再開します
こんにちは。今日からまたジャーナルをつけはじめることにしました。
ひきつづき、藤村くんは主に東京から、山崎は京都からの書き込みになると思います。
毎日のご報告、といったところでしょうか。おつきあいいただければ幸いです。
yamasaki
こんにちは。今日からまたジャーナルをつけはじめることにしました。
ひきつづき、藤村くんは主に東京から、山崎は京都からの書き込みになると思います。
毎日のご報告、といったところでしょうか。おつきあいいただければ幸いです。
yamasaki
お久しぶりです。しばらく間が空いてしまいましたが、それぞれ状況も変化したところで、リニューアルさせて頂きました。まずはjournalをサンドイッチ・ブログ形式で再開ということで、よろしくおつきあい下さい。
fujimura
月評に悩む。締切はとっくに過ぎてしまっているのだが・・・。これまでのを読み返してみると、なんともさらりと読めてしまうのだが、これでも毎月毎月七転八倒している。いつも作品を擦り切れんばかりに読み込んで、なんとか刺激的な評論に仕立て上げたいと考えているのだが・・・。
「最近勢いがダウンしている」とつかもと師や後輩諸君にダメ出しされてきたが、10月号の青木藤本論はわりと評判が良かった。「今までで一番いい」という人も何人かいた。二項対立なんて猿でもできる評論の形式で少し安易なのだが(実際そういう批判もあるにはあった・・・F事務所のA君とか)、言いたいことは整理しやすいし、伝わりやすい。
今月はどうしようかな。ラインナップとしては、SANAAのトレド、石上さんの工房、松川さんたちの海の家あたりを攻めようと決めてみた。いろいろな展開があり過ぎてすでに数パターンはスケッチできてしまったのだが、オチが決まらない。うーん。
仕方ないのでいろいろたまっていた仕事を片付ける。労務関係の書類を大量に作成してみたり。今夜中には決着つけなくては。
fujimura
今日から永山祐子展の仕込み。京都精華大学と京都工芸繊維大学から計10名強の学生さんたちが駆り出され、永山事務所の木原さんの切れ味鋭い陣頭指揮のもとでがしがし働いていました。今日は展示の目玉の一つ、超巨大な竣工写真の設置。もうものすごい迫力。ああいう写真を見たことある人はほとんどいないんじゃないだろうか。明日はいよいよ永山さんが来て、一気に配置を終える予定です。
企画段階で「そんなに若いのに展示する内容があるのか?」という反応をもらったことがある。わかる。当然の反応だと思う。ただ今回は、永山さんの活動を振り返るような回顧展的な「陳列」をしたいんじゃなくて、あくまでも、自分の作品を伝えることを通じて、永山さんに「新しい空間」を作ってもらえたらいいなと思っていた。
独特の不思議さ(ほめ言葉です)を背後にもった建築をつくる永山さんだから、きっと「展示なるもの」との相性が良いに違いないと思って、お願いしました。展示ってある意味つかみが重要なので。もちろんそんな期待など軽く吹っ飛ばす「才能」が、実際は展示されることになるわけです。10/21-11/28、どうぞお楽しみに。
yamasaki
午前は事務所にて定例。いろいろ確認。13時、昼飯を食べていると不意の来客。青森の祖父母であった。以前から「事務所を見たい」といっていたので見せる。5分で帰り、静岡へ向かう。
14時、移動して東工大で東浩紀の授業「ポストモダンと情報社会」。2年生に混じって受講する。文系の授業なんて10年ぶりである。遅刻したので後ろの方の席だったが、睡魔に倒れる学生が続出し、次第に視界が開けていく。ラカン、デリダ、フーコー、ドゥルーズ、リオタールなどをハイテンションで解説。話が脱線しまくるが「まあそんな話をしてもしょうがない」といって無理矢理戻していく。
「60年代のフランスの現代思想が70年代にアメリカに輸入されたときに、『脱近代』という理論的テーマが『脱工業化』という社会的テーマとブレンドされた。誰もこういうふうには説明していないかも知れませんが、ここが一番大切です。覚えておきましょう。」という結論が印象に残る。東さんらしい説明だ。
製図室で2年生に絡んで若干の議論をし、研究室に顔を出して4年生の論文を見たあと、事務所に戻ってスタッフと打ち合わせ。17時、スーツに着替え、都内某所の測量事務所を訪問し打ち合わせ。その後事務所に戻って着替え、20時から建築ノートの巻末企画「Table of Youth」の勉強会。大学院生を中心に週1回集まっている。若い連中と気ままに議論するのは楽しい。
前回同様、大学院生12名を集めてみんなでコラムを書かせてもらう予定。面白いメンバーが揃ったので濃い内容が期待できそうだ。スタッフと打ち合わせ後、終電で東工大に戻り、後輩と議論とかしつつ、深夜3時ジャーナルを更新。
fujimura
今週は既存のプロジェクトに動きがある一方で、新プロジェクトがいくつか動き出しているので、身辺はにわかに慌ただしかった。静かなときは静かなのに、お座敷がかかるときはいつも同時だ。
24日、午前は所内で打ち合わせ。午後はとある件の打ち合わせで横浜へ。久しぶりだ。用件を済ませ、事務所へ戻る。翌日のプレゼ内容を確認し、夜は先日声をかけて頂いたある企業の担当者の方々と会食。先日させて頂いたプレゼについて、担当者の方は「意表を突かれた」と表現されていた。条件を整理して可能性を場合ごとにパターン化して提示させて頂いたのだが(藤村事務所はそういうプレゼが多い)、頂いたお話の内容からすればちょっと枠を広げた内容だったかも知れない。
25日、既存のプロジェクトで懸案事項がまとまりそうだったので久しぶりに関係5者によるミーティング。問題は次から次へと出てきて気が遠くなりそうだが、こういうときこそ緊張を保たなければいけない。その後大学へ飛んでいき、17時過ぎ、塚本研のゼミへ。30分ほど遅刻したため塚本師の機嫌が悪いが、そういうときは内容でフォローしようと頑張るので逆に発言は冴える(気がする)。ゼミは夕食なしで22時30分頃終了。事務所へ飛んで帰り、翌日のプレゼ内容を確認。いろいろやり残しがある。
26日、午後イチで新規プロジェクトの初回プレゼンテーション。いろいろご意見を頂き、修正を約束する。スケジュールが少し延びそうなので、時間があるうちにスタディを重ねることにする。16時、大学へ戻り大学院生の授業へ。Adnan Hrambasicというノルウェー人建築家の集中講義のアシスタントをしているのだが、この日は横で聞いて時々コメントするのみ。半分が外国人留学生ということもあり、グループ作業なので一見よくわからないが、しばらくみていると学生の能力差とか役割、掛けた時間の差、というのは手に取るようによくわかる。仕事上でも、短い時間に掴んだ相手方の人間関係などがプロジェクトの鍵を握ることがあるが、それは自分たちにとっても同じこと。他山の石としよう。
27日、朝から諸手続きで役所を回る。途中、旧渋谷公会堂(C.C.レモンホール)の前に大量の熟年女性が集まっており、何かと思えば氷川きよしのコンサートだった。あれだけ特定の世代にアピールできるのはすごいことかも知れない。夕方、事務所へ戻り書類整理をしていると、最近ヨコミゾ事務所から独立した伊藤君から電話。たまたまその日が事務所のオープニングとのことで偵察に出かける。会場に着くと女の子やガイジンが大量に集まってオサレムードに満たされており、さすが段取り上手の伊藤君・・・と、うっかりと勘違いしてしまいそうであったが、実はシェアしている事務所の方々の合同パーティ。23時、大学へ戻ると学園祭の準備が行われており、若者ムード。デザイン研の連中が設営中で話を聞く。自分たちの作品だからか、緊張感と充実感のある表情がよい。製図室を覗くと学生が数名いたのでいろいろ話を聞く。学年に「やる気のあるやつ」「知識のあるやつ」がいないのが悩みだとか。周りを育てないと、自分も育たないよね。それはいくつになっても同じこと。1時すぎ、研究室で若干の調べものをして帰ろうとすると校門近くで酔っぱらった塚本研の学生たちとすれ違う。コンペの打ち上げで飲みに行っていたらしい。疲れがたまっていたせいもあり、なんとなく調子の合わなさを感じるが仕方ない。
28日、昼前に社会工学科時代の同級生である大東君から電話。社会工学科の同級生はコンサルや金融関係が多いのだが、彼は設計をやっている数少ない同志である。近所に現場があり、渋谷まで来ているとのことで急遽来所。彼は社会工学科の大学院を出た後、外資系の設計事務所に就職している。仕事は外資系のオフィスのインテリアが多いらしい。就職、結婚、子供、と人生双六を快調に駆け上がる彼の次に狙うところは、転職かマイホームか。「子供が小学校に入る頃には自然の多いところに引っ越したい」のだそうだ。オトナだなあ。事務所を隅々までチェックされ、「椅子くらいは良いの買えよ。安いところを紹介してやるよ。」とありがたいアドバイスを頂く。事務所設立時にお施主様から頂いた椅子もあるのでしばらくは控えようと思っていたが、そろそろ考えようか。16時、谷内田事務所のオープンハウスにお邪魔させて頂く。今年に入って3回目だが、今回もまたいろいろ勉強になった。谷内田事務所の仕様は比較的統一されているのだが、逆に担当者の違いが出ていて面白い。今回のはとても繊細な感じがした。途中下吹越事務所の高橋君と会い、仕事の話など聞く。こういうときの情報交換はなかなか得難いものがある。
今週はこんな感じでした。
fujimura
永山祐子展、無事オープンしたようで、おめでとうございます>キュレーター氏。こちらではオペラシティギャラリーで開催中の「伊東豊雄 建築|新しいリアル」を見てきたので感想を。
まず会場構成について。展示は以下のようになっていました。
SPACE A:最近のテーマである「エマージング・グリッド」というコンセプトについて解説
SPACE B:「物質」をテーマに、1/1の図面、TOD'Sの1/1モックアップなど
SPACE C:伊東事務所の歴史について、関係者へのインタビューを交え、年表形式で総括
形而上(概念)/形而下(空間)/年表と、かなりオーソドックスな三部構成でした。建築関係以外の人にもわかりやすい感じ。
SPACE Bで壁面のTOD'Sの実物大模型を見て思い出したのが、GAギャラリーで開催された「Alchitecture展」。アルミ建築をテーマにした展覧会で、吹き抜けのところの大きな壁面に1/1の断面模型がありました(よね)。
それを作ったのは何を隠そう私(と友人H)です(威張ることではないが)。伊東事務所のオープンデスクに呼ばれて行ったら、中山さんに「フローニンヘンのアルミの家の実物大断面模型を1/1で作って下さい」と言い渡され、大量のアルミレンガの断面をひたすら切り抜きました。事務所に場所がないということで、自宅に持ち帰って製作したり。
床に並べるはずが、あるとき伊東さんの鶴の一声で壁に吊ることになって、本当に断面を切ったみたいにしようと、スタイロフォームとか、床の断面の根太とか、フローリングとか切って並べました。模型はバラバラのアルミレンガを繋いでいるので精度が出にくかったり、全体を吊っているので垂直を出すのが難しかったりで設営にすごく時間がかかったなあ。設営後、なんとか締切に間に合ってみんなでほっとしていると二川幸夫氏が現れて、車の断面がそうみえなかったらしく、「これ何?」「車です」「・・・あんまり、センスないな」と言われて一同がっかりしたり。懐かしい思い出です。
そのときはアルミの薄さが本当に「薄い」ということを示すという命題があり、「1/1でなければダメ」「断面は垂直面でなければダメ」という具合に、物質性とか空間性をそのまま表現する、というのが展示の趣旨でした。今考えれば、ちょうどその頃「せんだい」の生々しい現場が進行していたわけで、伊東さんの考えが概念的、比喩的なものから、より物質的、空間的なものへと、ドラスティックに変化しつつある頃だったのでしょう。
今回の会場構成は、その分節がSPACE A(概念)とB(空間)の間でより明快なものとされていて、それはまた、伊東さんがずっとこだわっている「ふたつの身体」をそれぞれフォローするものとなっています。
SPACE Cは、細長い空間に年表が並び、ドキュメンタリーがそのまま空間化されたような展示となっており、これもオーソドックスだけどとても見応えがありました。泉さんが初めてメキシコ出張に出かけたときの話など、なかなかドラマチック。そのほか、佐藤光彦さんの「かつては伊東さんのスケッチを楕円に置き換えたりしていたのが、最近はそのままになってきている」というコメントが、伊東建築の変化を端的に要約しているような気がしました。
展示全体を通じて、本質的な問題はただひとつ。「『生成』が比喩ではなく現実の空間を設計する原理となるかどうか」が繰り返し問われています。1970年代以降、伊東さんの言説は、概念と空間の境界(=今回の展示でいうSPACE AとBの境界)が無くなる状態を目指し続け、それができなかった(「建築」になってしまった)と限界を告白する、ということの反復でした。しかし、「せんだい」が竣工した2000年代以降、プラクティカルなレベルで両者がどんどん近くなってきているという加速度を感じます。
SPACE Aで展示されていた「台中」の模型のフラットな床と、SPACE Bの3次曲面の床の孔。両者は何か共通する異物感を持っています。あれがなければ、もっと空間が概念に近づき、概念は空間に近づくのではないか。そう思った人は多いはずです。個人的には、サーペインタイン・ギャラリーのフラットバーに腰掛けて本を読んでいる人々の光景(構造と家具の融け合った状態)に、何か突破口があるように感じました。
fujimura
各方面より「ジャーナル復活したんですね」と突っ込みが入っております。
さて、週明けは事務所でさくっと定例。15時、東工大で授業のアシスタント。東工大では毎年秋に集中講義があり、毎年塚本先生よりアシスタント役を頂戴しております。
2003年秋「Urban Farming」講師:Jacob van Rijs氏 吉村靖孝氏
2004年秋「Ookayama Green Scape」講師:Bernt Knies氏
2005年秋「Terraventure」講師:Wiel Arets氏
2006年秋「Tsukiji Workshop」講師:Adnan Harambasic氏
他にもTokyo Canalとか、いろいろ声をかけてもらって部分的なものもありますが、お手伝いしてきました。学部生の頃からいろんなワークショップに参加してきましたし、基本的にワークショップのノリが好きなので、仕切る側になってしまってもなんらかのかたちで関われることは基本的に嬉しいのです。
最近それがだんだん苦痛になってきました。理由はいろいろありますが、
1.議論が図式的になる(代表例:「日本ではコンビニがあるからキッチンはいらない」とか)
2.具体性は問題じゃなくなる(代表例:「看板の裏に住む」とか)
3.設計がどうでもよくなる(代表例:コラージュに満ちたプレゼとか)
など、バックグラウンドの違うメンバーが集まって濃密な時間を共有する面白さを得る代わりに、建築的なコミュニケーションが希薄になってしまい、ちょっと物足りない感じがしてしまうのです。もちろん、いいワークショップはこれの逆なのですが、単なるコクサイコウリュウならば旅行でも行ったほうがマシなのではという授業もありました。
今回のは学生の取り組む姿勢は比較的マシな感じですが、テーマとしては正直いってあまり自分の役割を見いだせないでいます。
最近は大学院生よりも、学部2年生の授業「設計製図第一」のアシスタントのほうがやりがいを感じます。不慣れな分待ち時間的なものは長いけれど、伸びが素晴らしい。慣れてくると「図式とは何か」「形式と何か」「レトリックとは何か」など、だんだん建築的な議論ができるようになり、図面も見違えるように変わっていきます。全然描けない、と泣きついてきたのに、ほんの数時間で一気に伸びる子もいます。もちろん、適当にやり過ごしてばかりでがっかりさせる子もいますが、全体として教わることが多い。教育には昔から興味があるのですが、方向としてはやはり専門教育よりも初等教育のほうに興味があるなあ。
20時、事務所に戻り「建築ノート」関連の勉強会「Table of Youth」。建築系の大学院生がほとんどなのですが、初めて文章書きます、みたいな人も多いので、これも一種の初等教育のようなものかも。もっと専門的なメンバーにして、高度な内容にしたほうがいいのでは、という意見もありましたが、僕としては若い連中とフラットな感じでつきあっている方が勉強になるし、一緒に成長できるような感じがして楽しいので、このまま続けられたらと思っています。
そんな今日この頃。
fujimura
30日、朝事務所、午後東工大、夜事務所。月曜恒例のToY2の勉強会もいよいよ佳境。各メンバーとも、それぞれのコラムの方向性を定めつつあります。終わる頃、藤本壮介さんから月評の感想メール。「分析のための分析」「肉声が聞こえない」など、藤本さんらしくソフトですが厳しめなコメントでした。早速、お返事を書き始める。
31日、新建築11月号届く。毎月末に翌月の新建築が届き、数週間の苦しく、楽しい時間が始まるのですが、今月も巻頭から伊東さんと藤本さんの対談あり、SANAA、SOSの新作あり、と見所満載。今月も悩みそう。
月評って、なんていうか、「Z会」みたいな感じなんですよね。添削はないですけど。
10月号の自分の月評については、議論の軸はそれなりに明快なものができたと思いますが、文章表現のレベルで整理しきれなかった感あり。今月はいよいよ最後なので、ぴしっとキメたいところ。
1日、午前事務所、午後東工大。ゼミで発表を試みるも塚本師の反応はイマイチ。23時頃終了。仕方がないので終了後後輩と飲みにいく。そういう夜もありますよね。
2日、午前事務所、午後東工大。件の国際ワークショプが終了。Mappingというお題はやや空振り気味でしたが、学生たちは終盤で急激な盛り上がりを見せ、いつになくプロダクティブな最終プレゼ。数年前に比べると学生の英語レベルも上がっている感じがしました。終了後、おでんパーティでシメ。21時、事務所戻り。
・・・いつもはここで終わりなのですが、この日は事務所から戻って24時、後輩Y、N、Sと緑が丘で待ち合わせ。最近YやFが夜中に近所を走っていると聞き、つられて先週くらいからひとりでなんとなく走り始めたのですが、この日は一緒に走ることになり合流。30分だけ走る予定が、いつの間にか駒沢公園まで往復することになり、途中道を間違えるなどした結果、合計10km近く走ってしまいました。最後は無駄にラストスパートなどしてゴール。15年ぶりくらいに部活的風景。気持ちよすぎる。
3日、朝から後輩Sを引き連れ101design+川口有子さんによる「多摩の家」オープンハウスへ。最下階のシンプルな郊外住宅的な空間から最上階の東工大的空間へ至るシークエンスの展開が面白かったです。
4日、深谷でsoupdesignによる「KNOT」オープンハウス。土井さんとは今年の学会ワークショップ(ArchiTV)の審査員でご一緒させて頂きました。ある意味ではとても埼玉的な、厳しい文脈に対し最大限の建築的パフォーマンスで応答されていて、とても刺激になりました。
5日、千駄ヶ谷でAPPOLOによる「GRAPH」オープンハウス。Tokyo Canalで一緒だった小牧君の初現場担当作ということで全力ゼミメンバーの伊庭野(N設計)、本瀬(F事務所)と見に行きました。小牧君が軽くテンパり気味だったので質問を控えめにした結果、「外は何ですか」「公園です」「いい環境ですね」みたいな、不動産屋さんと内見に来た客のような会話を交わしてしまいましたが、気持ちのよいインテリアでした。次回の担当作は来年夏竣工予定とのこと。楽しみです。
そんな一週間。
fujimura
永山さんの展覧会が始まって3週間。たくさんのお客さんに恵まれた展覧会になってます。先日はご師匠の青木淳さんもご来場。ありがたいことです。ていうかTARO NASU OSAKAの青木展は良いです。一ユニット3.5万円の、照明入り発砲スチロールキューブ。これがつながってユニット化し、照明のオブジェになっています。永山展を企画しているときも思ってたんだけど、いま光って考えるべきタイミングに来てると思うんだよなあ。
ところでこの永山展は、4年前に見たafloat-fの衝撃が動機になっています。あの、異常な光量が投入された屋上庭園の不気味さ。空間が光で出来上がっている建築を見て、こういうことをできるというのはどういうことなのかと、ずっと考えていました。
永山さんにはこの展覧会に対して「この展示ひとつとってそれを永山さんの作品だと言えるような、空間と呼んでもいい展示にしてほしい」とお願いしました。建築の展覧会ってただでさえ仮設的だし、建築の展覧会は、ふつう、模型と写真が主な要素。ちょっと気が利いて図面とかスケッチが加わる。もうちょっと気が利いてオブジェみたいなインスタレーションをつくる(サーペンタインとかも大雑把に言えばこれ)。でも今回は、ぜんぜん建築的じゃない展示がメイン。まったく建築じゃないと一見思えてしまう「光のおもちゃ」がそれです。二枚の偏光板の間に、イマジナティブなモチーフが描かれたアクリル板をはさみ、観察する。組み合わせのパターンがたくさんあり、いちど自分で遊び方を見つけると(解説もついてますが)けっこうはまります。これいいですよー。おかげで観客の滞在時間が今までで一番長いかも。「個人的に」楽しめる展覧会になってると思います。一人で来ても二人で来ても、三人以上でも楽しい。来た人それぞれが楽しめるものになっているのではないかと。
いわゆる建築写真も、2300mm×3000mmの巨大パネルが2セットとか、魅力的なスケールアウトぶりです。パネル写真の前に立って、立っている様子を離れたところから別の人に撮影してもらうと、写真上では、オープンハウスに行ったかのような写り方になってしまうぐらいでかい写真です。
青木さん書き下ろしのテキスト(2000字)が入ったリーフレットと、ポストカードも売ってまして、これがまたかわいいです。
そういやこの「メーク建築」は、isshoの集合住宅を見て思いついたような記憶があります。「モテメイク」を建築にも。ていうかいつからそんなあっけらかんと「モテ」が語られるようになったんだっけ。けれんみの向く方向が、いまはそっちなのか。いやもう全然知らない領域なのでなにがなんだか。ただ、化粧って光の操作(見え方への興味)だとは思います。
yamasaki
ここしばらくはご来客が続きました。まず火曜日には西澤徹夫さんがご来館。
ひと通りご挨拶していろいろとお話ししていただけました。青木事務所出身の西澤さんにお聞きしたかったのは、事務所内でのディテールの継承方法。周知の通り原則四年制の青木研。さいきんディテール集が出たわけですが、青森のようにひとつのプロジェクトにおいて担当者が複数いる場合や、プロジェクトの途中で担当が変わる場合、次にやってくるスタッフが必ずしも経験豊富なわけではないはず。むしろ大学を出てすぐの若者である可能性が高そう。青木さんが直接口を出す場面はなんか少なそう(←想像です)。となると、実務経験の浅い新担当者はどうやってディテールを克服し、プロジェクトを完遂させるのか。事務所になんかとっておきの分類方法とか、対処マニュアルがあるんじゃないか。
とまあそういう疑問を、実務ばりばりのインテリア事務所で働いている友人が常々口にしていたのです。で、お聞きしてみました。結論から言うとそういったマニュアルめいたものはいっさいなく、新担当者はとにかく勉強するらしいです。あとは昔の作品を参照して、OBに直接電話したりするんだとか。まあそうですよね。でも青木研のスタッフ同士が独特のつながり方をしているからこそなんだろうな(青木さんの誕生日には毎年OBが相談してプレゼントを決め、持っていくんだそう)。それに若くして世に放り出されるっていう事情もあるだろう。採用段階で、まだ知らない新しい知識に対して素直なひとが選ばれているのかもしれない。
週の後半には阿野太一さんが再び上洛されていたので、金曜日に龍門へ。岡田さんや森田さんとかとくやまにも声をおかけしつつ、阿野さんの情報ツウぶりに驚嘆しながら料理を堪能。この日は龍谷大学のキャンパス内に作られた飯田善彦作品の撮影だったそうですが、撮影日における各社カメラマンの駆け引きのお話しなどなどなどなど伺う。こういうプロの貴重なお話し、プラクティカルな意味でなにかの役に立たないものでしょうかほんとに。
今日は神戸芸工大の花田先生がいらっしゃいました。afloatの現場工事をご覧になったことがあるとか。正直うらやましい。偏光板の実験コーナーにいたく感じ入ってらっしゃいました。このコーナーにはまると、多くの人の滞在時間が大幅に更新されます。
あと個人的には、X社にちょっと書かせてもらった原稿や、初めて構成から文章までやらせていただいた、イラストレーターへの取材原稿の最後の詰めの作業とかしてました。とくに後者のお仕事は畑違いすぎて面白く、仕事としてもとても勉強になりました。いや建築だって畑違いには違いないんですが、正直もうなにが自分のフィールドなのかわかりません。どちらも来月出ます。
yamasaki
13日、朝イチで某所の現場にて施工業者と打ち合わせ。施工会社の社長は僕よりも若い方でした。予定より長引いて午後の東授業は欠席。
事務所へ戻り、夜はTable of Youthの勉強会。この日で第2期の最終回を迎えました。「建築ノート」の巻末企画として始まった第1期から約1年。留学や就職などでメンバーの半分が入れ替わり、現代思想や社会学の知識がある人、卒業設計やコンペで賞を取っている人、独自の創作論を展開する人など、今回も各大学から多彩なメンバーが集まりました。
このところ集中して週1回のペースを維持したおかげで、話題もそれぞれに展開し、ユニークな評論集になりました。前回と同様、「建築ノート」2号の白黒ページに掲載される予定です。事務所での議論はどうしても実務に偏るので、こういう機会はとても貴重ですね。引き続き第3期に繋げて行ければと思います。
14日、朝事務所に出て、午後は塚本研のゼミ。その後留学生の自己紹介+帰国組の報告会。留学先で得たものは様々あるようですが、留学は帰ってきてからの過ごし方のほうがむしろ難しいと思います。頑張ってほしいものです。
15日、構造打ち合わせ。「かたちをもっとシャープに」とリクエストが入る。期間もコストも限られているなかで勝負できることを一瞬のうちにまとめなければならない場面では、筋力のようなものが問われます。
16日、某社でプレゼ。基本的な方針は認めて頂いたのですが、プランに不安があるということで細かい詰めをすることになり、スケジュール変更することに。事務所へ戻ると友人Tから「近くまで来た」ということで連絡があり、会いました。深夜、後輩YY、Kと走る。
17日は終日仕事。夕方打ち合わせ。
18日は13:00施主プレゼ。その後東工大に行き作業した後、事務所へ、19:00に塚本研の先輩OBのカガワさん来所。ときどき事務所に遊びに来られては、進行中の模型や図面にありがたい突っ込み(というか脅し)を下さる優しい先輩です。今回は「建築家は内装というと棚ばかり作る」とご批判を頂く。
19日は朝から埼玉に戻ったり、いろいろ用事をこなして、19:00より全力ゼミ。いつもは飲み屋とかで互いの近況報告をしながら議論するというざっくばらんなスタイルなのですが、「もう少し生産的な議論をしたい」ということで今回からは事前に統一のお題を出して各自レジュメを準備することに。
どうしても時間が取れず手ぶらで出席したところ、他のメンバーは全員レジュメを書いてきており軽く気まずい。どのレジュメも濃い内容で議論に花が咲きました。全員実務をやっているので、ToYとは違うテンションの高さがあります。
彼らは基本的に東工大の後輩たちですが、研究室も違うし、特に接点がある訳でもなかったのです。彼らが就職してからときどき終電で会うようになって議論するうちになんとなく始まったこのつきあいも、早いもので1年半近く続いています。それぞれ仕事が忙しいのにもかかわらずダレることなく集まりが維持できているのは、メンバーの意識の高さによるところが大きいですね。今後が楽しみです。
今週はこんな感じでした。
fujimura
20日、朝は事務所。原稿が大詰め。月評に加え、建築ノート、Jtの作品解説など立て込んでいる。19時よりUBC(ブリティッシュコロンビア大学)のスタジオにお招き頂きレクチャー。前回の講師が乾久美子さんで、翌々日が藤本壮介さんの講演だそうですが、他の方々よりも年齢が近いということで、なるべく素な感じでお話させて頂きました。
英語というのもあり質問にはあまりうまく応えられなかったのですが、今村創平さんがいろいろフォローして下さいました。ありがとうございましたm__m。
21日はプレゼデー。まず朝11時、青山の某社へ伺ってプレゼ。まとまる。事務所へ戻り、15時、今度は埼玉で施主プレゼ。1回目なので緊張しましたが、無事受け入れて頂くことができました。事務所に戻り、新建築の月評ゲラを送信。これで全12回終了。編集部の中村さんには最後までご迷惑をお掛けしてしまいました。18時半、渋谷の某社で3件目のプレゼ。こちらもなんとかOK。
22日、朝11時に編集事務所にて建築ノートの企画「Table of Youth」の原稿提出+打ち合わせ。メールでもよかったのですが、いろいろご迷惑をお掛けしていることもあり、あえて持参することに。担当のKさんとお話しして雑誌全体の空気感もつかめました。今回も面白くなりそう。
午後は塚本研のゼミ。その後留学生の自己紹介+帰国組の報告会の2回目。深夜、後輩YY、K、Nと8kmくらい走る。
23日、終日仕事。16時オーノさん来所など。
24日、朝事務所、15時塚本研でゼミ。卒論、修論ともに大詰め。つかもと師も以前言っていましたが、「M2の冬」はとても楽しいもの。論文執筆の最終段階は思考力の伸びを実感できる機会ですし、特に修士の学生は純粋に「研究だけ」に集中できる人生最後の時間だと思います。そういう時間を共有できるのは楽しい。
25日、後輩I、F、Mと千葉事務所の見学会へ。Mを待つ間、後輩Iが「会社を辞める」というのでFと話を聞いていたところ、(いつも通り)ただの自慢話に。
集合住宅はスタッフによるツアーガイド形式で、我々のガイドは塚本研出身の後輩T。生意気キャラだったTも、だんだん落ち着いて来たなあと思う。建築は駅前、雍壁という土木的なスケールへの対応と、千葉さんらしい図式的なプランのまとめ方でした。設備スペースの解き方は執念としかいいようのない緻密さで、とても勉強になりました。コストのこともあると思いますが、窓にしろ、中庭にしろ、ヒューマンなジェスチャーが全くないのがこの建築の特徴だと思いました。15時、事務所に戻っていろいろ詰め。
今週はこんな感じでした。
fujimura
27日、東さんの授業に3週間ぶりに出席。途中からの出席になってしまいましたが、前半は「解離性同一性障害 (Dissociative Identity Disorder=DID)」について、後半は「動物化するポストモダン」について。「動物化するポストモダン」の解説は、主に時代区分についての解説でした。
1945-70年「理想の時代」
1970-95年「虚構の時代」
1995年-「動物の時代」
東さんは社会学者の大澤真幸らが主張する「理想の時代」と「虚構の時代」の時代区分に加え、1995年以降は消費材と情報処理だけがある「動物の時代」であると主張しています。
そういえば、新建築10月号に掲載されていた伊東さんと藤本さんの対談で、「動物」というキーワードが出てきていました。五十嵐さんが藤本さんの展覧会を評して「動物的」だと述べたのだそうです。対談ではわりとフツーに「直感的」という意味で使われていたので残念ながら「動物化」の議論とは関係なさそうですが。
28日は終日事務所で仕事。終電で大学へ行き塚本研で論文生の進行状況をチェック。
29日、プレゼ。プランに関して了承を頂く。案に対するだいたいの疑問は解消して頂けたようでひと安心。複雑な問題が一気に解けてきました。その後塚本研でゼミ。卒論は大詰め。
30日、この日もプレゼ。こちらも了承。そのまま見積図作成に入ることになり事務所に戻って指示。夜、山崎さんが東京にいるとのことでMDRの飯尾さん、INAXの高田さん、ぽむ桂さんと新宿で飲みました。その後深夜後輩YYと駒沢公園まで往復8km。アルコールが抜けず体調的には辛めでしたが、走ってしまえば気持ちよい。
1日夜、ギャラ間で千葉展オープニング。新建築の編集の中村さんに「展覧会どうでした?」と聞かれたので気楽にコメントしたところ、「展覧会評書く人探してるんだけど」とのこと。・・・まさか試されていたとは。
結局書かせて頂くことになり、さっそく会場に戻って千葉事務所に勤める後輩T(ガイシュツ)と議論しつつもう一度おさらい。複数の作家を並べることのできる月評と違い、千葉さん個人の評論となるので緊張しますね。
2日は奨学金を頂いたロータリー財団の集まりがあり、埼玉へ。年度が変わったので毎年発行される機関紙の編集、名簿の管理の方法等、役員同士の引き継ぎ内容を確認。その後、来年出発する奨学候補生のオリエンテーション。自己紹介、財団の話等に続き、スピーチの練習等。
今年の候補生は、国際政治を専攻するU君と環境社会学を専攻しているS君。それぞれ南アフリカ、アメリカへの留学を希望しています。この日のお題は、「それぞれの専攻分野等について、15分で述べよ」というもの。
U君は沖縄出身で、子供の頃から「なぜ戦争が起こるのか」と考えていたのだといいます。大学に入り国際政治を専攻し、フィリピンにフィールドワークに出かけた際、都市開発によって追い出された人々が暮らしている山間部の悲惨な状況をみて、教育開発の問題に取り組み始めたのだそうです。
S君はもともと野生動物に興味があり、大学に入って「環境社会学」と呼ばれる分野を専攻するようになったといいます。野生動物には希少種が絶滅してしまう方向と、生態系のバランスが崩れたことで特定の種が激増するという方向の、両方の問題があるのだとか。アメリカではオオカミの絶滅によって過剰に繁殖したシカの頭数を抑制するため、カナダからオオカミを輸入し、生態系の回復に成功したそうで、こうした問題についての議論を日本で展開していきたいのだそうです。
それにしても、ふたりともスピーチがうまい。慣れもあるのでしょうが、構成が明快で、リズムがよく、聞き慣れない話に人を引込みつつR財団の趣旨ともうまく結びつけています。
終了後、急いで事務所へ戻り、プリズミック・ギャラリーの 中村竜治展のオープニングへ。レクチャーは聞き逃してしまいましたが、会場は若い建築家、編集者などでとても賑わっていました。どれも思考の蓄積を感じる力作ばかりで、大変刺激になります。
例えばこの椅子には「とりあえず『椅子』のふりをしている立体」とでも呼びたくなるような、物理性と仮想性の不思議なバランスを感じます。また、椅子と並んでクマのぬいぐるみのようなかたちが並べられていることからもわかるように、中村作品においては、ある形態を「理解するための」ジオメトリーと、「作るための」それがきれいに重ねられています。
3日は休み。夕方、少しやり残したことがあり事務所で作業していると、後輩I(ガイシュツ)が来所。この日は朝からサッカーをやり、昼からアメフトの試合を観戦し、さらにフットサルの試合を3時間ほどやってきたとか。しかもこのところ毎日6時には退社しているのだという。「会社のグチ」といいながら、ただの自慢話としか思えない。
今週もこんな感じでした。
fujimura
年末から年明けに掛けて、徐々に出る予定です。
12/1 新建築12月号(新建築社):月評最終回
12/15 SD2006(鹿島出版会):SD2006総評
12/20 新建築住宅特集1月号(新建築社):計画案、テキスト、データ等
12/20 建築雑誌12月号(日本建築学会):隈研吾氏インタビュー
12/下旬 建築文化シナジー「旅。建築の歩き方」(彰国社):
松原弘典氏、曽我部昌史氏インタビュー
1/1 新建築1月号(新建築社):千葉展の展覧会評
(詳細未定) 建築ノート2号(誠文堂新光社):Table of Youth
ずっと前に書いたものもありますが、たまたま発行時期が重なりました。テキスト、計画案、インタビュー、企画モノなど、いろいろあります。
12月号で新建築の月評も最終回。毎月毎月、送られて来るとそればかり考えてしまう生活を送っていたため、今月もつい、どんなストーリーを組み立てようか、などと考えてしまいます。
振り返ってみれば、石上さんと西沢さんを並べた2005年12月号(1発目)の月評が一番手応えがあったかも。坂本先生のquico神宮前が掲載された3月号あたりで力尽き、8月号の集合住宅特集あたりはバテ気味な感じ。
東工大の連中に聞くと、アトリエワンに楯突いたりした5月号あたりが「一番テンションが上がった」らしい。その他、青木さんと藤本さんを並列的に論じてみた9月号の月評が「面白かった」と言ってくれる人も結構いました。身近な人たちから感想をもらえるのはありがたいですね。
さて、最新の12月号を見ると、中山さんの住宅はやっぱり目を引きますね。箱がすっと浮かんでいる写真が誌面で見ても強烈。苦心の跡も散見される断面も見ていて飽きない。過剰に作家性が演出されたテキストやタイトルまわりも、あそこまで完成度が高いとかえって自然にすら見えてきます。
12月号にはK事務所の後輩Hの担当作や、同級生Hの処女作も載っています。Hのテキストはユクスキュルの環世界みたいな空間観を説明しようとしているみたいですが、作品の説明としては無理があるような。ボキャブラリーが単純すぎる気がします。
ともあれ、新世代の登場が印象づけられた誌面であることは確かですね。
fujimura
4日、朝は事務所で定例。東授業は休講。16時からゼミ。卒論が大詰め。
5日、終日仕事。
6日、事務所→塚本研ゼミ。
7日、朝イチで工務店訪問。打ち合わせ。近所にある現場を回るなどして、事務所に戻って打ち合わせ、17時、大学へ。卒論の提出へ向けて大詰め。3人の卒論生のために、15人近い先輩が総出で作業している。M1の学生が作ってくれたカレーがうまい。結局徹夜。つかもと師も徹夜。
この間、梗概のチェック→修正が無数に繰り返される。言葉が入れ替わり、図版が入れ替わり、論がどんどん進化していく。8ヶ月近く見てきた論文だが、80%くらいはこの日に進化するのではないかと思えるほど充実した時間。
つかもと師が文章で引っかかるポイントは「主語述語をはっきりさせろ」「淡々と述べろ」「繰り返しを無くしろ」のいずれかなので、頭で論の内容をフォローしていなくても、3つのうちどれかを予測的に当てはめ、言葉にするとだいたいOKが出る。つかもと師が「俺は坂本研のゼミ中ずっと寝ててもシャープなコメントができた」とよく自慢していたが、要は「論のリズム」のようなものをつかめるかどうかだと思う。それが論文の全てだとは思わないが、論の流れをつくる(読む)ために必要な感覚であることは確か。あるベテラン不動産コンサルの人が「税金でも家賃でも、話しながらだいたい適当に数字を載せていくと計算ができあがる」と言っていたが、ひょっとしたら近い感覚かも知れない。
2人目の3回目のチェックが終わった明け方5時過ぎ、力尽きて机上にて睡眠。言葉に集中していると、体というより頭の芯が疲れる。横ではつかもと師も突っ伏している。
9時、全員起きて再び梗概チェック。序論から順に読み合わせながら、言葉のひとつひとつを確認していく。程なくして「俺、序論と結論だけ見ようかな。」とつかもと師。せっかく全体の完成度を上げようと皆で頑張っているのに嫌なこと言うなあと思ったら「昔、坂本先生がそう言っていて『なんて嫌なことを言うんだ』と思ってたけど、最近はその気持ちがわかる」とのこと。ちょっと見透かされた気分と、妙な説得力。
提出間際、研究室のメンバーが一致団結して、奇跡的な作業効率を発揮する。12時、最後まで落ち着かないままに梗概が完成し、3人とも無事提出完了。A3用紙1枚に膨大な労力がつぎ込まれ、3つの論文がかたちを成した。
提出後、皆で近所のイタリアンレストランまで歩き、ランチ。塚本研では「梗概提出後のイタリアン」がいつの頃からか恒例になっている。興奮冷めやらぬうちに今年の論文の出来を振り返るこの時間は、いつも楽しい。4年生Kが3人を代表してお礼のスピーチ。素直な感謝の辞ではあったが、内容はまだまだ練習が必要だな、後輩Kよ。
事務所に戻り、打ち合わせ。夕方、明治大学での坂本先生のレクチャーへ。徹夜明けで少々疲れていたのだが、出かけることにした。明治の連中は活発なので事務所に手伝いにきてもらったり、レクチャーや勉強会などいろいろなところでよく会うのだが、彼らの勉強する環境を一度見たいと思っていたのと、事務所のスタッフにも一度坂本先生の話を聞かせたいと思っていたこともあった。
レクチャーのタイトルは「建築のつくりかた」。設計手法が主題のようだが、坂本先生らしく内容の厳密な定義に従って「散田の住宅」から順番に振り返る。住宅作品の説明に「包含関係」とか「隣接関係」とかが普通に出て来るが、聴衆はどのように受容するのだろう。詳細はまた機会を改めてレビューしたいが、「新作発表と裏話」に終始する日本人建築家のレクチャーとは大いに異なる、とても刺激的で、かつ自分の頭の中が整理されるような、論理的な一貫性に満ちたレクチャーだった。
終了後の懇親会で田路先生とお話する機会があり、田路研で行われる実施設計はどのように進むのか訪ねたところ、「学生の案は実施では大概使えないけれど、彼らが『自分で考えた』と思えるようにうまく誘導する」と教えてくれた。話を伺いながら、この田路先生の人柄こそが、学生が萎縮すること無く、伸び伸びと成長させるポイントなのだろうと感じた。最近明治大出身の若手建築家が活躍しているのも頷ける。
帰り道は事務所のスタッフや2年生も一緒だったこともあり、建築と教育の関係について考えさせられる。このところ論文につきあっていたせいかも知れない。
9日、終日仕事。論文でロスした分を取り戻す。
10日、後輩Iに車を出してもらい、F事務所のM、塚本研のNとともに保坂猛さんの「アクリルの家」のオープンハウスへ。アクリルによって、目地、方立といった建築的な部位が消去された、巨大で透明な開口が新鮮。とくに外からの見え方は面白く、斜めから近づいて見ると、めらめらしたテクスチャーも相まって、「境界面」を強く感じる。
躯体は合板+FRPなので、テラスも含めて枠とか立ち上がりなどのディテールがほとんど省略されているのに加え、「座れそう」とか「隠れられそう」というヒューマンなジェスチャーが開口部周りから限りなく消去されていることもあり、きわめて建築の図式性が強調された構成となっている。そういう意味では素材よりも全体の構成の論理が気になる建築。
その明快さに頷く一方で、そこまでして図式を指向する必然性とは一体何だろうとも考えさせられる。それは設計をしていて、大野さんといつも議論になるポイントでもある。もっとも、現代は構成の論理よりも素材の並びが前に出て来る時代だし、ここでも「4周に開く」なんていう図式は便宜的に用いられているのに過ぎないのだろうけれども。今回に限らず、大野さんが関わる一連の作品には水平連窓が多いが、いつかじっくり分析して位置づけてみたい。
今週もこんな感じでした。
fujimura
11/29
東京。午前中はパラレル・ニッポン、伊東豊雄展をはしご。前者は建築関係者向けの、ひいき目にいってどこの建築雑誌(固有名詞ではなく)ですか?なパネル展示。いろいろ事情があったんだろうか…と妄想をふくらませながら、たとえそうだとしても、写真美術館で展示するのに、写真家のクレジットが一つもないのはおかしいし、結局何を見せたいのかが全く伝わってこない展示内容に心底がっかりする。パンフレットに挟み込まれたA4のコピー、写真提供という形で列挙された名前が悲しすぎます。一方、写真美術館所蔵の写真が展示されているエリアはさすが。アラーキーが首都高速上で撮った写真にアークヒルズが写っており、それを建築写真として紹介していたものがいちばん印象深い。そのエリアは入場料もとっていなかった。
対照的に、伊東豊雄展はとにかく部屋ごとのねらいがはっきりしていてすばらしい。勉強になるのは展示の順番。最新プロジェクトをたっぷり紹介して、伊東さんがいまどこにいるのかを簡潔明瞭に展示。次に展示空間ならではの建築的経験を構成。構造の面白さなど、一見マニアックな内容を「わかる」ように見せる。最後にそれまでの仕事一覧を、元所員の個人的なエピソードを練り込んで密度の高いクロニクルに。直筆原稿が熱い。とにかくメリハリ重視で飽きさせない。かといって飛び道具に頼らずしっかり展示内容を伝えきる。ヌーヴェル展と同じ空間でやったとは思えないほど、軽快な展示でした。建築な人が、非建築な友だちとかを連れて行っても大丈夫だと思います。
午後は渋谷で、スフェラで来年予定している飯田竜太さんの展示の打ち合わせ。面白いアイディアが次々出てくる方で、準備のやりがいがあります。建築関係者との親交が厚いこともわかった。だからというわけではないけど、ひとつのオブジェに空間的な発想を投入した、ある意味で建築的な作品を作る作家です。お楽しみに。
夕方東陽町に移動してA4で写真展を見る。対象への愛情をひしひしと感じる内容。その後清澄白河のギャラリーコンプレックスに移動して初めて中を見る。この日はギャラリー小柳(杉本博司)とエルメスギャラリー(今回は会場構成がコンスタンチン・グルチッチ)に行けなかったのが残念。
11/30
中高時代の同窓生と朝ご飯を食べ…の前に、久しぶりに横浜から8時台の東海道線と、品川からの山手線に乗ってしまい、2度圧死するかと思った。田町のkinko'sで書類を作って、午前中いっぱいは誠文堂親交社の大庭さんと打ち合わせ。これすごい良い企画になるんじゃないかと。午後は建築ジャーナルを経由して、光文社の黒田さんといろいろとおしゃべり。夕方外苑前に移動し、オープン直前の中村竜司展にお邪魔する。一通り設置の済んだ会場で、紙を波状に成型した椅子や、そのコンセプト模型とかを解説していただく。インテリアのお仕事が多い方なので、かえって展示内容と実際の展示との間に変な飛躍がなくてすんなり入ってきました。お忙しいところ楽しそうにお話しいただく姿に打たれる。ほんとにありがとうございました。最近、ギャラリーの仕事をメインでするようになって、展示することについて思いを巡らせる機会が多い。中村さんの率直な展示はぐっとくる内容・見せ方。その後渋谷のNANZUKAに、これまた展覧会直前のイラストレーター黒田潔さんを訪ね、来年春の展覧会の打ち合わせ。描く力に溢れた絵をたくさん見せていただきうれしくなる。この時点で20:00。ここでお仕事は終わって新宿に移動し、MDR飯尾さん、INAX高田さん、ぽむ桂さん、藤村くんと思い出横町で飲んだり食べたりして、23:30発の深夜バス(4200円)に滑り込み熟睡。安すぎて怖いです。
12/3
一ヶ月半に及ぶ永山祐子展の撤収。永山事務所の木原さん丸さんと、京都の学生の面々。ほんとに皆さんよく働く働く働く働く…。素晴らしい展示をありがとうございました。
12/5
次回展の準備中に不気味なトラブルが発生。これまでになかった種類のトラブルで戸惑い、ついいらいらしてしまう。なぜこのトラブルが防げなかったのかが悔やまれて仕方ない。仕事の進め方について大いに反省する。
12/7
次回展の施工が進む。今回は床に桐の板を敷き、その上に家具を配置。展示のために壁を新しく作り、部屋っぽいスペースも出来る予定。
12/9
元スフェラのたきざわさんがプロデュースするinspibloというスペースのオープニングに行ってみた。古いビルをたった一人でリノベーションしつつある彼が、「カルチャーハウス」としてオープンさせたスペース。五条大橋西詰めにあるエフィッシュの店長さんと、五条堀川の増田屋ビルにあるギャラリーアンテナの主宰者のトークイベントが行われていた。左京区とは違う、五条系の雰囲気ってあるよなあとかぼんやり思う。京都の中の「左京区」的なものを卒業した人が、その次に自分の仕事を作ってやっているエリア、という印象を受けました。
12/10
スフェラショップの店長の発案で、店内のディスプレイを大幅に変更。広く見えるのに空虚さがない、ステキな配置。
12/11
急遽決まったレセプションと、書店で扱っている商材の営業方法について断続的に打ち合わせ。こういうのは見た目以上に時間がかかる。ある筋からギャラリーの運営方法について相談を受け、がんばって考える。作家をその気にさせる、気持ちよく展示してもらうにはどうしたらいいのか、というお話し。ギャラリーの存続を可能にするモチベーションの所在を言葉にすることで、雇われながらも運営を行う自分の立ち位置を捉え直すことができたと思う。
yamasaki
年末は慌ただしく、いろいろ楽しい出来事があった。思い出していくつかご報告。
16日22時過ぎ、F本事務所に勤める後輩Mから「芸大の後輩が藤村さんの事務所に興味があるそうなので、ポートフォリオを見せに行きたいと言っている。私も同席します。」というヘンテコなアポを取られたので待っていると、後輩Mがひとりで登場。
Mは遅れてきたうえになぜひとりでいるのかもわからない。他方で事務所のスタッフは来客にコーヒーも出しておらず、なんという段取りの悪さ!とイライラしつつ冷蔵庫に牛乳を取りにいくと、ガチャリと事務所の扉が開き、扉の向こうに後輩がなんだか大勢いるのが見えた。しかも全員にやにやしてこっちを見ている。
事態を飲み込めずあんぐりしていると連中がどやどやと入ってきた。東工大の連中は卒業生から学部2年生まで、オープンデスクに来てくれている明治大学の学生とか建築ノートのToYに参加しているメンバーなど、いるわいるわ、総勢30名近く。最後に後輩I(よく出て来る)が大きな箱を抱えて登場。
みんな17日が僕の30回目の誕生日と知って集まってくれたのでした。
大きな箱の中身はなんとK-PROJECTのかたちをした特製ケーキ。正確に1/100で、パイプシャフトのメッシュがチョコレートで表現されているなどディテールも完璧。1階はちゃんと浮いており、ガラスが飴で表現されている。サッシュの寸法の違いまで表現してあって、しかもちゃんと最新案なところがマニアック。
聞けばこの日のためにみんなでケーキ作りを画策していたそうな。自作しようと思ったが無理だと悟り、ケーキ屋をあちこちあたって結局ヨックモックで特注したのこと。ケーキ用の図面を引き、若いパティシエと打ち合わせしながら作ったらしい。なんなのその行動力?
