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次世代の都市理論が完成するとき

2009年の夏休みは仕事の合間に後輩諸兄とフェスとか海とか行っている間に終わりました。2009年後半戦のスタートですね。

「ARCHITECT 2.0」展は相変わらず盛況。ブログ効果か、アンケートの調子がポジティブになってきた。入場者は一見少なく見えるが切れ目なく入ってきており、通常のGYREのイベントの1.5倍ペースで推移しているそうだ。LIVE ROUNDABOUTやシンポジウム等ではどんなに頑張っても200人の動員が限界であることを考えると、展覧会というメディアの大きさを思い知らされる。

そんな矢先、とてもポジティブな展評を発見。

2009-08-19 ARCHITECT JAPAN 2009─ARCHITECT2.0 WEB世代の建築進化論(Fairytale/Diary 童話日記)

近年まれに見る、「構造」と「批評」のある展覧会。裏を返せば本展キュレーターである藤村龍至さんが現代の建築界に投げかける批判的メッセージとしても読める。

我々の意図を読み取ってくれて、美術の状況と比較して下さっています。こういうレビューは嬉しいですね。

夏休み最終日の16日、東浩紀さん+宇野常寛さんの『Final Critical Ride』の打ち上げに参加させて頂く。荻上チキさんらと初対面。濱野智史さん、黒瀬陽平さんらと久しぶりに話す。東さん飲み会は毎回転校生みたいな気分で臨むがだいぶ慣れてきて楽しくなってきた。東さんのテンションにエネルギーをもらう。「建築界は外側と接点を持つべき。藤村はようやく開けた接点だ。これからも批評の世代交替のために共闘しよう」と檄を飛ばされる。

『Final Critical Ride』は1000円の同人誌というレベルを超えている。巻頭の仮面ライダー対談は異様に熱い。ライダー自体は見たことがないが、聖地が埼玉らしく、大宮とか川越とか東松山の写真が載っている。

濱野藤村対談「設計/デザインを考える」は今読み返してもとても刺激的な対談だと思う。いずれ建築系の読者にも読んでもらいたい。コミケ会場では学生も買いにきたそうだ。そのうちのひとり、後輩Nがレビューを書いてくれている。

全体を俯瞰するという価値(日常の想像力)

全体に読ませるが、最後が良くない。

この方法論は「ジャンプしない、枝分かれしない、後戻りしない」として、様々な設計条件を論理的に一つ一つ検証していくことで形式を発見し、成長させていく際に、同時に「イメージ」も形成していくことが意図されているのだと思うが(そこに飛躍しない飛躍という可能性が生まれる)そのイメージが形成される過程のダイナミズムをまだ実践できていないのではないかと感じる。様々な情報をコンテクストとして読み込んで行く時に、ハッとさせられるイメージを提示させられるかどうか、つまり日常を相対化できるかどうかがこの方法論の一つの勝負どころであると思われる。

要するに雑誌で見て「外観ダサくね?」っていう感想を述べている。よくある建築学生君のオチ。まだまだ読みが浅いのでは。

17日、夏休み明け業務再開。竣工検査やら会計やら原稿やらに追われる。この日から北大M1の石黒君と東大3年の西倉君の研修スタート。ふたりとも動きがよく、よくしゃべる。とてもよい。BUILDING Kのスタディをやっていた頃、生意気な東工大の後輩諸兄と議論しながら設計していた時期の雰囲気を思い出す。楽しくなりそうだ。

石黒はBUILDING Kの外観は好きだという。西倉はダサいと思ってましたという。好き/嫌いは趣味の問題なのでどちらでもいいのだが、ただ、ふたりともロバート・ヴェンチューリは知らないのだという。コルビジュエとコールハースの間にヴェンチューリがいることを、今の建築学生は知らないし、ヴェンチューリを知らないとBUILDING Kのアグリーさというのは理解されるはずもないのではないか。

18日、インタビュー取材@事務所。編集者の内野正樹さんがインタビューア。「フリーペーパーをつくった動機は?」から始まり、かなり綿密に練られたペーパーを片手に、次々と質問が繰り出される。少し話がそれると「それ違う」という表情をされるので空気を読みつつ話す。ほとんど面接試験である。

内野さんとこういうかたちでお話しさせて頂いたのは初めてだったので、とても緊張したものの、なんだかとても手応えを感じるインタビューだった。

途中、BUILDING Kの外観の話になる。設計の過程で、一旦かたちは完成したが、近隣住民の要望を踏まえて階数を下げたらプロポーションが崩れた。しかし、それでその建築のかたちはより多くの意見を読み込んだことになるので建築家としてはそちらのほうが満足だ、雑誌を見てプロポーションが悪いなどと言われるのは極めて表面的な印象論に過ぎず、建築家として目指すものが違う、という話をしたら、大いに納得してくれた。

別にカッコ悪いものを目指しているわけではないし、構成のレベルでの形式美のようなものはむしろこだわりがある(分節と統合のレトリックなど)のだが、今のところ表現としてうまく伝わっていないのだろうと思う。「アーティキュレーション」なんて言ってもなかなか理解できる学生は少ないので、後輩Nのような印象論ばかりが出てくる。

もっともその状況そのものは理論が浸透し、作品が増えるればそのうち改善されるので大して心配していない。妹島さんが出てきたときだって、みんな「ああ、あのおしゃれなパチンコ屋さんの人」とか言っていたのだ。それよりも今考えるべきことはたくさんある。

そのうちのひとつが、都市の問題である。19日、長谷川豪さん、中村拓志さんと一緒に参加している「地域社会圏」のミーティング@山本事務所へ。僕だけうまくかたちにならず苦戦していたので、この日は個別に特別ミーティング(ただの劣等生ですが何か)。ようやくおおまかな方向性はOKが出た。よかった、よかった。これで迷うことなくスタディに没頭できる。

山本さんは上機嫌でいろいろな集落の写真を見せてくれた。集落は奥深くて面白い。しばらく議論に花が咲く。

ブログに端を発し、フリーペーパーでの議論を経て、「超線形設計プロセス」という方法論は、「批判的工学主義」=新しい地域主義という目的を得た。そのおおまかなストーリーは『思想地図 vol.3』で構築することができたと思うのだが、問題はその先に構想される社会像をいかに描くか、である。まだ直感レベルの仮説でしかないが、恐らくジェネレーションの問題をアーキテクチャ的に建築化できたとき、次世代の都市理論は完成するだろう(とtwitterでもつぶやいてみた)。

それがどういうものなのか。その理論を構築するのが次のステップであり、当面の目標となる。僕の中では、40歳までにその理論を完成させるというおおまかな目標が生まれつつある。「地域社会圏」の研究会は、そのきっかけとなるあろうか。10月の締め切りに向けて、スタディを進めたい。
fujimura

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2009年08月18日 23:51に投稿されたエントリーのページです。

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