、なぜそのような展示をすることになったのか、メールインタビューも敢行。
P.1, 14 軍司匡寛
マンガ「私のやりたいこと、私の役割」
ご協賛を頂いているINAXの商品、SATISをモデルに、「トイレに行きたいトイレ」という設定が「やりたいことを探す私」とシンクロするという内容。LRAJ2009でも展開した「2コママンガ」と、RAJ3でも試みた「ループマンガ」という2つの形式が掛け合わされています。
*
さて、配布場所から遠い場所に居住されている方のために、今回も配布協力者を募集致します。
条件は下記のみ。
1. ブログを有していること(新規立ち上げ・匿名・ペンネーム可)
2. 期限(5月30日)までにレビューをアップし、公開できること
3. 配布に協力し、配布先を公開できること
ご協力頂いたサイトはRoundbout Journalにて一斉にリンクさせて頂きます。
募集:先着20名
内容:建設的な内容であれば自由です
字数:読みやすい長さであれば自由です
締切:5/22(金)22:00(定員に達し次第締切)
謝礼:恐れ入りますが、誌面の発送をもって代えさせて頂きます
学生/社会人、建築関係/それ以外の別は問いません。
下記項目記入の上、メールにて下記宛先までご応募下さい
郵便番号:
住所:
電話番号:
氏名:
予定配布先:
応募先:藤村事務所『ROUNDABOUT JOURNAL vol.8』配布協力者募集係
nishimura*ryujifujimura.jp(*を@に置き換えて下さい)
担当:西村
各応募者に50部お送りします。ご応募は学校、書店など、なるべく公的な場所で配布して下さる方が望ましいです。
ご応募お待ちしております!!
fujimura