なんか花束とかプレゼントとかいろいろもらって何から何まで過剰な演出。もはやネタとしか思えないがここまでされちゃうとやはり嬉しい。しかしみんなよく集まったなあ。K事務所のMは、「さっき打ち合わせ終わって駆けつけました」と言っていたし。
驚きのあまり気の利いたリアクションできなかったけど(泣くとか)、一生忘れられない思い出になりました。みんなありがとう。
23日、信濃町のハウス・アンド・アトリエワンにて恒例の合同忘年会。アトリエワン、塚本研、貝島研のメンバーとそのOBOGらが集合。20日に新建築住宅特集の若手特集が出たので、その話題なども出る。つかもと師が「若手の作品はディスプレイ的でよくない」などと批判するので「マドビルなんてディスプレイそのものなのでは」などとみんなで言い返す。
今年はOBの作品が続々と発表されたこともあり、酒も入って次第に激しい批判合戦へ。忘年会でつかもと師を囲んでこういう議論をするのは初めてだ。後輩たちは遠巻きに眺めている。自分の作品を背負って議論をするというのがかくも楽しく、厳しいものだとは。結局明け方まで議論は続き、一層の気合いが入る。
27日夜、藤村事務所の忘年会。8月の納涼会とあわせて恒例になりつつある。いつものようにオープンデスク君たちに少し早めに集まってもらい、事務所を掃除して、模型をきれいに並べ、料理と酒を用意して、オープンな感じで。19時きっかりに編集者の中村謙太郎さんが来られたのを皮切りに、同世代の建築家、構造家、設計事務所に勤める人々、学生、編集者、大学の同級生や後輩等、続々と集まる。入れ替わり立ち替わり、延べ100名近くはいただろうか。いろいろな人に会えて、近況報告や情報交換をすることができた。忙しいのに毎回顔を出してくれる方もいてありがたい。またやりますのでよろしくお願いします。
28日、早稲田のsyncで恒例のsyncactiveに参加。syncのメンバーとゲストが集まり1年の報告を行い、それについてみんなで議論をするというガチンコな忘年会。今年で3回目。ちょっと遅れて到着すると中村謙太郎さんが軍艦島のスライドショーをしているところだった。
続いて田中浩也さんが久原真人さんとのユニットTENTでの活動を中心に発表。札幌でのつららをモチーフにした照明の作品など、徐々に活動の幅を広げている。松川さんが執拗に創作の動機を問う。ふたりの掛け合いは漫才のようで、聞いていて心地よい。
次が僕で、「建築のスタディと形態の論理性」というテーマで発表。田中さんに「君は何ですぐ創作の根拠を『都市』に結びつけたがるのか」と批判されたが「それは田中さんの創作の根拠が『美』で語られるのと等価でしょう」と反論してみる。相変わらずみんな鋭く、テンションが上がる。
続いて写真家の阿野太一さん。「後輩の鈴木さんという人のスライドショー」>中山英之さんの「2004」の写真(カラー)>「2004」の写真(白黒)>「青森美術館の写真で建築家や関係者に選ばれなかった写真群」が順に発表される。最後の写真群について「これを作品と呼べるかどうか」という阿部さんの問いかけについて、みんなで議論する。
mosakiは今年一年の執筆活動と、co-lab.の活動を報告。2006年は合計50本のインタビューを行ったのだという。相変わらず旺盛な意欲に頭が下がる。その後異業種交流とコミュニティについてなど議論。
次は松川さん。Urban Computerというタイトルのケータイ空間へのコンペ案をプレゼ。いつものように自信たっぷりな松川さんにみんなで反論する。特に田中さんと僕は「この案はコンセプトであってデザインではない」という点にこだわったが、松川さんは「それがデザインだ」と譲らない。そうやって議論を戦わせるうちに、互いの立場が理解されていく。
最後にASDの田畠君。関東学院大学の授業で作った「関数空間ー海の家」のプロセスについて。建築のコンセプトも素晴らしいが、教育のプロセスとしてもとても興味深い。
各メンバーとも、それぞれの分野で活動を拡大しているのが素晴らしく、いい刺激を受けた。みんな自分のやりたいことを掴んで、真摯に追求しているのがいい。
例年時間が足りないということで14時に始められたこの会も、結局終了したのは深夜3時過ぎ。前日の忘年会と違い少人数の集まりではあったが、その分議論も深まって、とても濃密な時間を過ごすことができた。
こうして振り返ると、今年も年の瀬に有意義な議論をたくさん共有することができ、この1年を総括し、次の1年に向けて勢いをつけるための、よい機会となった。よきライバルたちに負けないよう、2007年も気を引き締めて頑張りたい。
というわけで皆様、今年もご愛読ありがとうございました。よいお年をお迎えください。
fujimura
申し上げます。今年もよろしくお願いします。
4日、10:00事務所年始のミーティングで仕事始め。実家に帰っていたスタッフの顔色がよい。13:00研究室年始ミーティングでこちらも仕事始め。つかもと師に論文のテーマを言い渡され、「そろそろ潮時だろう」と言われる。
5日、14:00からつかもと研のホルヘの博士論文発表会。つかもと研からは初めての発表者ということもあってか、つかもと師が緊張している。細かいところはいろいろ取りこぼしがあったが、テンポの良いプレゼと冷静沈着な質疑応答を聞きながら「優秀だなー」と感じる。
博士論文は「なぜその研究を行うのか」というイントロや研究と研究のつなぎ方等、全体構成の問題が大きいと改めて思った。夜は同世代の建築関係の友人たちと飲み会。I君の入籍に乾杯。おめでとう。
6日、某プロジェクトのため「建築計画のお知らせ」看板を設置。いよいよ近隣。
10日、近隣でさんざん搾られた後、ハウス&アトリエワンへ。今村創平さんにお声をかけて頂き、つかもと師、ロンドン在住の島崎さん、東大の南後君と僕とで集まりが開かれた。contextを建築のテーマとしている島崎さんが塚本さんに共感を示し、今村さんが突っ込みを入れるという基本形を、若手2人が眺めるという構図。南後君はルフェーブルに詳しく、ルフェービリアンの塚本さんがいろいろ質問している。
14日、休日だが朝9時から全力ゼミ。その後ベルラーへOBの人々とランチ@青山。
15,16日は近隣説明会。参加者の方々から野次が飛ぶ場面もあったが、入念な準備が功を奏し、なんとか無事終了。資料の形式や会場のレイアウトなど、工夫が活きた。特に論文発表会の経験を念頭において準備した想定問答集は役に立ち、ほとんどの質問は想定の範囲内で済んだ。
19日、その昔、証券会社でバイトをしていた際にお世話になったSさんと、当時のバイト仲間だったT君が来所。Sさんとはしばらくお会いしていなかったが、今年の年賀状を見て事務所の法人化を知り、わざわざお祝いを持ってきて下さった。バイトとはいえ厳しい職場で、怒鳴られながら仕事を覚えた。挨拶の仕方や報告や連絡の大切さ、後輩の面倒を見ることなど、社会人としてのイロハをこの人からいろいろ教わった気がする。まだまだ駆け出しではあるが、こうやって近況をご報告できるのは嬉しい。
20日、11時、松川昌平さんの車でSFCへ。松川さんと、田中浩也さんの授業の最終講評会が同じ日に行われ、ゲストクリティークに呼んで頂いた。
田中さんの授業は「パブリック・アレンジメント」というテーマで、「公共圏」がテーマである。松川さんがシステム理論のフレームで参加者の提案を整理し、みんなで所感を述べあう。もう少し議論したかったが時間が来て終了。
松川さんの授業は自身の展開する「関数空間」というコンセプトを授業のテーマにしていて、参加者にまずプログラミングを習得させ、それをもとに建築の設計が行われる。冒頭で僕と、松川さんのコラボレーターである瀧口浩義さん、田中さんが最近の仕事を紹介し、参加者のプレゼ、審査講評を行う。
クリティークをダブルヘッダーでさせて頂いたのは初めての経験だが、どちらも刺激的な内容だった。ここでの議論をこの日限りで終わらせるのはもったいない。何らかのかたちにまとめたい。
その晩、プリズミック・ギャラリーに駆け込み、中村拓志展のオープニングへ。スライドレクチャーの最後の部分を聞くことができた。中村さんの作品は全体的に演劇的だが、最近は「Lotus Beauty Salon」とか「ネックレスハウス」など、構成的、形式的な作品も顔をのぞかせており、中村さんが今後どのような建築的文脈を展開するのか、楽しみである。
次は藤村展(3/16-5/6)なのだが、中村さんの展示を見て、自分のやるべきことは僕のなかでかなりはっきりした。これから気合いを入れて準備したい。
21日、朝から全力ゼミの連中とミーティング。午後は同級生の長谷川豪が設計した住宅で新年会。つかもと師が夜遅く登場。その後23時、事務所にてミーティング。
以下、告知等(五十嵐さんふうに)。
*インタビューアーとして参加させて頂いた建築文化シナジー「旅。建築の歩き方」が刊行されました。ここでは松原弘典さんと、曽我部昌史さんのパートを担当させて頂いています。松原さんは構成的な話し方をされる方だったのですんなりお話を伺えたのだが、曽我部さんは僕が無理に構成をつくろうとするとするりと交わされてしまい、難しかったことを思い出します。どのインタビューも面白いので、ぜひご一読を。
*「新建築」2007年1月号にて、ギャラリー間の千葉学展の展覧会評「そこにしかない問題を、明らかにする形式の可能性」を寄稿しました。後輩から「あれいいっすね。」と感想をもらう。
*「建築ノート」02号が出ました。今回も巻末企画「Table of Youth」を担当させて頂きました。東京近郊の大学院生を中心に声を掛け、それぞれの関心に従って週1回ペースでレジュメを持ち寄り、意見交換を重ねた成果をテキストにまとめるというもの。前回と半分のメンバーが入れ替わり、新鮮さをキープしつつ、掘り下げる部分もあるという、独特の空気感を内包したページになったと思います。こういう機会から次世代の書き手が生まれるといいですね。
*2月9日16:30より、名古屋工業大学でレクチャーをさせて頂くことになりました。一般にも公開されるとのことでしたので、東海地区にご在住の方はぜひ足をお運び頂ければ幸いです。
fujimura
最初に「設計事務所」というところに行ったのは学部2年生の頃、表参道駅近くのビルの谷間にある、中庭を囲んだ平屋のオサレなオフィスだった。デペロッパーの下請けでマンションばかり設計しているところで、マンションの模型ばかり作り続けた。
そのうちN建設計とかN本設計などの大手組織設計事務所にバイトに行くようになった。「模型番長」みたいな(女の)人がいて、模型の作り方をいろいろ教えてもらった。
初めてアトリエ事務所にオープンデスクに行ったのは大学院に入ってから。SxLのコンペで大賞をもらった時に、つかもと師に「ほうびをやる」と言われて紹介されて以来、伊東事務所に通い始めた。そのときの仕事はアルミ建築をテーマにした「Alchitecture展」の模型作りで、入所したての中山さんが担当だったので毎日楽しかった。伊東さんはたまに見かけるという感じで、気がつくと背後からじっと模型をのぞいていたりする。風のように現れては消える感じに「建築と同じだ!」と興奮を覚えたりした。
その後、事務所を持つようになって、オープンデスクを呼ぶ側になった。「学生」というとどこにでもいるようだが、事務所のスタディのペースに見合うだけの人手をコンスタントに確保するにはそれなりの工夫を要する。とくに私たちのように模型を大量に作る事務所では、人手の確保が設計の質を左右してしまいかねない。
今、うちの事務所に来てくれるオープンデスクの主力は学部2年生と3年生である。4年生になると研究室に所属してしまうので呼ぶことができず、M1は就職を前提に動くので、結局頼りになるは彼らである。
幸い、2004年と2006年は東工大で2年生の設計製図のアシスタントをしていたので、多くの2年生と知り合うことができた。最初の住宅課題が終わった頃、元気の良さそうな学生数人に声を掛け、しばらくつき合っていくうちにコアな数人が残ってレギュラーのように通ってくれている。
建築学科の2年生とはいえ、最初はどうにも使い物にならない。「面取り」も「一枚残し」もろくにできないし、連絡もせずに欠席はするし、挨拶もせずに帰って行く。だから最初はそのあたりを丁寧に教えないといけないのだが、やがてそのうち言わないでもきちんと掃除をし、しっかりと挨拶をして帰るようになる。3年生も後半くらいになると力がついてきて、時間の読みも正確になるし、自分たちで議論しながら段取りをし、手分けしてきれいな模型を作ってくれるようになる。
2006年の夏休みは試みとして、期間を2週間ごとに区切って募集をしてみた。きちんと終わりを定めて通ってもらい、ずるずると期間を伸ばしたりしないことにした。そのかわり期間中は集中して毎日定時に通ってもらった。2週間くらいならばスケジュールも調整しやすく、挨拶や模型道具の使い方など一通り教えるのにちょうどよい長さだと考えたのである。結果、学生の上達も早く、こちらとしても指示が出しやすく、成果としてはまずまずであった。
今年の2年生をみていると、夏休みに2週間手伝いにきていた子たちは、その後の課題でも順調に成果を上げているようにみえる。模型で差がつくのはもちろん、段取りがよくなるのでプレゼもうまくなるし、設計の内容も次第によくなる。ひとつひとつの課題で成果を出すようになれば自信もつくようだ。
こちらとしてはせっかくいい感じに育った連中が4年になると途端に来てくれなくなってしまうのはイマイチ残念ではあるが、実際のところそのくらいのスパンがちょうどよいのかも知れないとも思う。学部のうちは身近な事務所で集中して通い、修士になったら就職を睨んで憧れの事務所に狙いを定めて通うのがよいだろう。
他方、夏休みや春休みなどの長期休暇は、地方の大学に通う学生たちと知り合えるいいチャンスでもある。2006年の夏休みには遠く新潟や大阪からも来てくれた。オープンデスク慣れしている東京の学生に比べると最初は覚束ないが、変にスレていないので上達は早い。
昨夏に1ヶ月ほど通ってくれたある学生は、帰ってから「急に模型が作るのが好きになった僕をみて、皆が驚いていました。」と言っていた。また別のある学生は「人生で最も濃密な時間を過ごせた。」と言っていた。私たちが何か特別なノウハウを提供した訳ではないが、ひとりひとりと丁寧に向き合おうとする姿勢が、どこか通じたのではないかと思う。彼らはこの春休みにも再び参加してくれる予定である。
というわけで(前置きが長いが)、2007年春休みのオープンデスクを募集しております。申し込みはこちらまで。お待ちしております(^_^)/。
fujimura
6日、工学院大学のA君という学生からメールがあり、早速7日からオープンデスク開始。「泊まり込み可能です」と売り込んでくるだけあって初日から手際が良い(実際に泊まり込むことはなく、春休み期間中のオープンデスクは毎日22時までに終了させるようにしている)。そろそろ卒制も片付いてきたのか、各大学の学生から続々とオープンデスク希望のメールが入っている。いい感じだ。
8日、16時半八束研の唯島君来社。打ち合わせ。しばらくして、南後由和君来社。3人で座談会を行い、収録。南後君とゆっくり話をするのは初めて。いい議論ができたように思う。
その後19時半、K社に勤める同級生のM来社。打ち合わせ+情報交換。23時終了。終電で東工大へ行く。製図室をのぞくと、さすがに緊張感が感じられるようになってきた。後輩Kは順調にスタディを進めているようだ。
9日、朝、出社後、昼過ぎの新幹線で名古屋へ。16時少し前、名古屋工業大学に到着。北川啓介先生と約8年ぶりに再会。
北川先生とは1999年、コロンビア大学のサマースクールに参加した際に出会った。その後何度かメールのやり取りをさせて頂いたあとはご無沙汰してしまっていたが、覚えていて下さり、今回のレクチャーに呼んで下さった。
今回は学部生向けの授業の一環で、名古屋を拠点とする吉村昭範さん+篠原真基さん、東京から中村拓志さんと僕とで3夜連続のレクチャーシリーズとのこと。前日、前々日とも大いに盛り上がったらしく、「『月評』効果(?)で他大学からもたくさん申し込みがありましたよ。」とハッパをかけられる。参加人数は最終的に100名くらいになりそう、とのこと。
予定の16時半になり、会場へ移動。小さな講義室のようなところかと思っていたら、大きな階段講堂のようなところに案内され緊張が高まる。
・・・と思いきや壇上に上がってしまえば意外にも興奮のほうが勝り、テンションが上がる。経歴を紹介して頂き、レクチャー開始。
今回は学部生向けということもあり、「学生時代の作品から紹介してほしい」というお話だったので、悩んだ末、下記のような4部構成にした。
1.2005- 藤村事務所での作品
2.2003-2005 ISSHO時代の共同設計作品
3.2000-2003 塚本研、ベルラーへでのリサーチ
4.2001- Dual Space Study(個人でやっているリサーチ)
1はUTSUWAとK-PROJECTに絞り、設計の詳細や制作プロセスや設計プロセスをやや丁寧に紹介。2は作品解説を比較的淡々と。3は塚本研で参加した「ペット・アーキテクチャー」とMVRDVのヴィニー・マース・スタジオで参加した「SATELLITE URBANISM」という対照的な2本のリサーチを紹介。4は修士の頃からずっと考え続けている「空間と情報の関係」をテーマにした都市空間の経験についてのリサーチで、僕の一連の設計活動において通奏低音を成しているアイディアでもあるので、最後に総括的に紹介。
最後は1-4のまとめとして、現代社会における建築の可能性について、このところ議論し、考え続けているところを述べさせて頂く。全体に、作品についてというよりは、そのような作品を構想させるに至った背景、特に塚本研や、ベルラーへ、昨年の月評などの執筆活動で感じたことについては強調して話した。予定通り90分で終了。
休憩後、質疑応答+議論。都市空間と建築のスタディの関係、設計における感覚と論理の関係、身体感覚についての考え方、留学で学んだことについて、など質問が続く。思ったよりも話を正確に捉えてもらえたのが嬉しいと同時にやや驚く。社会人とか、東京から来たという人もいた。19時過ぎ終了。
意外だったのは、今回のレクチャーの内容について「社会学的なアプローチ」と表現する人が多かったこと。「社会学」的な説明は一切していないし、そういう単語も使っていないので不思議ではあったが、「社会工学科卒」という経歴がそういう印象を与えるようだ。
ちなみに、「社会工学」とは「社会に対して工学的にアプローチする」という学問であるが、話した内容は「工学化する社会に対してどうやってアプローチするか」というもので、ちょっと違うのだが、人から言われるとある種の因縁を感じざるを得ない。
終了後、北川研究室に戻り、懇親会。北川先生、学生の皆さんと話す。「パラサイトシネマ」などの、北川先生の最近の活動についてもお話を伺うことができた。「名古屋のインフラは整いすぎている」という北川さんの認識は面白かった。オランダ人の認識と似ているかも知れない。
最近は学生たちをどんどん海外に連れて行っているのだという。北川研の皆さんは元気がよく、それでいて適度に緊張感があってまとまっている雰囲気が素晴らしい。限られた時間ではあったが、いろいろな人と話せてよかった。
レクチャーは、自分の考えをまとめ、ストーリーをつくるのに絶好の機会だ。うまく今後に繋げて行ければと思う。お世話になった北川先生、学生の皆さん、どうもありがとうございました。
fujimura
プリズミックギャラリーで個展を開きます。
3/16(金)より、5/6(日)まで。
開催まで4週間を切りました。隈研吾のいう「カラオケ的状況」においては、いかに上手く空気を読んで場を盛り上げ、次の人に繋げるかがポイント。ただし、中央アーキ>中村竜治さん>中村拓志さんときた後なので、正直空気読みづらい。
14日、展覧会用DM原稿を入稿。これまで展示された方々のDMを並べてみると、ほとんどが代表作の竣工写真であったため、ここはあえて外してみよう、ということで社内の意見が一致。「プロセス」がテーマなので、ライブ感を演出してみた。
展示の核となるK-PROJECTの1/20断面模型は福岡大のM、工学院のAが抜群のコンビネーションを発揮して制作を進めており、当初の遅れを取り戻しつつある。14日は東工大のベテランSYが来てくれて、場が引き締まった。設立当初から来てくれているSYだが、彼が「2日で終わる」といったら必ず2日で終わるし、「3日かかる」といったら必ず3日かかる。全体の理解が早く、時間の読みが正確なのだ。MとAも刺激を受けたようだ。
彼のようなレベルの高いオープンデスクと出会えたのは幸運だったが、もうすぐ4年生になるため、オープンデスクも卒業しなければならないだろう。誰が彼の後を受け継ぐだろうか。
当社の長期休暇中のオープンデスクは、2週間を単位とした入れ替え制なので、次週からは新しい顔ぶれに引き継がれる予定だ。夏休みにも来てくれた新潟大学のSが再び来てくれることになっている。楽しみだ。
fujimura
16日からプリズミックギャラリーで開催させて頂く展覧会の準備ため、このところ連日オープンデスクの学生諸君で賑わっている。これまで2週間交替で準備を進めてきたが、今週からはついに9名体制となり、作業場所を確保するために模型作業を中心にレイアウトを変更。暫定的にこれまでの打ち合わせ室を設計室とし、打ち合わせ室を模型室と兼用としてみた。
このところ、東工大のレギュラー陣を筆頭に2チームに分かれ作業を進めてもらっている。同じ学部生でも、普段からオープンデスク等でトレーニングしている人と、課題しかやったことがない人ではスキルにくっきりと差が出てしまう。仕方がないことだが、少し様子を見て、こちらでそれとなく格付けをしてやると役割分担がはっきりする。
初日はさすがにスタッフも掛かりっきりだったが、2日目くらいからは自分たちで議論をして、どんどん作業を進めてくれるようになった。議論のレベルと、作業のレベルがどんどん上がっていくのがわかる。学生は何かを作り、それについて話し合っているときに一番成長するようだ。真剣に作業の方法について議論している彼らをみていると、こちらも嬉しくなる。
とはいえ、しばらくすると私語に夢中になったり、作業が雑になったり、効率が落ちてしまうわけです。マメにテコ入れしなければならず、それがなかなか大変。
9日は午前中、オープンデスクとスタッフ全員でギャラリー間のアトリエワン展に出かけてみた。4階に模型がたくさん並んでいるので、お手並み拝見・・・的な。ただ別々に見るだけではうまく吸収できないと思い、ひと通り眺めたあとで集合を掛け、全員でひとつひとつの模型を順番に回って感想を出し合ってみたところ、家具の作り方、見せ方、断面の扱い、模型台の扱い、など、様々な意見が出た。そのまま事務所に戻って1/20模型制作を再開したのだが、課題がよく見えたあとでは、作業のテンションも上がるというものだ。
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2月22日、夜。F事務所のA君来社。このところ仕事の合間を縫って続けているメール対談の行方について議論。話しているうちに、全体のフレーム結論が、導かれるように見えてきた。同じ1976年生まれで、共にFさんの少なからぬ影響下にありつつ、東工大的文脈にも精通している彼との議論はまさに弾むように展開した。成功の予感。
24日、工務店の工場で組み立て中の「写真館のショーケース(仮)」を埼玉へ。複雑な多面体で、寸法の管理に苦労している様子。仕上がりが気になるが信じるより他はない。
25日、朝、後輩I、FG、JP、MT、KYとミーティング。議論しながら、次第にコンセプトが見えてくる。
午後、増田アトリエの「北本の家」のオープンハウスへ。増田さんとは一度お会いしただけだったが、オープンハウスのお知らせの写真と解説が興味深かったので伺わせて頂くことにした。
面白い住宅だった。複雑な空間だけれども、言語がとても整理されているせいか、くどくない。確信犯的にマニエリスティックなところもあるし、強引なところもあるけれど、かなり知的な住宅だと感じた(概要がこちらに載っている)。
27日、朝、所用により表参道のヨックモックへ。初めて中に入った。だいぶくたびれているが、品のあるインテリアだ。マルチメディア工房の構造のヒントとなったという天井の照明をまじまじと眺めてしまった。
3月2日。朝から「写真館のショーケース(仮)」の組み立てがあるので所沢へ。土台から仕上げまで1日で行う。パーツは工場で組み立て。
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そして今、展覧会の準備が佳境。明日はいよいよ搬入である。告知も、諸々の仕込みも終わったので、残るは巨大模型と、スタディ模型のディスプレイ、作品解説のレクチャー準備などを残すのみ。オープンデスク諸君の頑張りもあって、なんとか間に合いそうだが、まさに「予断を許さない」状況。
人手も場所も、予算も少ないが、知恵と熱意と、野心だけはたっぷりある。あと2日、頑張りたいと思う。
fujimura
プリズミック・ギャラリーにて、展覧会が始まりました。スタッフとオープンデスク諸君の頑張りにより、最後まで緊張感を保つことができ、予定していたものがなんとか完成。これまで作って来た1/100スタディ模型の蓄積と、新作1/20模型の勢いと、大量の写真に込められた情報量によって、かなり濃密な展示に仕上げることができたように思う。
16日朝、印刷所よりフリーペーパーround about journal到着。会場に積み上げる。昨年末から約3ヶ月、週末を中心にミーティングを重ねて編集作業を続けて来たものだ。こちらも後輩I、F、JP、Mと、デザイナーKYの頑張りと、協力者の皆さんの熱意によって、かなりハイテンションな誌面に仕上げることができた。
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17日10:00出社。レクチャーや展示の図版差し替えの準備など、最後の詰め。
15:00オープンデスク集合。京大のTによる仕切りで、料理が始まる。
16:30展覧会の会場へ向かう。途中、昔のバイト仲間2人(5年ぶり)と高校時代の同級生N君(10年ぶり)に会う。N君は水泳部で一緒で、建築をやっていたというのは聞いていたが、その後はしばらく音信が途絶えていた。奥さんと子供連れで来てくれた。
17:00学生向けのオープニング開始。人が集まりだす。
18 :00一般向けのオープニング開始。壁沿いが埋まりだす。
18:30作品解説のレクチャー開始。すでに満席。なんとか開始。UTSUWAとK PROJECTのプロセスを中心に説明。質疑応答とかやりたかったが、あまりにも混雑しているのであきらめる。最後に「『工学主義』の批判的実践」というマニフェストを用意していたのに、あまりの混雑に気を取られ、言うのを忘れる。
たくさんの人に来て頂いたのはありがたかったのだが、廊下まで人があふれ、新建築のSさんに「インディーズっぽいですね。」と言われる。中村さんみたいに2部構成にすればよかったかな。
UTSUWAもK PROJECTも、新建築など雑誌に発表したことはある作品であったが、「意外とちゃんとしてるんですね。」みたいな感想が多かった。仕方がないことではあるが、寸法とか形式性に厳密な感じとか、こちらの設計姿勢についてのイメージがこれまではいまいち伝えられていなかったのかも知れない。それが伝わったのはよかった。
20:30片付けを終え、2次会へ移動。後輩Iのセッティング。広さも料理もお金もバチーリで、さすが2次会のプロ。こちらではゆっくり皆さんと話せた。
23:30終了。3次会へ移動。最後は松川昌平さん、ぽむ桂さん、後輩I、Mと西麻布のGでラーメンで締め。
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この数ヶ月はこの展示の準備と、K PROJECTを始めとする仕事の詰めが重なり、とても濃密な時間であった。スタッフ、オープンデスクの皆さん、RAJの編集をやってくれた後輩諸氏など、ご協力頂いた皆さん、お疲れさまでした。また、貴重な機会を与えて頂いた忙しいなか展覧会まで足を運んで頂いた皆様、プリズミック・ギャラリー関係者の皆様、どうもありがとうございました。
会期は5月6日までです。会場ではフリーペーパーround about journalを配布中ですので、お時間のある方は、会場まで足をお運び頂ければ幸いです。
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以下、round about journalの概要です。
1976年前後生まれ世代の建築家、アーティスト、研究者などによる鼎談、インタビュー、テキスト、コラム、ビジュアル作品等によって構成された、本気度120%のフリーペーパー。「1995年以後」をテーマに、コンピューター・アルゴリズムからサブカルチャーまで、ローレンス・レッシグから東京マラソンまで、熱い議論がクールに展開。
round about journal vol.1
特集「1995年以後の建築」
山崎泰寛/松川昌平+田中浩也/福西健太/石上純也+徳山知永/長坂常/松岡康友/畑克敏+城間真琴/山本茂/柄沢祐輔/青木弘司/青柳創/本瀬あゆみ/成島大輔/佐野哲史/藤村龍至(掲載順)
round about journal vol.2
特集「1995年以後の都市」
Droppaper/南後由和/唯島友亮/吉田桂子+和泉芳典/川西敦史/伊庭野大輔/坂東幸輔/Samira Boon/村井一/小川裕之/益子悠/松島潤平/藤井亮介/北川健一/尾田のぞみ/土屋匡生/玉井夕海/しんけたつま/刈谷悠三/藤村龍至(掲載順)
企画・編集:藤村龍至
編集協力:伊庭野大輔/藤井亮介/松島潤平/本瀬あゆみ/刈谷悠三
レイアウトデザイン:刈谷悠三
当分の間、藤村龍至展会場にて限定配布します。部数に限りがありますので、お早めにどうぞ。
fujimura
「卒、」の講評会に呼んで頂き、出かけて来た。
10:45立川駅着で、明治大学のMにばったり会う。岡田公彦さんと落ちあい、一緒に会場の「花みどり文化センター」へ。
「卒、」には昨年、堀越英嗣さん、長坂常さんと参加させて頂いたが、今年は金箱温晴さん、桑原立郎さん、岡田公彦さんと僕、の4人で審査員を務めさせて頂くこととなった。金箱先生とは初対面(何度もお見かけしてはいたけれど)で緊張する。
12:00、会場を回って作品を選ぶ。集計し、8作品に絞ったところ、「地域社会」「設計論」「地形」「郊外化」の4つに分けられそうだったので、その順番で発表してもらった。
2つずつだと対比的に論じられるので講評もしやすく、なかなかグー。いい感じで講評が進み、議論を楽しめた。
個人的には筑波大学の有原君の「おどる住宅地」という作品にかなりの切れ味を感じた。「せんだい」でも高評価だったようだが、風刺があり、ひねりがあり、表現がある。素晴らしい。
また、千葉大の皆川君の作品で「いちょう団地」が出て来たのに驚いた。神奈川県にある、外国籍の住民が多数住んでいる団地であるが、どひ研で先輩の調査についていった記憶が思い出された。
「卒、」に限らず、合同作品展が盛んなのは素晴らしいことだと思う。学生の皆さんのオーガナイズも気持ちよく、今回も参加できてよかった。また呼んで下さい。
fujimura
ご無沙汰しております。3月から東京に出稼ぎに来ています。週末は京都。
21日朝は、ものすごく久しぶりに鎌倉にでかけて畠山直哉を見て、キャラウェイのカレーでたらふくになって外苑前へ向かう。今更ながら湘南新宿ラインに感銘を受けてしまう。いやわかってます、そういう路線が数年前に新設されたってことは。でも大船から渋谷(の先)まで一本でいけるってすごいことだと思う。知られざる線を無理矢理使ったんだろうけど、他にもそういう隠れた路線てのは残ってるんだろうか。あるんだろうな。鎌倉に行くと脳が10年ぐらいタイムスリップする。やや感傷的になった。いや教育実習に通ったりしたからなのだが、坂倉美術館がちと傷んでみえたせいも、あるかもしれない。今日はお休みの日だからなのか、10:30頃に東海道線では自殺者がでており、13:00になっても電車が遅れていた。
で、藤村龍至展だ。オープニングで見たときの第一印象はこんな感じ。
「やりたいことは全部、とはいわないまでもほぼすべてできてる。でも、やりたいことしか、できていないんじゃないか」
コンセプトは簡潔。表現は明快。展覧会をひとことで表すとそうなる。これはわかっていた。でもこの感想は、二回目を見てあっさり打ち砕かれました。
そもそもプリズミックの展示空間は、たぶん展示しにくいタイプの空間だ。低い天井、薄い壁、赤い床(それはいいか)、いびつなプラン。隣の部屋で鳴り響く電話。よわっちい空間なのに、展示が空間に負けてしまうことも多々ありそうだ。
そんな場所で藤村くんの展示は、大きく二つの質の空間を備えていた。一つは窓から窓までの長手方向の空間。入り口からみて前方に左右に伸びており、左から、UTSUWA、K-PROJECTスタディ模型、K-PROJECT展示模型と展示台を三つ並べていた。UTSUWAがいちばん低く、スタディ模型群は腰の位置。展示模型は目線の高さに置かれていた。展示模型は断面が異常に作り込まれており、床の下、壁の中まで再現した緻密かつ執拗な再現力を感じることができる。二つ目の空間の質は、空間構成としてのポイントとなるものだった。それぞれの展示台の前方と後方に、長手方向に横たわった模型空間を三つに輪切りするような空間が設定されている。そこには模型のひとつひとつを解説した画像を、カレンダーのように配置したプレゼンを見ることができる。これで模型と壁の間を視線が往復する、動きのある展示空間が生まれていた。
最大のポイントは、壁のプレゼンペーパーだ。だってさ、それがコメント付きなんだよ!
