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LRAJ 2010 "METABOLISM 2.0" を終えて

2月6日、LIVE ROUNDABOUT JOURNAL 2010が開催されました。おかげさまで盛況のうちに終了しました。

1. 当日の「雰囲気」をざっと知りたい方はこちらをご覧下さい。
Y-PAC.TV vol.2 LIVE ROUNDABOUT JOURNAL 2010
フリーペーパー同様、当日会場で映像の「ライブ編集」を行い、公開したものです。
制作は横浜国立大学の学生グループY-PAC。

2. もう少し詳しく知りたい方は下記の実況レビューをご覧下さい。
LIVE ROUNDABOUT JOURNAL 2010 実況レビュー(松島JP)

3. さらに内容をじっくり追いたい方はust動画を公開していますのでご覧下さい。
#LRAJ2010 USTREAMレポート(fujii-TV)
公開は2月28日までの予定とさせて頂いております。

4. そして、裏方の様子を知りたい方は福島の建築家・佐藤敏宏さんのレポートをご覧下さい。
LRAJ 2010 もう一つのライブ(佐藤敏宏)

今回の議論はまず、冒頭の第1セッションで「メタボリズム」が社会工学を背景としていたのに対して、「メタボリズム2.0」は集合知との関係で建築や設計の問題を考えるという問題設定をしました。カプセルやメガストラクチャーのイメージが重要なのではなく、社会が技術革新とともに構造転換する時代に、設計という概念はいかに更新可能か、を議論することを目的としていたわけです。

この前提を共有するにはいくつかのアクロバティックな設定が必要でした。まず本物のメタボリストを呼ばないこと。単なる再評価ではなく、書き換えを行うからです。次に生命メタファーを断ち切ること。あくまで社会との関係で設計を論じるのであって、創作のためのメタファーが欲しくてこういう問題設定をしているわけではないからです。そして、イメージの話をしないこと。僕らはあくまで方法を問題にしているので、初期段階ではゴールイメージを出さずに議論する必要があると考えました。

結果的に、プレゼンタもコメンテータも物理や情報、批評家や社会学者といった異分野の論客が並び、連君や酒井君のような卒論と修論を出し終えたばかりの現役学生と磯崎新さんのような国際的な建築家がフラットに並び、設計について論じるという刺激的な状況が生まれました。

アクシデントもミスもあり、実力が足りないと思わされる場面もあり、反省材料には事欠かない1日ではありましたが、登壇者の方々を始め、周囲の方々のサポートを頂いて、積み重ねて来た議論をひとつのかたちにできたことに、まずは感謝しております。

他方、こうしたリアルな空間でのイベントのあり方については、いろいろ考えさせられる場面がありました。ustとtwitterというツールが広がって来て、ライブで文字起こしをしてフリーペーパーをその場で発行するということのインパクトが薄れて来ていると実感したからです。家にいても内容はustで十分に追えるし、twitterで熱気も共有できてしまう。twitterや他のメディアをゆっくり堪能できるという意味では家にいたほうがかえって情報量が多いのかも知れません。そのときにリアルな空間で何を仕掛ければより効果的なのか。

これこそがまさに、LRAJのひとつのテーマであった情報と物質の関係です。かつてレムコールハースは、情報空間の図式的明瞭性と物質空間の空間的刺激の関係を論じていました。しかし、今はパソコンのモニターの前のほうが空間的刺激を享受できてしまう。空間的刺激だけでは、人を動員できなくなる時代が到来してしまったのかも知れません。このことは、デパートをはじめとして、小売店がどんどん縮小し、本やCDが売れなくなって来ている昨今の状況とパラレルだと思われます。

もうひとつの問題は、設計者と利用者の関係です。twitterを通じて、観客の反応が直に返ってくるのは刺激的であると同時に、単なる野次のような投稿も誘発してしまいます。そこで今回はtwitterの投稿をダイジェストし、誌面に反映させるという仕掛けを導入しました。炎上に陥らずに観客を巻き込み、生産的な議論を立ち上げる方法については、今後も実験していきたいと思います。

このようなことは基本的に単なるイベント運営上の問題に聞こえますが、集合知をどう立ち上げ、制度設計に反映させていくかという、社会的な課題の縮図でもあります。その意味で、イベント運営の改善点を話し合うことは、そのまま社会へのアプローチ戦略を練るためのスタディになるという問題意識があります。アンケートの意見もふまえ、成果をよく分析して次回以降のイベント設計に活かしたいと思います。

ともあれ、今回も多くの方々に支えられて活気ある議論の場を実現させることができました。ここで得たこと、特に「情報と物質の関係」「設計者と利用者の関係」という基本的な問題をベースに、また次の仕掛けを考えていきたいと思います。

特にヴィジョンを示すことについては、ゴールイメージを避けるという方針で最初にあまり出さないようにしてきたわけですが、今回のイベントでなんとか議論のフレームを提示できたので、今後徐々にかたちにしていきたいと思います。既に展覧会の企画なども動き始めていますが、今回に限らずRAJ関連のイベントや出版物は一過性のものではなく、連続したひとつながりの運動として、継続的に仕掛けていくつもりです。皆さんのお力添えがあれば幸いです。
fujimura

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2010年02月23日 09:47に投稿されたエントリーのページです。

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