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ダイアリー/アーカイブ/プロセス

10+1website「特集:建築とアートの新しい関係」にARCHITECT TOKYO 2009関連のレポート記事を寄稿させて頂きました。

ARCHITECT TOKYO 2009──アート・ギャラリーで建築展を開くという試み(藤村龍至)

同特集では美学芸術学の天内さんも寄稿されています。

記録することの意味(天内大樹)

川俣論>磯崎論ときて、最後に藤村論!!

そのプロセスの重要な役割は、実は模型という形で残された彼らの検討プロセスのログ、あるいは設計要素=「変数」の一操作ごとに残されたダイアリーであり、それが集積されたアーカイヴである。過去の操作を保存する模型群は、設計の"Undo"操作を保証するためではなく、むしろ一つの「変数」を読み込んだときの操作を保存し、そのベクトルを無効にしないようにするためのものと考えられる。

そうそう。

そうしたベクトルの集積が、検索ないし比較の過程を具現化し、そこに建築家の職能を見いだす──というのが藤村の議論である。ここでも、アーカイヴの意義が別の形で読み込まれていることが理解できよう。

そうそうそう。

こうしたアーカイヴの重視は、おそらく方法論のドラスティックな進歩が見込まれているときに、見込まれた将来の方法論を適用する材料を集める過程を軽減することが目論まれている★7。おそらく、建築でも美術でも、そのような予感が広範に共有されているのだろう。

そう、そうなんだよね!

天内さんによれば磯材、川俣、藤村は下記のように整理されると。

磯崎:建築家の署名がどこまで有効かを測定するためにアーカイヴを利用する
川俣:美術家の署名につきまとうある種の思い込みを解除するためにアーカイヴを利用する
藤村:建築家の署名がそもそも成立するのかを測定するためにアーカイヴを利用している

なるほど。

このブログにしても、twitterにしても、ダイアリーやアーカイブをそのまま設計や批評の材料にしているような感覚がある。作家がログを残すことはコルビジュエの時代からあったけれど、ログ=履歴そのものを設計の材料にするような方法論はこれまでありそうであまりなかったと思うのだが、さまざまな情報技術や、それがもたらした想像力がそれを可能にしていることは言えるのではないかと思う。それを「新しい署名の方法」と定義することはできるのではないか。

つい先日、R&Sie(n)に務める木内君とペン大でセシル・バルモンドのスタジオを受講していた福西君と話す機会があった。フランソワ・ロッシュとセシル・バルモンドは現代のアルゴリズム表現の2大カリスマのような建築家で、そこで学んだ彼らがたまたま揃ったのは興味深い。

海外を見渡すと、どこかで見たような形態が氾濫している。似たような形態の洗練の度合いでしか比較できない。それらを差異づけ、意味付けるものは背後にある設計の方法論だが、それをまともに議論しているのは日本しかない、と木内君はいう。

ヨーロッパやアメリカの建築が全体に行き詰まっているのは確かだが、木内君がいうほど日本で設計の方法論の議論が盛んだとは今のところあまり思えない。「結果論」としてプロセスを公開するような企画はいくつかあるけれど、「方法論」として正面からプロセスの問題を議論している企画は少ないのではないか。まして、その社会的な意味を議論する機会はどれだけあるだろう。

結局のところ、表層で多彩な表現があふれているときに表現のオリジナリティをいくら追求しても、多少の流行はつくれるとしても、結局マーケットに消費されるしかないという構造は、アートも建築も似たようなものなのだと思う。そんな時代にいたずらに美術の表現だけ真似て、あるいは建築の表現だけ真似て、「建築とアートが近づいた!」と議論しても生産的とは言えない。どちらかと言えば、天内さんが指摘するような磯崎さんや川俣さんのように記録や表現を生み出す構造的なレイヤーでのクリエイションのほうに可能性があるのではないか。

ということは、建築家にせよ、アーティストにせよ、あるいは批評家にせよ、向かうべき方向は見えているといえる。10月の建築夜楽校シンポジウムは、今回のアートイベントで学んだことを持ち帰り、新たな議論を構築するきっかけとしたい。
fujimura

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2009年08月08日 09:38に投稿されたエントリーのページです。

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