ただのキャプションじゃない。コメント、もっとはっきりいえば、画面の外から藤村くんが唐突に語りかける「吹き出し」が書いてある。具体的にいうと、「スタディ模型-4」ではなく、「おそるおそる突起を出してみる」なのだ。UTSUWAのうねうねが決定されていく過程が、物語として語られていくわけだ。たぶん本人は「説明できないことはしません」という決意のもとに設計をしているわけだ。だからどの設計物をとっても、彼がストーリーとして再現できない設計は行われない。将棋で、指し終わったあとに手順を一手目から検討し合う「感想戦」ってあるじゃないですか。あれができない設計はしないわけですね。というか、ひとつひとつの「筆使い」に客観的にコメントをつけられるのが、彼の才能なのではないかと。で、これがきわめて愉快。コメントのセンスに脱帽だった。もう、思い切り笑えたポイントがあった。まさか藤村くんの展覧会で笑いをとられることになるとは夢にも思わなかった。いいなあ。あれを見にもう一度行っても良いぐらいだ。
いちばんよかったのは、DMのイメージを決定する「藤村のデスクトップを再現したイメージ画像」のスタディ。素材をばらまき、小物のストーリーを整え、臨場感ではなくビジュアルイメージとしての手の角度が決定されていく様子が面白い。ああいうのをほんとうのイメージ画像というのだ。それが貼られた壁には、ほかにも「イメージが決定されていく(実現されていく)プロセス」がいくつか展示されていた。「設計のプロセス/プロセスの設計」というテーマはちゃんと表現されていた。
でもなあ。不満がないわけでもない。とにかく展示のコンセプトを明瞭に提示した点で、とても胸のすくさわやかな印象が残ります。だけど、ちょっと素直すぎやしませんか? ダミーのボリュームを模型の周りに配置して、それぞれのスタディ模型を都市の中に息づかせてみたり、プレゼンペーパーのコピーを過剰に貼り込んだ一帯をつくるなり、思考の過程でたどりついた最終形じたいを疑うような、そういう情報の「検索空間」があってもよかったんじゃないかなと。
あとたぶん時計回りの動線を考えていたんだと思いますが、打ち合わせ台(プリズミックギャラリーの宿命的な仕様)に荷物を置いたぼくは、逆時計回りに回ってしまった。だからなにって感じですが、ギャラリー空間の左から回ってくる模型の質と、右から回ってくるプレゼンペーパーの質が真ん中でぶつかって、ちょっと戸惑いました。まあこれは個人的な感覚なので大したことじゃないですね。
とまあ、やりたいことはやって、しかもそこからうっかり逸脱した(ほんとにうっかり、という感じだ)面白さが展示されている。これは一般論だが、まっとうなものの中にかいま見えるズレは、どんなときでも面白いものだし、そういうハズシがない物事、人物はつまらない。ただ、今回のズレは、「えーそこがズレてんの?!」と、ズレの位置じたいがズレていて面白く、しかも、ごくまっとうな展示が真横にあるわけだから、ちょっと動揺してしまう種類の面白さなわけです。たぶん藤村くんには、彼じしんぜんぜん気づいていない才能が隠れているのではないか。まったく味わい深い。いいもの見せてもらいました。ありがとう。
そうそう、もう一点だけ。 いまのところround-about journalは会場限定配布らしいですが、これ、せっかくなので各地の先輩がたに届けてはいかがですか。それも、郵送とかじゃなくて、オープンデスクの人が直接ポストに投函するの。オープンデスクの学生さんたちにとっても、事務所めぐりにもなるし(めぐるだけだけど)よい経験になるのでは。5部ずつとか。 さらに、移動・投函などその行程を記録し、まとめると面白いと思います。殴り込み、あるいは道場破り、といった趣もありますが、やっぱり元・議論の世代に対しても、何らかのアクションになり得ると思います。 それともう一つ、会場ビルの入り口に貼ってあるポスター(?)ですが、これって情報----会場の階数とか場所とかが書いてない----を整理していろんなところに貼るべきじゃない? 南洋堂に貼らせてもらうとか、都内のギャラリー(ふつうのアートギャラリー)に送りつけるとか(DMも)、そういうことがあっても良いと思います。あの手の出たデスクトップのビジュアルイメージは、いろいろな種類の人を呼び寄せる力があると思います。 ほんとは25日の打ち上げで提案したかったんですが、行けないのでここに書いておきますね。 yamasaki
1日夜は花見を兼ねROUND ABOUT JOURNAL編集者で打ち上げ@六本木。お互いの記事の感想など。おかげさまでいろいろなところで読んで頂いているようです。ありがたいですね。
*
では、勝手にコンテンツの解説など。
山崎泰寛「『議論の場』の設計」
最初に山崎さんにこのフリーペーパーの企画を相談したとき、「なぜ藤村展の会場にフリーペーパーがあるのか、説明が必要だ」と指摘され、解説をお願いしました。「議論」することと「設計」することが切れそうになっているところを、うまく繋いでくれました。
松川昌平+田中浩也「『誘導』から『栽培』へ!?」
2006年末のsyncactiveと松川さんと田中さんのSFCでの授業の講評会での議論がなかなかヒートアップしたので、それの延長で座談会を企画した結果、5時間ぶっ通しのガチな議論に。巻頭記事にふさわしい、熱い内容にまとまりました。文字起こし手伝ってくれた長瀬君は大変だったと思います。どうもありがとう。
福西健太「『カーン』と『セシル』の間で」
福西君とはかれこれ7年くらいの付き合いです。伊東さんが最近のGA JAPANでペン大のセシル・バルモンドのスタジオのことを話しているのを読んで「へぇ」と思っていたらたまたま福西君から久しぶりにコンタクトがあって、ペン大にいることを知って急遽お願いして書いてもらいました。彼らしい素直な言葉で紡がれる戸惑いの言葉がいいですね。
石上純也+徳山知永「自然な思考の流れをつくるために」
TN probeでの石上さんのレクチャーを聞いたとき、アプリケーションを作って設計をしていると聞き、興味を持っていたので、アプリケーションを書いた徳山君にも同席してもらって、その話をメインで聞きました。石上さん独特のリズムを誌面でも感じて頂ければ嬉しいです。
長坂常「『宙ぶらりん』にしたまま設計する」
長坂さんは、直接対象に取り組むというよりは、対象の捉え方の手法に工夫を重ねるタイプで、CGとかコンピューターというツールがそこに重ねられているということがよくわかりました。長坂さんのキャラクターがよく出た記事になっていると思います。
松岡康友「建築のロボット化」
「情報技術の進化との関連性から建築を眺める」ということで僕としてはキタキタキター!、みたいな。機会があれば彼の作品や研究を交えてもっと聞かせて欲しいですね。
畑克敏+城間真琴「検索過程と比較過程」
藤村事務所のスタッフに、伊庭野君が切り込むというスタイルが、うまくハマったような気がします。ふたりの性格が浮かび上がっているのでは。
山本茂「藤村事務所が『模型』でやっていること」
オープンデスクの山本君へのインタビュー。インタビューしてみて、考えたことをはっきり言葉にできるという点において、とてもレベルが高いと感じました。
柄沢祐輔「『ゼロの風景』へ、『超論理性』を以て介入せよ」
同い年で、Table of Youthなども一緒にやっている柄沢君ですが、ちょうど同時期(2002-2003年)にオランダに滞在していたということもあり、背景をいくつも共有しているので話しやすかったです。Table of Youthで展開している「脱シミュラークル」というコンセプトと、「非ユークリッド幾何学CAD」というアプローチの繋がりが見えたのは個人的に大きな収穫。
青木弘司「若手からみたワカテ〜形式的で、模型的で、検索的な建築について〜」
藤本事務所で活躍している青木君とのメール対談。塚本さんと同級生だった山田深さんの研究室の出身なので、どこか親戚のようでもあり、気楽に暴投してもキャッチしてくれるような安心感があります。今回の誌面で展開されている様々な議論の、見取り図のようなコンテンツになりました。
青柳創「壁の厚みが気になる」
書き流した大人の文体で読ませますね。「壁の厚み」への想像力は、「あちら側」へのそれと重なるものがあります。
本瀬あゆみ「風景と呼ばれないもの」
ひょっとするとこのテキストは、郊外空間論としても読めるのでは。テアトロ・オリンピコを用いてビーナス・フォートを批判するというのは切り口としてなかなかシャープです。
成島大輔「無数の消失点が、一本の地平線になる」
後日、成島さんの絵本のような作品を頂いたのですが、そこで表現されていた世界観をみて、このテキストの意味もよくわかりました。彼が問題にしている「無数なもの」「無限なもの」「永遠なもの」への恐れや憧れに、大量消費社会や情報化社会のイメージを重ねることもできるような気がします。
佐野哲史「不完全性を設計することはできるか」
ミースvsシャロウンという構図はちょっと図式的になってしまったけど、彼の問題意識がストレートに出た論考になりました。設計しないで余ってしまう空間と、余すことを設計する
空間の違いを説明するのは難しいですが、設計のテーマとして興味深いです。
*
次回、vol.2の解説も書きます。
fujimura
ROUND ABOUT JOURNALの解説の続きを。vol.2は都市編です。
Droppaper
本瀬から「毎月1回キンコーズに集まり、その場で割付と印刷をして媒体を制作する、という活動を続けている人たちがいる」と聞き、見せてもらったところ、その即物性がなかなかカッコ良く、都市面の表紙をお願いすることに。最後にカリヤ氏が図版を2度傾けたことで、ライブ感をうまく保存できた気がします。
南後由和「『建築的思考』を召還せよ!?」
南後君とは、10+1の現代建築思潮研究会で初めて会い、一度じっくり話をしてみたいと思っていました。ここでは、出たばっかりの『東京から考える』をとっかかりに、社会学と建築学の架橋の可能性について議論しています。この議論を経て、建築家が社会を論じることの価値について堂々と発言してもよいのだ、と素直に思えるようになりました。
唯島友亮「超2層構造論ー『科学的超現実主義』というコラージュ」
ToYなどにも参加してもらっている唯島君ですが、ここではマニアックなキャラを前面に押し出してもらおうと思いました。「竹中久七」という1930年代のマイナーな理論家の文章を発見した、というので、それをベースに展開してもらうことにしました。脚注も遠慮せずに増やしてもらったところ、とてもマニアック・ポップな論考に仕上がりました。
吉田桂子+和泉芳典「『吉田さん』と『和泉くん』」
ルフェーブルvsフーコーという構図は熱いのだけど、そのままだと抽象的になりすぎるので、対談という形式を採ることで問題の構造を人間関係で理解できるようにしたら面白いのでは、と思いました。短い字数でしたが、唯島君の論考と相補的でもあるし、南後君との対談の内容を受けています。
川西敦史「軽さについて」
「1995年」というキーワードに対して、正面から取り組んでくれました。加速する消費社会と、自らの震災体験の記憶の不連続性を彼自身の言葉で紡いでいて、迫力のあるテキストです。
伊庭野大輔「Your Landmarkー無数の超高層建築と、無数の地域的領域」
もともとは構成論として書かれた彼の修士論文を、私小説ふうに開いたもので、景観論としても読めますね。「東京中を自転車で走り回った」というその身体性を強調することで、伊庭野のスポーツマンっぽさも出たし、都市空間に対する身体の介入という現代的なテーマにも接続できたのではないかと思います。
坂東幸輔「ランダムリサーチ」
元スキーマのスタッフで、今ハーバードに在学中の坂東君によるスタジオレポート。主観的な情報の集合から設計に有効な客観性を抽出する手法を指した「ランダムリサーチ」というタイトルは、良い言葉を見つけたな、と思います。
Samira Boon「マスクが作る日本の風景」
デザイナー、Samira Boonのインタビュー。彼女の「フロシキシキ」の名刺入れは、建築業界でも愛用者が多いですね。英語の途中に「ええと、ここでところてんが運ばれてきましてー」という日本語が入る間合いが最高。
村井一+藤井亮介「都市ランニング論ー都市構造を測る!」
長距離をやっていた村井君と、趣味でマラソンをやっている藤井君のマラソン対談。日頃のマラソン体験と、各都市のマラソンコースの比較から、「都市構造を測る」というテーマについて話しています。
藤井亮介「マラソン・モードの東京ー東京マラソン2007体験記」
松島潤平「ローカル・モードの東京ー東京マラソン2007応援記」
時事ネタで東京マラソンレポート。走る側、見る側からみることで、重層的なリポートになっています。当日の非日常性や高揚感を感じさせますね。
小川裕之「交響空間」
代々木公園でのパーティを行って来た過程で獲得された公共性について、体験的に語ってくれています。社会に対して単に抗うのではなく、従うでもなく、周辺と議論しながら自分の居場所を定めようとする意思にとても共感します。
益子悠「(K PROJECTを主題にしたマンガ)」
芸大デザイン科出身で、mashcomixとしての活動や、イラストレーターとしても活躍中の益子さんに、K PROJECTをモチーフにしたマンガの制作を依頼。松島がマンガヲタっぷりを発揮し、素晴らしいやり取りをしてくれて、奥行きのある作品に仕上がりました。
松島潤平「都市の建築をマンガのようにしか経験できない」
隣ページのK PROJECTマンガの解説でもあり、益子論でもあり、建築論でもある。mashcomixの体験から入り、「マンガ中毒キャラ」という設定を介して都市の経験に繋いでいく構成はなかなか完成度高いです。
藤井亮介「早送りされる風景ー世界を映す鏡としてのマンガ」
ToYでも展開してくれた「マンガ建築論」が風景論となってバージョン・アップ。「トラベル」の図像がビデオの早送りに似ている、というところから議論が展開していきました。出版元から図版掲載のOKが頂けたのは大きかったですね。
北川健一「『建築ケーキ』のデザインプロセス」
あのケーキを作ってくれた、ヨックモックのパティシエ北川氏へのインタビュー。伊庭野の「ケーキ用図面」も公開。
尾田のぞみ「先へ」
担当作での体験をベースにしながら、建築がどうやったら自然に建つことができるか、という(真っ当な)問題を論じています。消費社会の中で、それでも建築が生産されなければいけない現代の状況についての戸惑いがストレートに言葉になっています。
土屋匡生「映画館の21世紀」
映画館からみた消費社会論。横浜駅西口の名画座とMM21のシネコンを対比させ、新たなオルタナティブとしてのQ-AXを位置づけています。8講座出身とのことで、北山さんの作品やタームが出てきます。
玉井夕海「水の家」
玉井さんは芸大の建築科出身。「千と千尋の神隠し」リン役を経て、映画「もんしぇん」で脚本・音楽・主演を務め、女優としても活躍中。自分と世界を繋ぐ「水」の尊さ、偉大さ、を語ってくれています。
しんけたつま「ジェスチャーにかんする覚え書きよっつ」
しんけ君のことは10年くらい前から知っていて、しばらく音信が途絶えていましたが、最近再会しました。彼らしいジェスチャーでジェスチャーについて語るという内容。文章の構成と段組みも合っていますね。
刈谷悠三「議論のレイアウトー建築論と都市論のクロス・ワード」
右開き、縦組みで展開されてきた建築論と、左開き、横組みで展開して来た都市論を繋ぐという誌面のコンセプトについて。今回は「1995年以後」という大きな枠組みしか手がかりがなかったので、誌面の形式性によって救われた部分が大きかったと思います。
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うーん、都市面にふさわしい、バラエティに富んだ内容ですね。以上、解説でした。
5月6日までPRISMIC GALLERLYで無料配布中です。
ROUND ABOUT JOURNAL vol.1+2は下記のスポンサーのご提供を頂いております。
株式会社INAX 日新工業株式会社 (50音順)
感想、ご批評をお寄せ下さい。メールはこちらまで。
fujimura
会期終了が近づいてきました。まだの方はぜひお立ち寄り下さい。
なお、当初DMやリリース等では「会期中無休」とお知らせさせて頂きましたが、会場の都合により5/3,4はお休みとなりましたのであわせてお知らせ致します。
藤村龍至展
会期 5月6日(日)まで 5/3,4休
会場 PRISMIC GALLERY(プリズミック・ギャラリー)
107-0062東京都港区南青山4-1-9秋元南青山ビル5F
(東京メトロ銀座線外苑前駅徒歩5分)
03-5770-4751 (土日・祝03-5770-4139)
日曜・祝日はお手数ですが、ビル裏手駐車場内の通用口よりお入り下さい。
URL http://www.prismic.co.jp/gallery/
時間 10:00-17:00 入場無料
会場では、「設計のプロセス/プロセスの設計」をテーマとして、これまでに竣工した店舗や進行中の集合住宅を中心にご紹介(会場風景)しているほか、フリーペーパー「ROUND ABOUT JOURNAL」を配布しています。
近隣ではギャラリー間で「アトリエ・ワン展」が開催中の他、新国立新美術館やミッドタウンなど話題の施設も続々オープンしましたので、ゴールデンウイーク中、あわせて散策されてみてはいかがでしょうか。いずれも徒歩圏内にあります。
○ギャラリー間「アトリエ・ワン展」(毎週土曜日に人形劇の上演があります)
○21_21「Chocolate」(深澤直人ディレクション)
○国立新美術館(「モネ展」ほか)
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なお、私は会場には常駐しておりませんが、5/1,6にご案内等で行く予定があります。
皆さんのご来場をお待ちしております。
fujimura
3日、事務所に新しいオープンデスク参加者が集合。HPで告知した結果、今期は各大学から8名の応募があった。この日は新3年生が中心でとりあえず4名。
夜、中村竜治事務所の花見へ。工芸品のような模型がきれいに並んでいる。若手建築家が集まってたわいもない話。アットホームなパーティで心温まる。
5日、20:00事務所で南後君と柄沢君と打ち合わせ。フリーペーパーでの議論をきっかけに、UMATという東大の情報学環の国際会議に参加しよう、ということになり、企画の詰め。動いているいくつかの企画を連動させていく。
8日、朝6:30研究室に集合。車に分乗して仙台のアトリエワンの新作「ノラハウス」へ。凸凹の床と不定形の屋根を極細の柱が繋ぐ構成。玄関にしてはやや広く、リビングにしてはやや狭い2400X3600の空間が単位となり、レベル差を持ってランドスケープ的に繋がる。大きな縁側があって、前面道路や畑と緩やかに繋がる。いろいろな場所があるし、回遊できるし、パーティとかやったらとても楽しそう。書斎とかDJブースっぽいし。
外観がとても異様。アニハウスとかも異様だったのだろうけど、たぶん今までで一番異様な気がする。「アニ」は空間図式的だったけど、「ノラ」はとても物語図式的だ。
その後久しぶりのメディアテーク。絨毯や家具等、建物はだいぶくたびれていたが、空間は依然として新しい。以前は気がつかなかったが、今回は7階の素材やディテールの生々しい感じがとても目についた。
新幹線で帰京し、19時から建築道場。トラフのレクチャーとトリコの佐伯さんと岡田栄造さんの対談を聞く。アイディアをリズミカルに繰り出す感じはトラフも佐伯さんも共通している。
12、13日は打ち合わせで飛び回る1日。夜は吉岡賞記念講演会。中山さんのレクチャーはいつもながらポエトリー・リーディングのよう。たくさんの場面のスケッチをFAXでスタッフに送りつけて、送り続けているうちにそれらのスケッチがひとつの空間をイメージしていることに気がついてそれを模型にした、という設計プロセスの話は面白かった。
昔、アメリカの大学を回っていたときにそういう設計をやっている学生がいたことを思い出す。心の中の風景を描き続け、それを精神分析みたいに自己分析し、形式化していくという主観と客観が共存するようなプロセスである。
今のところ、デザイナーの主観的な世界観を強固に構築しておきながらユーザーとの客観的な距離を語る、というパラドックスが中山さんの魅力の核だと思う。聞いているとなんとなくしんみりとしてしまうのだが、同時に冷静に突っ込みを入れたくなる感じ。審査員の入江さんはそこのところをはっきりと突いていた。
14日、12:30ギャラ間のアトリエワン展で人形劇を見る。大盛況。塚本研の後輩たちも出演しているのでハラハラしながら見ていたが、みんな楽しそうだった。会場で坂本研の後輩達に会ったのでそのままプリズミックへ誘導。展示を見せてちょっと議論。事務所に戻り、その後19:00OZONEの大成優子展オープニング。建築のイメージを伝えるにはちょっと概念的すぎる気もするが、意表を突いた感じが大成さんらしい。その後事務所にてToY3の定例ミーティング。3期もいいメンバーが揃ったのでは。
15日、13:00埼玉でロータリーの地区大会。「新世代プログラム」で毎年恒例のご挨拶。打ち合わせを挟んで都内に戻り16:00プリズミック。五十嵐淳さんをご案内。せっかく来て頂いたから、と必死に説明をしていると後ろから「藤村さんですか」と声を掛けられた。広島の谷尻誠さんだった。初めてお話ししたが、事務所の話等いろいろ勉強になった。近い世代の建築家の方々に展示を見て頂けるのはとても光栄なことである。
16日、15:00授業。17:00塚本研でMDR飯尾さんと打ち合わせ、round about journalを気に入って下さったとのことでとても嬉しい。編集者の方々にこちらの議論のイメージをお伝えするためにも、フリーペーパーは役に立っているのかも知れない。そのまま18:00南後君、柄沢君と打ち合わせ、夕食を挟み20:00第1回全体ゼミ。ロッシ、ベンチューリ、コールハースという建築軸と、ルフェーブル、ボードリヤール、ハーヴェイを思想軸を繋いで読むという企画。南後君、柄沢君、唯島君に参加してもらい、7月のUMATまで毎週続ける予定。盛り上がりそうな予感。
17日はビジネスモードで打ち合わせに回る。
18日、13:00つかもと師をプリズミックへご案内。忙しそうだからためらっていたが、予定に組み込んでもらえた。先生に見てもらえるのはやはり嬉しい。帰り際に「個展といっても、同級生とかなかなか来てくれないもんですね。」とぼやいたら、「それでも無理矢理連れて来るんだよ。」とアドバイスされた。
その後塚本研の後輩連中とプリズミックで合流。ほとんどのメンバーはオープニングに来てくれたのだが、当日があまりに混みすぎてよく見てもらえなかったので無理矢理機会をつくって改めて全員に来てもらった。展示を解説して質問を受け、少し議論。「見解が変わった」という人もいるし、相変わらずそっけない人もいるが、身内とはいつでもそういう存在であって、とにかく見せることが大事。
この日は「街歩きゼミ」という企画で、国立新美術館、ミッドタウンを経由してギャラリー間をみるという企画。21_21で安藤展に寄ったら、安藤さんがいて久しぶりに生で話を聞く。会場に入るなり「安藤先生のご希望で学生の方は前に来て下さい」とアナウンスがあり、学生が前方に集められ、瞬時に熱気のようなものが立ち込める。
のっけから「今の学生はだらしがない。漢字も読めない。対話もできない。うちの事務所の若い連中も対話をしない。」と安藤節全開。「日本人はもっと美術館とか映画館とか行った方がいい。そういうことに積極的なのは女性。男性は家でゴロゴロしている。だからこのギャラリーを作りました」と(無理矢理)締めるころにはいつの間にか大きな人だかりができていた。安藤さんの話は論理的ではなく、建築家というよりは政治家的で、その意味でとても社会的だ。
安藤さんの作品集にはよくパステルカラーの色鉛筆のスケッチが出て来るが、建築を学ぶまではあれが表現だということに気がつかず、本当にああやって設計しているのだと思っていた。長年にわたってそういう「フリーハンドで色鉛筆を走らせ、スケッチを繰り返す」みたいな建築家のイメージを構築して来た安藤さんが、スタディ模型とか施工図を並べることによって大衆の「建築のイメージ」を変えようとする試みは面白い。
ただ、安藤さんの見せるプロセスはあくまで断片であり、少々演劇的だ。あれを見て、設計のプロセスが具体的にイメージできるわけではない。スタートからゴールまで全部見せる(例)ならば、建築の設計がもっとオープンソース的になり、建築家のイメージも変わるのではないか。
そんなことを考えながらギャラリー間に移動し、「人形劇の家」でゼミ。後輩Kの司会でミッドタウンについて議論。ちょっと前に全力ゼミの連中とミッドタウン・ゼミをやって仕込んでいたので、いろいろ思うところはあった。
ミッドタウンで思ったのは、隈研吾のアルミに桐の突き板を貼った15mmのルーバー(サントリーミュージアム)にしろ、内藤廣の穴開きブロック(虎屋)にしろ、杉本貴志の枕木(MUJI)にしろ、アトリエ建築家らの試みが総じて「ダイノック・シートだらけのミッドタウンにおいて、いかに素材感を導入するか」という一点に集中しているということ。
かつてレム・コールハースは「錯乱のニューヨーク」で、アイコン(表層)としてのスカイスクレーパーと、アーキテクチャー(深層)としてのマンハッタン・グリッドの対立を指摘した。ミッドタウンを見る限り、その対立はますますクリティカルになっているように思える。つまりここには、素材という「表層」を決定する建築家アトリエ群と、全体のボリュームの配置や構造スパンという「深層」を決定するSOMと日建設計のような建築家組織群が対立的に共存しているのである。
これまで建築の世界は「住宅」と「公共(施設)」の差を問題にしてきた。「住宅作家」と「(公共)建築家」という2種類の建築家がいて、「住宅は芸術である」とか、「住宅に批評性はない」といった議論が繰り返されてきた。
今問題にするべきは「住宅」と「公共」の対立とか、「小さい」と「大きい」の対立というよりも、「表層」と「深層」の対立なのではないかと思う。演劇的なスピーチで政治家のように振る舞い、組織事務所すらコントロールしてしまう安藤さんも、圧倒的な仕事量で表層をルーバーで覆い尽くす隈さんも、美術や思想の枠組みを援用しつつ「実践」を標榜するアトリエワンも、それぞれ異なるアプローチで都市の「表層」から「深層」へ介入しようとしているようにみえる。
今日の建築が持ちうる社会的な批評性を考えるならば、六本木は熱い。
fujimura
おかげさまで、6日をもって「藤村龍至展」が無事終了しました。
満員電車状態になってしまい、「インディーズのライブハウス」と揶揄されたオープニングから約2ヶ月。会期中も各所で宣伝して頂いたおかげで動員数は伸びに伸びてプリズミック新記録樹立だそうです。フリーペーパーも好評で嬉しいです。ご来場下さった方々、準備等手伝ってくれた方々、情報掲載等お世話になった方々、そして機会を与えて下さったプリズミック・ギャラリーの方々、どうもありがとうございました。
本日撤収に行ってきました。片付けてしまうとあっけないもの。代わりに事務所がまた模型であふれています。プリズミックの早川社長、ギャラリー担当の立松さんにもご挨拶。次は平田展ですね。楽しみです。
さて、4月後半を振り返ります。
20日、アトリエワンのレクチャー@イイノホール。ルフェーブルの枠組みの説明から入る。新作も交え、たっぷり2時間。「ガエ・ハウス」や「ハウス・アンド・アトリエワン」のビデオがよい。最後に学部1年生が質問したりして、ある種の開放性を感じた。
個人的には「PUPET THEATER HOUSE(人形劇の家)」の話が一番ぐっと来た。解散しそうな人形劇サークルのために作られたこの建築は、ハーバーマス的な意味での公共圏として構想されている。「リムジン屋台」にしろ、「ファーニ・サイクル」にしろ、今まで「マイクロ・パブリック・スペース」といっても美術展の枠組みで作られた作品というところに何か物足りないものを感じていたのだが、この作品には今までにない迫力がある。
ちなみに、その学部生の「質問」というのは「おふたりの建築はすごく『楽しい』んですけど、何かアドバイス下さい」というものだった。その質問に塚本さんが「『楽しい建築』をつくるためにはまず、『楽しい人』になって下さい!」とか応えたりして、やりとりはとても楽しかったのだけど、同時に難しさも感じてしまった。アトリエワンの「楽しさ」の表現というのはグローバル資本主義がもたらした交換可能に都市空間対する批評なのだけど、ヨーロッパならそういう前提で議論が進むのに対し、日本では「楽しい」=「楽しい人」というように、作家のキャラクター性の問題に回収されてしまう。もう少し土壌を育てるような作業がいるのだろう。
その後レポートを担当する南後君、中山英之さんなど交えて打ち上げ@四谷。昔、ピーター・メルクリが「記号を働きに変える」と言っていたという話を貝島さんがして、塚本さんが「それいい!」とかテンション上がり、中山さんが同調する、みたいな感じの議論で盛り上がる。
23日、20:00塚本研にて全体ゼミ。南後君、柄沢君、唯島君が毎週ゲストで参加してくれていることもあり、調子が出てきた。
26日、中央アーキのサカカヨ、編集者の方、カメラマンの方など来社。中央アーキの編著で出るランドスケープ本で載せて頂くことになり、撮影。
27日、そろそろ個展の会期も終了に近づいてきたのでご案内本格化。12:00お世話になっているR社の方々。近況等伺う。中国での大型プロジェクトが成功された様子。
28日、個展ご案内ピーク。アポイントが1時間毎になる。中学校の同級生なども来る。最後は大阪の先輩カガワ氏。流れで飲み会@千駄ヶ谷。塚本研OBが集まる。
29日、この日も朝からご案内。最後は懐かしいメンバーがそろい、飲み会@西麻布。
30日、再びサカカヨ、ライターの阿久根さん来社。件の本に収録する対談を集録。東京の風景について議論する。面白かった。
1日、16 :00過ぎ、五十嵐太郎さん待ち合わせ@プリズミック。忙しいところを時間を割いて来て下さった。展示のコンセプトを解説させて頂く。「本当にこれからスタートしたんですか」「本当にこういう順番だったんですか」と矢継ぎ早にご質問を頂く。後ほど日記で「立体パラパラ漫画」と形容されていてなるほどと思う。20:00塚本研で全体ゼミ。
2日、18:00ギャラ間の「ホワイトリムジン屋台」でパーティ。新入生等と絡む。
5日、12:00プリズミックに森ビルのIさんご案内。7月にアカデミーヒルズのシンポジウムで呼ぶ某外国人建築家の等など。素材のイメージが強い人物だが、博士論文は都市論を書いているはずなのでそういう流れを提案。都市を語れる若い人材を探しているという。14:00中国で働いていて、最近帰国したばかりのU君とMさんご案内。中国的状況をいろいろヒヤリング。中国はやはり面白そう。改めて伴山人家プロジェクトの中止は残念だ。18:00南後君、柄沢君来社。UMAT打ち合わせ。その後22:00大学にて全体ゼミ打ち合わせ。
6日、個展最終日。この日もご案内続く。14:00ギャルリータイセイのキュレーターHさんと大成OGのYさんご案内。学部生時代お世話になった恩人。ギャルリーでYさんが親しく接して下さったおかげでHさんや大成の方々と知り合うことが出来、コルビュジエやミースのことをいろいろ勉強させて頂いた。
この日もたくさんの方が来て下さった。17:00で終了。長いような、短いような会期が終わった。
展覧会のおかげで少しは私のことや建築のこと、考えていることなどを知って頂けただろうか。やってみて、自分の支持層というか、一定の「オーディエンス」のような方々の存在があるということを学んだ気がする。Table of YouthやROUND ABOUT JOURNAL等で若い連中と絡んできたせいか、私の建築なり、話なりに耳を傾けてくれるのは圧倒的に自分より年下=1977年以降生まれの人で、身近な人(東工大生とか)よりも遠い人(地方の学生とか)のほうがより熱心に聞いてくれるという感触がある。これから文章を書いたり、話をしたりするときにもっと世代的なターゲットを絞っていくのも面白いかも知れない。
それにしても、展覧会を通じていろいろな人に会うことが出来たのは収穫だった。展覧会は確かに情報発信の場ではあるが、同時に情報収集の場としても存分に活用させてもらったような気がする。
7日、15:00東工大で学部2年生の授業アシスタント。ガイダンスのときはじゃが芋のようにおとなしく並んでいた彼らも、1つめのトレース課題が終わる頃には少しずつ表情が出て来る。2つめのトレース課題は吉村順三の「軽井沢の山荘」。17:00塚本研で論文ゼミ、20:00全体ゼミ。この日は4回目。ロッシ、ベンチューリ、コールハース、ルフェーブル、ハーヴェイを一度に少しずつ読み続けてきて、少しずつ知識が共有されてきたか。要約等慣れない学生も多いので少々じれったい場面もあるが、皆頑張っているので次回以降がとても楽しみだ。21日は塚本先生も迎えて討論することになった。
8日、編集の伏見さん来社。ブレスト的に打ち合わせ。少し息の長い企画なので、全体のストーリー作りを一緒に考える。こういう作業は楽しい。
展覧会効果か、最近オープンデスクの応募が本当に増えた。最近は各大学から10人くらいが交代でやってくるようになったが、学部生は授業や課題に忙しいようで、週1-2度が限度のようだ。大学院生がもう少し増えるといいなと思う。
事務所では着工前の某プロジェクトのコスト調整が大詰め。10+1原稿もようやく大筋が見えてきて面白くなってきた。展覧会も終わったことだし、気持ちを切り替えて次のステップへ進もうと思う今日この頃である。
fujimura
11日、15:00ジャーナリストのKさんと待ち合わせ@パークハイアット。ベルラーヘにいたときに取材して頂いたのがご縁で知り合った方で、バイタリティあふれる女性である。かれこれ4年ぶりにお会いし、近況等ご報告。16:00ドイツの某家具メーカーの記者会見とレセプションにご一緒する。社長のシュミッツさんは若いが日本語が上手く、一度名刺交換しただけなのにちゃんと僕の名前を覚えていてやり手っぽい印象。学生の課題等はよく聴くが、異業種の人のプレゼを聴くのはいろいろ勉強になる。
20:00事務所に戻ってTable of Youthのミーティング。文章が揃ってきた。メンバーの文章力は様々だが、ちょっと足りていない人の場合、70%くらいまで自力で書けるのだが、最後の30%が足りないという場合があり、そういう場合はさっと手を入れてみる。機械体操でちょっと手を貸すと宙返りが出来るようになり、一度その感覚をつかむと次から補助なしでできるようになる、みたいな感覚かと。
12日、9:30埼玉でロータリー財団奨学金の選考試験。今日は2次試験で、語学の面接等を行う。今年度は学友会会長ということで真ん中に座らせて頂き、英語で志望動機等を質問。例年いろいろな人が受験して来るが、印象がよく、実力のある受験生に会うと嬉しくなる(逆はなかなかつらいものがある)。
17:00同級生Tの結婚パーティ@ウェスティンホテル。とても楽しく、気持ちのよいパーティで、Tの手際の良さを感じる。その後は2次会。いろいろ情報交換。さらに友人Iの自宅にお邪魔して飲む。こちらは少しリラックスしてI夫妻と写真家のHさんとよもやま話。2:00帰宅。
13日、12:30やまさきさんと待ち合わせ@銀座。エルメスにて「メゾン四畳半/藤森照信」展を見た後、情報交換+やや打ち合わせ。
展示ではJ-waveチーム、Casaチーム、エルメスチームが「規定演技」よろしくいくつかのルールのもと茶室を制作。漆喰、焼杉、ゴザ、アコヤ貝など、藤森語彙がふんだんに駆使されていたが、構造は全部「Jパネル」だった。藤森さんが茶室等で使っていると聞いたが、ここでは家具等も含めて全面展開。
エルメスチームのはグリーンが見た目に爽やかだが、全体にホームセンターのガーデニングコーナーみたいな意匠。上に登れるのは楽しい。Casaチームのは外装の焼杉が斜めに広がっていて迫力があるが、全体にフォルマリスティックでやや肩に力が入ったような印象。内部のエルメスの座布団は皮肉が利いている。J-waveチームの作品は入口といい、枝を使った天井といい、軽快でとてもセンスを感じた。
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このところ、諸々慌ただしい。15日、19:00寳神さんと待ち合わせてhhstyle新作発表を覗く。その後伊藤君合流し、中央アーキのサカカヨよりご招待頂いたExit to Safe展@AXISギャラリーのオープニングへ。
展示はどれも面白かったが、アーティストの野老さんの作品が特によかった。衣服をシェルターとして考えるというコンセプトはFINAL HOME的だが、「一枚の布」と「複数のジッパー」いう仕掛けが持つ構成のバリエーションが、オリジナルを凌駕しているようにも思える。
19日、平田晃久展のオープニングへ。会場は相変わらずの混雑だが、人数は適正な感じ。展示は模型+図面+文学的テキスト、という建築展の王道セット。レクチャーも、もっと精緻な理論武装的なものを想像していたら、意外にも素直な内容だった。
平田さんが大阪の堺市の出身だったとは知らなかった。古墳のある原風景について語っていて、土木的なスケールでの幾何学性が緑に覆われて自然のようになる、と平田さんはいう。安中のコンペ案で「土量」について主張していたことが思い起こされる。
20日、16:00バーベキュー@森山邸。住人Nさんのイキな計らいにより、急遽実現。伊藤君夫妻らと6人で押し掛け、森山さんも参加。後輩I(アウトドア系)を連れて行った結果、とてもいい働きで大正解。中間期で天気もよく、最高に気持ちよい。
21日、全体ゼミ。ゼミ後、夜中に後輩Kと走る。往復8km。こちらも気持ちよい。
24日、朝、某社でミーティング。新プロジェクト。流れで定例に合流したらチームの一員に森山邸で会ったばかりの友人Cさんがいてお互い驚いた。面白くなりそう。午後、別プロジェクトの仕込みでミーティング@某銀行。複数の論理を摺り合わせる作業。
事務所に戻り、19:00ミッドタウンのd-laboへ。南後君と柄沢君と合流し、東浩紀さんと北田暁大さんのトークを聞く。RAJのフリペや全体ゼミの流れでMDR飯尾さんよりお話を頂き、10+1で柄沢+南後+藤村の3人で鼎談をすることになったのだが、この日はそのための仕込みも兼ねて。
東さんは最近シンガポールに行ったらしく、伊東さん設計のvivo cityを例に挙げ、「建築家がショッピングモールとか設計するといいと思うんですけどね」と言っていた。何気なく聞いていたが、実は結構本気の発言なのかも知れない。東さんは他にも、「シンガポールで一番飯がうまかったのはvivo cityのフードコートだった」などと述べ、動物化した現代人を積極的に演じてみせる。
トークの大半は下北沢の再開発計画に対するスタンスの違いについての議論の繰り返しだったが、後半になって「最近の東京は車からみないと理解できない」という話へ展開。自動車型のショッピングモールも、コンビニの流通システムも、宅配も、全部繋がっている、という話。建築の畑で「自動車スケールで出来た都市」といえば当然「ラスベガス」が思い浮かぶわけだが、ここでは情報化が絡められている。
終了後、議論しつつ論点を整理。
25日、昨夜の議論の記憶も鮮やかなうちに四谷のMDRに再集合し、10+1の鼎談収録。東京の二層構造から路上観察の系譜、「虚の不透明性」、アルゴリズミック・デザインへという、このところ3人で議論している流れ。いつもしている議論をさも初めて話すかのように話すのは意外と難しいが、柄沢氏の文語体マシンガントークは炸裂。全体として、若い世代の勢いは出ただろうか。
26日、11:00友人Oさんの結婚式@広尾。大勢集まる。17:00ハウス・アンド・アトリエワンへ。ペン大の福西君が帰ってきていることをきっかけにみんなで集まる。神戸の家成さんや、終盤でホンマタカシさんも合流。
28日、新プロジェクトに関連して、朝よりシェアオフィス見学会。総勢20名近くで回る。「シェアオフィス」というとco-labやsyncなど、クリエイティブ系のオープンな空間のイメージを持っていたが、司法系のシェアオフィスは完全クローズド。支配人の話を伺っているとそれでも意外に多様性があることがわかってきた。
29日、20:00山崎さん来社。打ち合わせ。
30日、朝授業、午後ゼミ。なんとか終わって18:00某社打ち合わせ。28日の見学の成果を反映した模型を持参しプレゼ。業務の内容や分担についての共有など。雨のなかダッシュで事務所に帰り、南後君、柄沢君と先日の10+1鼎談の文字起こし原稿の校正を詰める。タイトなスケジュールなのでパソコン持ち寄りでその場でどんどん校正していく。かなりライブだがどんどん話の筋が明快になりテンション上がる。
31日、定例@某社。関わっている人数が多いため、全体検討会の後分科会へ。構造と設備スペックの詳細詰める。スケジュールがタイト。検討のスピードを上げなければならない。その後MDRへ。先日の鼎談の他につかもと師と共著で論考を書いているのだが、そちらの最終確認。
1日、たまっていた原稿がどんどん片付く。中央アーキの本のインタビュー原稿も送信。16:30某社訪問。その後、近くのco-labへ。mosakiの元子さんが受付にいた。mosakiやpointの長岡勉さんらの仕事場をみせてもらう。フリペに執筆してくれた小川さんにも初対面。
2日、11:00コルビジェ展@六本木ヒルズ。ふとしたきっかけで南条館長のツアーに参加することに。展示自体はコルビュジエの建築というよりは、その作家性の全体を追いかける内容。ユニテの一室を再現した巨大モックアップを始め、膨大な資料が極めて体系的かつ体験的に網羅されている。
面白い展覧会であることは間違いないが、展示としての批評性という意味では疑問も残った。作家性の全体を再構成することよりも、『輝ける都市』化が進行しつつある現代の東京においてコルビジェを再読することの可能性を問いかけるようなキュレーションもありえたのではないか、などと思う。
南条館長の説明では、観光で来るお客さんにもわかりやすいように、という配慮があったという。それは仕方がない。しかし、コルビュジエは近代化が始まりつつある時代に工学化する都市を予言し、そこにおけるヒューマニズムを提言し続けたわけで、工学化がリテラルに実現してしまった現在、そこに再びヒューマニズムが復活されるべきなのか、あきらめられるべきなのか、自然に問いかけるような議論は出来ないのだろうか。
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5日、国立新美術館のSKIN+BONES展のオープニングへ。LAのMOCAで開かれた展覧会の巡回展。80年代以降の建築とファッションを比較し、互いの共通点を探る、というもの。日本人建築家は伊東豊雄、SANAA、坂茂らが、ファッションデザイナーは三宅一生、川久保玲、山本耀司、渡辺淳弥などが入っている。
まず展示の感想としては、実物をずらっと並べているファッション作品の迫力に比べ、写真と小さな模型だけの建築作品がやや迫力不足な点は否めなかった。ただ、LAのMOCAでのオリジナル版ではシアトル公立図書館(OMA)やオリンピック・スタジアム(H&deM)の巨大な模型が並んでいて、両者の迫力は拮抗していたというから、ここでは巡回展という事情を踏まえて見たほうがいいのかも知れない。ちなみに図録を見ると、両者のイメージのスケールが等価になり、建築とファッションを横断的に並べてしまうという、この展覧会のコンセプトが持つある種の暴力性を最大限に感じることが出来る。
作品単体では、入り口にあるHussein Chalayanによる「Afterwords」というコレクションの「Convertible Skirt / Table」は面白かった。テーブルがスカートになったり、椅子のカバーが服になったり、椅子の本体が鞄になったりする。ビデオを見ていると、最後に何もなくなるのだが、そこになんとも言えない喪失感のようなものが残るなあ、と思っていたら「紛争で亡命を迫られる」という設定らしい。なんともヨーロッパっぽい。
ただやはり、ブルック・ホッジのキュレーションについては、大量の作品群を整理する体系としては理解できるが、文脈としてはなんとなく発見的でないようにも感じられた。このテーマを展開するとしたら、互いのデザインプロセスを見せることではないかと思う。衣服のデザインがどのようなプロセスでなされるのか、門外漢の私には全く想像がつかないが、恐らくそれは建築のデザインについてもいえるだろう。それぞれの分野のデザイナーがどのような思考を経てモノを作っているのか、という深いところを見せ合えれば、デザイナーにとって互いの製作のヒントとなり得るような気がした。
ともあれ、80年代以降の建築とファッションの流れを知るにはよい機会かと思われます。8/13(月)まで。10:00-18:00、火曜日休。
fujimura
16日、松田達さんのレクチャー@南洋堂。この6月に独立されたばかりであり、「まだ何も建てていないからこそ、出発点を語る」という趣旨。
「ユルバニスム」という概念の紹介、パリでの中庭のリサーチを経て、今後の事務所経営のイメージやつくりたいという「都市建築」のイメージ、過去の作品紹介等。
後半は松田節が炸裂。曰く、
「建築と都市が『都市建築』という概念をつくればいい」
「金沢と東京が離れているなら『金沢東京』という概念をつくればいい」
「感覚と論理が離れているなら『感覚論理』という概念をつくればいい」
と、リズミカルな展開。
だが肝心の「都市建築」なるものの具体的なイメージは最後まで語られないままであった。あくまで「概念の問題」らしい。
質疑応答はなかなか激しかった。林要次さんが資料について突っ込み、南さん、樫原さんが後輩指導的に内容に厳しく突っ込んだあと、田路先生が「前半はよく勉強しているが、後半の話は『小せぇなあ』という感じ」とバサーリ・・・いろいろ批判されても平然としている本人を見て、この人は60歳くらいになってもこんな感じかも知れない、とふと思う。
18日、K-PROJECT着工。9:00、現場に関係者が集まり四方祓い等。設計期間中はいろいろ問題が発生したり、予定が延びたりするので「一生この建物を設計しているのではないか」と錯覚に陥りそうになるが、ようやく着工までこぎ着けることができた。工事期間中の安全と無事を願いつつ、気を引き締める。
11:00、六本木に移動し、やまさきさんと合流。エイドリアン・フォーティ氏にインタビュー。先日の東大でのレクチャーにはあいにく参加できなかったが、やまさきさんより招集がかかり、同席させて頂くことに。
待ち時間の間、フォーティ氏の旅行に同行していたというやまさきさんに話を聞きつつ、質問を用意する。先日のレクチャーでは「不完全性」がキーワードだったようだ。
難波さんは日記で「当初のデザイン通りに実現されないことをimperfectionというようだが、もうひとつのimperfectionは単にデザインの失敗という意味にすぎないように思える。だとすると議論はあまりに陳腐である。」とバサーリ切り捨てていたのだが、話を聞いていて、どちらかというと、perfectionを求める社会に対し如何に抵抗するか、という文脈でimperfectionという概念を用いているのではないかと感じた。
インタビューはうまく行った。やまさきさん、お疲れさまでした。
15:00設計製図TA@東工大。トレースや調査など、ここまでが毎年長いが、ようやく住宅設計課題にまでたどり着いた。この日はエスキス初日。
寸法とは、形式とは、精神とは・・・1時間くらいで終えるはずが、ひとりひとりとじっくり話しているとあっという間に3時間くらい経っていた。今年はどんな才能と個性に出会えるだろうか。
19日、夕方大阪の先輩Kさんが事務所へ。進行中の内装の図面を見せてもらう。Kさんらしいコンセプトで実現が楽しみ。
その後急いで南洋堂へ。フリーペーパー「ROUND ABOUT JOURNAL」を置かせて頂くことになり、持参。より多くの人の目に留まると嬉しい。
fujimura
10+1no.47「東京をどう記述するか?」が発売されました。久しぶりの東京論特集となった今回は、塚本先生との共著「東京のタイポ・モルフォロジー」を寄稿し、柄沢祐輔君、南後由和君との巻頭座談会「アルゴリズムで表層と深層を架橋せよ」に参加しました。
前者は建築類型(タイポロジー)と都市形態(モルフォロジー)の関係を論じたもので、最近の塚本研究室での議論の流れをまとめたような感じにもなっています。博士論文のストラクチャーとなる予定。
後者は3月のフリーペーパー→4月からの塚本研での全体ゼミ→7月のUMAT(堀場国際会議)の流れをまとめたような内容で、勢いに任せたようなところはありますが、3者の色が出されつつ、萌芽的な内容になっていると思います。次号の10+1ではさらに詳しく展開されることになりそうです。
「建築ノート」3号も発売間近。今回も「Table of Youth」を担当させて頂きました。7月は国際会議、Apple心斎橋でのイベント出演、8月はインタビュー記事掲載等、ここ数ヶ月仕込んできたもののアウトプットが続きます。
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21日、11:00某プロジェクト定例@虎ノ門。流れを読み、空気を読み、全体が上手く進むように建築をまとめたい・・・ここ1,2週間が正念場。
22日、20:00全体ゼミ@東工大・・・やや遅刻と思ったらつかもと師が帰国していて土産話など。29日に中間報告会をするのだが、あまり準備が進んでいない。ペースを上げなければ。
23日、ロータリー財団のオリエンテーション+歓送迎会@坂戸グランドホテル。ロータリー年度の切替りなので年に1度の大イベントである。最後は2 人の奨学生がスピーチや出し物等。漫才とか三味線とか、なかなか器用。2人とも1年間で素晴らしく成長を遂げたと皆さんが誉めて下さっていた。留学先でもぜひ頑張ってきて欲しい。
今年度は学友会(OB会)会長という立場だったので10回以上埼玉まで足を運んだのだが、社会人として、経営者として、勉強になるとことの多い1年だった。
24日、18:00五十嵐太郎さんの新刊『新宗教と巨大建築』刊行記念打ち上げ@銀座。松田さん、寳神さん、南後君などいつものメンバーに混じり、「ワラッテイイトモ」のK.K.さんなど。K.K.さんはがっしりしてて目つきが鋭い感じが石上さんに似ている。
五十嵐さんの妹さんのジャンヌさんともこの日初対面。洞窟絵画の研究をされているという。お話ししていて、探求的な感じは共通しているが、太郎さんが「新宗教」や「結婚式教会」など「社会」との関わりを問題にするのに対し、「芸術の起源」といった「世界」との関わりを問題にするところに違いを感じた。
25日、15:00設計製図講評会@東工大。軸組模型と図面を持って発表。藤岡先生と塚本先生らに挟まって「藤村も何か言え」と言って頂きコメントなどする。エスキース時にはコンセプトや見せかけの形態よりも、寸法や形式など、設計の基本的なことを教えるようにし、講評会のときにはなるべく公平で論理的な議論を心がけている。学生達には、こうした議論を聞きながら、評価されているものと、されていないものの違いをなんとなくつかんで欲しいと思う。
講評会がやや長引き、急いで建築学会の編集委員会@建築会館。五十嵐太郎さんが『建築雑誌』の編集長に就任され、お声掛け頂いて私も委員を務めることになった。フリーペーパーを評価して頂いたらしい。120年の歴史と伝統のある雑誌がどう変わっていけるのか、楽しみだ。
2次会では杉浦久子先生と隣になり、初めてお話しした。メディアテークのコンペのこと、教え子のことなど。
26日、13:30島崎威郎さん来社。ロンドンでの活動のお話やお誘い等。1月にアトリエワンで今村創平さんのご紹介でお会いしたときは、塚本さんとスミッソンズ話で意気投合していらした。島崎さんや塚本さんがいう「コンテクスト」には「オーセンティシティ」とか「サスティナビリティ」が含まれているのだが、作品集を拝見していると「しっとりぬれたレンガ」みたいな、テクスチャーの感覚が含み込まれていると感じた。
同じ「コンテクスト」でも僕の興味は単なる「固有性」のようなもののかも知れない。逆にロンドンにはコンテクストに興味があるデジタル世代の若手建築家とかいないのだろうか。いたら話してみたいと思う。
18:00、某プロジェクト定例@虎ノ門。組織にはいろいろな人がいて、いろいろな誤解もあり、些細な問題が意味もなく重大性を帯びてしまう。ひとつひとつほどいていくしかない。コンセプトもディテールも大事だが、コミュニケーションも同じくらい大事。
23:00、事務所でスタッフと打ち合わせしていると工藤和美さんから電話。建築学会の文化事業委員会に参加して欲しいという。五十嵐さんの編集委員会に続き、委員会を掛け持つこととなってしまったが、せっかくお声掛け頂いたので引き受けさせて頂くことにした。
設計、仕事、研究、論文など、やることは溜まっているが、引き続きこなしていきたい。
fujimura
28日、9:30篠原一男の「白の家」を見学。想像以上に大きく、広い。そして暗い。上半分の窓のない抽象的な空間は、あまり空気が動いていない。2階の部屋がとても明るい。1階の書斎は初めて見たが、意外とよい。外観はあまりよく見えないが、かなり大きい。庭はほとんどないが光がきれいに回る。
印象として、現代建築には見えない。古民家か、寺社建築のよう。かつて接続されたであろう伝統とモダニズムの架橋という問題が無効となってしまった現在、この住宅は、自らに引きつけて見るというよりも、彫刻のように外から眺めればよいのかも知れない。
一緒に見学した学生諸兄は一様に「感動した」と言っていた。この住宅が素晴らしいことはよくわかるのだが、発表当時、具体的にどのようなインパクトがあり、どのような議論を起こしたのか、今ひとつ想像できないので、正直なところイマイチ消化できていない。皆は何に「感動」しているのだろうか。「白の家」に入れたという経験に、だろうか。それとも「空間」に、だろうか。
fujimura
28日、18:30新建築のイベントで藤本壮介氏への公開インタビュー@森美術館。新建築編集部の四方さんに「盛り上がらなかったときの助っ人として」召還され参加。観客としていけばいいのかと気楽に出かけたら、左隣が石上純也さんで、右隣が平田晃久さん、しばらくして西沢大良さんが登場し、若い建築家が関係者席にずらりと並んで藤本さんの話を聞くという不思議な集まりに。
インタビューは藤本さんが自作解説を交えながらコルビジェを語るというもので、四方さんの質問に沿って藤本さんが淡々とコルビジェを語っていく。藤本さんの卒論がコルビジェのパースの分析だったこと、「空間というよりも、秩序のようなものが気になる」という言葉などが印象に残った。
で、最後に(一応お仕事として)質問。「コルビジェは『コンポジション』と『コンテクスト』を結びつけて語るという建築家像を提示したが、藤本さんは『新しいコンポジション』は語るけれど、『新しいコンテクスト』は語らないのではないか。」と絡む。
答えは「コンポジションの根源性はコンテクストを超える」というもので、藤本さんらしい。コルビジェというよりカーン的だと感じる。
続いて平田さんは「N-HOUSEでは外形が不定形だったのに、モクバンではキューブになっているのはなぜか」とマニアックな質問。「外形が不定形なこと」が若い世代の建築家が共有されている問題だという(平田さんが気にしているだけなのではと思うが)。藤本さんは「キューブであることとばらばらであることを等価に考えたい」と軽くかわす。
終了後、石上さん、平田さん、藤本さん、新建築、森美術館の方々と近くで会食。建築談義に始まり、事務所経営談義、スタッフの扱い談義など。「スタッフに議論させて、ある結論が出てきたら、そうならないようにする」とか、「スタッフの議論をあえて無視してスケッチを描く」とか、事務所の運営に関しては4者4様でいろいろ工夫を重ねているということがわかって楽しかったが、全員なかなかのワンマンっぷりを発揮していることが明らかになった。
29日、18:00全体ゼミの中間発表会。4月からやってきた勉強会の成果報告として、やや気合いを入れて準備を重ねた。南後君や柄沢君、唯島君が外部から参加してくれたおかげである種の濃度が出て、『10+1』など、いろいろ企画が派生するなど、成果が徐々に出てきている。
発表したレジュメのリストは以下の通り。
1. 1990年代以前の「建築」と「場所」論
アルド・ロッシ『都市の建築』
ロバート・ベンチューリ『ラスベガス』
レム・コールハース『錯乱のニューヨーク』
デイヴィット・ハーヴェイ『ポストモダニティの条件』
2. アンリ・ルフェーブル『Rythm Analysis』
3. 1990年代以後の「建築」と「場所」論
Multipulicity『Uncertain States of Europe』
アトリエワン『フラックス・マネジメント』
建築家による都市論を社会学系の議論とクロスさせるというのがミソで、目玉として、ルフェーブルの『Rythm Analysis』の翻訳を行い、その流れでステファノ・ボエリとアトリエワンを読む、というもの。
ハーヴェイを介した建築論の読みはわりとうまく行って、塚本さんも誉めてくれたが、コールハースとルフェーブルの繋ぎはもう少し練習が必要か。
「コンポジションとコンテクスト」の話でいうと、この日はコンテクストの話オンリー。おそらく、コンポジションに夢中な同世代の建築家諸兄にはまったくアピールしないだろう。
現在の日本の建築シーンにおいて議論の場が崩壊し、「建築はモノだ!」みたいなノーテンキなマニフェストが幅を利かせている原因のひとつは、コンポジションとコンテクストの繋ぎがうまく行っていないからだと思われる。例えば、斜めの壁があったとして、コンポジションの説明をするならば単純に「斜めである」と説明すればよく、コンテクストの話ならばコストなり、上記なり、与件をそのまま説明すれば良いにもかかわらず、壁を斜めにしただけなのに「多様な空間」と書いてしまうような、議論のショートがあまりにも多い。
そういう状況にあって、今回試みたような、建築家が行ってきた議論を社会学系の議論を使って整理しつつコンテクストを制作する、という作業にはそれなりに意味があったのではないかと思う。協力してくれた関係諸兄に感謝したい。
終わってみて、今回は「1990年代」とお茶を濁してみたが、「1995年」を強調することで見えて来る、もっと過激な都市論の輪郭も見えてきたような気がする。機会を見つけて、引き続き展開できればと思う。
fujimura
30日、13:30打ち合わせ@所沢。3月にショーケースとエントランスの改装をさせて頂いた写真館のスタジオ改装のプロジェクトで、諸々の判断から9月オープンを目指して進めることとなった。様々な力学が高速で働く某プロジェクトに比べ、関係者全員で顔を合わせて議論することのできるこのプロジェクトにはある種の解放感を感じる。集中して進めたい。
24:00、久しぶりに全力ゼミ@渋谷宮益坂。後輩Iの初担当作のブース、JPの担当作、FJのコンペ案、IとFJのアート作品の構想など互いの近況報告。Iのブースは思ったよりもよさそう。7月後半に実物を見れる予定なので、楽しみだ。
RAJの第2弾の構想など話す。いつのまにか全員社会人となり、担当作等も少しずつかたちになってきた。これからどんどん忙しくなっていくのだろうが、いい間合いでつきあっていければと思う。
fujimura
3つほど、告知します。
その1
UMAT (UBIQUITOUS MEDIA ASIAN TRANSDORMATIONS)発表
日時:7月15(日)10:00-11:45
場所:東京大学工学部2号館 roomC
発表:藤村龍至 柄沢祐輔 南後由和
セッションタイトル:「1990年代以降の日本の都市・建築ー情報化する風景の批判的分析」
コメンテーター:五十嵐太郎 若林幹夫
詳細はこちら
7月13日から16日まで東大の情報学環で国際会議。僕たちは「1990年代以降の都市・建築」をテーマに発表します。フリーペーパー、塚本研での全体ゼミ、10+1の東京特集と続けてきた議論を五十嵐太郎さんと若林幹夫さんにぶつける予定(発表は英語、討議は日本語)。
なお、13日はレム・コールハースのレクチャーは中止になったそうです。残念。
発表タイトルはこんな感じです。興味のある人はぜひ。
藤村龍至「郊外型商業空間における物理的条件の構成とその可能性」
柄沢祐輔「1990年代以降の建築における情報空間に関する提案の分析」
南後由和「戦後日本の都市空間における建築家の位置ー表層と深層の分節化」
共同発表「情報化する社会における空間の実践にむけて」
恐れ入りますが聴講には登録が必要になります(一般10,000円、学生4,000円)。
登録はこちら
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その2
Apple Storeレクチャー+トーク
日時:7月27(金)19:00-21:00
場所:Apple Store心斎橋
タイトル:「建築のコンピューターライゼーションを考える」
詳細はこちら
dot architectsの家成俊勝さんと一緒にレクチャー+トークします。家成さんと話して、Appleで話をするのでこういうタイトルにしてみました。関西方面の方、ぜひお集まり下さい。
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その3
藤村事務所オープンデスク募集
日時:7月30日より2ヶ月間のうち2週間
場所:藤村事務所
詳細はこちら
恒例のオープンデスク募集です。既に何人かから問い合わせを頂いていましたが昨夏、春同様、2週間毎に区切って募集します。学生の皆さん、同級生が遊んでいる夏の間にちょっと時間を割いておくと、秋以降に圧倒的な差がつきますよ。参加した者勝ちです。
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以下近況です。
2日、15:00設計製図エスキスチェック@東工大。3日、20:00山崎さん来社。RAJ打ち合わせ。「あの形式は2度やっていはいけない」といわれ、はっとする。確かにそうだな。
4日、10:40授業、午後ゼミ、夕方TIT総会、夜研究室OGでフォスター事務所に勤めるTamsinが来ているので歓迎会。フォスター事務所はスタッフが900人いるとか。すごすぎる。
5日、16:00k-project打ち合わせ、その後19:00過ぎ朝霞でお施主様候補顔合わせ。21:00過ぎ渋谷に戻って新建築社の若手スタッフ諸氏と会食ということ(JA風)。同世代ということもあり、共に頑張っていきたいということ。
6日、14:00k-project定例。終盤はスタッフに任せ17:00渋谷の労働基準監督署に駆け込んで社員の労働保険の更新手続き。昨年度の確定保険料と今年度の概算保険料の申告等。アスベスト対策の供出金なる項目が新設されており、しぶしぶ払わされる。20:00南後君、柄沢君とUMAT打ち合わせ。
7日、10:00現場打ち合わせ@朝霞、13:00お施主様打ち合わせ@所沢。大まかなところは参加し、途中からスタッフに任せて退席し夕方帰社。若干の事務処理を済ませる。夜は同世代同業者が集まってホームパーティ@I邸。オトナな感じで他愛のない話。30歳ということ。
8日、休みだったが朝電話があり13:00過ぎ打ち合わせ@渋谷+敷地調査@某所。いきなり新プロジェクト始まる。夜は事務所の近所で集まり。
9日、11:00顔合わせ+自己紹介的にプレゼ@某所。事務所に戻り、いくつか打ち合わせをし、15:00東工大、21:00柄沢君と南後君来社、UMAT打ち合わせ、22:30お施主様来社で打ち合わせ。
10日、11:00柄沢君、南後君と早稲田大学に集合し、若林幹夫先生を訪ねご挨拶。UMATのセッションの打ち合わせと自己紹介。
若林さんとお話ししながら、2002年に東大で行われたTrading Placesという国際ワークショップに参加していた時、最終講評会で大野秀俊さんと若林さんのディスカッションを聴講した時のことを思い出す。若林先生は気さくな方で、「面白いセッションにしましょう!」と言って下さった。頑張りたい。
fujimura
13日、10:00打ち合わせ@田町、事務所に戻り、13:00dot architectsの家成さんと大東さんと待ち合わせ@原宿。27日のApple Storeでの発表内容を少し話し合う。その後、東大本郷キャンパスへ。工学部1号館の建築学科図書館で南後君、柄沢君と待ち合わせ。
この日からUMAT (UBIQUITOUS MEDIA ASIAN TRANSDORMATIONS)が始まる。17:00少し前、安田講堂へ。手続きをしてフリードリヒ・キットラーと蓮實重彦の基調講演へ。キットラーのレクチャーは難解でよく分からなかったが、対して蓮實さんのレクチャーはとても分かりやすい。逆に「あらゆる映画はサイレント映画の1形式に過ぎない」という主張は分かりやすすぎて、そのパフォーマンスが意味するところが分からないと感じたが、柄沢君が「磯崎さんが『住宅は建築ではない』と主張するようなものではないか」と言っていてなんとなく腑に落ちる。
終了後、パーティにて田中純先生、吉見俊哉先生、情報学環の院生の人たちなど、いろいろな人をご紹介頂く。
14日、9:00事務所に全力ゼミのメンバー、刈谷さん集合。9月末配布開始を目標に準備を開始したばかりのフリーペーパー『ROUND ABOUT JOURNAL』のキックオフ・ミーティング。13:00ゼミ@東工大。修論がいよいよ大詰め。19:00UMAT打ち合わせ@事務所。こちらも発表前日。
15日朝、徹夜明けのまま東大へ。朝から台風による大雨。慌ただしく準備し、セッション「1990年代以降の日本の都市・建築ー情報化する風景の批判的分析」開始。聴衆は全部で30名ほどか。塚本研からも数名来ている。最初は日本人のみしかいなかったので、日本語で始めたものの、途中で外国の方が入って来て英語に切り替わる。
最初は僕自身による「郊外型商業空間における物理的条件の構成とその 可能性」。スーパーマーケット等の二層構造の話。次に柄沢君による「1990年代以降の建築における情報空間に関する提案の分析」は、「虚の不透明性」という概念について。そして南後君による「戦後日本の都市空間における建築家の位置」は、近代以降、1960年代までの建築と土木の分節について。
そして最後の共同発表「情報化する社会における空間の実践 にむけて」。ミッドタウンから始まり、インフラが自動作動する社会=「工学主義」の社会的条件を明らかにする「リサーチ」とその批判的応用を行う「設計」として再定義し、「批判的工学主義」の実践を提唱して締める。
発表は何とか予定通り済ますことが出来たが、やや押してしまい、討議の時間が30分ほどになってしまったが、コメンテーターをお願いした若林さん、五十嵐さんからひとつひとつコメントを頂く(五十嵐さんの日記におけるコメントはこちら)。
若林さんからは「『批判的工学主義』はメタファーなのか、実践なのか」「誰に向けての提言なのか」というように、議論のスタンスを中心に、五十嵐さんからは「丹下・メタボリズムと『批判的工学主義』を繋げるという理解でいいのか」「ケネス・フランプトンも『批判的地域主義』を提唱する際に具体例を出し、理論に説得力を持たせたが、発表で提示した例はどう捉えればいいのか。」など、議論の繋がりを中心にご質問を頂いた。
会場では田中純さんもずっと聴いて下さっていたので最後に伺うと「アーキテクチャー型権力は政治の問題。政治を問題にするべき。」と短い激励のコメント。
途中から日本語オンリーの議論になってしまい、外国人は徐々に退席していったが、最後まで聴いていてくれていた外国人がいて、話したらRob Shieldsさんだった。「バーチャルなものにもフォーカスしなさい。」「窓を開けたとする。そこにコミュニケーションが生まれる。それはヴァーチャルなもの。フィジカルなもの以外にも建築の役割がある。」と熱く語られた。
関係者で食事に行き、南後君、柄沢君と午後のセッションの発表をいろいろ見て回る。他の人の発表は分野が違うこともあり、ディテールもコンテクストもきちんと理解できたわけではないが、メディア論や都市論の現在の空気感のようなものはなんとなくつかむことが出来た。
10+1のno.47号の同じ特集で寄稿しているドミニク・チェン君と会ったり、2002年にTrading Placesというワークショップで一緒だったマティアス・エチャノヴェ君に再会したり、その他たくさんの同世代の研究者と話が出来たのは刺激になった。またこのような機会があればぜひ参加したい。
終了後、本郷の居酒屋にて打ち上げ。徹夜明け+いろいろな発表を見て頭の芯が疲れている。おもわずウトウトしてしまうが、柄沢君は半分寝ている僕に向かって「藤村君は工学主義とレジティマシーの関係はどう思う?」とか、容赦なく質問を浴びせて来る。答えているうちに目が覚め、話しているうちにまた眠くなる・・・。
22:30頃、「批判的工学主義」の議論の継続的実践を約束して解散。今後、『10+1』やフリーペーパーなど、いくつかの媒体で議論を展開していく予定があるので楽しみだ。いつになく爽快な気分で帰途につく。
fujimura
19日、10:00虎ノ門にて打ち合わせ。だいたいまとまってきた。
昼食後、東京建築士会の住宅建築賞入賞作品展@ギャルリータイセイへ。長谷川豪の「森のなかの住宅」はシナベニアの長いテーブルの上に、白いバラバラのボリューム、木、家具が並ぶ。安宅研太郎さんの「タカハギハウス」は、部分的な写真をフレームに入れて大量に並べる。柱の横にまで回り込むという意味で会場を上手く扱う。古見演良さんの「トール」は外観模型と内観写真、外観写真と内観模型を組み合わせて展示。武井誠+鍋島千恵さんの「輪の家」は勝負模型1 点と勝負写真6点で分かりやすくアピール。保坂猛さんの「アクリルの家」は図面(平立断面図+構造図+詳細図)、スライド、模型でオーソドックスな展示。
「知り得なかったことを知り得た」という意味では構造図やビデオ等を使って詳細な説明をしている保坂さんの展示が印象に残る。展示の方法がコンセプチュアルという意味では長谷川と安宅さんの展示は特徴的だが、どちらも部分性のみを強調しすぎて建築の全体とか、コンテクストを分かりにくくしている。「全体」「建築」「概念」を過小に、「部分」「アート」「物質」を過剰に評価する姿勢は、一見この世代の特徴のようにもみえるが、やや自己言及的か。部分の集積による多様性そのものを成立させるレベルに関心を開くべきなのではないか。
キュレーターの林さんにご挨拶し、事務所へ戻る帰り道、スタッフから電話。「事務所に『ハワイのジャックさん』という方が見えてます」という。
驚いて事務所に戻ると、懐かしい顔。学部の頃、ハワイ大学にワークショップで何度か行ったことがあったのだが、そのときに知り合った香港系アメリカ人である。同い年でなんとなく気が合い、アメリカに行くたびにハワイに寄って会ったり、彼が日本に来たときに会ったりしていたが、2004年を最後に連絡が途絶えていた。
ハワイ大を卒業後、地元の設計事務所に就職し、もう6年目らしい。米軍基地の仕事等もあるらしく、たまに来日しているが出張先が横須賀、御殿場、沖縄など、基地のある先に限られるという。仕事を覚えて自信が出て来たのか、表情が落ち着いている。
一旦別れ、夕方再会し、飲む。いろいろ近況など。ふだんはクールだが、何かについて話し始めると異様に熱心に説明してくれるところなど、だんだん思い出してくる。アメリカ本土に比べて、ハワイの景気はいいらしい。ハワイ大の連中は卒業後本土に就職するパターンが多いのだが、近年は戻って来る者も多いという。
数時間いろいろ雑談し、再会を約束して別れる。旅行したり、留学したりして世界中に無数の友人が出来たけれど、時を超えて繋がりを保つことはなかなか難しい。「生きていればまた会えるよ」と誰かが言っていたことを思い出す。
fujimura
20日、17:00千葉研と塚本研の合同ゼミ@東工大。「窓」をテーマにしてそれぞれリサーチし、この日は中間発表。リサーチには特に参加していないが、発表を聞きにいく。
手法を限定し、地味めにまとめた塚本研の発表に対し、千葉研の発表は最近の話題作を取り上げ、ある意味派手。「現代の窓は〜」と現代性を決定論的に語る手法は、藤森照信ならサマになるとしても、そのまま真似ると単なる流行と現代性の混同となる。
21日、もろもろプレゼ+打ち合わせを経て、深夜1:00より久しぶりに後輩K(23歳)と走る。走り始め、「久しぶりなので体に堪える」と弱音を吐くと「さすが30歳」と馬鹿にされる。途中から雨に打たれつつ、往復8km。
23日、18:00編集委員会@建築学会。今月で2回目。
25日、10:00スーパージューリー@国士舘大学。全学年、全講師が一同に会し、各学年の課題を順番に講評していくイベントの形式を「スーパージュリー」と呼ぶらしい。今回は南泰裕さんにお声掛け頂き、木島千嘉さん、永山祐子さん、平田章久さんとともにゲストとして参加。ジョージ国広さんとは初対面。イベント的な雰囲気が独特の高揚感を生んでいてとても楽しい。
残念ながら途中で失礼し、13:30修士論文の発表会@東工大。16:30冬夏会(東工大建築学科のOB会)主催による坂本一成先生の講演会と続き、17:30からの暑気払いをパスして18:30建築学会の建築文化事業委員会へ。工藤和美さんが委員長でこの日が初日。「本委員会(飲み会)」は失礼し、自由が丘に移動し塚本研の修論打ち上げ+壮行会。2次会へ続き3:00終了。
26日、15:00蓄熱フェア@東京ビッグサイト。新建築の中村さんとたまたま会場にいらした曽我部昌史さんを連れて「後輩I」こと日建設計の伊庭野大輔が担当したブースへ。合板に無数の様々な長さの丸棒を差し込んで、全体として3次曲面を形成し、サーモグラフィのドットに見立てつつ、展示品のパネルやパソコンモニターを支える。身近で見るとドットの解像度がやや大きすぎるのと、ぱっと見たときにどの企業の展示なのか分からないところに多少の疑問を感じたが、伊庭野らしくクールな手つきでうまくまとめていた。
プラスティックな素材による仮設ブースばかりが並ぶ会場において、合板によるローファイな素材感が異彩を放っていたが、ミッドタウンにおける建築家の試み(例:隈研吾の「ペレフィネ」、内藤廣の「とらや」等)と同じ構図だということに気がつき、中村さんに力説するも、全く興味持たれず伊庭野に馬鹿にされる。
fujimura
27日、羽田よりSKY便で神戸へ。神戸空港を初めて利用。片道10,500円は新幹線より安い。あっと言う間に神戸上空へ。眼下に淡路島が見えると思ったら、明石海峡大橋あたりを東へ向けてターンして、須磨浦公園、和田岬をかすめて西から滑り降りるように着陸。
小さな空港で降りるとすぐポートライナーの駅があり、そのまま三宮へ。神戸新聞会館が「ミントビル」というビルに建て変わっていた。ミント色のタイルが評判いいらしい。そういえば阪急会館もきれいな緑色だったが、今は見る影も無い。丸いアーチから出て来る阪急電車のカッコよかったこと・・・。
阪急六甲の伯母宅へ立ち寄る。震災後、だいぶ建て変わったものの、この街の明るさはいつ来てもとてもいいと思う。僕にとって神戸という街は都市性の象徴。埼玉のような郊外にはない心地よさがあって、それは何かとずっと思っている。
伯母宅を後にして、阪急電車で大阪へ。震災後、特急が岡本に停車するようになったことには驚いたが、最近は夙川にまで停まるのですか。ビクーリ。
神崎川駅で下車し、dot architectsの家成さんと待ち合わせ。川を渡り、dotのオフィスへ。広くて明るくて、オシャレなオフィス。スライドの打ち合わせをして、心斎橋へ。歩きながらレクチャーとトークの方向性を話し合う。話しながら、「超並列性」「超線形性」をキーワードにすることにした。あっという間に開始時刻となり、「建築のコンピュータライゼーションを考える」を開始。
最初はdotが「超並列性」を、僕が「超線形性」を軸に自作を紹介。設計プロセスにおけるコンピューター的思考の可能性をプレゼンテーション。質疑応答はとてもたくさんの質問を頂いた。議論の軸を明快にするために「並列/線形」「スケッチ/模型」といった対比をつくったのは、うまく行ったのではないか。個人的にはdotの設計プロセスについて知れたのは面白かった。
最後につかもと研の先輩カガワ氏に質問を求めたところ、「こういう設計プロセスを経て、いいことは何ですか」とちゃぶ台をひっくり返されてしまい、若干しどろもどろのまま終了。
終了後の飲み会は同世代の建築家やデザイナーがたくさん集まり、とても楽しかった。俊さんの一言に皆が一斉に突っ込む。関西的なノリについていけず、やや唖然としつつも、ものすごく仲が良くて互いに刺激し合っている様子が手に取るようにわかった。今回はこちらが一方的に作品を紹介しただけだったが、皆で集まって作品を発表し合うプチ学会のような催しをやったら盛り上がるのでは。これからも絡んでいければと思う。
fujimura
7月28日、三宮で高校時代の友人Nと待ち合わせ。昼飯を食いつつ近況を話す。15:00家成さんと待ち合わせ@梅田。昨晩のレクチャーのことを話し合う。いろいろ寄り道したりしつつ、アーキフォーラムへ。
今回が今年のシリーズ「国境と建築」第1回目で、この日は岡部明子さん。やまさきさんが趣旨説明等。
デンマークとスウェーデンの国境=エレズンド、ヘルシンキとタリン=タルシンキ、ルクセンブルグとルール、ウイーンとブラチスラバ等、ヨーロッパの国境付近で連携する都市群の動きを紹介。「国境が揺らぐ欧州空間をいかにデザインするか」「変質する国境に都市や建築は空間的にいかに呼応するか」というヨーロッパにおける建築の課題を紹介。
岡部さんはレクチャーの最中に「ヨーロッパ空間」という単語をよく使っていた。日本にいながら「アジア空間」を意識することはあまりないが、ヨーロッパに滞在するとよくわかる。ベルラーヘにいた頃は、コールハースがWIREDの乗っ取り編集をやって「空間」をテーマにビジュアルな世界地図を大量に発表した頃で、みんなが政治と空間の関係に向かって議論しているようにすら感じられたものだ。
「国境と建築」にふさわしい、ナイス人選でした。>やまさきさん
31日、レニエ・デ・グラーフのレクチャー@森タワー49階。最初は「8年の歳月がかかった」というベルリン大使館(2004)の写真を見せつつ、「それほどの歳月とコストを掛けてまで実現したいという建築の経済性とは何か」と問いかける。そして、「建築家の仕事がどれだけ『考える』ということに傾注したかご覧頂きたい」と畳み掛けレクチャー開始。
まずAMOの紹介。IKEA、AUDI、VWなど、有名企業からのオファーに対し、「建築を『巨大な広告』という以上に根付かせるためには?」と思考したことがAMO設立のきっかけとなったこと。オランダ政府からスキポール空港についてのリサーチを依頼され、徐々に全体的な戦略にシフトし、EUのブランディングへと拡大していったこと。その後2001年の同時多発テロをきっかけとして、仕事の大半がEU・アメリカだったのが、EU・アジアにシフトし、グローバリゼーションの牽引役が英米でなくなったことなど。
現在ではOMAのプロジェクトの大半が民主主義的ではない国に集中し、売り上げの35%を占めるのがUAEでのプロジェクトなのだという。その後はドバイでのOMAのプロジェクトの紹介等。
レクチャー後、後半はつかもと師とのセッション。「建築のオーセンティシティについてどう思いますか」と、思想を共有しようと手を差し伸べるつかもと師と、全然取り合わず実務的な答えばかり述べるレニエ氏。
コールハースは、建築のオーセンティシティ(正統性)にこだわっていて、最近のヨーロッパの若い世代(MVRDVとかPLOTとかのことか?)の提案に対し、「オーセンティシティが足りない」と批判しているのだという。コールハースはおそらく、グローバル資本主義に乗ってアイコン的に建築が消費されていくなかで、建築の正統性こそが建築家の構えをつくると考えているのだろう。その文化的基盤があるがゆえにOMAのアイロニーは成立する。
つかもと師はおそらく、レニエ氏とその問題を共有したかったのだろうが、良くいえば実務的、悪くいえば場当たり的で哲学のない人のようだった。
質問タイムとなり、「OMAのなかでのAMOの机の配置を教えて下さい」と聞く人がいて、マニアックな人だなと思ったら松田達さんだった。レニエは「えーと。長方形ですねえ・・・(笑)」とややシニカルな応対。
感想としては、グローバリゼーションに批判的に介入しようとするAMOの活動は興味深いが、それをアイロニーでしか表現できていない最近のOMAの活動はあまり刺激的なものではない。ドバイの話も中国の話も、「建築的思考」というよりも状況報告的であり、その意味で特に刺激的なものではなかったように思う。
対象が刺激的だけに、レクチャーから得るものに少々物足りなさが残る。
fujimura
お盆休みの13日、深夜ランニングに飽き始めた後輩K(23)が自転車を購入したことをきっかけにサイクリング部が結成されたため、久しぶりにツーリングに行くことに。行き先は三浦半島がいいのではということで、横須賀に決まる。
前日、ひさしぶりに自転車を取り出したところあまりの調子の悪さに愕然。タイヤはパンク、チェーンは錆び付いており、滑りが悪い上にシフトチェンジするとすぐに外れる始末。全く自転車として機能していない。仕方がないのでパーツ等を諸々買い揃え、調整を試みる。久しぶりに没頭するメンテナンス作業は楽しい。
・・・とはいうものの、久しぶりに慣れないチェーン交換などした結果、うっかり手順を間違えて失敗。予備のピンはなく、夜中にチェーンのピンを売っている店などなく、万事休す。参加をあきらめかけたが、多少の手先の器用さを頼りになんとかリカバリーし、交換成功。なんとか準備を整えたがいろいろ手間取り、結局睡眠時間2時間+朝食抜き+若干の遅刻で大岡山駅に集合。既にタイヤの空気が抜けており、横須賀どころか、川崎までも行ける気がしない・・・。
メンバーは後輩Kのほか、H部、K笹の4人。K笹は杉並から東工大までチャリ通学していたとかで装備が本格的。KとH部はビギナーらしい。僕は一応チャリ部だったが・・・自転車はガタガタだし、体力的に既にきつい。環7から第2京浜に入ったところで早くも置いていかれ、年齢差が空間化される。
後輩K笹が順番を替わってくれ、先頭となって進むもやがてバテバテとなり、超スローで鶴見川を渡る。すぐ横の歩道を老人がママチャリで追い抜いていく・・・。我ながら情けないが、足に力が入らず1パーミルでも勾配があると全然スピードが出ない。後輩達は優しくついてきてくれる・・・。
なんとか横浜へたどり着き、関内のローソンで休憩。やや回復。空腹を満たしたので少し調子が出たが、やがて登り坂となってバテる。
金沢八景で昼になり、昼食@某ファミレス。カロリー重視でガッツリと。クーラーとかソファーとか氷水とかが異様に心地よい。「ファミレスには公共性がある」と主張するH部。
注文待ちの間に自転車のメンテなど。ドロドロの格好のまま集団で行動するこの感覚かなり懐かしい。
昼食+メンテで体調+自転車ともようやく調子が出てきた。灼熱の16号を横須賀目指して南下。危うい路肩を走りながら、自転車専用道を造って欲しいと切に願う。路線バスなど、構わず寄せて来るので実に危なっかしい。「『曖昧な空間』など不要、現代都市は機能主義的であるべき」とひとり心の中で若手建築家批判など展開しているとやがてトンネルが現れる。
トンネルは非日常の象徴・・・。短めのトンネルをリズミカルに抜けていく。
4つか5つ目のトンネルをくぐると、急に視界が開けた。左側に海、前方によこすか芸術劇場(丹下健三)が見える。横須賀に来るのは高校生の時以来かも知れない。懐かしい。坂を駆け下りる。・・・ゴールはもうすぐだ。(続く)
fujimura
自転車を三笠公園に止め、東京湾唯一の自然島である猿島へ。フェリーで海を渡る。非日常的である。
猿島のビーチはかなりの混雑。それでも施設がいろいろ整備されており、便利である。太陽が照りつけ、猛暑。海の家でレジャーシートとパラソルを借り、海へ飛び込む。泳ぐというよりは体をほぐす、的に。遊泳禁止のブイまで往復し、昼寝。後輩諸君は浮き輪を借りて遊んでいる。
16:00になり、帰りの船は長蛇の列。横須賀側に戻り、とりあえず海軍カレーを魚藍亭にて食す。後輩K笹の頼んだイカスミカレーが異様な辛さ。
食事を終え、帰路につく。体が軽くなってきて、16号を快調に飛ばす。トンネルをいくつかくぐり、金沢文庫。磯子の高層マンション群を抜け、運河沿いを登っていく。このあたり空間の広がり方が、なんとなくオランダの風景に似ている。
あっという間に横浜市内。信号が多く走りにくい。
桜木町駅前のコンビニで小休止。クーラーが異様に寒く感じる。ほどなくして動きだし、そのまま国道15号(第一京浜)を飛ばして鶴見。蒲田から環8に折れる。
最後の環8が長かった。チャリ部の合宿で東工大から羽田へ向かうときにこの道を通ったときのことなどを思い出す。あれからかれこれ10年近い。風景はあまり変わらない。自分は変わっただろうか・・・などと考えていると田園調布で曲がるタイミングを間違えそうになる。
ようやく自由が丘にたどり着く。心地よい疲労感を感じつつ飲んだ打ち上げのビールが旨すぎる。後輩Kは「あと30kmは走れますね」などと相変わらず余裕をかましている。
4人で長かった行程を振り返りつつ、今後の継続的な活動の構想を語る。もう少し調子を上げて、峠越えなどしたいものだ。(完)
fujimura
8月後半は原稿、決算、学会、論文等重なり異様なプレッシャー。せっかく確保した事務所の夏休みも、自転車旅行から帰ってきた翌日から仕事・仕事・仕事。
14日、せっかくの夏休みなので、図書館に行く。丸1日体を動かした反動で、異様に作業がはかどる。
19日、事務所再開。朝8時に出社。始業前に2時間ほど集中できるのはよい。特に原稿は集中する必要があるので朝しか出来ない。
この日からオープンデスクのメンバー入れ替え。2週間完全交替制も定着してきた。新メンバーで自己紹介など。
午後のお茶の時間(15:00)に学生達と話す。ある学生から「新建築出てましたね」と言われたので感想を求めたところ、「痩せたなと思った」などと顔写真の話しか出て来ない。よくよく聞いてみても、書いてあることは「よくわからない」という。
昨今の学生諸兄に議論を呼びかけてもあまり反応がないことには慣れているつもりだが、それはなぜだろうと思って聞いたところ「単語がわからない」という。新建築8月号の藤本壮介さんへのインタビューの最後で「コンポジションとコンテクスト」をめぐって質問を投げかけているのだが、その学生は「コンポジション」も「コンテクスト」も意味がわからないのだという。
私:「コンテクスト」の単語の意味くらい知っているだろ?
学生:え・・・「文章(´Д`)?」
私:それは「テクストΣ(´д`;)」
どうりで東工大で学生にレクチャーの感想を聞いても「藤本さんって堂々としてるんですね!」とか、「石上さんってよくしゃべるんですね!」とか、表面的な感想しか言わないわけだ。最初は遠慮しているのかと思ったが、どうも本当にそのような感想を抱いているようだ。
Table of Youthにしても、フリーペーパーにしても、読者の9割くらいは顔写真と経歴しかみていないのではないか。とすれば、なんとなく薄い彼らのリアクションにも納得がいく。
考えてみれば、今の建築界に「議論してものをつくる」というロールモデルがなさ過ぎて、イメージがわかないのかも知れない。そもそも議論とは「互いの前提を明らかにすること」だが、あちこちでみかける野武士世代の某巨匠らの対談のように信念を吐露し合う(過剰にぬるい)か、「朝まで生テレビ」のように唾を飛ばして論争する(過剰に熱い)イメージしかなく、ものを作ることと考えることがすんなりと結びつかない人が多いのかも知れない。
少し絶望的になりつつも、この日から彼らとは、建築についての議論を求めることを止め、「なぜ議論するのか」「どうやって議論するのか」という、「議論することの意味を議論」することにした。彼らなりに僕の言っている意味を理解してくれているとは思うが、道のりは険しい。
そんな日の夜、東工大3年生の鎌谷、山道、小林が来社。昨年設計の授業でアシスタントをしたときに出会った連中で、設計でも目立ちつつ、建築以外の知識も豊富で、議論もでき、なかなかバイタリティがある若者たちである。
1986年生まれの彼らは、我々の「76世代」に対抗?して「86世代」を名乗り、この夏から興味を持った人に手当たり次第インタビューをとってサイトで公開するという、前のめりな活動を始めた(space journal)。
やや肩肘張っているとはいえ、問題意識が明確で、文章もなかなかうまい。何よりも建築が好き、というまっすぐな感じがとてもいい。
彼らには是非、「議論してものをつくる」というあたりまえのロールモデルを、同世代の連中に向けて示して欲しい。そうすれば、トートロジーに満ちた日本人建築家たちの議論も、少しは変わるのではないか。
元気な後輩達に刺激され、自分のやるべきことも見えてきた。今後の展開に期待したい。
fujimura
29日。建築学会の大会に出席するため羽田へ。出発直前、遅れに遅れて10+1原稿提出。なんとか着いたときにはつかもと師はじめ、研究室の人は勢揃い。
午後、福岡大学に到着。後輩Kと学食に籠りスライドをまとめつつ発表準備。「表層と深層」を軸に、建築類型と都市形態の関係を高らかにマニフェスト。いい台本ができたのでは、と軽く盛り上がり会場へ。
ところが、会場に着くとラップトップにアダプターがないことが発覚。冷静なふりをしてアダプターを持っている人を探すK。たまたま同じセッションでMacユーザーがいたので、なんとかデータを移し、発表にこぎ着ける。
練習不足に加え、直前のちょっとしたアクシデントにより若干の動揺。何度か噛んだ上、全体に棒読みなところを指摘される。
ふたつほど質問も頂くが、Kの答えが「なっていない」とつかもと師。さらには「お前のフォローもなっていない」ととばっちりを食らう。つかもと師のそう言いたい気持ちもわかるが・・・。
31日午後、ひと通り関係者の発表を聞き終え、一行と分かれて「九州ランドスケープ・ワークショプ」の会場へ。どひ研の大先輩で今は福岡大学で教えている柴田さんと再会。
「九州ランドスケープ・ワークショプ」は福岡大学のほか、九州大学、同芸術工科大学、熊本大学、九州工業大学など、いくつかの大学の建築と土木を学んでいる学生の主催で、互いの作品を紹介し合い、講評し合うという趣旨でこの日が記念すべき第1回。僕と柴田さんはゲストクリティークとして呼んで頂いた。
発表はどれも興味深かった。まちづくりワークショップ、研究室で進めたプロジェクト、ランドスケープや建築の実施設計等々。最後のディスカッションでは表層と深層、しまいには南後君の「有名性」を持ち出して議論。大いに盛り上がる。
修了後、学内の食堂で軽く懇親会。その後大名に移動し、2次会。公共空間の計画に学生が参加する意味について議論。所有者、行政、使用者のどれでもない、という立場から、逆に各セクターの利害を超えて、ファシリテーションできることに意味があるのではないかというある学生の意見に納得。
柴田研をはじめとする土木系の学生は住民や行政など、外部の人々との接触の機会が多いからか、とても場慣れしていると感じる。誰に振っても堂々とした意見が返ってくるし、乾杯の音頭も上手いし、シンポジウムにしろ飲み会にしろ、準備や進行などの手際が良い。
今回は異分野のいろんな事例を知って勉強になったし、柴田さんと久しぶりに議論できたし、何よりもたくさんの意欲的な学生達に会えて、とても楽しかった。ぜひまたこのような場に参加させてもらえれば、と思う。
fujimura
先日、中央アーキ編著による『新スケープ 都市の異風景』が出た。同世代のグループがこのような本を作り上げたことに対して、その行動力に感心する。
後半にインタビュー「お気に入りの風景」が掲載されている。建築家は藤村龍至、小嶋一浩、西沢大良、宮本佳明、藤本壮介、石上純也といった顔ぶれ。
ある日突然電話があり、その2日後にインタビューと撮影があった。
インタビューはルポ風、語り風、コラム風といろいろあるのだが、僕のはサカカヨとの対談風にまとめさせてもらった。同世代感を出しつつ、中央アーキを軽く批評し、さらに彼らの師匠である小嶋さんに接続し、アトリエワンなどの東京論などを外観して、「表層と深層」の構図を作ってみた。
自分の考えもあるのだが、彼らの考えを聞けたのは楽しかった。今回はイントロ的だったけど、彼らの本作りの衝動というのが、どの辺りから出てくるものなのか、そのうちその深いところを聞き出せればと思う。
論理というより雰囲気があり、展開というよりリズムがある全体のテイストは、とても今風で、彼らの鋭い感受性が出ている。ビジュアルとテキストが半々な感じもとてもいい。ぜひお手に取ってご覧頂きたい。
7日、16:00k-project現場。いろいろミニバトルがあるが(というか攻められっぱなしだが)、冷静にまとめていく。知識や経験も大事だが、結局のところ大事なのはコミュニケーション能力。
20:30すぎ、渋谷に戻ってTable of Youthの打ち上げに合流。槻橋さんとメンバー7名。完成した3号の誌面をサカナにいろいろ話す。個人的には、1号は「メイキング」に焦点が当たっていたが、2号は「建築」に寄り、3号は「人物」に寄ったなと思う。4号の展開が楽しみ。
巻末のToYは、ある種のかたちができつつある。「出たい」という学生も多いらしい。僕としては、こういう場があることで意欲と野心のある学生達と交流できるのは楽しくていいのだが、メンバーのなかには、少し目的をはき違えていると感じられる人もいたりして、なかなか難しいと感じる今日この頃である。
コルビジュエ展で流されていたシャルロット・ペリアンのインタビューで、「彼は、建築がダメなら絵を描き・・・絵がダメなら文章を書いて・・・ありとあらゆる手段で考えを伝えようとしたけど・・・結局拒否され続けた」という一節がとても印象的だった。
文章など書かなくても建築は建つだろう。でもそれでは足りないから建築家は文章を書くのである。
逆に、そういう切迫感のない文章は読んでいてつまらない。先日も「こんな説明ならば、書かなければいいのに」とある学生のポートフォリオに綴られた、無意味に長い説明文を読みながら思った。彼はただ、何を書いたら自分の考えが伝わるのか、方法を知らないだけなのだが。
絵本のようにふわふわとした世界観が悪いとは言わないが、それでは全く歯が立たないと気がついたのは、やはり留学してからだろうか。
伝えるために書く。伝えることをはっきりさせるために話し合う。4号でも、そういう場を作りたい。日頃から言いたいことが詰まってあふれてるような人には、ぜひ登場してもらいたいと思う。
fujimura
12日、11:00打ち合わせ@虎ノ門。申請前で検討事項が多く、16:30くらいまでかかる。
その後帰社し、またほどなくしてSDレビューのオープニングへ。去年くらいまでは上の世代と下の世代が半々くらいだったのだが、今年はほぼ完全に同世代以下の建築家ばかり。しかも、処女作の基本設計中、みたいな案が多かった。
たくさんの入賞者の方々に、話しかけて頂いた。世代が近いので、気軽に話しかけてくれたのだろう。
しかし、なぜか「酷評して下さい」というひとが多かった。「酷評」なんて、今までしたことがないのだが(´д`;)。
鉄板のたわみで屋根にやわらかい曲線を出そうとしている大西+百田の「千が滝の別荘」は、いい意味で建築らしくなく、SDレビューらしい処女作性を感じた。実現に向けて頑張って欲しい。
翌13日は小嶋一浩+赤松佳珠子展のオープニング。今回も会場にあふれんばかりの人。スピーチがほとんど聞き取れない。わずかに西沢大良氏が「CAtのデザインは過剰である」と言っているのが聞こえた・・・。
いろいろな人にご挨拶をし、さりげなくインタビューの依頼等も済ませる。
展覧会は進行中の巨大プロジェクトの模型がメイン。個別の方法論はあるにせよ、正直なところ、全体のストーリーが読み切れなかった。
ただ、ひとつ思ったのは、「黒と白」というフレームは「白」と「黒」のハイブリッド構造であるところが特異だということ。昨今の建築界の議論は、「特定の機能が設定されていない」=「白」ということをいたずらに過大に評価する風潮がある(伊東さん、青木さん、藤本さんetc...)が、現代社会の空間は、一方でどんどん「白」くなり、他方でどんどん「黒」くなっているという複合性、対立性がある。「黒と白」はそうした複合性、対立性を外さずに、問題を対象化しうるフレームであるところが面白い。
2次会へ移動する際、藤本さんが先日塚本研で行った僕のプレゼンテーションについて感想をくれた。「普通建築家のいうことって、聞いてだいたいのことはわかるんだけど、藤村君の話は最初から最後まであまりにも意味が分からなさすぎた。」のだそうだ。僕としては、当たり前のことをものすごくわかりやすく話したつもりだったが・・・。
「あの後、あまりにもわからなさ過ぎて、もしかしたら全く新しい世代が出てきたのかも知れない、と思ってちょっと感動したんだよね。」とのこと。
僕が「話が通じなかった」といってしょげていたので励ましてくれたのかも知れないが、そういう捉え方もあるのだろうか・・・。「いやぁ、K-PROJECT楽しみだねぇ」と、プレッシャーを掛けて頂く。頑張りたい。
fujimura
22日、10+1 no.48号届く。
今回の特集は「アルゴリズム的思考と建築」。前半は磯崎新、伊東豊雄、藤本壮介、MVRDVヤコブ・ファン・ライスへなど、第一線で活躍する各世代の建築家らへのインタビュー。後半は田中浩也+久原真人、松川昌平、藤村龍至、柄沢祐輔ら、若手世代の論考で構成される。
磯崎さんからワカテまで、「アルゴリズム的思考」をキーワードに世代を串刺しにした編集が素晴らしい。特集記事だけでなく、ドミニク・チェン君の論考などの連載記事もシンクロ感があり、新しい時代の「うねり」が感じられる。
私はここで、「超線形設計プロセス論 ~新たなコンテクスチュアリズムへ~」という論考を寄稿させて頂いた。ここで述べたような設計プロセスに関する議論は、Jt2007年1月号を皮切りに、プリズミック・ギャラリーでの藤村展、round about journal、建築ノート、10+1、Apple Store、そして今回の特集と、このところずっと展開してきたことである。結果的に2007年はそればかり論じていたような気がする。
特集を早速事務所のオープンデスクの学生達に見せたところ、「こういううねりがあることはわかるが、なぜこういう議論が必要なのか、自分に引きつけて考えられない」という反応が返ってきた。彼らの鈍い反応には多少がっかりしてしまうが、実際のところ「早速自分でもやってみよう」と思えない現在の環境下では、仕方がないことなのかも知れない。
今後の課題としては、ここで展開した「超線形的設計」を、UMATで発表した「批判的工学主義」と両輪をなす存在に育て、一貫したストーリーを組み立てることだろうか。
ともあれ、ぜひお手に取ってご覧頂き、「うねり」を感じて頂ければと思う。
fujimura
25日、学会の編集委員会へ出席。企画も詰まり、作業始まる。連載2本を担当する予定。面白くなりそう。
27日、13:00六本木ヒルズへ。今度round about journalで座談会をするドミニク・チェンさんからクリエイティブ・コモンズ・ジャパンのセミナーのご案内を頂いていたので、予習を兼ね、出かける。
CCJP事務局長でNII客員准教授の野口祐子氏、Mozilla Japan 理事長の瀧田佐登子氏、ライターの小寺信良氏、津田大介氏、wikipedia / wikiaの創始者ジミー・ウェールズ氏のプレゼンテーション。司会はドミニクさん。最近のCCの動向、wikipediaとwikiaの違いなど、いろいろ知らなかったので勉強になる。
話を聞きながら、オープンソースとアルゴリズミック・デザインの理念レベルでの類似性を再確認した。さらに、wikia searchの試みのように、設計プロセスを開放することによって深層へ介入するというコンセプトは、昨今の10+1やround about journalで議論している内容と、かなりの割合で目的を共有していると感じた。座談会が楽しみである。
20:00同じくRAJで登場してもらう予定の伊藤君とサシ飲み@渋谷。いろいろ語りあって充実した感触を得る。
28日、10:00耐圧板スラブ+基礎梁配筋検査@K-PROJECT。オーノさんに来て頂く。その後、近所の喫茶店で別件についてブレスト。Kの始まった頃は、かなり時間をかけてじっくり議論を重ねていた。お互い忙しくなりつつあるが、この時間の楽しさがあるから他の苦労も忘れようというものである。
29日、オープンデスク最終日。この夏もたくさんの学生が参加してくれた。昨夏から弊社では、春休み、夏休みは2週間毎に区切って募集することにし、その他の期間も学期の頭にのみ募集するようにした。
そもそも、オープンデスクとは学校の帰りに通う塾のようなもの。製図室での勉強にちょっと補習する感覚で来てもらうのがいい。春と夏は短期集中講座みたいなものだ。だから、あまりあちこちの事務所を梯子するよりも、1カ所にじっくり通った方がいい。
初日には模型どころか挨拶も覚束ない学生諸兄も、教えていくうちに次第に自分から動くようになるし、議論にも自然に参加するようになる。2週間という期間、あるいは週1回ずつ数ヶ月というペースは学習の期間としてちょうどいい。
オープンデスク期間を終えて、そのままいなくなる人もいるし、休みのたびに何度も参加してくれる人もいる。コミットの仕方は人それぞれだが、彼らは皆、ここで何かを学んでいくだろうし、こちらも彼らからいろいろ学んでいく。オープンデスクとは、そういう空間なのではないか。
というわけで、現在秋学期のオープンデスク参加者を受付中です。奮ってご参加を。
fujimura
2日、とあるプロジェクトの現地調査で時間がかかり、ゼミに大幅遅刻。しかも2週連続。つかもと師に「たるんでいるのでは」と注意されるΣ(・ω・;|||」。ブッキングが思わず被ってしまうほど働いているのは、むしろ頑張っているのだが・・・。
プロジェクトのほうはいろいろ展開していて、このところかなり楽しい。産みの苦しみもたくさんあるけれども。
ゼミには見知らぬガイジンがちらほら。この秋から留学生がたくさん入ってくるらしい。
ゼミ後、ダッシュで東大へ。19:30本郷三丁目で柄沢祐輔君と合流。過日とある提唱を行ったかの工学部2号館にて、南後由和さんと、ドミニク・チェンさんと合流。座談会を行う。
議論の冒頭で「ドキュソ(DQN)って何?」って聞いたらドミニク君に「(社会から)乖離してますよ」と注意される。その後は議論にあまり道筋を付けず、その場の流れに従って話す。ドミニク君にはいろいろ聞きたかったことなどをじっくり話すことができ、文章のクールな感じとは異なり、知られざるヲタ性も垣間みれて、なかなか楽しかった。気がつけば23:30。
この日の議論でわかったこと。
-「プロクロニズム」なる概念は「アルゴリズム」という言葉で言おうとしていることとほぼ同義。
-情報レイヤーで見えてきた「プロクロニズム」=「アルゴリズム」なる概念を建築レイヤーで「コンテクスチュアリズム」に結びつけるという議論のデザイン
-「批判的工学主義」と「有名性」を繋ぐストーリー
そのまま居酒屋に移動し、南後君、柄沢君、ドミニク君といろいろ盛り上がっているうちに終電を逃し、ジョギングの約束をすっぽかして後輩Kに軽くキレられるσ(^_^;)。
今週はインタビューのブッキングを続々まとめ中。今回はかなり面白くなりそう。こうご期待。
fujimura
4日、建築学会にて建築文化週間が始まる。今年から文化事業委員会に参加させて頂いている関係もあり、初日の「建築夜楽校」に出かける。工藤和美委員長の挨拶に始まり、藤本壮介さんのレクチャー、播繁さんのレクチャー、藤本さんと播さんのシンポジウム。打ち上げに同席させて頂くが、年配の方々も藤本さんを絶賛しており、改めて藤本さんの世代を超越したモテぶりを見せつけられる。
5日、20:00NUNOの安東さんの展覧会オープニングへ。大御所からワカテまで勢揃いしており、こちらも相当なモテっぷり。いとう事務所ピーポーがたくさん。その後やまさきさん、ぽむ桂さんと八百長バーにて打ち合わせ+雑談。終電で帰宅。
6日、19:30菊池宏展オープニング+レクチャーへ。開始時刻に行くと道路に人があふれている。が、店長の荒田さんに特別に入れてもらい何とかレクチャーを聴く。1階の大きなガラスに水森亜土のようにペンで板書するスタイルがかっこいい。外側からも大勢が見ている。レクチャーはまずポストモダンとの距離を語り(歴史)、動線を語り(計画)、樹木と光の関係を語り(環境)、棚の荷重を語り(構造)、「5単位はもらえる(本人談)」内容で包括的。菊池さんらしい。その後、中央アーキのサカカヨをはじめ、若者達と飲む。
7日、10:00RAJミーティング。午後はmashcomix益子さんとミーティング。夜は『10+1』48号打ち上げ。田中さん、松川さん、柄沢君、ドミニク君、編集の飯尾さんが藤村事務所に集結して18:00から終電まで議論するというかなりマッチョな企画。互いの論考に対する感想を淡々と述べ合っていたが次第にエスカレートして壮絶な相互批評に。僕のテキストについては「超線形というネーミングにセンスがない」などと批判されつつも、互いの理解はどんどん深まっていくという罠。24:00終了。その後後輩Kと走る予定だったが「K井の家で飲んでいる」とメールがあり、終電で合流。ついついマッチョなノリを引きづり後輩諸兄に『10+1』への意見を求めるもやや引かれる。3:00帰宅。
8日、10:00中村拓志さんインタビュー@NAP。次号のROUND ABOUT JOURNAL vol.3(12月発刊予定)に掲載するものだが、かなり面白いインタビューが採れた。話に無駄がなく、ヒネリがあり、こちらの勝手なストーリーにも上手く乗ってつきあってくれる。さすが売れっ子。短い時間だが、とても勉強になった。
中村さんの他にも、インタビュー日程が続々決まってきた。今回も楽しくなりそうだ。
fujimura
13日、13:30Archi TVが開催されている建築会館へ。2003年、2004年、2006年と呼んでもらっているので今年で4回目。会場に着くと、学生の服がみんなピンク色。みんなで揃えたらしい。
今年は篠原聡子さん、手塚貴晴さんとともにコンペの審査員として呼んで頂いた。まず控え室で簡単に概要の説明を聞き、ギャラリーに展示されている作品を見つつ、ポストイットで作品を選ぶ。コンペのテーマは「都市と人をつなぐ装置」。集まった作品はおよそ40作品ほど。集中して審査する。
ざっと一巡してなんとなくカテゴリー分けし、気になるものをささっとマーク。他の審査員の先生方がマークしているのを見ると意外と気になってしまうので、なるべく早めに決めてしまうのがよいかと。
一旦控え室に帰り、15:00から2次審査スタート。手塚さんの司会でどんどん進む。順番に選考理由を述べて行く。
この日、言いたいことはただひとつ。「建築論も都市論も、パブリック/プライベートの関係を問う時代は終わった。これからは表層/深層の関係こそがクリティカルだ!!」ということ。レクチャーではないから、詳しいことを伝えるのは難しいけれど、確信に満ちたメッセージは必ず伝わる(はず)と信じ、何かにつけて連呼する。
いろいろと議論しているうちに、物質と情報の関係を鮮やかに描いた男子的作品と、屋外のアクティビティをふわふわっと描いた女子的作品の一騎打ちに。審査員的には藤村(男子)vs篠原(女子)の構図を手塚さんが上手く演出してくれる。
作者を壇上に上げ、意図するところを聞き出そうとする手塚さん。戸惑いつつもそれに答える学生。僕も篠原さんもそれぞれ応援演説を試みる。
終盤に差し掛かって、手塚さんが「(男子組の作品は)手法は鮮やかだけれど、ビジョンが無いのではないか」とコメントしたことがきっかけになって形勢が不利に。なんとか本人達からメッセージを引き出そうとするも力及ばず。女子組の作品が1等に。
1等案「天候に左右されるアクティビティ」は、タイトルを言葉通りに受け取るとただのアウトドア・ライフのようだが(と言ったら手塚さんに「アウトドア・ライフの何が悪いの?」と突っ込まれた・・・「屋根の家」批判!?)、アクティビティを制約する存在を「天候」というメタファーで表現しているというシャープさがあるのでは、と深読みさせるいい意味での緩さと、何よりもアクティビティのビジョンがきちんと描かれている姿勢がよかった。
対して男子組の案(藤村賞)は現代社会の二層構造を鮮やかにモデル化しており、それが「都市と人を繋ぐ装置」として提出されていることに圧倒的な批評性を感じさせるが、描かれた家具達がスタティック過ぎて、表現としてちょっとクール(ただし手塚さんは「大塚家具」と表現)過ぎたようだ。
篠原さんも手塚さんも、大学で教えていらっしゃるので学生の扱いが上手い。議論が偏ったり、硬くなったりしないように工夫しながらコメントされているのがわかって、とても勉強になった。適度な緊張感と、お祭り的な盛り上がりと、かるい充実感が得られてとても楽しいイベントとなり、2時間があっという間に過ぎた。
学生イベントらしくところどころぎこちなくはあったけれど、今風なお題と、適度な人選と、抜かりない運営で、今年も気持ちよく参加させてもらいました。きちんと来年以降に繋げていって欲しいと思う。運営メンバーの皆さん、お疲れさまでした。
fujimura
16日、18:00中央アーキのサカカヨに拉致られ、赤坂の中華料理屋へ。石川初さん、住宅都市整理公団や『工場萌え』で有名な大山さんをはじめ、石川さんの仲間の方々、ぽむ桂さん、編集者など、10名以上集まっている。
そもそもこの集まりは、『新スケープ』をみた石川さんが中央アーキと話したい、ということでセッティングされたらしい。で、なぜか僕が付き添いということで同席。石川さんに「弁護士を連れてきた」と煙たがられる(?)。
「なぜ『新スケープ』なの?」「『速度』って冴えているよね」とか矢継ぎ早に質問+感想を繰り出す石川さん。対して中央アーキの3人は、警戒しているのか「理論めいたことをいうと叩かれるから、なるべくそれっぽく見えないようにした」などと、さらりとかわそうとする。
途中からほとんど石川さんの説教部屋(?)状態となり、大山さんが横から突っ込みを入れるという構図へ。口の挟みようがなく、しばらく傍観。
しかし、話が展開するうちに以下のような構図が浮かび上がってきた。
新スケープ:団地、工場、高層ビル、首都高 etc...=郊外的、テクノスケープ的
旧スケープ:合掌造り、棚田、里山 etc...=正統的、伝統的
大山さんは所沢で生まれ、千葉に引っ越して育ったという典型的な郊外っ子なのだそうだ。「新スケープ」的なるものを肯定するほかはないのだという。対して石川さんは、「新」にも、「旧」にもどちらにもつかないというか、決められない、というスタンス。
聞いているうちに『東京から考える』の東vs北田みたいになってきて、面白いので口を挟み、石川さんのスタンスを問う。
同じ郊外育ちの僕としては、「新スケープ」にある種の親しみと諦めがあることは確かなのだが、同調に留まることには違和感があり、「批判的新スケープ」なるものを構築する必要があるのでは、と(大真面目に)主張。
いつの頃か、「住宅都市整理公団」のサイトをはじめて見たとき、ある種の親近感と不安感を抱いた。大山さんが「団地」や「工場」の企画を仕掛けるのは、「まず笑ってもらうところから入らないと、議論そのものが起こらない」という考えからなのだという。単なる鑑賞に留まらない、大山さんなりのアクション(=政治)の方法なのだと聞いて、今さらながらとても勇気がわいた。
大事なことは、「新スケープ」は「旧スケープ」の批判ではない(つまり、単純な世代論ではない)ということ。「旧スケープ」に対する批判と、「新スケープ」に対する批判は別モノであり、旧スケープと新スケープの混在状況において現代のデザイナーは皆、そうした状況をどう整理し、介入するかスタンスが問われている。
・・・ということが僕のなかで整理された。「新スケープ」というコンセプトは、「新スケープ」を批判的にデザインしていく活動として、広く展開されればもっと面白くなるのでは。
その後中央アーキの3人とミッドタウンに移動し、飲み直す。2:00頃終了。
翌日、『STUDIO VOICE』の中矢さんから最新号が送られてきて、書評欄をみたら『新スケープ』が取り上げされており、「藤村龍至との対談はアトリエワン以降の東京観を示す」と紹介して下さっていた。ありがたいです。
fujimura
17日、15:00久しぶりにゼミ。研究室にガイジンが異様に増えていて、ゼミの雰囲気が変わってきている。竹山聖さんが、研究室にガイジンが増えた結果、理論について議論することを諦め、フィールドワークに特化するようになったとおっしゃっていたことを思い出す。塚本研もそろそろ成熟期か?
18日、10:00から打ち合わせ連発@虎ノ門。17:00まで缶詰め。18:00京橋へ移動し、INAXの虫鹿さんと前田アトリエの武藤さんへインタビュー。INAX:GINZAのコンセプトや設計プロセスについて伺う。その後飲む。1月の展覧会+イベント企画(詳細は後日発表)の打ち合わせ。
19日、17:00高円寺駅前の喫茶店にてゼネコン工事部長と打ち合わせ。ここしばらくタフな展開が続いたがこれも建築のプロセス。嫌いではない。19:00代官山で商業施設sarugakuのオープニングへ。平田晃久さんの設計。小ぶりのスケールがかわいい。外部通路をひな壇で吸収しているところ、住宅地の裏側という立地等、とても面白い。路地のような空間に人がたくさん集まっている。
その後原宿へ移動し、20:30吉村靖孝さん+英孝さんにインタビュー。処女作「ダブル・テンポ」から近作まで、包括的に話を伺う。すごくいいインタビューがとれた。その後吉村さん、先輩カガワさん、川上さんと渋谷で飲み。前半やや力尽きるも話止まらず5:00終了。
20日、10:00長坂常さんインタビュー@中目黒。前回に引き続き、今度は郊外の作品を軸に。
21日、22:00藤原徹平さんインタビュー@目黒。初めてゆっくりお話ししたが、とても意外な展開だった。原稿が楽しみ。
22日、10:00プレゼ@某所。13:00ミーティング@虎ノ門、15:00南後君と待ち合わせ@代官山、sarugaku見学後、南後君と平田晃久さんの事務所へ行きインタビュー。ふたりとも初対面だが、泉北ニュータウンつながり。一旦事務所に戻り20:00ロターリの打ち合わせ@池袋。
23日、11:00某工務店で契約条件等詰め。13:30プレゼ。
24日、10:00打ち合わせ@虎ノ門。13:00某大御所アーティストインタビュー@表参道。一同元気出る。一旦戻り、18:00お施主様打ち合わせ。ややヘビーだったがなんとか乗り切った。
深夜1:00後輩KとK井と走る。6.7km。最後のダッシュがマジ気持ちよい。
25日、10:00より図渡し。14:30、R&Sie(n)のフランソワ・ロッシュのインタビュー@東京都現代美術館。「space for your future」展について、生物のイメージを求める理由、機械言語、コンテクストとの関わり、数学的モチーフの応用、篠原一男、デザインプロセス、作家性、権力と空間の関係、近作についてなど一気に聞くことができた。
過激なイメージに引っ張られてしまうと見ることができないが、彼が一番連発していた単語は「ネゴシエーション」であった。彼らにとって空間とは関係性であり、デザインとはネゴシエーションのプロセスであり、建築とはオープンプロセスの無限の反復によってつかみ出されるシナリオの生成行為なのだという。
あまり想定していなかったのだが、その内容があまりにも『10+1』のアルゴリズム特集の内容とシンクロしていて面白かった。そう頻繁にあるわけではないが、ひとつのコンセプトのもとに、様々なアイディアが結束するような瞬間がある。今はそういうタイミングなのだと思う。
fujimura
Apple Store Ginza(銀座)におきまして、石上純也さん、松川昌平さん、家成俊勝さん、南後由和さんと下記のイベントに出演します。
7月27日にApple Store心斎橋で行なわれた同名のシンポジウムに続く第2弾で、「建築のコンピューターライゼーション」をテーマとして、4者の近作を通したプレゼンテーションとディスカッションを行ないます。
かなりコンセプチュアルでコアな内容になると思いますので、ぜひ足をお運び頂ければ幸いです。
*
イベント名:建築のコンピュータライゼーションを考える Vol. 2
趣旨:建築設計のコンピュータ化が進んだ1990年代に建築を学び実践した1970年代生まれの建築家たちが、設計プロセスにおけるソフトウェアやコンピュータ的思考の用い方を互いにプレゼンテーション。「建築のコンピュタライゼーション」をテーマに話し合います。
出演(レクチャー+討議):家成俊勝(ドット・アーキテクツ)、石上純也(石上純也建築設計事務所)、藤村龍至(藤村龍至建築設計事務所)、松川昌平(ゼロスタジオ)
モデレーション:南後由和(東京大学大学院情報学環)
日時:11月2日(金)18:00-20:00
場所:Apple Store Ginza(銀座)3Fシアター
よろしくお願いします。
fujimura
28日、10:00伊庭野、藤井、松島、本瀬、刈谷、益子さんと自由が丘のスタバにてミーティング。12月発売の『ROUND ABOUT JOURNAL』 vol.3と1月のvol.4について。
場所を移し、11:00五十嵐太郎さんインタビュー。『エディフィカーレ』から『10+1』、『トンチク』から『建築雑誌』まで、数々メディア作りをされてきた経験を中心に話を伺う。解散後、分担して即日文字起こし+原稿化。原稿は『RAJ vol.4』として『建築雑誌』2008年1月号に掲載予定。
29日、13:30ゼネコンにて鉄骨屋、オーノさんと打ち合わせ。主要な議題を詰めた後は担当に任せ、現場の体制について社長と相談等。
18:00編集委員会@建築学会。1月からリニューアルなので編集作業も大詰めで会議も長引く。その後恒例の飲み会→五十嵐さんと目黒線で帰宅。
31日、15:00ゼミ@つかもと研。早々に終わるはずがなかなか終わらず「箱展」オープニングは行けず。20:00設備事務所と打ち合わせ。
1日、14:00打ち合わせ。終了後、その足でdot architectsの家成さん、大東さんと合流して銀座Apple Sotreへ下見。イベント担当の方と設備、配置等について確認。家成さんに今回のために作ってきたという映像を見せて頂く。軽く焦りつつ表参道へ行き、『GYRE』のオープニングの様子を覗いた後、20:00より事務所にて設計定例。
2日、打ち合わせが予定より早めに終わり、銀座へ。喫茶店でスライドを確認した後、Apple Storeへ。家成さんたちが既に到着。石上さん、松川さん、南後君も到着。控室で軽く打ち合わせ。開演10分前、客席を見ると結構埋まっている。
18:00になり、予定通りイベント開始。今回は直前のメール告知のみだったので動員が心配だったが、来場者が100名を超え、会場では立ち見が出ている。家成さんの挨拶の後で、コンピュータの技法を語るというよりも、意味を考えたいということ、コンピュータライゼーションを場所論との関係で捉えたい、という論点を提示してイベント開始。
トップバッターは石上さん。『神奈川工科大学の工房』を中心に。パワポで設計のプロセスをざっと見せ、後半は件のソフトをデモ。CADだと拡大したときに柱が点になってしまう、という不便さを解消するための手段だったというソフトウェアは、模型や手書きのプランと徹底的に並列されており、ある種のミクストメディアを構成している。
2番手は家成さん。「時間が止まったような気がした」という震災の体験を出発点に、現在進行中の『House 00』を語る。かつて飯島洋一氏が『崩壊の後で』という論考でユニット派批判を仕掛けたが、本当の意味で震災の影響を受けたのは彼らの世代であり、新たな文脈が浮かび上がるのはむしろこれからなのではないかと思う。「復元と更新」というキーワードとともに、素材やディテールを絞らずに部分毎に個別の対応を重ねることで全体を構成する手法を提示。
3番手は自分。今回は最初に魚の発生過程の写真を用い、『建築の発生過程』と題してプレゼ。『K-PROJECT』の設計プロセスを分析し、境界条件(21個)とプロセス(40段階)の関係を図にして示す。まだ洗練されてはいないが、僕は「設計する」ということについて設計していて、それが場所の潜在的なコンテクストを復活させることに繋がる、というストーリーを提示。
最後は松川さん。『砺波の美容室』の設計プロセスを中心に。行為の関係性を表した抽象的なダイアグラムからスタート。場と場の関係を選び取り、インタフェイスを組み込むプロセスのなかで自己組織的なプランを発見し、その全体性として現れてくるもののなかに自然の偶発性を呼び込みたいと主張。ソフトウェアを用いた設計のプロセスというレベルを超え、ソフトウェアを相手に議論を重ねた思考のプロセスと読んだ方が相応しい。
その後、南後君の仕切りで討議。ジオメトリーとメタフィジックスとの関係、新たな建築的思考のスキームとしてのメディアのインテグレーション能力、表象的な記号化に頼らないコンテクストの読み方をコンピューターを介しながら開花させる可能性、ハーヴェイ的な「非場所」の固有性を立ち上がらせる媒介装置としての建築の可能性について、など。うまく話題を行き渡らせて議論を深めていく。
最後に会場からドミニクが質問。「皆さんの話は設計プロセスの話に終始していて、竣工という物理的なプロセスが終わった後のプロセスについて話していないのでは」と突っ込みが入る。
包括的な質問なので4人とも答える。
藤村:「設計プロセスを作品単体で考えない、という捉え方がある。ある方法論を継続的に展開していくことで、関係性が生まれていく」
松川:「メタボリズムのように物理的な新陳代謝を問題設定自体が困難。生物のメタファでいえば、遺伝子を設計している」
家成:「ディテールや使い方を含め、『いかに朽ちるか』を考える」
石上:「クライアントと設計者という2者の問題に終始したくない。いろいろな問題がよく分からない状態で建ち上がってくるといい」
さすがドミニク。議論の補足とまとめを兼ねたような、いいところを突いてくる。ひと通り議論を終え、建築をめぐる生物/無生物の境界という壮大な論点が提示されたところで終了。
4人の発表も刺激的だったが、南後君の仕切りが素晴らしく、心地よい充実感が残る。そもそも「なぜ生物のメタファーなのか」や、建築そのものの性質(ネイチャー)とメタファーの関係などについては今後もっと議論を深めていきたいと思うが、単なる技法の話や「恣意性の排除は可能か」などといったつまらない堂々巡りを避け、新しい議論を展開できたのではないかと思う。
年明けの1月19日(土)にINAX GINZAで『ROUND ABOUT JOURNAL』のイベントをやる予定なので、またこのような議論の続きをやりたい。
3日、13:00田中浩也、松川昌平、柄沢祐輔、南後由和、ドミニク・チェン、飯尾次郎さんが来社。諸々ミーティング。前夜の記憶も生々しいうちに、再び熱い議論を交わす。それぞれが個々に精力的な活動を展開しているメンバーであるが、話せば話すほど、高い次元での共時性を感じる。「アルゴリズム特集」で盛り上がった矢先に『10+1』が休刊してしまうのは残念ではあるが、僕らとしては次の流れを作り出すべく走り出すのみである。
fujimura
5日、20:00山崎さんと合流し岡部明子さんインタビュー@表参道。「ユーロ・アーキテクツ」から「サステイナブル・シティ」を経て、現在まで。これで次号RAJのインタビューは全部揃った。あとは編集作業を残すのみ。
6日、10:00大鳥居駅に集合し、つかもと研の後輩K笹の研究対象であるところの町工場を見て歩く。19:00、先日埼玉に完成したお茶屋さん(内装)を鳥村さんに撮影して頂く。モノが多くポイントもたくさんあるため終電までかかってしまったが、いい写真が撮れた。
7日、10:00学会の編集委員をご一緒している倉方俊輔さん、イラストレーターで漫画家の益子悠さん、マシツマと待ち合わせ@上野。国立西洋美術館を見学し、打ち合わせ。そのまま東工大へ行き、ゼミ。
8日、18:00『Ka』の編集委員会@東工大。坂本先生の意向で東工大の機関誌『Ka』の編集を今年から学生ベースで進めることになり、各研究室から博士課程の学生が1,2名ずつ委員として参加することになった。メインの企画ブレスト。『建築雑誌』の編集委員会を小さくした感じ。
10日、10:00ロータリー財団の募集要項検討会議@鶴ヶ島。その後幕張の東京モーターショーへ。1991年に晴海から幕張へ移ったばかりの頃1,2度来たことがあったが、その後はあまり来ていなかったので約15年ぶり。
当時はデザイン面で「フラッシュ・サーフェス」という面イチのディテールが登場し(日産セフィーロなど)、技術面においても4輪ダブルウィッシュボーン・サス(ホンダ・アコードなど)、4WS(四輪操舵)、アクティブサス(油圧制御)など見ていてわくわくしたが、今は各社とも環境性能を意識したコンパクトカーばかり。
ブースのデザインは吉岡徳仁を起用したTOYOTAが最も垢抜けておりダントツ。日産のは和風の照明+木目の壁紙でミッドタウンのようだ。全体にすごく混んでいたが、入場者数が200万人近くあった15年前に比べると現在は140万人程度だそうで、空間に余裕が生まれているのは確か。
13日、20:00横浜国大Y-GSAの北山スタジオの学生来社。23日に桜木町駅で行なわれる「ヨコハマ・パークウェイ・プロジェクト展」のシンポジウム(19:00-22:00@旧東横線桜木町駅)に参加することになり、その打ち合わせ。概要を聞き、その後じっくりメンバーの個人的なテーマを聞き出す。
途中から助手の坂下さん(中央アーキ)も加わって議論。時間を掛けてしっかりと問題意識を共有することができたので、23日が楽しみだ。レクチャーもやるので、横浜周辺の方々はぜひお集まり頂きたい。
15日、9:00施主打ち合わせ。14:30工務店で打ち合わせ。最近、平日週末を問わず打ち合わせが多いので、前半は設計定例等事務所ベースで、水曜はゼミ、後半は施主打ち合わせや現場定例等外まわり、というようにリズムを作るようにしている。何事もリズム、リズム。
集合時刻にやや遅刻するもなんとか滑り込み19:00『Ka』の編集委員会@東工大。特集企画のテーマをめぐり、ブレストの続き。
これまで隣接する研究室の博士課程の連中とじっくり話す機会がなかったが、この委員会をきっかけに議論する機会ができたのは嬉しい。同じ東工大と言えど、各研究室の議論の違いはいろいろあり、それがなかなか面白い。もともとゼミに馴れた連中だし、お互いに話題をうまく拾いあって発展させつつ、かつぴったり2時間で終わる。いい雰囲気。
16日、20:00年明け発行の『建築ノート』vol.4にむけて、「Table of Youth 4」ミーティング。vol.1以降、毎回6名継続+6名新規加入というルールで続けてきた。今回新たに「継続は3回まで」というルールを加えた。これで必然的にチームが新陳代謝することになる。
『SD』の「海外建築情報」や、『建築文化』の「オーバーシーズNOW」など、雑誌の後ろには若い書き手が解放区的に構成するページがあり、新しい世代を醸成する場所になっていたのだという。『SD』にせよ、『文化』にせよ、『10+1』にせよ、雑誌の休刊が相次ぎ、単行本へと企画の重点がシフトするなかで、若い書き手が出てくるような解放区的な場所が少なくなりつつあるが、「ToY」はそういう場所が必要だという槻橋さんの思いによって生まれた企画である。
今回も各大学から個性的なメンバーが集まった。学校の枠を超えて同じ世代どうしの議論に参加するのはきっと楽しいと思う。今回も若者らしく熱のあるページに仕上げたい。
17日、アトリエワンの新作「鶴山荘」見学会で軽井沢へ。新谷さんの十八番であるデッキプレートを部分的にサッド一致してラチス梁を構成した屋根+フルハイトのサッシで切れ味鋭い外観となっているが、プランで見るインフォーマルな感じはあまり出ていない気もしてやや残念。床段差+三つ又のコンセプトは「川西町コテージB」を思い出す。
現地に行く前、久しぶりに「ハウス・アサマ」に寄る。西側の軒、壁面を延長したルーバー等、今見ると非常にぎこちなく見える。「入れ子の平面」と「屋根勾配」を関係づける風車型プランの形式性が付加要素である軒を統合できなかったのだ。その意味で最新作の「ノラ・ハウス」は「アサマ」を乗り越えている。ただ、白と茶の塗り分けは「アサマ」のほうが室内風景としては切れ味がよい気がする。
このようにみると、「鶴山荘」:「川西町コテージB」、「ノラハウス」:「ハウスアサマ」は構成上の対応関係にあり、脱形式化していくアトリエワンの作風の変化をみることができる。
18日7:00起床。『10+1』や『STUDIO VOICE』等、溜まっている原稿を一気に書く。原稿は集中力を要するので、朝か日曜がはかどる。なんとか書き切って、その後20:00RAJ定例@藤村事務所。1月のイベントの詳細を詰める。ブレストが盛り上がり、ディテールまで一気に決まる。これが実現したら画期的な建築イベントになるだろう。期待して頂きたい。
fujimura
明日19:00より、下記のイベントの一環として、横浜の旧東横線桜木町駅舎(JR桜木町駅前)にて「批判的工学主義とアルゴリズミックデザイン」をテーマとしてレクチャーとディスカッションを行ないます。
ぜひ足をお運び頂ければ幸いです。
*
「ヨコハマ パークウェイ プロジェクト
— 都市の未来を誘導する都市中心部の軸線空地 —」
■日程:2007年11月23日(祝)19:00
■プログラム
19:00〜藤村龍至氏レクチャー
19:30〜プロジェクトメンバーによるプレゼンテーション
20:00〜藤村龍至氏とプロジェクトメンバーの討論会
21:00〜懇親会
22:00 終了
■場所:創造空間9001 旧東横線桜木町駅舎(JR桜木町駅前)
■概要
Y-GSA 北山スタジオでは2007年度後期課題において、現在廃線となっている旧東横線桜木町駅ー横浜駅の区間(10m×1.2km)の高架上と隣接する国道16号のエリアに、「都市の未来を指し示す装置としてのパークウェイ」を構想します。今回、創造空間9001において「ヨコハマ パークウェイ プロジェクト展」と題し模型、ドローウィング、映像によって、ただの遊歩道ではない人々の活気に溢れた「場所」を表現しました。人々が使い、楽しむことのできる色とりどりの仕掛けを用意し、現在の都市計画に対する新しいビジョンを提示します。
■プロジェクトメンバー:川口圭介、川口周二、祖父江一宏、田中裕一、百枝優、矢野剛(以上6名Y-GSA北山スタジオ)、北山恒(Y-GSA教授)、坂下加代子(Y-GSA設計助手)、櫻井淳(櫻井淳計画工房)
■展示日程:2007年11月20日(火)〜11月25日(日)
■開館時間 10:00~19:00(初日は12:00閉館、最終日は17:00閉館)
fujimura
ある女性編集者Aさんとの会話。
A:「(某ワカテ特集をみながら)最近の若い建築家ってイケメンが多いわよね。」
僕:「そうですか (^ ^;) 。」
A:「ロン毛がいて、坊主もいて、KAT-TUNみたい。」
僕:「・・・。」
ちなみに「坊主」とは藤本壮介さんのことです。
さて、このところ各種媒体への執筆や編集作業が続いています。ありがたいことです。これから年明けにかけて、順々に出て行く予定ですので見かけたら感想等頂ければと思います。
以下、簡単にご紹介。
1.『建築知識12月号』(2007年11月20日発売)
模型特集。安藤忠雄、伊東豊雄、妹島和世+西沢立衛/SANAA、隈研吾、藤本壮介、五十嵐淳、長谷川豪、藤村龍至、菊池宏、オーノJAPAN、佐藤淳の模型論が並ぶ。ちゃんとマニフェストにしておいてよかった。こういうとき、きちんとストーリーを組み立てて応えられるが勝負なのだと気を引き締める。
藤本さんはその辺抜かりなくさすがメディア慣れしている。隈事務所の文章は塚本研の後輩の平林が担当している。「模型は建築だ」というのはちょっとベタですが、頑張っていますね。
2.『ナゴヤ新聞』(2007年11月・配布中)
名古屋工業大学の北川啓介先生らNACの発行するフリーペーパー。トップ面に「日評」を書かせて頂きました。「800字で天声人語みたいに」というリクエストを頂き、なんとかまとめました。
3.『SD2007』(2007年11月末予定)
第2特集で「若手建築家の都市論」というテーマ。塚本由晴が監修者になり、平田晃久、原田真宏+真魚、藤本壮介、藤村龍至、石上純也、長谷川豪に都市について語らせる、という企画。僕は『10+1』で論じたアルゴリズム論と批判的工学主義を繋いだストーリーで話しました。
後日、藤本さんに「あまりにも僕の理解の範囲を超えていて、全く新しい世代が出てきたと思った。ちょっと感動した」と言われました。塚本研メンバー(後輩)による座談会というのもあるらしいですが、連中が何をしゃべったのか気になる。
4.『STUDIO VOICE 2008年1月号』(2007年12月6日発売予定)
R&Sie(n)のフランソワ・ロッシュへのインタビュー。『Space for Your Future』展のオープニングの日に、現代美術館で。生物メタファーについて、かたちについて、設計プロセスについて、都市について、など。難しかったが充実の内容で仕上がりが楽しみ。
5.『10+1no.49』(2007年12月25日予定)
7月に東大で行なわれた国際会議UMATでのセッションにて発表した「批判的工学主義」についての論考。定義・マニフェスト編(藤村)、空間・身体編(柄沢)、歴史・メディア編(南後)の3本建て。「批判的工学主義」をきちんと読める形で出すのは初めてなので気合い入りました。これでno.47(東京特集),no.48(アルゴリズム特集)と続いてきた一連のストーリーが完成。
6.『Tokyo from Vancouver 2』(2007年12月予定)
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の雑誌。「超線形設計プロセス論(『10+1』no.48所収)」と藤本事務所の青木君と交わしたメール対談「若手からみたワカテ(『ROUND ABOUT JOURNAL』vol.1所収)」の英訳が掲載予定。
7.『ROUND ABOUT JOURNAL vol.3』(2007年12月予定)
ご好評を頂いたフリーペーパーの第2弾。今回はインタビューに絞って、ストーリーの展開が浮かび上がるように人選、編集を進めている。インタビューは全て完了し、原稿を製作中だが、どの原稿も読んでいて鳥肌が立つほど面白いので乞うご期待。少々押し気味だがなんとか年内に発行予定。
8.『建築ノート Table of Youth 4』(2008年1月予定)
建築ノート巻末の若者企画第4弾。今回からは監修という立場で、12名のテキストをディレクションさせてもらった。時間と労力を使うが、若い連中の試行錯誤につきあうのは面白い。現在最後の編集作業中。
9.『建築雑誌』(2008年1月-2009年12月)
日本建築学会の機関誌。2008年1月号から2年間編集に参加する。さしあたって連載を2本と6月号くらいで特集を1つ担当する予定。編集委員会は委員長の五十嵐太郎さんを筆頭に、元『日経アーキテクチャー』の細野透さん、大学の先生方、国土交通省の方などで僕はほとんど最年少。
10.『Perspecta 40 (One More Attempt)』(2008年春予定)
伝統的なイエール大学の雑誌。塚本さんとの共著論文「東京のタイポ・モルフォロジー(『10+1』no.47所収)」の英訳。日曜日に図書館に通って英訳を進め、なんとか提出してただいま校正中。
11.『Ka』(2008年夏)
東工大建築学科の機関誌。今年から学生主体の編集になるため、博士課程に在籍するメンバーで集まって議論を重ねた。発行はしばらく先だが、面白くなりそう。
12.『ROUND ABOUT JOURNAL』イベント(2008年1月19日、26日@INAX:GINZA)
フリーペーパー『ROUND ABOUT JOURNAL』に関連したイベントを行ないます。ただいまブッキング等諸々調整中。今までにないタイプの刺激的なイベントになると思いますので、1.19と1.26は予定を空けておいて下さい。詳細は近日発表予定。
このほかにいくつか書籍の企画等が進んでいます。一般誌から学会誌まで横断的に関わっています。
3月のプリズミックでの個展をきっかけに、「藤村龍至」のカラーが少しずつ伝えられるようになってきたかなと思います。今までの原稿依頼の傾向とは異なり、私の主張を取り上げて頂けるようになったのはありがたいことです。特に『10+1』の3部作が完結したことは大きいですね。
2007年は、自分の建築家としてのストーリーを探る1年になりました。2008年はいよいよ懸案のK-PROJECTが竣工します。
fujimura
いろいろみたので、順番にレビューします。
1.『SPACE FOR YOUR FUTURE』展(@東京都現代美術館)
石上さんの「四角いふうせん」を見に。大きさと、斜めのラインが効いていますね。上を見上げてあんぐりしていると「動かしてみますか」とスタッフの方に声を掛けられる。動かしてみると重さが実感でき、面白かったです。
「100 ERIKAS」(タナカノリユキ)は意外とインパクトあり。芸能と芸術の混在という日本独特の社会的なコンテクストと沢尻バッシング等、諸々のタイミングを考えるとかなりの問題作なのではと思うが、マスコミレベルではあまり話題になっていないところに物足りなさを感じる。
2.『DEROLL Commissions Series 1: box』(@ars gallery)
通称「箱」展。岡田栄造さんが石上純也、中村竜治、中山英之、永山祐子、山口誠の5人に「箱」をオーダーするという企画。中山さんの作品は少々説明的でやや意外だったが、ほかの4人はなるほどと思わせる「作風」のようなものを感じさせられます。
展覧会をみて、dezain.netを毎日更新していて、研究者で、教育者で、かつDEROLLというブランドを構築するという岡田さんという人物に改めて興味を持ちました。
3.『六本木クロッシング2007:未来への躍動』展(@森美術館)
1970年代以降生まれの作家が多数取り上げられていて、やはり上の世代よりも同世代の作家の作品のほうが面白いと感じる。コンテクストを共有するということはそういうことか。インスタレーションでは名和晃平と鬼頭健吾の作品が見れてよかった。
うなったのは佐藤雅彦+桐山孝司の「計算の庭」。前評判通り、すごい面白い。メディアアートって「感覚の可視化」みたいな作品ばかり、という先入観があったが、これには感動。
4.『ヴィヴィッド・テクノロジー 建築を触発する構造デザイン』(小野暁彦・門脇哲也・乾陽亮 編著 学芸出版社)
大阪で活発かつ継続的に展開されているレクチャーシリーズ「アーキフォーラム」発の単行本。構造をテーマにした昨年度のシリーズをベースにまとめられたもので、恊働する大野さん(オーノJAPAN)のレクチャーではK-PROJECTなど私のプロジェクトも取り上げられて頂いています(>)。
作品をつくるようになって、雑誌に取り上げて頂くようになってから、一番難しかったのは自分なりのストーリーをつくること。そのストーリーが単なる作品解説を超えて、マニフェストに繋がったり、建築をつくる根拠になったりしますよね。
その意味で建築家は日常的にあらゆるメディアでストーリー作りのレベルを問われているわけですが、構造家のストーリーテーリングはとても新鮮。解説レベルでは雑誌などで読む機会も多いものの、作家としてどういうストーリーを持っているのかは興味があって、一気に読みました。結局のところ、「で、何がやりたいの?」と問われるのは意匠も構造も同じですね。
5.『SD2007』(鹿島出版会)
第1特集はSDレビュー2007、途中に原広司×伊東豊雄対談を挿み、第2特集は「住宅でつくる都市 若手建築家たちの、都市へのアプローチを探る」(>)。
原×伊東対談の最後は学生批判。伊東さんが「今の建築学科を出てくる学生、特に日本の学生は何の役にも立たないような気がします(笑)。」と煽り、原さんが「学生たちがダメだというのは幾何学を知らないんですよ」とたたみかける。
それだけ聞くとただの世代論にも聞こえるが、批判の骨子はかなり具体的。伊東さんはアルゴリズムを理解できないと可能性が無い、といい、原さんは「美しいものをつくろう」という美学的な態度ではITに勝てない、といい、両者ともコンピュータ的思考の有無がデザイナーとしての価値を分けつつあるといいきる。それでも「いや、それでもオレは生き残る!」と反論したいあなたには『10+1』48号をおススメします(笑)。
第2特集「住宅でつくる都市」は塚本さんの監修。巻頭の「ヴォイド・メタボリズム試論」はなかなか迫力がああります。60年代の丹下メタボリズムを「コア・メタボリズム」と再定義し、現代の東京の都市空間を「ヴォイド・メタボリズム」と対比させ、建築類型と都市形態の有機的関係(タイポ・モルフォロジー)を主張しています。
若手建築家と塚本さんの対談はほとんど説教部屋。若手建築家から何かを引き出すというよりは持論を展開する場面が多い。
ところで、この特集のタイトル「住宅でつくる都市」には違和感がある。「ヴォイド・メタボリズム」の骨子は建築類型と都市形態の関係であるから、ふつうに考えれば「建築でつくる都市」といったほうが広がりが出るのではないかと思うが、「住宅」というタームに塚本さんのこだわりがあるようだ。
6.『REALIZE 立脚中国展開世界 迫慶一郎/松原弘典』(@ギャラリー間)
中国ベースで活躍される迫さんと松原さんの展示(>)。3階の迫さんの作品群が示すのは、近代以降の権力が半自動的に作動する「工学主義」のコンテクストそのもの。住宅はなく、プロジェクトのほとんどが不動産とインテリアで、中国的コンテクストにおいても「住宅」が批評性を失っているということがわかります。
他方、4階の松原さんの展示を見ていると、レンガを纏った「批判的地域主義」的作品と、カーテンウォールを纏った「批判的工学主義」的作品が対立的、あるいは乖離的に共存しており、工学主義と地域主義の対立する状況が現在の中国なのだろうと理解できますね。今目立つのは前者だが、2008年の北京オリンピック以降に復活してくるのは後者ではないか。その意味で松原さんは「2008年以降」の中国も同時に捉えようとしているのかも知れない。
レセプションのスピーチでは山本理顕さんが迫さんの展示を評して「迫ワールド」と批判。迫さんの答えは「僕なりに場所のことを考えています」と迫さんらしく?直球だったが、「ハーヴェイ的『非場所』の実践だ」と反論するか、少なくとも「ワールドを展開して何が悪い」と開き直るべきだったのではないかと。
ところで、ここで提示された「『工学主義』と『地域主義』のブリッジ」というテーマは、中国という特殊なコンテクストでの特殊な問題であるとタカをくくらない方がいいと思った。冷戦以降の全世界で同時進行するグローバリゼーションに対して建築に何ができるか、という命題は、むしろ現在の日本でこそ問われるべきで、その証拠に、「迫ワールド」は金沢の郊外でも展開されている(ex.「金沢ビーンズ」)。
その意味で、「つくれる」ということを「中国的状況」だと読み替える迫さんの論旨は「失われた10年」の気分を引きずっているようで違和感を感じる。ここ数年の日本の状況というのは、彼らが中国で活動を開始した2000年-01年のそれとは大きく変わり始めている。日本でも「つくれる」人はつくり始めているし、工学化する社会状況との対峙という建築家のテーマには変わりがない。
そのことを自覚させられるという意味で、単なる作品展を超えて時代的な批評性のある展覧会でした。12日のレクチャーに行けなくなってしまったのが残念!
fujimura
フリーペーパーROUND ABOUT JOURNALの編集作業が大詰めです。残るは数コンテンツのみ。頑張ります。
さて、既にいくつかの媒体には告知を出しているのですが、来る1/19から1/26にかけて、下記のイベントを開催致しますのでお知らせ致します。
イベント:『LIVE ROUND ABOUT JOURNAL』
概要:フリーペーパー『ROUND ABOUT JOURNAL』を「ライブ編集」するというコンセプトのもと、会場にて建築家のレクチャー(15分程度)+インタビュー、その文字起こしやレイアウトなど、取材・編集作業をすべてライブ形式で行い、『ROUND ABOUT JOURNAL』を即日発行するというメディア型のイベントです。そこで得られた素材はフリーペーパーとして会場にて展示されるとともに、次号の記事の一部となります。
詳細はこちら
日時: 平成20年1月19日(土)・26日(土)2:00p.m〜8:00p.m
場所: INAX:GINZA(>) 7階 クリエイティブスペース
ゲスト・レクチャラー(1月19日):大西麻貴+百田有希/伊庭野大輔+藤井亮介/武藤圭太郎/中央アーキ/長谷川豪/吉村英孝/松川昌平/田中浩也/永山祐子/中山英之/南後由和(モデレーター)
ゲスト・レクチャラー(1月26日):釜萢誠司+針谷將史/g86/伊藤暁/柄沢祐輔/藤村龍至/平田晃久/南後由和/中村拓志/吉村靖孝/ドミニク・チェン(モデレーター)
定員:100名(申込不要・先着順)
入場料:無料
主催:TEAM ROUND ABOUT(藤村龍至/山崎泰寛/伊庭野大輔/藤井亮介/松島潤平/本瀬あゆみ/刈谷悠三)
共催:株式会社INAX
お問い合わせ:有限会社藤村龍至建築設計事務所
TEL:03-3463-0161 FAX:03-3463-0162
フリーペーパーはイベントの終了時(20:00)に配布する予定です。
以上、よろしくお願いします。
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2008年1発目のアウトプット、フリーペーパー『ROUND ABOUT JOURNAL vol.3』の輪郭が見えてきました。
特集「都市ビューティ革命 表層と深層を架橋せよ!」
シュウ・ウエムラ/ドミニク・チェン+柄沢祐輔+南後由和+藤村龍至/平田晃久/中村拓志/吉村靖孝+吉村英孝/藤原徹平/勝矢武之/長坂常/武藤圭太郎+虫鹿元博/岡部明子/エイドリアン・フォーティ/マティアス・シューラー/伊藤暁/g86/益子悠/藤井亮介/松島潤平
企画・編集:藤村龍至/山崎泰寛
編集協力:伊庭野大輔/藤井亮介/松島潤平/本瀬あゆみ/刈谷悠三
デザイン:刈谷悠三
発行予定:1月19日(LIVE ROUND ABOUT JOURNALにて配布開始予定)
発行部数:5000部(予定)
前号の後に見えてきた課題「表層/深層」や「批判的工学主義」について、「郊外」や「素材」をキーワードに、熱い議論がクールに展開。
巻頭はなんとシュウ・ウエムラさん!!座談会、若手建築家へのロング・インタビュー、メール対談、コラムなど、かなり豪華かつ濃密な内容になっています。
松島潤平の日記にも取材風景などが紹介されています。
今回もかなり衝動的に作りました。でも、読めば次の文脈が見えてくるはずです。
ご期待下さい。
*
インタビュー記事をアナウンスした矢先ですが、ウエムラ氏が12月末に逝去されたとのニュースが飛び込んできました(>)。今度のRAJが最後のインタビュー記事になったそうです。心からご冥福をお祈りします。
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4日、10:00事務所にて仕事始め。新たな1年の始まり。年間計画などを話す。15:00ゼミ。
5日、打ち合わせ。19:00事務所にて新年会。いつも通り大勢の友人、学生、編集者の方などが集まってくれた。4:00くらいまで。終わって片付けをして、腹が減ったのでスタッフとセンター街へ出てラーメンをすする。
6日、9:00より刈谷と山崎さんとRAJ3の校正をするも終わらず。入稿は来週に持ち越しに。
8日、11:00八束先生のご紹介で「トウキョウ・コレクション」の審査員をすることになり、学生ふたりが説明にやってくる。修士2年生だからか、落ち着いている。3/6(木)にヒルサイド・テラスにて行なわれる予定の公開審査会に佐藤淳さん、馬場正尊さんと出席する予定。13:30よりK-PROJECT現場打ち合わせ。懸案事項が片付いてきて少しずつ前向きな雰囲気になってきた。17:00論文打ち合わせ。つかもと師と査読の返信の文案を詰める。
9日、11:00INAX打ち合わせ@銀座。会場にていろいろ詰め。レイアウト、オペレーション、告知方法など。15:30あるプロジェクトの顔合わせ@品川。各社から出席して総勢15名近いが、最近はこういう会議のスタイルにも徐々に慣れてきた。中座して17:30施主打ち合わせ@和光。かれこれ2年近く打ち合わせしてきているが、ようやく仕上げの打ち合わせに到達。事務所に戻って20:00よりRAJ3打ち合わせ。終電で帰宅し、1:30後輩Kと走る。いつもの通り駒沢公園まで往復7km弱。最後は一応ダッシュして部活っぽく。
10日、編集のFさん来社。コンセプトを練る。13:00元大成アメリカ社長のTさん来社。かれこれ10年前、アメリカを旅行したときにお世話になり、以来ずっと年賀状をやり取りさせて頂いていたが、年始に連絡を頂き、ご友人の方々と共に事務所を訪ねてきて下さった。事務所の様子などお話しさせて頂く。16:00ドミニク・チェンさんと打ち合わせ@六本木ヒルズ49F。LRAJのモデレータを務めてもらうので、出演者のことやイベントの概要など。移動して17:30、ゼミ@塚本研。修論の詰め。20:00Ka編集打ち合わせ。
11日、打ち合わせのあとスタッフと分かれ、17:00松島とmashcomixの皆さんと打ち合わせ@外苑前。とある企画のご相談をしたところ、快諾してくれた。今、ノリにノっているチームだけあって、何かとてもわくわくさせられるオーラを感じる。
12日、13:00より慶応SFCで松川昌平さんが担当されている授業「デザイン言語」のゲストクリティークへ。田中浩也さん、柄沢祐輔さんと一緒に。
この授業は、アルゴリズミック・デザインを日本で唯一展開している授業と言ってよい。敷地も用途も自由で、最初にプログラミングを教え、そのスキルを用いてデザインをデベロップする。アウトプットは、A1ボード+模型+プログラム。
学年が混ざるため成果には多少バラツキが出るが、全体にすごくレベルアップしていて、松川さんの試行錯誤が学生たちを確実に後押ししていると感じられた。当然講評にも熱が入り、アルゴリズミック・デザインとは何かについて立場が分かれ、最後まで議論が盛り上がる。
1点だけ気になったのは、学生たちの多くが、最終形のみをプレゼンテーションしていたこと。アルゴリズミック・デザインとはプロセスへの注意が最終形を決定する、というのがキモなのだから、ボツになった案や試行錯誤の過程を含めてプロセスをもっときれいに表現するべきなのだ。たったそれだけのことで、設計の意味など根本から変わってしまう。
RAJ1の巻頭座談会(「誘導から栽培へ!?」)に始まり、『10+1』のアルゴリズム特集へ連なる一連の議論は、もとを正せば昨年1月にこの授業のクリティークで松川さんたちと議論をして大いに触発されたことがきっかけだった。SFCの学生たちもRAJを熱心に読んでくれているようで(ある学生が黄色く変色したRAJを見せてくれた)、とても嬉しい。
21:00、事務所に戻って刈谷と山崎さんと3人でRAJ3校正続き。建築でも編集でも論文でもそうだが、何事も「終わった!」と思ってからが長い。赤を入れ、隅々まで繰り返しチェックする。それでもまだ修正事項が出てくる。何度もチェックして、修正を繰り返してなんとか4:00終了。これでようやく校了である。週明けには入稿し、1/19のINAXイベントにはなんとか間に合いそうだ。ほっと胸を撫で下ろす。
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13日、10:00RAJのメンバー事務所集合。フリーペーパーの編集で明け方4時に解散したばかりだが、今度はINAXイベントの詰めを行なわなければならない。フジイさんが用意してくれた会場平面、準備リストをもとに議論。ランチを経て解散。
14日、20:00RAJ再集合。イハツがイベント当日の進行表を書いてきてくれたので、それをもとに議論。当日はレクチャー(15分)と質疑応答(5分)を1クールとして、録音(20分)→文字起こし(30分)→データ集め(10分)→校正(5分)→入稿→レイアウト(20分)→チェック→印刷という作業フローを確認。当日はそれをシステマティックに10回繰り返していく。
5分刻みの時間を完全に守り、かつ流れにミスがなければ20:00過ぎに印刷作業を終え、フリーペーパーをライブで編集するというパフォーマンスを完成させることができる。遅れたら・・・考えるだけでぞっとする。レクチャラーにはくれぐれも時間を厳守するようにお願いしなければならない。スタッフだけでなく、モデレータや出演者も含めた全員のチームワークが問われる。
15日、今週よりK-PROJECTの建て方が本格化。銀座の現場も今月からスタートした。14:00エクスナレッジにて打ち合わせ。16:00INAX打ち合わせ。最後の詰め。19:00東工大にてKa編集会議。ようやく企画書完成。
この日、学会の『建築雑誌』が大学などで配達されたらしく、「載ってましたね」とリアクション多数。さすが35,000部のマスメディアだけはある。
ここでは建築都市系のフリーペーパーが誌面をジャックする企画「建築雑誌ジャック」を担当させて頂いている。初回取り上げたのは『ROUND ABOUT JOURNAL』。2ページをRAJのvol.4ということにして号外的に扱い、巻頭企画「建築雑誌は必要か?」に引っ掛けて「オルタナティブ・メディアは必要か?」と題して編集長の五十嵐太郎さんにインタビュー。
オルタナティブ・メディア『エディフィカーレ』の編集から『10+1』、FLAT、トンチクなどを経て建築雑誌の編集に関わっての抱負などを伺った。雑誌の中に、さりげなく他者性が織り込まれるような構成とした。
デザインは刈谷さんのアイディアで一見横組のデザインにさりげなく縦組を挿入するという、雑誌の形式性を逆手に取ったような仕掛け。「ジャック感」が上手く出るか心配だったが、今日のリアクションを見る限りはきちんと意図が伝わったようだ。この連載枠では2月号で名古屋の『FLAT』、3月号で芸大の『空間』を取り上げる予定。乞うご期待。
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LIVE ROUND ABOUT JOURNALの初日が無事終了しました。1日のうちに10組の建築家にレクチャーをしてもらい、フリーペーパーを即日発行するという私たちのチャレンジは、なんとか達成することができました。
記憶が新鮮なうちに振り返っておきます。
*
9:00RAJのメンバーが会場であるINAX:GINZAに集合。INAX虫鹿さんを交えミーティング。全体の流れを確認。INAX:GINZAショールームアドバイザーの皆さんの朝礼にも顔を出しご挨拶。
10:00学生スタッフ続々到着。全体ミーティング。会場担当、文字起こし担当に分かれて詰め。文字起こしチームは12人。2つに分かれ、つかもと研の後輩KとK笹がリーダーとなって6人ずつのチームを組む。作業フローを確認して早速練習を開始。
12:00昼食。メンバー全員で机を囲んで食べる牛丼が異様に旨い。試合前の雰囲気。
13:00入場者が徐々に入り、席が埋まり始め、出足好調。バックスクリーンの前でスタッフ全員で撮影。準備作業は最後の詰め。
13:50挨拶していよいよ開始。会場は席がほぼ埋まってしまった。90人前後か。
14:00最初のセッションは大西麻貴+百田有希と伊庭野大輔+藤井亮介。大西+百田コンビは初レクチャーだというが、しっかりまとめてくれた。伊庭野+藤井も徹夜で何度も練習したというだけあって落ち着いたプレゼ。モデレータの南後君がそつなく話題を展開していく。
14:30スタッフから「中央アーキの皆さんが来ていません」と連絡が入る。出演者の携帯番号リストですぐ連絡するよう指示。その後10分前くらいに到着し、事なきを得る。
15:00次のセッションは武藤圭太郎と中央アーキ。武藤さんもレクチャーは初めてだというが、話し方があまりにも堂々としていて驚いた。今回のレクチャーにあたっては前田さんが直々にスライドをチェックして下さったらしい。
中央アーキは3人並んだときのオーラがあり、長く活動しているグループならでは。松本君のしゃべりはそつがないし、サカカヨの発言には力があるし、上領君のコメントには鋭さがある。『新スケープ』でサカカヨと対談したときに都市について議論できるイベントをつくりたいと話していたので、部分的にでも実現できて良かった。
レクチャーの間に編集ルームへ。作業は順調にスタートしている。見に来てくれた新建築の四方さんと橋本さんに「著者校正はするの?」と聞かれ、新聞と雑誌の違いに気づく。今まで意識したことはなかったが、新聞のインタビューというのは校正がない。そういう意味ではRAJは雑誌と新聞のあいだ(もしくは両方)をやろうとしている。
16:00次は長谷川豪と吉村英孝。塚本研の同級生と先輩ですと紹介してみる。作品は全く違うが、配置図から入るスタイルは塚本さんに似ていると思った。長谷川にはある種の演技力があるが、それをさらりと交わして「反復と反転」というキーワードを与える南後君。吉村さんは「動的シンボリズム」というキーワードを提示。一見「動的」にはみえない建築どうしを関係づける、面白い軸を与えたなと思った。
17:00松川昌平と田中浩也。この日のために何度も打ち合わせをしてきたというだけあって、抜群の連係。コンパクトなレクチャーに濃密なメッセージが籠る。「アルゴリズム」についての関心が高まっているせいもあって、ふたりの話に食い入るように聞き入っている観客たち。
18:00最後は永山祐子と中山英之。オーディエンスの熱気も最高潮。立ち見が会場を取り囲んでいる。永山さんは展覧会「届かない場所」に併せて、「届かない場所」というレクチャータイトルをつけてくれた。中山さんは「グレーについて」。新作の住宅が衝撃的。ふたりの主張に関連性が感じられ、聞いていてとても面白い。
19:10総括座談会開始。「主観をもとにして設計をするのはいいが、それを説明に使うのはどうか。」という長谷川の発言に反論が集中。中山さんがテーマを汲み取り、アルゴリズム論に繋げたり、いい盛り上がりを見せる。ここでも南後君がいいモデレーションを続ける。
20:30そろそろ配布予定の時刻を過ぎているが、各回とも4000字前後と想定していた文字数が6000字くらいで上がってしまい、編集に負荷がかかった結果この時点でようやく永山さんと中山さんの著者校正。配布が21時過ぎになりそうなので、議論の時間を延長するよう依頼。
21:00最初の1枚の原稿完成。INAXの方にコピーを依頼。
21:15司会者席に戻ると、議論もそろそろ収束モード。結果的に2時間じっくり議論できたおかげで、会場も含めてある種の一体感が生まれている。
最後、南後さんに総括コメントということで振って頂き、テーマ「愛と力の関係」について述べる。これまで活動するなかで見えてきた「表層と深層」という枠組みや、ブログと専門誌を繋ぐ、というフリーペーパーの位置づけについて話す。ネットで誰もが情報発信できるようになった時代において議論を生んでいくには「編集」という行為が重要だと考えていることなどを述べた。
「愛と力の関係」とは、「大きな物語」が失効した後の個人の価値観と社会の権力の関係であるととりあえずは言えると思う。全部のパートに参加できたわけではないが、総括座談会の討論も、概ねテーマに沿ったものであったと思う。個人的にはその構図に個人のなかで何をみて(入力)、何をつくるか(出力)という情報的なデザイン行為の捉え方も重ねられると思っているが、そのあたりは26日に話したい。
21:20討論を一旦終了。会場後方のスクリーンでは表紙のレイアウトが見える。もう少しで完成か。
21:25最後のコピーが完了し、A4判12ページのフリーペーパー完成。ずっと想像してきたものができたわけだが、成果物を見て「ここまでできるんだ」と思い、なんだか感動してしまった。レクチャーや討議のライブ感がテキストとレビュー、タイトル、写真によってパッケージされている。
編集スタッフ全員でオーディエンス1人1人に1枚ずつセレモニーっぽく渡していく。白黒コピーだが、表紙にシールを貼るという刈谷のアイディアにより、かっこよさが増した。シールが会場で配布されたオリジナル版であることの証明にもなり、よりコンセプチュアルになった。
当初の目的は予定を90分もオーバーしてしまい、INAX:GINZAの皆さんを始め、関係者の皆さんには迷惑をかけてしまったが、フリーペーパーを即日発行し、議論のライブ感をパッケージングするという当初の目的はなんとか達成させることができた。
21:30会場にて関係者で懇親会。興奮冷めやらぬ空気。最後は山崎さんがスピーチをして、(なぜか)長谷川豪が一本締めを仕切り、終了。個人的にはスタッフに加わってくれた学生たちの「思いがけず楽しかった」というアイロニー込みのコメントがとても嬉しかった。彼らには「文字を起こして、歴史を起こす!!」と言い続けてきたが、彼らにも何か手応えをつかんでもらえただろうか。
22:30近所で2次会。出演者全員とメディア関係者が参加。議論の続きが深夜まで続いた。
*
というわけで初日は無事に終了しましたが、26日には2回目が控えています。いろいろ不安要素を抱えていますが、1日目の反省点は改善してきちんと成功させたいと思います。
当日刊行されたフリーペーパー『ROUND ABOUT JOURNAL』vol.5(特集「愛と力の関係」)は26日まで、INAX:GINZAで配布しています。また19日に刊行したフリーペーパー『ROUND ABOUT JOURNAL』 vol.3(特集「都市ビューティ革命」)も、INAX:GINZAにて配布中です。
どちらも感想など頂ければ幸いです。よろしくお願いします。
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LRAJについて、いくつか反応を頂きました。
五十嵐太郎さんは「『エディフィカーレ』以降のもっとも重要なオルタナティブ・メディアの試みだと確信しました。僕らには想像できなかったかたちで、若手の核となるムーブメントが進行している。」と紹介して下さいました(>)。
松田達さんは「出演者も、敷地などの観察から建築をつくるヴィジュアル派(=表層/観察/感覚/目/「愛」)と、手順の設定から半ば自己生成的な方法論で建築をつくろうとするアルゴリズム派(=深層/観測/論理/身体/「力」)に二分可能。」と分析されています(>)。
その他、ブログなどでイベントについて書いて頂いた皆さん、どうもありがとうございます。19日の様子について、詳しくはメンバーの松島潤平の日記や伊庭野大輔の日記でリポートされていますので、よかったらご覧になって下さい。
松島も書いていますが、LRAJは単なるレクチャーのシリーズというよりも、それらを編集することを見せるイベントである、ということは案外伝わりにくかったようです。私たちが狙うのはいろいろな主張を同一平面に並べることでストーリーをつくる=編集すること。そしてその編集プロセスを開放することにあります。その意味で後半の総括討論について様々な反応があることは悪くないなあと思います。
このイベントは、モデレータを社会学者の南後由和さんやドミニク・チェンさんにお願いし、異なる分野の視点を導入するなどの工夫をしつつも、基本的に建築界というサークルに「あえて閉じる」という戦略を採っています。広げるべき議論もないままに闇雲に「広げる」ことだけを模索するよりも、まず建築家の間でアクティブな議論の場を生成させることが、社会に対してメッセージを発信する前段階として、必要なプロセスだと考えるからです。その狙いについてはもっと伝えていくべきなのかも知れません。
まだ準備が残っていますが、26日の討論を今から楽しみにしています。19日のように盛り上げたいですね。
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21日、10:00たまっていた仕事を片付けていく。いくつかの打ち合わせ。14:00源泉税の納入で会計事務所の担当者が来社。ついでに給与と経費の計算を済ませ、銀行へ。17:00INAX:GINZAへ。26日に向け、改善点などを話し合う。
18:30建築学会の文化事業委員会へ。10月下旬にAND(Archi-neering Design)展が開催されるので、それに合わせて建築文化週間で行なうイベントの計画など。その後齋藤会長も交え新年会。最後は工藤和美さん、五十嵐太郎さんと帰る。
22日、10:00打ち合わせ@虎ノ門。エレベータで建築家のYさんにバターリ。13:30移動し、K-PROJECT現場へ。先週より鉄骨建て方も本格化。900Hの大きな梁が入って躯体にますます迫力が出てきた。住宅地の中にとても暴力的なスケールの構造が入っている。その後現場定例。この日は問題もある程度片付いていたので冒頭だけ参加し、あとはスタッフに任せ移動。
15:00着工したばかりの(仮称)G-PROJECTの現場定例へ。この日が1回目。現場事務所が市場の上にあるので通うのが楽しくなりそう。K-PROJECTよりやや大きい500坪強の現場だが、関係者も多く、今まで経験した現場事務所の中で一番大きい。現場監督より工程説明、現場に移動して地縄の確認など。その後分科会。
18:00昨日に引き続いて建築学会の編集委員会。『建築雑誌』は1月号が無事刊行され流れがでてきた。2つの連載企画(「建築マンガ」「建築雑誌ジャック」)と6月号の第2特集を担当。終了後恒例の飲み会。LRAJの感想などを頂く。途中から山崎さんが合流。そのまま流れて2次会。五十嵐太郎さん、南泰裕さん、倉方俊輔さん、MDR齋藤さん、ぽむ桂さん、山崎さんというメンツでいろいろ話しているうちに朝。楽しかった。始発で帰宅。
23日10:00ゼミ@塚本研。終了後、製図室でg86メンバーと軽く打ち合わせ。別室では卒業設計が始まっている。後輩諸兄の構想を聞いて回る。象徴主義を批判し地域主義を唱えるというパターンは分かりやすいが、もうちょっと他のアプローチはないものか、などと思う。頑張れ東工大生。
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ROUND ABOUT JOURNALvol.1-3は1月26日までINAX:GINZAの7階クリエイティブスペースにて展示+配布中です。vol.5(19日の成果物)も26日まで会場限定で配布していますので、26日に会場に来られない方でバックナンバーを入手されたい方、vol.5を手に入れたい方はINAX:GINZAへぜひいらして下さい。vol.5は会期中のみの配布ですし、展示期間中は編集ルームにも入れますよ。
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LIVE ROUND ABOUT JOURNALの2日目がおかげさまで無事終了しました。
1日目は約220人、2日目は約240人の方に来て頂くことが出来、全体にいくつか反省点も残るものの、イベントとしては概ね成功させることができたと言えると思います。内容についても、1日目はオーディエンスからの質疑応答も含めて活発な議論が展開されたのに対し、2日目は途中に「批判的工学主義」のセッションを挟んだこともあり、比較的テーマに沿った、軸のある議論が展開されました。その意味で1日目で問題の枠組みを印象づけ、2日目に方向性を提示する、という私たちの狙いはほぼ実現できたように思います。
その狙いの背景には、日本の大人しいレクチャーのあり方を変えたいという思いがありました。このブログでは初期の頃、ヨーロッパ人建築家のレクチャーリポートを盛んにアップしていましたが、ヨーロッパやアメリカで行なわれているレクチャーがトピックを提示して、建築家同士の議論の場になっているのに対して、日本人建築家のそれは新作発表と裏話に終始する場合も多く、観客も建築家の話の内容を評価するというよりは、顔写真と経歴(大学や出身事務所など)ばかりに注目する、という状況がしばしばみられ、なんとかできないかと思っていました。
ここではそのような状況に対して新しいレクチャーのあり方としてセッション形式にして複数の建築家が同時にレクチャーする平面を整え、かつそれを横断して俯瞰するモデレータを他分野に方にお願いすることで文脈を提示し「内容を聞く」ものにしようとしました。必ずしも徹底できなかったのですが、各レクチャーにタイトルをつけてもらうようお願いしたのも、作品ではなくトピックやストーリーを提示してもらう、という意図があったからでした。名前だけを見て判断するのではなく、「議論の場」そのものに参加したいと思えるようなイベントに近づけたいという思いがありました。
いくつかのブログなどでの反応をみる限り、その試みは一定の成果を上げているように思えます。
各レクチャラーの皆さんは、15分という短い時間での発表にも関わらず、同世代が集うということもあり、とても気合いを入れて準備して下さいました。総括討論でも自作だけではなく、他の建築家の方々の主張に積極的に繋げるかたちで意見を述べて下さり(これは日本のレクチャーではなかなか見られない)、次第にある熱気が生まれていったように思います。「議論する」ということの熱さ、面白さを再認識させて下さいました。
また、南後由和さんとドミニク・チェンさんのモデレーションも素晴らしいものでした。南後さんは19日の議論で、「建築の可能性とは何か、答えを用意して下さい」と問いかけ、建築家の社会的役割の議論を提起して下さいました。ドミニクさんは26日の議論で、情報分野での議論を紹介しながら、「アーキテクチャー型権力」と建築の関係について、議論を開いていってくれました。建築プロパーではないけれども、このふたりなら絶対に面白い、と根拠なく確信しむちゃ振りしてしまいましたが、こちらの予想など遥かに越えて、素晴らしい議論を誘導してくれました。
そして学生スタッフの皆さんは、卒業設計前や設計課題の締め切り前の重要な時期にも関わらず、文字起こしや会場運営などのサポートをしてくれました。彼らのピンと張りつめた緊張感や統率の取れた姿が訪れた人に驚きを与えたことは間違いありません。
最後にスポンサーでもあるINAXマーケティング部とINAX:GINZAの皆さんには、告知や会場のセッティング、当日のサポートなど、何から何まで、本当にお世話になりました。2日とも予定時間を大幅に押してしまいご迷惑をお掛けしてしまったのですが、私たちの作業を暖かく見守って下さり、出来上がった原稿をコピーするため、駆け回って下さいました。
以上、このイベントを盛り上げて下さった全ての皆様にお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
*
当日の様子を軽く振り返っておきます。
8:50INAX集合。準備を始める。
9:50スタッフミーティング。その後学生が集まり全体ミーティング。前日に伊庭野(元アメフト部)がハッパを掛けた結果、ほぼ全員が遅刻なしで揃う。「試合前のロッカー室」みたいな雰囲気。
12:00お約束の牛丼ランチ。緊張する。
13:00スタッフ全員で写真撮影。客が入り始める。
13:50いよいよ2日目開始。トップバッターは釜萢誠司+針谷将史。あえてふたりばらばらに話す。針谷が「精度」について語り、釜萢が「制度」について語り、表層と深層の対比が浮かび上がっているのが面白い。続いてg86。途中スライドが固まったりしてヒヤヒヤしたが、彼らの勢いと行動力が伝えられれば、と思う。
15:00次は伊藤暁。「適当に付けた」などとポーズをとりつつ話す「自律する建築」というテーマを、ドミニクがインターネットの議論にうまく繋げてくれた。続いて柄沢祐輔は「風景に論理を導入する」と題し、アルゴリズムを用いた設計論をプロダクトからインフラまでスケールを横断して紹介。
16:00自分の番である。Apple Storeでも話した設計プロセス論「『流れ』を設計する」を発表。平田晃久さんは「Animated Topolography(動的な空間的地形?)と愛の力」と題し、幾何学と行為の緊張関係を語る。トップダウン的に形式を与えようとする平田さんに対し、徹底的にボトムアップ的に形式を成長させていく僕のやり方を対比的に示すことで、「形式と生活」という議論の軸が浮かび上がる。
17:00引き続き「批判的工学主義」について。あえてこの位置に挿入したのは、議論の流れを意識してのこと。柄沢君、南後君と3人でスイッチしながら話す。倉方俊輔さんにマイクを振ったところ、「情報分野での『アーキテクチャー型権力』と実空間のそれは違うのではないか」と指摘されるも、まさにそこが議論のミソ。スーパーマーケットの分節を情報空間的に「あえて誤読する」という戦略を説明することができた。さすが鋭い。
18:00最後のセッションは中村拓志さん。女の子が無邪気に鳥に餌をやったり、編み物をする「Dancing Tree, Sinnginng Bards」の写真をバックに、淡々と環境問題を語る。まさに「愛と力」!!インタビューのときにも感じたが、その場の空気を読んで、ささっとこちらの枠組みに乗ってくれる感じが素晴らしい。
そして吉村靖孝さん。「動物と建築」と題して始まったレクチャーのスタートは「せんだいメディアテーク」2等案!!先ほどの情報空間論と完璧にシンクロして興奮。1995年のこのコンペこそが、批判的工学主義の文脈に照らしても歴史的事件だったのだと再認識。レクチャーでは阿見町の「平和資料館」のような空間的な主題(表層)を展開するプロジェクトと、「ソレイユ・プロジェクト」のようなシステム的な主題(深層)を展開するプロジェクトが並走しているところが面白いと感じた。
19:10最後の総括討議。マイクを回しつつ話す。特定の人物に質問が集中するというよりは、「批判的工学主義」というトピックを中心に議論が進む。冒頭で吉村さんが「方法論が違えども、全部同じに見えるんじゃないか」「自然をメタファーにすると建築はいらなくなってしまうんじゃないか」と心配そうに(?)問題提起。確かに1990年代は建築家不要論がもっとも強かった時期だったが、今こそそれを覆す必要がある。
佐藤敏宏さんからは「建築家の倫理をどう考えるか」と重い質問が飛ぶ。倫理の依って立つ命題の見えない時代の建築家の倫理についてこそ、私たちは考える必要がある。松川昌平さんは「建築の寿命に比べて社会的なプログラムの寿命はあまりにも短い。社会的なプログラムを根拠に建築を構想するのは危険じゃないか。」と問題提起。19日組と26日組で多少温度差があるとすれば、26日組は社会的プログラムを引き受ける、という姿勢を明快にしているという点だろうか。その違いがはっきりしたとすれば、それはむしろよいことだ。立場の違いを見出したあとで、意見交換していければいいと思う。
21:30様々な議論が提起されたが、ここで一旦総括討議終了。編集作業は押しに押してしまい、フリーペーパーを発刊できたのは結局22:00少し前。前回の反省を活かしたはずが、逆に時間がかかってしまった。議論に出てくる固有名が難しく、起こしに時間がかかってしまったらしい。待って下さったオーディエンスの皆さんには感謝しなければならない。メンバー全員で1冊1冊にシールを貼りつつ、丁寧に渡す。
22:10懇親会スタート。最後のスピーチでINAXの虫鹿さんが「ミーティングで『革命を起こす』と言っているのを聞いて最初は引いていたけれど、終わってみて本当にそうかも知れないと思えた」とおっしゃって下さり感動した。ずっと暖かく見守って下さったINAXの皆様には心から感謝したい。
22:40撤収を完了して、2次会に流れる。ここで学生諸兄と別れる。学生の1人に「楽しかったです」と言われ、再び感動。今まで手伝いをお願いして文句を言われたことはなかったが、「楽しかったです」とストレートに言葉にして言われると嬉しい。彼らが今回のイベントに参加したことで何を感じたか、じっくり話を聞きたいところだが、それは後日のお楽しみということにしておこう。
3:30「アルゴリズム」「愛と力」「モテvsヲタ」を軸に2次会も程よく盛り上がったが、閉店となり店を出る。3次会の店へ向かって、みんなで銀座の街を歩く。なんという爽快さ。
歩きながらふと考える。このようなかたちでイベントを開催できたのも、ブログだったり、勉強会だったり、展覧会だったり、些細なきっかけと出会いのおかげだということ。TEAM ROUND ABOUTにしても、仕事帰りに夜中にファミレスで議論していた連中がいつの間にか力をつけ、世に問いかけるような活動を仕掛けるほどに成長してきている。メンバーの高いモチベーションによって、ほどよい緊張感が維持されてきたことは喜ばしいことだが、こういう楽しさをいつまで続けることが出来るのか、先のことを考えると逆に身が引き締まる思いだ・・・。
6:00まったりと3次会も終了し、散会。夜が明ける。新しい時代の幕明け・・・を勝手に予感しつつ皆と別れ、地下鉄に乗る。
*
・・・というわけで長くなりましたが、イベントやフリーペーパーの感想など頂ければ幸いです。今後ともROUND ABOUT JOURNALの活動をよろしくお願いします。
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東工大建築学科の機関誌『Ka』の取材が本格化。数年前から年に1度の発行となり、今号から学生中心の編集体制へと移行することとなった。歴史意匠系の各研究室の博士課程の学生8名を中心に会議を重ね、企画がまとめられた。
29日、この日は最初のインタビューで安田幸一先生の話を伺いに安田アトリエへ。学校そばのコンビニの裏の、ビルの1階を改装したアトリエ。ガラスブロックのファサードがきれいで、こんな近くにあったとは知らなかった。「言葉とデザイン」を切り口にインタビュー。日建設計に長く在籍された後で大学に戻って来られた先生ならではの独特の作家像が興味深かった。
31日は建築史の藤岡洋保先生へのインタビュー。スタンスが明快で、話に全く淀みがなく、熱い。現代の問題を解決するために過去の事例を参照する、というデザイナー的な視点や、堀口捨巳や「巨大建築論争」の神代雄一郎の話が興味深かった。
大学院1年生の頃、藤岡先生の授業で建築評論を書く機会があった。特定の建築を選び、それを同時代の他の建築と比較したり、同じ作家の後の作品を参照したりして、その作品を位置づける、という課題だった。僕たちは「パレスサイドビル」(日建設計/林昌二)を選び、丹下作品の香川県庁舎などのコアシステムと比較したり、「日比谷電電ビル」(日本電信電話公社施設局建築部/國方秀男)と比較したりして、読み方を探ろうとした。この経験を通して、建築を批評することの面白さを知ったような気がする。藤岡先生の話を伺いながら、懐かしく思い出す。
2月1日、GAの山口さん来社。『GA JAPAN』の記事にて先日のイベントLIVE ROUND ABOUT JOURNALを取り上げて頂くことになり、インタビューして頂いた。来週は『新建築』にて南後君、ドミニク君と3人で鼎談の予定。台湾の雑誌『Dialogue』の取材も決まった。ありがたい。
この日は打ち合わせを梯子する。藤村事務所では現在、大型のビルのプロジェクトが3件進んでいる。いずれも400-500坪くらいの規模で、今年から来年に掛けて竣工する予定。そのうちK-PROJECTは建て方が佳境、5月末には竣工する予定である。
その他にこの年明けから住宅プロジェクトが1件始まった。独立住宅の設計は初めてだが、事業ビルとは異なる面白さがあり、とても楽しく設計を進めさせて頂いている。ビルは今まで1/100でスタディしてきたが、ここでは篠原一男に倣い、1/50でスタディを進めている。
今のところいつものように線形に積み上げて、ボトムアップしていくスタディを展開。今、ようやく005案に辿りついた。だんだんスタッフの体(頭ではなく)が追いついていけば、加速度的にスピードアップしていくだろう。3月末までの設計期間にどれだけ飛躍できるだろうか。
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春休みのオープンデスクの募集を始めました。たった2週間だけですが、毎日一緒に議論しながら模型をつくる経験は、きっと4月からの生活を変えます。一緒に歴史をつくりたい人はぜひこちらへ。意欲ある皆さんの応募をお待ちしております。
先日のイベントLIVE ROUND ABOUT JOURNALについて、TEAM ROUND ABOUTメンバーの松島潤平や伊庭野大輔、藤井亮介が詳細にリポートしていますので、よかったらご覧になって下さい。
出演者のひとり、大西麻貴さんも、熱い感想を書いてくれています。
会場に聴きに来てくださった方の反応も嬉しいですね。佐藤敏宏さんは偶然来られたそうですが、イベントの主旨を即座に理解して、朝まで議論におつきあい下さいました。その他、直接お会いしたことはない方ですが木村覚さんという方が「批判的工学主義」について、詳細に感想を書いて下さっています。
ROUND ABOUT JOURNALvol.3はINAX:GINZAにて配布中です。今後建築系書店等で配布して頂く予定です。まだまだ在庫がありますので、配布に協力して下さる方(特に地方の方歓迎)には100部ずつお送りします(学生の方は無料)。送り先の住所、氏名、学校名or勤務先、学年を明記の上、藤村事務所までご連絡下さい。連絡先はこちら。お待ちしております。
fujimura
ROUND ABOUT JOURNAL vol.3について配布に協力して下さる方を募集したところ、早速メールが続々。東京近郊、関西圏、地方など地域も様々。学生だったり社会人だったり属性も様々。ただ一様に熱い文面で嬉しくなる。月曜日から順次発送しますので、よろしくお願いします。
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さて、恒例(?)の全コンテンツ解説を。
ROUND ABOUR JOURNAL vol.3 特集「都市ビューティ革命」
「1995年以降の建築・都市」をテーマにしたvol.1+2に続く今回は「表層と深層の関係」にテーマを絞って構成。「『批判的工学主義』は『都市ビューティ革命』となりうるか」と問いかけるイントロに続いて11本のインタビュー、座談会、メール対談、レポート、論考を収録し、濃密な議論を展開しています。
シュウ・ウエムラ「からだの深層からきれいになる」
巻頭はビューティ界の巨匠、シュウ・ウエムラ氏。植村さんの提唱されている「美容と健康の関係」は、まさに表層と深層の関係。とても気さくに、かつ論理的にお話を展開して下さいました。特に後半の都市について論じるくだりは新鮮。最後に藤井亮介の小論「美を培う」が補完し、全体として私たちの主張を美しく翻訳しくれています。
柄沢祐輔+ドミニク・チェン+南後由和+藤村龍至「次世代の東京を描く」
「ビューティ」から一転して男子4人組によるガチンコ座談会へ。「批判的工学主義」を提唱する柄沢+南後+藤村と「プロクロニズム」を提唱するチェンの意見交換しつつ、「批判的工学主義」の行先を議論しています。収録は「批判的工学主義」を提唱した東大工学部2号館にて。
平田晃久「泉北ニュータウンから『生命のような建築』を考える」
大阪府堺市の泉北ニュータウン出身の平田さんに、偶然にも同じニュータウンの出身である南後君がインタビュー。堺は古墳が多いことでも知られていますが、「横から見るとただの森だけど上空から見ると幾何学」という古墳のもつ二重性についてや、ニュータウン=均質という図式的理解を超えて、工学的空間に生命性を見出すという思考など、あえて『東京から考える』的な自分語りをして頂くことで、平田さんの持論を引き出すことができました。
中村拓志「『おもてなし』のアーキテクチャー」
このインタビューを読んで中村さんの印象が変わった、という反響をたくさん頂いています。中村さんの展開する「恋する建築」というコンセプトを「アーキテクチャー型権力」の文脈と接続して議論することで中村さんの批評的側面が引き出せたのではないかと思います。
吉村靖孝+吉村英孝「自由を得るために深層を開く」
レッシグを引用して議論を展開している数少ない建築家の一人である靖孝さんと、塚本研の先輩で個人的も関わりの深い英孝さんのおふたりに、初めて同時にインタビュー。MVRDVやアトリエワンなど、時代的に影響の強かった建築についてもいろいろ議論できて楽しかったです。
藤原徹平「『エンデ的建築家像』をもって『科学的公共性』をめざす」
勝矢武之「深層から建築家の立場を考える」
最も組織的なアトリエ事務所のひとつである隈事務所の藤原さんと、最もアトリエ的な組織事務所のひとつである日建設計の勝矢さんへのインタビューを並列させています。グローバル・キャピタリズムの最前線で活躍されるおふたりと、建築家の社会的役割や位置づけについて議論しています。シチュアシオニスト研究の修論がベースになっているという藤原さんと、「降りる自由」を担保するべきだという勝矢さんの主張は、ともに資本に対してクールなのが意外で興味深いです。
長坂常「状況を直視して、ギリギリまでデザインをしないというアプローチ」
武藤圭太郎+虫鹿元博「タイルの可能性を表現し、新たなコラボレーションを誘発する場」
建築家の社会的位置についての議論が続いた後で、現場の状況にフォーカス。まずデビュー作「haramo cuprum」以来、郊外型集合住宅のプロジェクトを手がける長坂さんに、郊外的文脈で働く工学の力のありようと、それに立ち向かう熱い姿勢に敬意を表しつつインタビュー。最新作sayamaのプロセスが前回のインタビュー「ちゅうぶらりんのまま設計する」にそのまま連続しているという話がとても面白い。
次に前田則貞アトリエの武藤さんと、INAXの虫鹿さんにINAX:GINZAの改修プロジェクトについて伺いました。1Fエントランスホールの3次曲面の設計・施工プロセス、90年代のガラス建築ブームのあとでタイルメーカーが模索したマーケティング戦略など、担当者ならではのリアルなお話を伺えました。
岡部明子「EUの表層と深層」
現場から一転してアカデミックかつグローバルに。バルセロナの磯崎アトリエに勤務し、ヌーベルやコールハースなどの建築家にインタビューした処女作『ユーロ・アーキテクツ』から『サステイナブル・シティ』を経て、最近の研究に至るまで、岡部さんのライフ・ヒストリーを語って頂きました。建築家という表層から都市政策という深層へ、岡部さんらしい批判的な眼差しが伺える、貴重なインタビューに仕上がっています。
エイドリアン・フォーティ「カルチュラル・メディアとしてのコンクリート建築」
昨年6月に来日した『言葉と建築』のエイドリアン・フォーティの日本滞在記+ミニ・インタビュー。「大切なことは『批評的であろう』と考え続けることです。」というメッセージは、批判的工学主義を提唱する私たちへのエール!?
マティアス・シューラー「建築と設備のあいだ」
SANAA「ツォルフェライン・スクール」において採用された「アクティブ・インシュレーション」など、独創的なアイディアで注目を集めるエンジニア、マティアス・シューラーへのインタビュー。伊庭野が日建設計の研修旅行でドイツに行った際に採って来た素材を再構成しています。
松島潤平「遠く離れた都市を愛し、力強く変える方法」
国際コンペで必ず問題となる、地域性、場所性についていかにアプローチするか、という課題について、イスタンブール国際コンペを担当した経験からケン・ヤング、MVRDV、隈研吾、黒川紀章、ザハ・ハディト、フクサスらを比較し、批評しています。
伊藤暁「『キティちゃん』問題~複数の作家性が並列可能なプラットフォームをめざして~」
前回藤本事務所の青木君と展開して好評をいただいたメール対談「若手からみるワカテ」の第2弾。今回はヨコミゾ事務所在籍時に「富弘美術館」などの現場を担当した伊藤暁君に登場して頂きました。「キティちゃんの張り紙でも貼れちゃう気分だった」という感覚は、「富弘」~「アルメラ」~「せんだい」を繋ぐ表層と深層を分ける設計手法の流れを位置づけ、あらためて「富弘」の提起した「メタ設計」という問題が再浮上させているように思えます。
g86「冷静と情熱のアーキテクチャー」
ラストは学生は常に建築家や社会学者の出す2次3次情報しか得られない、という自らの情報環境に疑問を持ち、自らインタビューをまとめてネットで公開するという活動を展開し始めた東工大の学部3年生4人組g86へのロングインタビュー。彼らの分析力(冷静)と行動力(情熱)に満ちた言葉は、荒削りではあるけれども、メディアの言説に踊らされ、トートロジーに陥りがちな同世代の学生たちに、いい刺激を与えることでしょう。
益子悠「建築マンガ」
vol.1+2に引き続き、mashcomixの益子悠さんにマンガを描いてもらいました。今回のテーマである「表層と深層」をもとに議論し、干支が次々と脱皮しながら繋がっていき、さらに表紙の女の子に繋がって表紙と裏表紙を繋ぐという、益子さんらしい、クールでフォルマリスティックなマンガに仕上げて頂きました。
以上、全コンテンツ解説でした。
ROUND ABOUT JOURNALvol.3はINAX:GINZAにて配布中です。
引き続き、配布に協力して下さる方を募集します。100部ずつお送りします(学生の方は無料)。送り先の住所、氏名、学校名or勤務先、学年を明記の上、こちらの連絡先までメール下さい。お待ちしております。
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私立大学では既に発表会を終えているようですが、東工大では2月に入り卒業設計が本格化。g86も手伝っていました。後輩Yは曲線のプランを描いている。K笹は組織設計みたいなタワーで工学主義(?)。K井は都市空間における城郭の役割がテーマらしく、批判的地域主義(?)的。みんな楽しそう。盛り上がって欲しい。
春休みのオープンデスクも募集中。学部生、初心者歓迎。興味ある方はこちらへ。意欲ある皆さんの応募をお待ちしております。
fujimura
ちょっと遅くなってしまったのですが、この週末にROUND ABOUT JOURNAL vol.3を発送しました。京都のUさん、大阪のKさんなど、お届けした方から早速メールを頂いています。PDFでwebに公開するのもよいけれど、メールで募った希望者に直接送付するのはmixiの足跡機能にも似て、誰に届いたのか実感できるのがいいですね。というわけで学生の皆さん、届いたらまず連絡をよろしくね。
ROUND ABOUT JOURNALvol.3はINAX:GINZA、お茶の水の南洋堂、大阪の柳々堂にて配布して頂いていますが、配布に協力して下さる方(特に地方の方歓迎)には100部ずつ直接お送りします(学生の方は無料)。送り先の住所、氏名、学校名or勤務先、学年を明記の上、こちらまでメール下さい。お待ちしております。2月29日まで。
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5日、13:30坂本一成先生インタビュー@東工大。坂本先生と初めてじっくりお話する。形式と便宜の緊張関係に建築の意味を見出したい、と主張される先生に、スケールやプロポーションの役割とは何か、執拗に問いかけてみた。とても贅沢な時間だった。
18:00ちょい遅刻で新建築社へ。南後由和、ドミニク・チェン、藤村龍至という組み合わせで鼎談。初めて3階のサロンに入る。よく雑誌で見る部屋である。やや緊張しつつも鼎談開始。先日のLIVE ROUND ABOUT JOURNALを振り返りつつ、そこで浮かび上がった諸問題について討議。ふたりとも切れ味鋭い問題提起の連続で盛り上がり、あっという間に20:30。こういう議論を定期的に続けていたら何かすごい文脈が生まれていくのではないか。
6日、K-PROJECT上棟式。現場係員のS井さんも今日はなんだかテンション高い。鳶の親方、お施主様に続いて四方を清める。簡単に挨拶をし、近隣挨拶。会食のセッティングはご挨拶も兼ねてお隣のお寿司屋にしてもらった。
現場ではカオティックな街並にものすごいボリュームが立ち現れつつある。しかもそれが4つのコアで軽快に浮かんでいるのが痛快!5月末の竣工まで気が抜けないが、ここまで来たら前進あるのみ。絶対にモノにしてやる、と気合いが入る。
19:00柄沢、南後と「批判的工学主義」の打ち上げ。継続的な議論から生まれつつある小さなコンセプトを、大きな流れに変えていくべく継続的に仕掛けていく。
7日、打ち合わせ@エクスナレッジ。こちらも定期的に打ち合わせを繰り返しながら、少しずつイメージを固めて来た。この日でおおよそ方向性が見えた。「これ上手くまとめたら歴史に残るでしょう!」と一同テンション上がる。
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10,11日は佐藤敏宏さんを訪ねて福島へ。1/26のLIVE ROUND ABOUT JOURNALに偶然いらして下さり、私たちの活動に興味を持って頂いたとのことで、打ち上げを兼ねてみんなで押し掛けて議論の続きをすることにしたのだ。
1泊2日、正味24時間とちょっと。佐藤さんの建築の見学と、旅館での討議。とにかく濃密な時間を過ごした。疲れもすっかり吹き飛んでしまい、車中でも、食事中でも、延々議論し続けた結果、「建築主義者」というありがたいネーミングを頂く。それでも佐藤さんは「話したいことの1/4しか討議できなかった」という。
世代論的で、世代の連続よりは断絶を強調しているところとか、建築をモノというよりメディアとして捉えているところなど、「ROUND ABOUT JOURNAL」の一連の活動は、「建築あそび」に知らず知らずのうちに大きく影響されているのかも知れない、と再認識した。特にプラットフォーム的構造をもつイベント「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」が、佐藤さんの一連の活動の原点であるという「土湯温泉ワークショップ」(1984年)にそっくりなのに驚いた。
佐藤さんの建築は2002年に初めて建築あそびに参加させてもらったときにいくつか見せて頂いたが、改めて拝見すると当時は見えなかったものが見えてくる。形態のメッセージ性も、ディテールの荒々しさも、その建築に住まう人々の知性がこれらの建築を支えているという当たり前の事実も、当時は何も理解していなかったな、と思う。
伊庭野も松島も藤井も、佐藤さんの挑発に刺激され、自分の意見を表明するうちに自分の考えが鮮明になるという、貴重な体験をしたと思う。興奮気味に「楽しかったです」と話す彼らを見て、佐藤さんがあの日たまたま現れたという偶然に感謝しなければならない、と思った。
fujimura
ROUND ABOUT JOURNAL vol.3は岡山のJさん、群馬のOさんからも「届きました」旨メール。嬉しいですね。続いて福岡のMさん、札幌のNさんから配布協力の申し出を頂き、100部発送しました。広島のOさんという方からもメールを頂きました。すぐ発送しますので、少々お待ち下さい。届いたらご連絡をお願いしますね。
これで配布に協力して下さっている方は札幌、群馬、東京(2)、京都(2)、大阪(2)、岡山、広島、福岡、熊本と全国展開(^_^)/。東北、四国、沖縄あたりの人でご協力頂ける方がいたらぜひメール下さい。もちろん、上記と同じエリアの方でも大丈夫です。フリーペーパー本体は無料、送料のみご負担頂いています(1000-1200円程度)が、学生の方、学校等で配布される方には無料でお送りしています。送り先の住所、氏名、学校名or勤務先、学年を明記の上、こちらまでメール下さい。2月29日まで。
濃密な誌面ですので、きっと読み応えがあると思います。読んだ方、感想をメールして頂ければ、次の誌面づくりに必ずフィードバックします。よろしくお願いします!
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だいぶ埋まってきましたが、藤村事務所のオープンデスクも引き続き募集中。学部生の皆さん、春休みにちょっとだけ時間を割いておくと、4月以降に圧倒的な差がつきますよ。時間を無駄にしたくない方はぜひ。
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明日(16日)、宮城大学の講評会のため仙台に行きます。
fujimura
RAJの発送作業続く。静岡Oさん、新潟Sさん、仙台Mさん、京都Wさん、鹿児島Tさん。そろそろ在庫が少なくなって来た(あと400部くらい)ので、欲しい方はお早めに。
15日、塚本研の後輩Nの壮行会@自由が丘。2次会ではカラオケに突入。マイクを話さない留学生たち。4時頃解散しマックで始発待ち、的な。
16日、そのまま一睡もせず事務所へ。新建築社へ書評原稿を送ったあと、新幹線で仙台へ。宮城大学の卒業設計自主レビュー@せんだいメディアテーク。中田千彦さん、岩下暢男さん、本江正茂さんと一緒に12人の学生の作品を講評。
講評会に呼んで頂いた時は意図して分析的に話すようにしている。分析的な講評が一番フェアだと思うからだ。自分なりにメッセージを込めたつもりだが、どれだけの学生に伝わっただろうか。
面白かったのは、「宮城らしさ」をテーマにしている人が皆無だったこと。以前、新潟大学の学外講評会に参加した時は新潟のローカリティに関わる提案が多かったので、地方の大学とはそういう空気なのかと思い込んでいた。他の大学ではどうなのだろう。
もっとも宮城大学の場合、「日本一決定戦」が近くで開催されていて、運営スタッフをやっている学生も多いそうだから、卒業設計のトレンドを良くも悪くも学習してしまっているのかも知れない。その意味では「日本一」にあまり接続していない東工大の方がむしろローカルっぽい。
ところで卒業設計のトレンドとは、一言でいえば「個人の主観を根拠にした形式主義」。機能はもちろん、歴史も伝統もテーマにはせず、個人の感覚を形式化し、オーバードライブさせる。
そういう趣向に「社会性がない」と批判するのは容易だが(そして大半の大学ではそういう講評が行なわれているのだろうが)、ここで必要なのはむしろ「まだ個人の感覚の掘り下げが足りない」と問いかけることなのではないかと思う。現代の工学的状況においてはコンビニで立ち読みをし、自動車に乗り、ショッピングモールの売り場で家電を買って・・・という日常の身体感覚を建築的に掘り下げるほうがよっぽど社会性があるのだが、そういうアプローチの作品にはなかなかお目にかからない。おそらくそれを評価し、議論する枠組みが大学の講評会にはないのだろう。
結果、大学では地域性や公共性を持ち出して適当に繕い、学外では「つくりたいからつくりました」とトートロジカルに語る、という議論のショートが反復される。このままでいいのか。
17日、11:00住宅施主打ち合わせ@事務所。引き続き13:00台湾の雑誌『Dialogue』誌の取材打ち合わせ。『Dialogue』は文字通り「話し言葉」を重視した媒体で、RAJのコンセプトとも通じるものがある。LRAJ の記事は早速『新建築』『GA』『日経アーキ』に掲載して頂いたが、結果的にどこよりも早かったのがこの『Dialogue』だった。しかも次号では8ページの記事を組んでもらえることになった。
レイアウトも出来そうとのことなので、vol.4のようなジャック形式で、vol.7として対応してみたい。RAJの活動が日本の地方で知られていくように、中国語圏、英語圏でも広まっていくのは面白い。
17:00移動し、石上純也さんのKAIT工房の内覧会へ。工科大学的な無表情な裏庭に、ものすごいオーラを発していた。石上さんらしい、偏った個人的な身体感覚が徹底的に追及され、抽象化された形式主義的な建築。まさに卒業設計のトレンドとも重なる手法である。
構造の現れ方など、建築的な細部もあるのだが、その扱い方はやはり建築的というよりは美術的な思考を感じる。緩めなスケールと均質な照明計画、鉄骨平屋という構造、透明なファサードなどがあいまって、スーパーマーケットのような、とても郊外的な空間性を感じて、そこに親近感を感じたりもした。あと、経験としては意外とスタティック。極端な話、写真1枚で伝わってしまう。『新建築』なら4ページで紹介できてしまうような単純明快さがある。
そこで会った人と感想を話し合うがありきたりな感想しか出て来ない。これについて何か書くとその人の講評力がバレるような感覚を覚える。「中と外が曖昧」とか、「機能が曖昧」とか書いたら負け、そんな建築だ。
ともあれ、きっと様々な媒体に載って世界を駆け巡る記念碑的作品となるだろう。海外ではどういう評価がなされるのだろうか。
20:00渋谷に戻り、LRAJのメンバーで打ち上げ@事務所近くの飲み屋。久しぶりに全員揃った。振り返って余韻を噛み締めたり、今後の課題について話し合ったりするはずが、結局(いつもの)茶飲み話。日曜の夜は開いている店も少なく、ファミレスに移動して高校生のようにダベる。この放課後感、部活感が長続きさせる秘訣だろうか。でもなんとなく次号のテーマや攻め方は見えて来た。あとは仕掛けるタイミングの問題だ。
fujimura
2月末日をもって、RAJの配布を完了しました。藤村事務所にストックされていた在庫もきれいさっぱりなくなりました。増刷はしませんので今後はお問い合わせ頂いてもお渡しできませんが、あしからずご了承を。
おかげさまで最終的に札幌から鹿児島まで、列島を横断するように配ることができました。ご協力頂いた皆様、どうもありがとうございました。感想をお送り頂ければ幸いです。
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今回の「配布協力者募集」という新たな試みを通じて、私たちの発信する情報がどこに届き、いかに響いているのか、よく理解できた。基本的に東京近郊などの都市部からはほとんど問い合わせがなく、熱心だったのは地方在住の学生や若手建築家たち。都市部の学生はレクチャーやオープンデスク等で生の情報がほどほどに集まるから、オルタナティブ・メディアの動向などいちいち注意していないのかも知れない。それに対し、地方の学生や若手建築家たちはネット発の情報に敏感だ。議論の新しいイメージを提出したいと考えている僕たちからすれば、こうした情報のギャップをひっくり返し、意欲の高い読者と直接繋がることの方がはるかに効率的だといえる。
18日、18:00編集委員会@建築学会。担当の連載企画「建築マンガ」に対して五十嵐賞を頂く。
19日、『ヴィヴィッド・テクノロジー』の出版記念トークショーへ。これだけの構造家が一同に会しているという企画は新鮮。その後の懇親会では、あまりお話したことがなかった小西さんや満田さんともじっくり話せて楽しかった。
23日、卒業設計発表会@東工大。投票で淡々と賞が決まっていく。あれよあれよという間に金賞が確定。長く続いた祭りも、終わりは実にあっけない。一度順序が決まると、そういうものだったのかも知れないと思えてしまうが、評価は自分で作るもの。勝っておごらず負けて腐らず。たかが卒業設計ではないか。
同日、「トウキョウ・コレクション」の事前審査で早稲田大学へ。八束はじめさん、太田浩史さん、馬場正尊さん、青井哲人さんらと一緒に、修士論文の梗概の束を渡され、選考を行う。
普段見慣れているとはいえ、初見の論文の内容を見定めるのは楽ではない。レベルも様々で、精緻なものもあればいい加減なものもあり、絵日記か!と言いたくなるようなものも多い。
それでも不思議なもので、ざっと眺めているうちに自分なりの評価基準ができてくる。「A:位置づけと方向性があるもの」「B:分類しただけのもの」「C:手法レベルで論をなしていないもの」という具合に3段階評価をしてみると、おおよそ1/3ずつに分かれた。ここで選ばれた論文は、6日にヒルサイド・フォーラムで公開審査が行われる予定。
24日、都立現代美術館で川俣展。吹き抜けでカフェ・トークを聞く。社会の中における美術の役割、という話が出て、「現代美術で社会を変えられるとは思わない。トリートメントみたいに、使ったらつやがよくなったとか、そういうもの」という川俣さんの発言が興味深い。展示をじっくり見て、最後にビールを飲んでいると、オランダの美術館の雰囲気を思い出す。
28日、都市再生機構の武田重昭さんらによる勉強会「都市再考会議」で山崎さんとレクチャー。ふたりで何か話すというのは初めて。メディアのあり方について議論。
武田さんは造園の出身で、造園の人とだけ議論することに閉塞感を感じるという。僕は建築家と建築の話ばかりすることに閉塞感を感じたことはない。話題を絞ることはむしろ議論に軸をつくるので、むしろ開放感が感じられる。RAJではシュウ・ウエムラさんにインタビューを行い、建築や都市について議論したが、これは例えば青木淳さんに映画の話をしてもらうのとは似て非なる話だ。
3月1日、MUSEUM OF TRAVELのイベント出演。社会学者の田中大介さん、新雅史さん、建築家の吉村英孝さんと「コンビニ」をテーマに議論するという企画。南後君のコーディネートで、いつもは建築の議論に南後君を引っ張り込むかたちだったが、今回は少しアウェイな感じ。
初対面同士、かつお互いがどのような研究をしているのかもよくわからず話が噛み合うか心配していたが、さすがに議論慣れしている人たちだけあって白熱。田中さんは若林幹夫さんの、新さんは上野千鶴子さんのゼミの出身だけあって、田中さんはアジアや都市の枠組みでやや抽象的に、新さんは家族や資本の枠組みでやや具体的に展開。最後に質問コーナーがあり、たくさん質問を頂く。
「コンビニ=均質」というステレオタイプな理解に社会学的な分節を試みる田中さんも、「実家がコンビニを経営している」というバックグラウンドから実感を込めてコンビニの変容を示唆する新さんも、ともに迫力があり、刺激的だった。呼んでくれた南後君と、イベントを主催している井上さんらに感謝したい。
アイディア・コンペや卒業設計も大事だが、建築の将来を考えるなら、こういう議論にこそもっと人を集められるようにしないといけない。新しい議論のイメージをつくりたい。
fujimura
『新建築』3月号で南後由和+ドミニク・チェンとの鼎談、『GA JAPAN』3+4月号でインタビューが掲載されました。両者とも、LRAJ開催後すぐの企画でした。ありがとうございます。
その後の反応をいくつか頂きました。建報社のサイト「KENCHIKU」やぽむ日記、nordicmanさんのブログなど。
ぽむ桂さんの「コイツらこそ真の暴走族」「警察(建築メディア一般)を巻き切って東を制した感あり」という表現は面白いですね。確かにチームとしての秩序感、スピード感はありました。nordicmanさんは同世代の編集者の方のようですが、中村拓志さんのブックショップと私たちのイベントを並べて「手の内をみたいという欲望」として論じてくださっています。
「ライブ編集」というコンセプトの一番の狙いは編集者や読者に対する問いかけであったのは確か。単なるプロセスの透明化ならそば屋でもパン屋でもやっていますしね。
フリーペーパー「RAJ vol.3」の配布に協力して下さった方の反応もちらほら。広島の小川文象さん、ida-10さんなど。
ida-10さんは「昨年春に青山のプリズミックギャラリーで藤村展を見た際、藤村さんのいう『超線形プロセス』にはそれほど興味を惹かれなかったが、今回やっと意図するところが分かったように思う」と率直な感想を書いてくれています。創作の「意味」というのは1度ではなかなか伝わらないもの。2度目、3度目でようやく伝わることもありますね。
そのほか、五十嵐太郎さんが迫慶一郎さんとの対談で「批判的工学主義」について言及して下さっています。『建築雑誌』についてのインタビューでも私たちの活動について触れて下さっています。
イベントも面白いですが、事後的にメディア上でこうした反応を頂くのも面白いですね。
身近なところですが、LRAJを振り返った建築あそび@竹屋の詳細が松島潤平の日記や伊庭野大輔のブログや藤井亮介のサイトにレポートされています。
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2日、スペインの雑誌『PASAJES』の取材でK-PROJECTの現場へ。撮影に立ち会う。ちょうど鉄骨工事の目処がついたところで、建築のシンボリックなシルエットが街並のなかに出現している。想像以上に迫力があり、若いスペイン人写真家も興奮気味に大量に撮影していった。仕上がりが楽しみ。
その後合同講評会@安田講堂へ。1000人以上の学生が集まっていることに驚く。東浩紀は「この道路いつもは混むんですけど、本当にこんなもの計画して大丈夫なんですか」などと市民目線のコメント。最後の「僕は大きいスケールと小さいスケールの衝突に興味がある」というコメントは講評の内容としてとても的を得ていたと感じた。
グランプリは芸大の学生。東工大で得点したのは1人だけで全体に東大が強かった。4月から藤村事務所に来る予定のI君は内藤賞。今年はインフラがトレンドのようだ。個人的には雑居ビルをテーマにした難波研の学生の案は面白いと思った。
賞については、学校ごとの傾向や個人の実力というのもあるが、議論を行わず投票のみで順位をつけるというのであれば、結局一番大きいのは審査員の好みとその場の印象の問題となる。講評会なのだから、審査員どうしが議論を行い、好みや当初の印象を覆して新しい価値を発見し、構築するプロセスを見せなければ、単なるゲストのマイクパフォーマンスになってしまわないか。
事務所に戻りワソサソこと王銘顕さんとチームラウンドアバウトのメンバー集結。台湾の雑誌『dialogue』に掲載される予定の座談会を収録。6-10ページが予定されているので、『建築雑誌』のようにジャック型の記事にして、台湾の同世代の建築家に議論を働きかけるような内容にする予定。
6日、「トウキョウ・コレクション」の公開審査。全国から集まった大学院生たちが修士論文の発表を行い、八束はじめさんのモデレーションのもと、馬場正尊さん、佐藤淳さんと僕がコメントをするという内容。大きなゼミのよう。
この日の議論のうちで最も面白かったのは「最適化」というキーワード。佐藤淳さんが「コンピューターを使うと何がいいと思いますか」という質問が面白かった。佐藤さん自身がよく聞かれることなのだという。
自然科学系の論文においては再現可能性の担保が原理ではあるが、常に主観性と客観性の緊張関係が求められる。そのあたりがアルゴリズミックデザインにおける最適化の問題に似ている。僕の場合は「論文と同じように設計を行う」という発想が「超線形設計プロセス論」のベースになっているのだが、根底には主観と客観の緊張関係という主題が常にある。
やや気になったのは「現実は研究を上回っている」という割り切りに似た共通認識のようなもの。現実から抽出したモデルはモデルにすぎず、モデルそのものには意味がないという。僕はむしろモデルは現実そのものであり、モデルによって初めて現実を変えることができると考えるべきだと思う。「研究(や設計)は現実を上回る」と考えなければ、研究と実践を繋げられるはずもないではないか。
この日、新潟大のKや福岡大のMなど、以前卒業設計の講評会などで会い、印象に残っていた連中と久しぶりに再会できたのは楽しかった。バイタリティのある人物は、お互い特に連絡を取っていなくても自然と視界に入ってくるから不思議である。就職を控え緊張していることと思うが、それぞれの道で頑張ってほしいと思う。頑張っていれば、いずれまたすぐ再会するだろう。
fujimura
3月9日、昨年に引き続き、卒業設計日本一決定戦に行ってきた(取材です)。まずは、模型フロアを一気に見る。東は明大と工学院が、西は近畿大、京大の作品が目立ったように思う。前週の3大学公開講評会でグランプリだった芸大生の作品は100選にも選ばれていない。評価は生ものだ。京都6大展で気になっていた、ニューヨークを敷地とした近畿大の学生の作品が100選に残っていた。ぜひファイナルでプレゼンを聞いてみたい(が結局12位で落選。残念)。途中、明大田路研の斉藤さんらに出会う。g86からも声をかけられる。
結果は関西勢の圧勝。一位は6大展でも最優秀だった「神楽岡保育園」。激ウマのデッサンと、作り込まれた模型。よどみないプレゼン。今年は一位の選出に時間がかかったが、それでも対抗馬が見あたらない完成度だったと言える。日本三も京大。学内ではまったく評価されなかったらしいが、仙台では三位。注目は二位の作品。大阪大学の女子学生だ。内容は、作者の自邸。プレゼンは、親しい人に宛てた手紙を読むという異例の形式。しかし伊東さんも「ぼーっと聞いてしまった」と言うほどに聴衆を魅了する内容。五十嵐さんは「500の作品を見て、この作者にだけは会いたいと思った」とラブコール。質疑応答では「私は自分に正直なことしかしたくなかった」と繰り返し主張する彼女に、私性と社会性という、ここのところ問題化されがちな構図がぴたりと当てはまり、激論に発展。伊東さんとこの学生が応酬するすさまじいマイクパフォーマンス。 個人的には、特別賞に選ばれた東北芸工大の学生の作品が心に残る。ある敷地において、過去そこにあった身体の所作(具体的には農家のおばあちゃんの動き)を読み込んで土地にトレースし、場所の記憶を建築化するという案。私と社会の両方をまたぐ身体の問題に真っ正面から取り組んだ作品に、感激した。 社会性について、伊東さんがある作品にこんな批判を寄せていた。曰く、その作品は一見社会性を持っているように見せて、実はまったく社会に開かれていない、と。ぼくは、そもそもなぜ10選に選ばれたのかよくわからなかった。そこに、設計した学生たちの身体が見えなかったからだ。説明を聞けば聞くほど、問題意識の「本気度」が疑わしく見える。案にどう取り組み、何をつかんだのかいっこうに伝わってこない。要するに、主体が見えない。主体性のない議論は机上の空論だ。 ふと、さいきん話題になりがちな社会性と私性の乖離について考えた。審査の過程でも、たとえば貝島さんは再三に渡り、社会を忘れたアプローチが卒計を跋扈する状況(さらに、今年の結果が来年に与える影響)を危惧していた。まったく正論だ。でも、社会性と私性は、本当にそんな簡単に対置されるものなんだろうか。日本二の案は、「私」の問題だけを扱っていたようには思えなかった。「私だけが扱える問題」ではあったが、「私の問題」ではなかった。「私から始める問題」ではあったが、その問いかけは共有可能だったと思う。うまく説明できないけど。 逆に言えば、たとえば石上さんや大西+百田さんの案が支持を得るのは純粋な私性ゆえだろうか? 答えはおそらくNOだ。彼、彼女たちの建築を下支えているのは、無垢な私性でも強引な作家性でもなく、身体を介在させた強靱な主体性なのではないか。しばらく考えてみたい。 それにしても、今年は審査員の布陣がすばらしかった。特に新谷さんのコメントと判断の明晰さは印象深い(ダンディーだし)。だからこそ、東大からの出品、それも3大学公開講評会で個人賞をとった作品が軒並み出展していなかったのは残念だった。内藤賞を獲得した案など、仙台で見てみたかった。各地でさまざまな卒計イベントが乱立し、結果的に各大学のカラー・持ち味がようやくはっきりしてきた感がある。だからこそ東大生には、3大公開講評会で得られる「学外の評価」をバネに、日本一決定戦に乗り込んでほしいと思った。事実、第一回第二回は東大が勝っている。一観客として、関西・地方勢、女子勢が熟してきた今こそ、ハードコアな頂上対決を見てみたいと思う。 さて、今年の結果が来年の卒業設計に与える影響は大きいだろう。しかし、今年やられ評価されたことを、来年同じようにやっても仕方がない。どんな作品を見ることができるのだろう?
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それにしても、我ながら、前回の日記は最後のところでずいぶん身勝手なことを書いてしまった気がします。お前はただのマニアな観客だろと、胸ぐらつかんで言ってやりたいです。
とはいえ、今仕事で建築教育(ただし大学)の特集の一部に関わっているので、どうしてもいろいろと考えてしまう。先週も取材で、3月6日に難波和彦さんに会いに東大に、7日には石山修武さんに会いに早稲田に行った。この二大学では、調布市のコンペで学部生が競作したり、合同ゼミを計画したりと、大学間の垣根を越えた設計教育に取り組んでいる。だから大学ごとのキャラの違いがきっと表れるに違いないと思ったからだ。
難波さんのお話で気づかされたのは、東大の公開講評会が教員主導であったこと。考えてみれば講評会なんだから、教員主導であるのは当たり前なのだけど。とにかく、東大以外の、しかし一流どころによる評価軸を持ち込むことで学内の評価を相対化し(最優秀賞以外がすべて個人賞である点も、評価軸の多様性を担保していると思う)、教員も学生もそのずれを目の当たりにできるという、きわめて教育的配慮に満ちたイベントだ。言い換えれば、大学の設計教育の一環だと言える。しかも学生はスーツを着て、安田講堂という徹底的に祝祭化された空間でプレゼンテーションを行う。いち社会人を育てるための設計教育とでも言うべきか。
一方、石山さんのお話は、とても射程範囲が広い、飛距離の長いものだった。「海外に出ろ」ということと、建築以外の余計な知識(教養)を大事にしろということ。海外に出て戻ってこないぐらいで良いんだ。それこそ国際化だよね?とか。また女性など、社会的なマイノリティが爆発する瞬間に期待しているようだった。建築ガールズが、カワイイとは別の視角から捉えられていた。一方で、早稲田の学生の、学生時代における「旬」など、ほろ苦い話も伺う。いずれにしても、建築は教養の束だという主旨の発言を聞けたのは良かった。
ちなみに、20代の頃学外で最初に講義したのが京大だったそうで、「大教室なのに学生が5人しかおらず、コンチクショーと思ったよ(笑)」という。でもそれ、たぶん、たぶんていうか間違いなく、石山さんが京大生に人気なかったとかでは決してなくて、先生1人に学生5人って京大的には普通のできごとだったんじゃないか(今はそんなことないと思うけど)。数年前に研究室(教育)で川本三郎さんの集中講義を受けたときも、確か受講生10人ぐらいだったなと思い出す。
二つの大学と、8日の修士設計展、9日の卒計展を見て思うのは、建築の教育と設計の教育が、別物として考えられている(あるいはねじれて繋がっている)のではないかということだ。しかも、在学中に受ける設計教育はある意味でどんどん標準化され、逆にその分(その分?)、多様な評価を受ける機会が積極的に設けられている。各地の公開講評会や、何よりせんだいをはじめとする数々の卒計甲子園がある。京都の合同展は教員ノータッチだし、せんだいも学生会議がリードしているから、東大の公開講評会や、全国修士設計展の状況とは違う。つまり、大会自体もさまざまな評価軸を体現している。み江さんは、「わかものは言葉との距離感に悩んでいるんじゃないか」と指摘する。うまく説明できないけど、どこかが繋がっているように思う。
12日はほぼ6年ぶりに大川信行さんにお会いして、またいろいろと示唆を受けた。で、要求工学という分野をはじめて知る。ほんとうに、知らないことがたくさんある。そこに、2月23日のアーキフォーラムでお話しいただいた宮沢章夫さんの議論と、3月5日に見たチェルフィッチュの舞台がふいに重なってくる。そういえば、アーキフォーラムの二次会では、宮沢さんと延々スタディについて議論していたのだった。また考える。
yamasaki
7日、13:30スペインの雑誌PASAJESの取材。英語インタビュー。日本人の若手建築家を取り上げるとかで、藤本、平田、NAP、石上、藤村という組み合わせだそう。
8日、13:30住宅打ち合わせ@事務所。お施主様に了解を得て、プランの大枠固まる。こんな感じだろうか。
10日、13:30NHKディレクターのKさん来社。このブログを読んで下さったそう。事務所のこと等話す。
11日、11:00打ち合わせ@エクスナレッジ社。昨年から定例的に打ち合わせてきたが、おおよその企画方針固まる。15:00銀座プロジェクト定例。先日、プレスリリースも出て情報が解禁となった。今回は藤村事務所が総合デザイン監修という立場でNTTファシリティーズと恊働させて頂いており、小規模ながらミッドタウン的構図。今後、設計のスピードと規模を上げていくためにはこうした関わり方に慣れていく必要があるのは間違いない。
12日、11:00g86のメンバー来社。今度は銀座でラジオをやるらしい。次々と企画を打ってノリにノっている。最近ちょっとオーラも出ている。
13日、10:30実施設計中の某プロジェクトの構造関係の問題で打ち合わせ@某社。申請関係の苦労話はよく聞くが、あまり巻き込まれたくないものだ。関係者が多いと調整に時間を取られてしまうのは無駄ではあるが仕方あるまい。組織としての体力を鍛えるしかない。
21:00塚本研設立10周年記念の同窓会打ち合わせ@事務所そばの居酒屋。我々の代(3期生)が全体幹事を担当し、総勢50名近くが集まる予定。同期で集まって打ち合わせしていると懐かしい。修士課程を卒業したのはもう6年も前のことだが、皆変わったと言えば変わったし、変わらないと言えば変わらない。
14日、18:30学会の文化事業委員会に出席。10月の学会賞受賞記念講演会や建築文化週間の段取り等。中谷正人さんとディスカッションして出した夜楽校の企画について、委員の方々の反応は悪くなく、もう少し揉んでいくことに。
15日、14:30「卒、」講評会@横浜のBANKART。2006年以降3年連続。今年は小泉雅生さん、千葉学さんとご一緒する。学生の自主運営で頑張っている。案そのものは全体にやや大人しい感じもしたが、結局のところ審査する側の力量が問われている。
今回気になったのは理想と現実の関係について。ある現実(分析)に対してある理想(構想)をぶつけるのが設計だとすると、例えば「代官山に美術館を提案する」のは、「好きな場所に好きなものを提案する」というトートロジーであって、何かを提案したことにならないのではないか。好きなものを提案するのはよいのだが、「問題だと思う場所に好きなものを提案する」べきなのではないか。
残るは22日の東海地区卒業設計展だ。どのような議論になるか、楽しみだ。
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16日、千葉事務所オープンハウス。階段や庇等、要素も多く、図式の抽象性や建物としての完結性というよりは棟の独立性の方が強く感じられ、全体としては散逸的に見える。通路幅の違いが効いて、敷地の奥からも海が見えるのが面白い。
帰り際、千葉さんにお礼と感想を述べる。オープンハウスの感想って難しい。見た直後は、その建築の意味というのはよくわからないからだ。「案を見たときは図式的だと思ったけど意外と気持ちがいい」という感想は9割くらいの人がいうだろうと思い、ちょっとひねったつもりで「図式を見たら全体性が強いと思ったけど案外独立性が強い」と分析的に言ったら後輩Kとコメントが被ってしまい、やや失敗。
16:00事務所に戻り、編集者の方ととある雑誌企画打ち合わせ。編集でも設計でも、企画の初期段階でブレストするのは楽しい。2時間ほど議論して方向が定まる。
19:00先日のLIVE ROUND ABOUT JOURNALの学生打ち上げと、台湾の雑誌『Dialogue』でのRAJ記事掲載祝いを兼ね、ワソサソこと王銘顕さんを迎え「ワソ祭」@事務所。王さんの仕込みもばっちりでワンタン3種(豚、鳥、牛)、焼きビーフン、大根餅のライブ調理で盛り上がる。
友人や後輩、編集関係者にも何人か来て頂き、改めてイベントの感想や反響等を伺う。
訪ねてきてくれた東工大の学生諸兄に設計中の住宅の模型を見せる。せっかくなので感想を求めるも、「屋根がつまらない」だの、「開口がよくわからない」だの、挙げ句の果てには「雑誌に載ってもスルーしそう」だの、言わせておけば言いたい放題である。建設的な意見ももらうが、批判が続出で防戦一方。
生意気な奴らめ!と憤りつつも、自分も午前中のオープンハウスで冴えないコメントを残してきたことを思い出し反省。設計者である自分も含めてその計画の意味や可能性というのは設計過程ではよくわからないし、またあらかじめ分っているものでも、瞬時に判断すればよいというものでもない。
それでも彼らの意見を求めるのは、他人の顔色をみているとなんとなく自分たちのやっていることの意味がつかめてくるからだ。篠原一男はいつも研究室の学生にコメントを求め、その内容にむっとし、無言になりながらも次の日にはちゃんと案を変えていたというが、きっと似たような作業だったのではないだろうか。
建築トークも、非建築トークも、ほどほどに盛り上がって3:00頃終了。最後まで残った若者連中とラーメンをすすって帰る。独立以来、彼らには模型を作ってもらい、議論につきあってもらい、時に一緒に騒ぎを起こしながらこれまでやってきたが、いつまでこういう時間を共に過ごせるのだろうか。
17日、新しいオープンデスク2名来社。初日なので軽く面接。
引き続き住宅の実施設計。篠原一男に倣い、昨日の学生諸兄の意見も参考にしつつエスキス。大枠は変えず、マイナーチェンジを試みる。とりあえず屋根の排水経路がずっと気になっていたこともあり、屋根形式を変更してみることにした。
いつも思うことだが、お施主様でも、役人でも、近隣でも、抵抗や批判を受けたプロジェクトほど面白くなるのはなぜだろう。その逆に、あまり抵抗も批判もなく実現してしまったプロジェクトほど、後で苦労する気がする。人が集まり、意見が飛び交うという状況をつくるのは意外と難しいし、労力もかかるが、面白い建築をつくるためには必要不可欠な作業であると実感する。建築のプロセスはスムースに進んでほしいと願う一方、スムースにいかないことほど勉強になることはない。
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21日、槻橋さんを囲んでToY4打ち上げ。メンバーは続々と就職を決めている。決まっていないのはスイスに留学予定の後輩Kとコンペ王Fのみ。アトリエ、組織、ゼネコン、留学と進路は様々だが、M1の後半にもなるとどういう立場で建築に関わって行くのかというスタンスが問われ始める。
途中まで槻橋さんに「批判的工学主義」について批判されていたような気がするが、いつの間にか爆睡。大学院に入りたての頃、つかもと師に「建築家は徹夜明けであろうと何だろうと、朝まで語り、語り、語りまくらなければならない」と言われたことを思い出し反省。
それにしても、槻橋さんのあの溢れるようなエネルギーはどこから湧いてくるのだろう。設計と編集の関係をどのように捉えているのだろう。いつかじっくりインタビューしてみたい。
22日、二日酔いの頭を引きずり9:15発のぞみで名古屋へ。名古屋駅でFLATのメンバーに会い、そのまま「東海地区合同卒業設計展」の会場である名古屋市立大学へ。久野紀光先生に久しぶりにお会いし、近況を伺う。
今回の合同講評会のゲストは乾久美子、原田真宏、武井誠、中村竜治、藤村龍至というメンバー。個別にざっと展示を見て、各自で面白そうな作品を1点選ぶ。
選ぶ基準は好みもあるが、最近は「これを選ぶとこういう議論が展開できるかな」という判断もできるようになってきた。まあ、そうは言っても結局のところプレゼンに実力は出てしまうものだから、誰が選んでも選ばれる作品はある程度絞られるだろう。
・・・とタカをくくって控え室に戻り、ふたを開けてみると全員バラバラ。お互いに「それのどこがいいんですか」というくらいに選んだ作品の傾向が違っていて面白い。控室でしばらく話す。中村さんが「建築家はかたちに責任を取らなければならない」というので「かたちは建築の一部に過ぎない」と返したら早速議論が白熱。
2次審査では模型を使ったプレゼと質疑応答。前半は場所性について、後半は作家性について問題提起してみる。
途中乾さんがある作品について「その変なかたちの突起物は何か」とかたちに集中的に突っ込んでいるので、僕が「この作品が提示している一連のストーリーのなかでは、その突起のかたちはジョークのようなもの」と応援演説する場面があった。
議論していると、「設計を通じて場所を理解する」という姿勢に共感し、かたちそのもののインパクトよりも「建築的思考をどう使ったのか」というストーリーを重視するスタンスを強調する自分に気がつく。振り返ると、この日の議論の主題のひとつは「かたち」派(乾、中村)と「ストーリー」派(藤村)の対立にあったのかも知れない。講評会の主役は学生の作品だが、結局のところ、講評する側のスタンスが問われるところが面白い。
議論を経て投票の結果、1位と3位が同率となり、再投票の結果「せんだい」でも上位に入ったという作品(かたち派)が1位。1次審査で僕が選んだ作品(ストーリー派)は3位に。
懇親会では入賞者やFLATのメンバーと話す。なかなか盛り上がっているようだ。今回のイベントをきっかけに、新陳代謝を繰り返しながら世代をつくるグループに育って行って欲しいと思う。
その後、名市大の伊藤先生、久野先生、愛知淑徳大の清水先生、名古屋大の恒川先生、生田さんと飲む。学生だけでなく、先生方の繋がりも深い。これからもいろいろ交流させて頂ければと思う。
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この春もいろいろなイベントに呼んで頂いたが、この春最後のイベント出演が今週25日に予定されている。
86世代のスタンスを問う機会としたい。イベントに参加する諸兄は「朝まで語る」覚悟で臨んで頂きたい。
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25日、朝から打ち合わせを数本こなし、銀座のギャラリー58へ。g86が仕切るラジオ番組(?)に出演。
イベント全体の主催はコジマラジオという、台東区の旧小島小学校をベースにFMラジオを運営している芸大生を中心とした学生グループ。メンバーのひとりがg86のサイトを見て声をかけたのだという。
この日はg86がホストとなり、同世代の大学生らのグループとディスカッションを行う「アーキサミット」。東大、東工大、Y-GSA、早稲田大、理科大、明治大等のサークルやグループが順番に出演し、「宣言」を出して行くという形式。
最後に公開インタビューと討論。もちろんその内容はその場でラジオ放送される。途中「team JK」こと女子高生のグループもエントリーしていて会場を沸かせたらしい。うっかりすると「非モテ男子の集会」みたいに堅くなってしまうところを、うまくほぐしている。仕掛けが最小限かつ効果的。
17:00少し前に会場に着くと大入り満員。ギャラリーの方にご挨拶してトークスタート。g86のスタンスを問い、問われ、スタンスを問うということの意味について問う。なかなか刺激的。
いろいろ話したが、言いたいことはただ一つ。20代は議論の仕方を議論せよ、ということ。最初はまとまらないようなバラバラの議論も、何度も繰り返して行くとまとまってくる。それが本当の世代的な「宣言」になる。
そういう世代をつくるプロセスに乗ることができたという意味で、あの日、あの会場に居合わせた人は幸運だと思う。誰でもいいから、なるべく早く次の仕掛けを打つといい。互いに仕掛け合って行けば面白い世代に育つだろう。今後の86世代の盛り上がりに期待したい。
当日の様子はギャラリー58のblogでライブリポートされています。
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昨年末結成されたチーム110のメンバー(松川昌平、田中浩也、柄沢祐輔、南後由和、ドミニク・チェン、飯尾次郎)と合宿をすることになった(ドミニクは欠席)。場所は伊東の山喜。築70年だが無線LAN完備の和風旅館である。机と椅子を畳の上にセットして会議室仕様にして打ち合わせすることができる。IT系のエンジニアたちの開発合宿のメッカである。
これから以下のプログラムで合宿を行う。
14:00-16:00 第1部 討議のための討議
16:00-19:00 第2部 個人発表
21:00-23:00 第3部 企画会議
23:00-endless 第4部 討議
これから合宿の様子をライブでリポートしようと思います。
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第1部はまず、6人のスタンスの確認から。
理論/実践
松川 環境情報/建築設計(環境観測装置としての)
柄沢 空間論(社会工学としての)/建築設計(空間論のエクリチュールとしての)
藤村 建築論(社会工学としての)/建築設計(ソーシャルアクションとしての)
南後 建築社会学/批判的フィールドワーカー
ドミニク インターネット/ソーシャルアクティビスト
田中 空間認知科学・空間情報科学/エンジニアリングアーティスト
*
続いて本のイメージを話し合う。
-建築論に収まらない
-1960年似ている状況、似ていない状況(ref.東京宣言)
レファランス
-『20世紀建築研究』著者不在の状況−新しい書き手
-『反美学』ハル・フォスター編
-『ELEMENT』セシル・バルモンド
「設計」という概念(ref.「一般設計学」吉川弘之)
建築設計/社会設計/情報設計/アーキテクチャー
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第2部は個人発表。順番は下記の通り。
16:40-17:40 柄沢
17:40-18:40 藤村
20:00-22:00 松川
22:00-23:00 南後
23:00-24:00 田中
まずは柄沢祐輔。「不均質な均質さ」について。「デカルトvsライプニッツの図式で現代社会は説明できる」「コンピュータは『ライプニッツの層』を初めて制御可能にした」と主張。
続いて僕は「批判的工学主義としての建築」。「工学主義」の定義、3つの姿勢、組織類型都の対応、「批判的工学主義」によって再定義される現代建築、設計の手法論、都市論的戦略について語り、建築運動としての「批判的工学主義」を提唱。
夕食後、松川昌平。場当たり的、非計画的、多様な空間、自然的、ボトムアップな建築を設計するために、位相空間的なグリッドを生成するためのソフトウェア「Topological Grid」を操作しながら、方法論を提示。
-逆システム論(機械言語vs自然言語)
-周辺環境と相互作用する建築
-アルゴリズム的思考=「かた」の発見と「かたち」の開放
-関係性が複雑だからといって空間体験が複雑になるのか
次は南後由和。1.ルフェーブル、シチュアショニストの都市・建築論、2.グラフィティ/落書きのフィールドワーク、3.戦後日本における建築家の有名性の生産・流通・消費。
-際に留まり続けること=transvergence-vergence(離接運動)
-「設計」とは何か
-1960年代の思想家・建築家再考ーブックガイドを超えて
最後は田中浩也。工学の定義、テクノロジーの進化に対する態度ー「批評的」「発明的」、世界と社会、ものづくり革命(ニール・ガーシェンフェルド)、開放系技術、工学的民主主義、アーキテクチャーの再定義、技術(テクノロジー)と技法(テクネー)の補完関係、エスセティクスの図示
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第3部は企画会議。まずは第2部の個人発表を通じて明らかになったスタンスの具体的な違い、こだわっていることは何か、を確認。
柄沢 対立するジオメトリーの共存(モーフィング)
藤村 逆システム論としての人力アルゴリズム(実現性・批評としての工学)
松川 コンピューテショナル・アルゴリズム(人知を超える)
田中 パーソナル・ファブリケーション(発明としての工学)
5人の主張を貫くメタフィジックスはあるか?
-ディスクリート?
-アルゴリズミズム?
-プロクロニズム?
-『10+1』no.48号の続き? 49号の続き? 両方の続き?
-言語の内容を整理したい
-外部との接続をどう果たすか
次回の目標:章立て?
なぜ21世紀型の知が必要なのか?
-S,M,L,XL?
-LIFE STYLE?
積極的に激しくコラージュするエディトリアル・デザイン?
A:巨大資本、技術、貨幣、都市、web
B:チープ革命、技術、微創造、web、都市
C:ソーシャル・ビルド
Cに対してどうアプローチするか。スターティングポイントの違いが明らかに(0:柄沢)(1:Aから=藤村)(2:A,Bから=松川、南後)(3:Bから=田中、ドミニク)。0-3の違いを念頭に置いて引き続き議論を進める。
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28日、10:30チーム110第1回合宿を解散。温泉にも入らず、アルコールもほとんどなしでノンストップ議論。心地よい疲労感が残る。これから1年間、継続的、定期的に議論を続けて行くことを確認する。
17:00東京に戻り、明治学院大学へ。文学部の長谷川一准教授にインタビュー。機械と身体の縫合域という連載でスーパーマーケットやターミナル駅の内部空間について議論を展開されている。
31日、9:00東京駅で南後君、柄沢君と待ち合わせ。上越新幹線で新潟へ。新潟駅で岩佐明彦先生と岩佐研の小出君と待ち合わせ、新潟市周辺における郊外型ショッピングセンターと、信濃川沿いのタワーマンションをめぐる工学主義建築のフィールドワークへ。
最初は新潟亀田IC周辺の大型店舗を回る。アークプラザ新潟+スーパーセンタームサシ新潟店(2002)。運営はアークランドサカモト(本社:新潟県三条市)。スペースフレームの庇がかっこいい。次にイオン新潟南ショッピングセンター+ジャスコ新潟南店(2007)。運営はイオン(本社:千葉市)。売り場面積69,079sqmで新潟県最大。2007年11月の都市計画法改正により、最後の大型開発となるらしい。さらに近所にあるアピタ新潟亀田店(2000)へ。運営はイオン(本社:愛知県稲沢市)。資料集成にも掲載されているという大型店舗だが、昨年のイオンの出店により競争を強いられているという。
イオンとアピタの間には建築的にクリアな差があるのが面白かった。
アピタ:直線、蛍光灯、直接照明、Pタイル、計画学的、工場的
イオン:曲線、ダウンライト、間接照明、タイルカーペット、インテリア的、住宅的
アピタとイオンの差は機能主義と工学主義の差異を考察する上で示唆的だ。逆に言えば、アピタがイオンに逆襲を仕掛けるには、工学主義に基づく建築学的知見が使える、と感じた。
今回の発見は「ロードサイドショップ」と一言で言っても、建築的にはどんどん世代交代が進んでいるということ。イオン系のショップが成功しているのは建築的仕掛けも重要な役割を果たしていると言えそうだ。2007年11月の法改正以降郊外型店舗の出店が抑制されている現状では、旧世代型の大型店舗は新世代型へ建築的なリニューアルを進める必要に迫られるだろう。
その後、新潟空港近くの河渡地区にある小型のロードサイドショップが駐車場の周囲を取り囲む、ヴィレッジ型の事例を見学。貯木場跡を埋め立てた土地だという。
このような点在型を第1世代(河渡地区)、機能主義的複合型(アピタ新潟亀田店)を第2世代、工学主義的複合型(イオン新潟南SC)を第3世代、というように、とりあえずは分類できるような気がした。
さらに、朱鷺メッセの展望台で新潟市内を見下ろしたあと、万代橋周辺の高層マンション群へ立寄り、ショールーム等を見学。信濃川沿いに高層マンションは絶対高さ50mの規制があるため、敷地の間口一杯に板状に横に広がる傾向にあるのだという。建築規制のあり方と、それによって誘導される都市景観の関係について、考えさせられる事例である。
その後、ベルラーへ時代の同級生の東海林君らが主宰するアトリエsikiへ。新潟大学のOBで新潟をベースに活動している。川沿いの工場にあるアトリエは、かつてマース川沿いにあったMVRDVの旧オフィスを思い起こさせる。新潟や青森でプロジェクトが進行中とのこと。
sikiの一角をお借りして岩佐先生へインタビュー。フィールドワークで発見したこと、岩佐先生の研究や問題意識、計画学との関係、これから展開の方向性など議論。
古町の一角で飲んで帰京。議論が盛り上がり、結局終電になってしまった。明治学院大長谷川先生、新潟大岩佐先生へインタビューの内容は『建築雑誌』6月号の第2特集「批判的工学主義」特集に掲載予定。
1日、年度初め。この日から2人入社し、スタッフは6人に。1人は新潟大院(岩佐研)修了。もう1人は東大(千葉研)卒業。今後は徐々に新卒採用を進めて行こうと思っている。軽くオリエンテーション。オープンデスクも3人来ているので、事務所が手狭になってきた。
11:00書籍企画打ち合わせ@エクスナレッジ。予算計画、スケジュール等諸々固まる。RAJの流れを汲む本格インタビュー集。11月発売に向け、本格的に作業を開始する。
14:00JA編集部斉藤さん来社。企画打ち合わせ。昨年来展開させてきた議論をまとめるいい機会になりそうだ。英訳が予定されているのも嬉しい。打ち合わせ後、K-PROJECT現場へご案内。内装が急ピッチで進み、内部空間の輪郭がはっきりわかるようになってきた。低めに大きく開いた窓がかわいいのでは。
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3日朝、K PROJECTの現場で打ち合わせしていると「杉並区の職員の方が立入検査だと言って来ています」と現場監督。一瞬ひやりとしたが、聞くと「構造について検査して欲しい」と近隣から要望があったのこと。4Mも跳ね出しているので通りかかった人が驚き、区役所に問い合わせたらしい。
現場を案内して、構造の概要を説明。2階の先端部でジャンプする職員。当然びくともしません。メガストラクチャー+吊り構造なので、確かに1階は異様な光景ではあるが、説明したら納得して帰って行った。とりあえず、通りがかった人が思わず通報してしまうくらいのインパクトはあるようだ。
18:00ka座談会@東工大。巻頭特集として、「建築デザインと言葉」をテーマに安田幸一、藤岡洋保、八木幸二、塚本由晴、坂本一成、奥山信一の各教授にみんなでインタビューして回ってきた。最後に総括座談会。白熱して終わる。博士課程の連中で研究室を横断して議論する機会はこれまでなかなか無かったので、いい機会を与えて頂いたと思う。
5日、塚本研究室10周年記念パーティ。3期の5人(長谷川、深海、藤村、松岡、宮崎)で、全体幹事を担当。仕事の合間に名簿作成やらケータリングのセッティングやら当日の司会やらでばたばたしたが、久しぶりに同期で集まって作業できたのは楽しかった。
つかもと師の最新作レクチャー、海外在住の卒業生からの動画メッセージ、プレゼント、スライドショーなどで盛り上がり、1期生のよし村さんの感謝の言葉、つかもと師の言葉、集合写真、で締め。2次会もサプライズケーキなので程よく盛り上がり、明け方散会。
6日、11:00久しぶりに全力ゼミ。それぞれの近況を持ち寄って議論、という原点に戻る。最初はK-PROJECT現場ツアー。今まで散々説明して来たが、目の前に現れつつある建築を仲間に紹介できるのは単純に楽しい。いつもは辛口な連中も、反応は上々。それぞれの近作も興味深い。実務に深く関わるようになって来ているので聞いていて勉強になる。
7日14:00、林昌二氏インタビュー@林邸。批判的工学主義特集で。
冒頭から「皆さん東京が変わった、変わったというけれど、大して変わっちゃいないんですね」とひねりの効いた回答に戸惑うも、これが林昌二の「毒」という奴かと噛み締める。柄沢さんが毒をものともせず粘り強く切り込む。最終的にとても面白い話を引き出せた。
『林昌二毒本』を読むと、林氏がアトリエと組織、有名性と無名性、芸術性と効率性の間で奮闘されて来た軌跡はあまりにも輝かしく、今日の工学主義が全面化したコンテクストにおいてはどの論考もとても刺激的だ。その本人に直接話を伺えたことは、我々にとって貴重な財産になるだろう。
明日はプランテックに伺う予定。乞うご期待。
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ROUND ABOUT JOURNAL vol.7が台湾の雑誌『DIalogue』をジャックして発行されました。なんと10ページ!!巻頭鼎談ではこれまでの活動、LRAJのリポートとともに台湾の建築ジャーナリズム事情をワソサソこと王銘顕さんに伺いながらディスカッションし、中国語と英語に翻訳されて掲載されています。
収録の様子はマシツマ日記でどうぞ。
K PROJECTの現場写真をUP。スペイン人の写真家Javier Callejas Sevilla氏が撮ってくれたもの。東京がアンダルシアみたいにみえる。現場ではもう外装工事まで終了。竣工まで気を抜かず、急ピッチで進めなければならない。
8日、折からの悪天候により飛行機が遅れてしまい、大江匡さんのインタビュー延期。18:00現場。怒号が飛び交う現場小屋(恒例)。人間関係のもつれを取り除くのも建築家の大事なお仕事。
9日、10:40アシスタントを務める設計製図第一授業@東工大。2004年以来4回目だが、今年で最後になる予定。毎年思うことだが、表情なくぞろぞろと入ってくる新2年生はイモのようである。設計製図第一とは、イモがヒトに進化する過程である。
先生からの言葉、課題説明、製図道具の説明、製図板の配布、課題の配布を終えて終了。水曜日はサークルがあるらしく全体にソワソワしている。この空気に触れると春が来たなと思う。
10日、11:30打ち合わせ@INAX。RAJやLRAJでお世話になった虫鹿さんに近況を伺いつつ、諸々ご相談など。動くときは素早く。
11日、打ち合わせやアポ続く。11:00書籍企画@事務所、13:30プロジェクト定例@品川、16:00K PROJECT現場、19:00佐藤敏宏さん、花田先生@新宿、21:00構造打ち合わせ@オーノJAPAN。
花田先生にRAJの活動をご報告。ジャーナルを研究している方に「ジャーナルです」とモノを渡すのはさすがに緊張するが、先生は批判するでも賞賛するでもなく、「ジャーナルを名乗るにはエディターシップを発揮しなければならない」「定期的に刊行されなければならない」と講義して下さった。
佐藤さんから「RAJはジャーナルではなくPRに過ぎない」と批判され続けてきたが、先生からは「ジャーナル共同体」なる概念を教えて頂く。国家の定義(国民、領域、主権)と同じで、読者、研究領域、方法論、がそろえば、「ジャーナル共同体」が成立する。方法論とは、固有の思考を強調することで共同体の内外に線を引く作業である。RAJは建築的思考の固有性、世代の固有性をテーマとしているから、まさに我々のやっていることである。
いつも思うことだが、周縁から中心へ、オルタナティブからメインストリームヘ、議論を開いていくためには、議論の生成過程の全体を設計しなければならない。つまり、時間的に考えなければならない。
しかし、実際によくありがちなのは言葉を易しくしよう、とか、違うジャンルの人の話を聞こう、とか、ある種の空間的な発想である。一見開いているようでただ漠然と話題を逸らしているだけのことも多い。留学すれば何かが得られる、と漠然と期待するのと似ている。
議論を開くためには、まず議論がなければならない(大前提)。そのためにはまず、ジャーナル共同体を結成し、アイデンティティを確立するところから始めたほうがいい。
まず議論する仲間をつくり(1=結成的段階)、次に議論を通じて共同体のアイデンティティを確立し(2=確立的段階)、そこで獲得されたテーマを社会に広め(3=PR的段階)、論争を仕掛け共有していく(4=政治的段階)、という一連の段階を経て「ジャーナル」は形成されていくと考える。
これを建築家の人生と重ねるなら、1=20代(修行)、2=30代(住宅)、3=40代(商業)、4=50代(公共)に対応するのではないか。一見閉鎖的な議論からスタートし、だんだんと開放されていって、社会化されていく。だから20代建築家は同世代と積極的に交わったほうがいいし、30代建築家は議論を仕掛けてアイデンティティを確立したほうがいい。そうやってその先の広がりを獲得していく。
つまり「議論の場の設計」とは、人生の設計なのである。だからこそ、今やらなければならないことがたくさんある。
fujimura
K PROJECTの現場が佳境。400坪ともなると職人の数も多い。最近は40人くらい入っている。現場とはいろいろ緊張関係もあるが、共同体的な一体感もある。彼らと駆け引きしながら、日本社会はこうやって成長して来たんだなと思う。他方で、高度成長期とバブルの両方を経験している60歳前後の監督がそろそろ世代交代となる。建築業界の雰囲気も少しずつ大きく変わって行くだろう。
13日、20:00チーム110ミーティング@藤村事務所。ドミニク→田中→松川→藤村→南後→柄沢の順にゼミ形式で発表。「設計」をめぐって議論が展開するも、メンバーの全員が建築家ではない(半分は非建築家である)ので、実際の設計プロセスやモノを作るイメージを感覚的に共有できないと感じる場面もあり、少々もどかしいのだが、逆に建築プロパーとだけ議論していると設計過程のいい加減な部分を変に許容してしまうという弊害もある。議論はなまじ通じないくらいが理論が先鋭化してちょうどよい。24:00終了。次回は5月中旬に行うことになった。
14日、12:00南後君と柄沢君と待ち合わせ、プランテックへ。『建築雑誌』の「批判的工学主義特集」に関連して大江匡さんインタビュー。工場や研究所の建築からキャリアをスタートしたことが現在の組織的、領域横断的な設計姿勢に繋がっているのだという。「アクティビティをよく観察する」という設計アプローチは計画学の使い方調査のよう。
最初は緊張したが、こちらの質問について明快な答えをビシバシ返してくれる。ノリにノッている人、という印象。90分が一瞬で過ぎてしまった。社会学に興味があるというのも意外だったが、話を聞いているとなるほど、と理解できる。若手では中村拓志さんの感触に最も近いものを感じる。
15:00設計製図第一@東工大。塚本先生の自己紹介から課題説明。話が長めだなーと思っていたら、結局90分話が続く。
17:30後輩Sを連れて移動。長谷川豪と待ち合わせ、K PROJECT現場へ。いろいろな人を現場に案内しているが、毎回いろいろな発見がある。長谷川が空間やかたちについて詳細かつ的確に指摘するのには驚いた。いろいろ話し合った後で、「思ったよりさわやか」とコメントをもらう。もっとごちゃごちゃしている建築だと思ったとのこと。松川さんとは逆のコメント。
19:00現場からダッシュし、学会の編集委員会に駆け込み議論の途中から拝聴。「批判的工学主義」特集関連のインタビューが無事終わったことをご報告。毎回長丁場だが個性的な方々ばかりで面白い。
21:00いつも必ず出席することにしている委員会の飲み会を欠席し、先日の塚本研10周年同窓会の打ち上げへ。同期の長谷川、深海、松岡、藤村で飲む。先日のパーティを振り返り、来年に向けて引き継ぎ事項をまとめる。
15日、18:00この日は文化事業委員会@学会。10月に建築会館で行うシンポジウムの企画案の概要をプレゼ。委員の皆さんの反応もよく、概ね了承を頂く。終了後は本委員会(=飲み会)。
16日、10:40設計製図第一。トレース課題が始まる。その後塚本研ゼミ。大会論文のチェック等。新学期が本格的に始まった。大学が始まると、生活にリズムができてよい。新4年生の連中にも久しぶりに会う。
*
藤村事務所にてオープンデスク募集中。新学期、同級生に差を付けたい人はこちらへ。学部生歓迎。将来のために、時間を少しだけ割いておきましょう。懇切丁寧に教えます。
fujimura
19日、後輩の結婚式2次会@六本木。日建設計+森ビルというビッグネスカップル(?)。森ビルの人たちの威勢の良さに圧倒される。
20日、ロータリー地区大会で埼玉へ。久しぶりに壇上でスピーチ。音楽ホールらしく声がよく響いて気持ちよい。
帰り道、所沢で途中下車し、お世話になっている地元の方を訪ねる。商店街の向こうにはタワーマンションが建ち並ぶ。駅ビルの開発計画もあるそうだ。商店街からは丸井が撤退し、パチンコ屋や百円ショップ、飲み屋チェーンなど、郊外型の店舗だらけになってしまった。だんご屋の醤油の匂いが、わずかに所沢らしさを感じさせる。
22日、10:00INAX:GINZAで打ち合わせ。14:00打ち合わせ@オーノJAPAN。スタッフが増えて活気がある。オーノ氏と冗談をいいながら打ち合わせしている時間は楽しい。最も純粋で建築的な時間のひとつ。
26日、11:00雪谷の「斉藤助教授の家」(1952)へ。取り壊しが決まったそうで、見学会が行われた。行ってみると長蛇の列。整理券をもらうと「12:20のご案内です」と告げられる。
室内から見ると水平性というのは案外感じないが、外から見ると庭にすーっとのびる軒と縁側のラインが気持ちよい。
受付で配布された藤岡洋保先生の論文*1によれば、当初の設計案はより大きな平面計画だったが、厳しいコストの条件から面積が削減され、さらに既存の基礎を全面的に活用することになり、実施案のキャンチレーバーを含む非対称的な要素が生まれたのだという。
制約条件から建築の形式を抽出するのは建築設計の基本だが、制約条件を技術で味方に付けるという発想は、東工大的な思考なのかも知れない。
もっとも、制約を形態に置き換えるだけなら基礎平面と平面形状を合わせたはずで、わざわざ寝室を跳ね出したり、南側にテラスとしてはみ出させたりしたのはインターナショナルスタイルの導入という建築の潮流を読んだ上での美学的な判断があったのだろうし、清家さん独特のユーモアも感じさせる。
今見ると、近代主義と伝統の架橋、というわかりやすい目標が共有された時代がうらやましい。現代でいうと、資本主義と地域性の架橋ということになるだろうか。当時の定番的建築形態と言えば水平ラインだとすると、今はなんだろう。
事務所に戻り、住宅打ち合わせなどを経て、藤本壮介さんの書籍『原初的な未来の建築』出版記念パーティ@INAX:GINZAへ。五十嵐太郎さん、乾さんがスピーチ。ちょっと歓談し、最後に藤本さんのスピーチ。
本は模型写真のビジュアルや文字組等、グラフィックデザインの完成度が高い。コンテンツは、本人によるタイトル付きの明快な宣言文がないのが物足りない感じもするが、前後に伊東さんや五十嵐さん、藤森さんの論考や対談を挟むことで、建築家・藤本壮介第1期の集大成を感じさせる構成となっている。
二次会で青木君と、青木君の後輩K(もしくはKY)君と議論。青木君と目地の形式性の議論。「スチボーの模型通り作りたいじゃないですか」と主張するK君。それは幼児退行ではないか、などと問題提起していると藤本さんが登場し、「目地っていうのは建築の『成り立ち』なんだよ。」と一言。
藤本さんの「成り立ち」という言葉は面白い。帰宅後、改めて藤本さんと藤森さんの対談「人口の建築、自然の建築」を読むと、すーっと入ってくるところがあった。
--時間が経過していたり、大勢の人が手を加えていたりするので、自然物のような存在になりかけているように見えるんです。そういうものを建築家がつくれないものかと。(p.128)
--建築というのはすべて「つくられたもの」だけれども、それを少し超えて「できてしまったもの」のようにすることはできないかということです。すごく厳密な人工的なプロセスと、「偶然性」「曖昧さ」とが同時に立ち現れるような形式がありえるのではないかと思うのです。(p.131)
--全部を自分の思い通りにつくるのではなく、半分は設計するという人工的な作業、半分は建築の形式自身がなりたくってなっていくようななにかがあって、その相互作用のなかで現れる建築に憧れているんです。(p.132)
今まで藤本さんの言説にはなんとなく距離を感じていたけれど、最初の説明は「批判的工学主義」*2で、最後の2つは「超線形設計プロセス論」*3で主張した内容とある部分では共振する。現代的なバナキュラーから建築的形式を抽出し、再構成するという作業のイメージとしては、案外近いところもあるのかも知れない。
違うとすれば、『建築家なしの建築』のバナキュラーなものを引用する際に、藤本さんは普遍的で超時代的な「自然」を参照するが、僕は時間と文脈に即した「社会」を参照するところだろうか。
僕から見ると、1990年代にバナキュラーを参照していた建築論といえば、塚本由晴らの『メイド・イン・トーキョー』だ。しかし彼らは、そこから建築的形式を抽出し、再構成するという方向に向かわず、クリシェ(紋切り型)の抽出へと向かっている*4。
東工大的文脈で以上を整理すると、下記のようになるだろう。
清家:民家の国際様式による再構成
篠原:民家の形式性(幾何学)による再構成
坂本:民家の形式性(関係)による再構成
塚本:民家のクリシェ(紋切り)による再構成
その枠組みで藤本さんを位置づけると次のようになる。
藤本:民家の動的形式性による再構成
立場としては、後期篠原に近いといえるだろう。幾何学がより離散的で、動的なところに藤本さんのオリジナリティがある。
ただし、藤森さんは対談のなかで、以下のように忠告する。
--民家の魅力は、集団の無意識を満たしていることにあります。ああいう形が練り上げられ、成立するために、ものすごい時間をかけているからなんです。その長い時間のなかで、自然化が行われるんですね。(p.128-129)
藤本さんのいう『原初的な未来』とは、本来長い時間をかけて醸成される「集団的無意識」*5を建築的形式によって時間を圧縮し、実現することのようだ。そのことについて、藤森さんは「時間の捏造」ではないか、と執拗に問いかける。
それに対して藤本さんは「『成り立ち』としての時間のようなものを考えている」と反論するが、やや曖昧な印象。塚本さんのいう「オーセンティシティ」のようにも聞こえるが、おそらく違うといわれるだろう。
僕は習慣化し、無意識化した行為、生活のアクティビティを設計行為によって再意識化し、権力の環境化に対抗するというシナリオを描きたいと考えているが、藤本さんは意識化、明示知化することを徹底的に避けている。
そうすると、藤本さんのいう「集団的無意識」に対して、藤本さんの設計行為はいったい何を働きかけるのだろうか。いや、何も働きかけはしない、ということかも知れない。でもそれでは「集団的無意識」は単なるアナロジーになってしまうのではないか。
藤本さんはそのあたり、どう考えているのだろうか。そのうちまた聞いてみたい。
*1 藤岡洋保(2006)「『斉藤所教授の家』の設計過程」日本建築学会大会学術講演梗概集
*2 拙稿「『批判的工学主義』のミッションは何ですか?」,Ten plus one (49),94〜95, 2007 (INAX〔編〕/INAX)
*3 拙稿「超線形設計プロセス論〜新たなコンテクスチュアリズムへ〜」,Ten plus one (48),161〜166, 2007 (INAX出版)
*4 塚本研究室10周年記念パーティでの講演(2008年4月5日, 東京工業大学)
*5 ここではユングの「集合的無意識」に近い意味で使用されている
*6 最近よく議論になる私性と社会性、感性と論理というお題にはあまり広がりを感じないが、無意識と意識、あるいは暗黙知と形式知という軸を導入すると見えてくる関係性があるのかも知れない。
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30日、塚本研全体ゼミ。今期のテーマは「ヴォイド・メタボリズムに向けて」。後輩たちがばっちり資料を準備している。1960年代のメタボリズム関連の言説の読み直しからスタートし、2010年代版メタボリズムの提唱を目指す。
2日、11:00新建築の中村光恵さんにK-PROJECTの現場に来て頂く。VOXEL HOUSE(2004)以来、全プロジェクトを見て頂いている。一通り現場をご案内し、帰りに現場近くの「天助」にて天丼を食す。
20:00デザイナー刈谷氏来社。打ち合わせ。新婚旅行から帰って来たばっかりで日焼けしている。いわゆるひとつの幸せオーラである。
24:00つかもと師打ち合わせ@塚本研。そのまま飲み。
3日、11:00この日は中央アーキの方々をK-PROJECTの現場にご案内。いろいろな部屋を見せ、最後に屋上へ。外の風景を眺めて、「これは新スケープだね」とか話し合っている。面白いリアクション。その後彰国社の矢野さんをご案内。
6日、坂本先生の「水無瀬ANNEX」の見学会へ。坂本先生の住宅を初めて見学することができ感激。先日『Ka』のインタビューで、形式+便宜(論理)vsスケール+プロポーション(感覚)という図式でお話を伺ったのだが、この建築はまさにそれ。
「目線のちょっと上くらいにある大きな庇が隣に立つ本体との関係も含めて全体を統合しており、その他のあらゆる部位は全体性を不用意に構築してしまわないように注意深く部分化されている。」みたいな形式的、論理的な理解もできるが、「CH=2000-2200mmの間に広がる世界。歩くとゾクゾクする」という身体的、感覚的な理解もできる。
形式は書籍や議論でも理解できるが、スケールは経験しないとなかなか理解できない。逆に言えば、スケールは経験すれば誰にでも理解できるが、形式は一定のリテラシーを要求する。つまり、坂本建築の評価にはリテラシーも経験も要求する。
論理と感覚の関係は人によって違うが、坂本建築のように説明可能性と説明不可能性の両方をすっきり分けられる建築は見ていて心地よい。説明可能なだけの建築や説明不可能なだけの建築ほどつまらないものはない。
19:00久しぶりにチーム・ラウンドアバウトのメンバーで集合。ワソサソこと王銘顕さんにRAJvol.7が掲載された『Dialogue』を頂く。今後の企画やメディア展開について打ち合わせ。各メンバーからいろいろな意見が出るが、徐々にひとつにまとまっていく。2008年後半もいろいろ仕掛けていきたい。
8日、9:00『JA』の編集者有岡さんとカメラマンの大沢さんに来て頂き、K-PROJECTの現場を撮影。有岡さんに「あそこはなんでトラスにしなかったんですか」と聞かれ、何のことだろうと思ったら2階の幕板の下地のことだった。確かに2階床で全ての力を受けているように見える。
18:00電車を乗り継ぎ本郷へ。スタッフの伊藤とともに東大へ。学会の委員会でご一緒している竹中工務店の北さんがレクチャーをされるというので聞きにいく。
レクチャーはまず日本のゼネコンに明治以前から続く宮大工系大工の系譜(竹中、清水等)と、明治以降に操業した請負系大工の系譜(鹿島、大成等)の分節からスタート。「竹中調」の説明など、竹中のアイデンティティが語られる。途中「ストロングビル」「東京本社ビル」など近年の話題作も挟みつつ、伝統建築やコンバージョンなど様々なタイプの取り組みを紹介。
とても包括的な内容で興味深かったが、その包括性ゆえにストーリーテーリングになり得ないジレンマも感じた。個人なら、どんなささいなことでもストーリーにして話すことができる。それゆえにより大きな共感を得ることもできる。逆に言えば、ゼネコン、組織系建築家の唯一にして最大の弱点はストーリーの構築不可能性であり、個人建築家の唯一にして最大の武器もそこにある。
9日、朝後輩Kと走る。最近は早朝に多摩川土手を4km程度走る短めのコースに。K宅に向かう途中、自転車のチェーンの調子が悪く、何度も外れる。7:00集合のところを7:25に到着したところ、「もはや早朝ではないですが」とブーブー言われる。
川沿いの空間は気持ちよい。最後にダッシュして、部活的に走り終える。
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インプットの時期とアウトプットの時期は、交互に訪れる。図渡し、着工、プレゼ、竣工がこの1か月の間に集中している。事務所のスタッフも、徐々に育って来ているのを感じる。あたりまえのことだが、急ぎの仕事を取って来てもきちんとモノを出せるようになって来た。
先日、昨年9月に提出した論文が無事採用された。あとは雑誌編集が3件、書籍の企画が2件。原稿が数件。それらも今週中におおよそのめどがつく。終わったら、溜まっている仕事をこなしたい。
K-PROJECTはなんとか間に合いそうだ。いろいろ細かい反省点はあるが、やるだけやったという気持ちが強い。現場を離れるときに感じる、ある種の充実感。一生のうちにそう何度も味わえるものではないかも知れない。この感覚は覚えておきたい。
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10日、9:00ロターリの選考試験。試験官も今年で3年目になる。この日は主に語学の試験で英語で質問。16:30終了、急いで都内に戻り、大学のサイクリング部の友人の結婚パーティ。サイクリング部の諸兄は大手メーカーの開発系に在籍している技術系の人が多いので僕のように独立しているのが珍しいらしく、いつも異端扱いだが、ロターリ同様、いい社会勉強の機会になっている。
19日、朝イチでK-PROJECT現場。さらっと見て帰るはずが、いろいろ捕まって話を聞いているうちに昼を過ぎる。15:00設計製図第一。小課題のプレゼ。つかもと師にコメントを求められ時々口を挟む。
20:00事務所にてTable of Youthミーティング。事務所にオープンデスク以外にも学生が集まる機会があるのは重要。いつもどおり新メンバー6名+継続メンバー6名でこの日が顔合わせ。各自関心のあるテーマを披露。最初から完成形が見える人もいれば、あまりまとまっていない人もいるが、話し合いを重ねて揉んで行く。帰り道、後輩Kたちとともにラーメン→ビールとハシゴして帰宅。
20日、打ち合わせラッシュ。合間に研修希望者が来社し、面接。手が動くタイプのようだ。19:30打ち合わせ@虎ノ門、その後編集者の伏見さんと打ち合わせ@赤坂。
21日、6:07品川発ののぞみ1号にて広島へ。9:50前日から広島入りしている父と弟と待ち合わせ。レンタカーで祖母の墓参りへ向かう。祖母は15年前、阪神大震災の前年に神戸で亡くなった。墓は祖父の出身地である広島の倉橋島にある。小学校の頃と高校の頃にそれぞれ1度ずつ来たことがあったが、父が15年祭を期に墓参りしたいとのことで急遽合流することにした。
弟と父は前日、広島周辺のゆかりのある場所を回ったらしい。鶴羽根神社、白神社、二葉の里、向洋の寮の跡など、高校生の頃一緒に回ったことを思い出す。この日は倉橋島に渡る前に海田町の出先森神社へ。曽祖父の出身地らしい。その後、熊野町、呉経由で倉橋島へ。久しぶりに音戸大橋を渡る。
父の希望で島の海沿いをぐるっと迂回。途中細い道を道なりに進んで行くが、風景が昨年行った長崎の五島の感じにそっくり。今は橋が架かっているので車で移動できるが、昔は広島の宇品港から船で6時間かかったというから、隔世の感がある。
13:30本浦の藤村家到着。神社の宮司をしており、隣に神社がある。うちは分家だが、父の世代が28代、僕の世代は29代で一番新しい世代が30代とのこと。年齢の近い30代氏には会えなかったが、大学を卒業後、呉の酒造メーカーに就職し頑張っているらしい。
親戚の方々が徐々に集まり、歓談。何人か亡くなられたが、皆お元気そう。小学生の頃、東京郊外の流動的な環境に比べて、島で、親戚に囲まれて暮らすという共同体的な環境に驚き、うらやましく思ったことを思い出す。
藤村家の墓は神社の裏の、瀬戸内海を望む高台の畑の一角にある。とても環境の良い場所で、少し家が増えた他は以前と何も変わっていない。都会とは時間の流れ方が違う。遠く愛媛の方の海を眺めながら、前に来たときのことをうっすらと思い出す。いつかまた来たいと思う。そのときも、同じ景色を眺めて、この日のことを思い出すに違いない。
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24日、ブログ等で頑張って情報発信している学生を現場に招いて、レポートを書いてもらうという試みを行った。参加条件は「ブログを持っている」「即日レポートをアップすること」の2点。
参加者は各大学から15名程度。いずれも学部4年生くらいで1986年生まれ世代である。下の階から順番に案内していき、最後に最上階の部屋で軽く議論。言わせておけば「屋上は使いにくいのではないか」「ディテールはもっとスタディできたのではないか」などと言いたい放題であったが、自由な感想を引き出すのがこちらの目的。かわりに「批判的工学主義としての建築」「都市風景を変える建築」など、こちらの話もたっぷり聞いてもらった。
コンセプトは2つ。1つめはボトムアップ式であること。通常の建築ジャーナリズムの順序では、まずオープンハウスを行い、編集者の感触が良ければ取材が行われ、竣工後しばらくして掲載が決まり、撮影が行われる。雑誌に情報が出回るのはずっと後である。読者である学生は一番最後に情報を手にする。
ここではあえて、学生に一番最初に取材してもらった。それは、僕にとって次世代を担う彼らの意見こそが一番重要だからであり、彼らのリアクションを一番最初に聞きたかったからだ。
2つめは、即日発信すること。LIVE ROUND ABOUT JOURNALもそうだったが、即日で言葉にしてもらうことで、ある種の臨場感が生まれる。参加してくれた学生たちも自分が見たこと、感じたことを言葉にして、ブログを通じて他人と共有するという体験をすることで、建築へのまなざしはジャーナリズムに与えられるだけでなくいろいろある、ということを学ぶだろう。
アップされたレポートは下記の通り。
*
g86山道拓人のレポート
http://d.hatena.ne.jp/sandotakuto/20080524
g86鎌谷潤と坂根みなほのレポート
http://d.hatena.ne.jp/g86/20080524
DESIGN HUB中島弘陽のレポート
http://blog.livedoor.jp/koyonet/
YGSA祖父江一宏のレポート
http://blog.livedoor.jp/shumai_ygsa/archives/50999663.html
コジマラジオ森純平のレポート
http://blog.livedoor.jp/sora_tuki_taiyou/
仙石亜沙子のレポート
http://asacosengoku.blogspot.com/
YGSA百枝優のレポート
http://blog.livedoor.jp/shumai_ygsa/archives/50999913.html
首都大学東京浜田晶則のレポート
http://psycholo66.de-blog.jp/blog/2008/05/k_project_ec6d.html
東京芸大山本亮介のレポート
http://chibi-pick-up.blogspot.com/2008/05/k-project.html
東京理科大学近藤哲朗のレポート
http://cufe.exblog.jp/7979891/
東京理科大学長野楓のレポート
http://mapling730.exblog.jp/8655398/
*
結果はこちらの期待以上で、皆きちんと即日レポートを書いてアップしてくれました。こちらの話したことをマジメにパラフレーズする者、自らの興味に引き付けて話す者、マイペースに自分の発見を記す者など、書き手の個性も出ていて読んでいて楽しいです。参加してくれた皆さん、どうもありがとう。
本番の内覧会は間もなく行う予定です。週明けにご案内を一斉にお送りしますのでよろしくお願い致します。
fujimura
いよいよこの日を迎えた。あいにくの雨。10:00より開始。午前中は学生、午後から一般の方々を迎える。
見学は諸処の事情があり、ツアー方式とさせて頂いた。4人のスタッフで毎時00分、15分、30分、45分と順番に出発して行く。5分ずつ6部屋回り、全体で所要50分、で1サイクル。
1階の入り口で傘袋+靴袋を渡し、受付、荷物置き、待合、挨拶、解説、ツアーと順番に流して行く。やってみると5階の動線で混乱することがわかり、部屋数を減らして対応。完璧なオペレーションを目指す。
本来であれば私が全ての皆様を個別にご案内させて頂くべきところだが、直接お話できる人数が限られてしまうので、1階に留まらせて頂くことにした。来た方にご挨拶し、解説し、戻って来た人に感想を聞く。それを24回繰り返す。あっという間に終了時刻となった。
終了後、近所で伊藤君と柄沢君と飲む。遠慮せず感じたことを言ってもらう。まさに忌憚なきコメント。それが楽しい。
明日はいい天気になりそう。5階のテラスを心地よい風が通り抜けるだろう。初日の反省を活かし、よりよい内覧会としたい。
fujimura
5月31日にBUILDING Kを見ることができた。1階がテナント、2〜5階が住居。ガラス張りの1階に、4本の構造体が立ち上がっている。これらの構造体は5階まで達しており、5階以下のフロアはこの構造体から吊り下がっている。さらに、この4本の構造体には設備系統がすべて収納(内蔵)されているという。
その建ち方が小気味よい。高円寺駅を南口に降りて、雑多な商店街を通る。たしか、この通りの先には佐藤修悦さんが展示をした古着屋さんがあったはず。一言で「高円寺的」と言われてしまうような通りだ。ファーストフード、風俗店、飲み屋、コンビニ、古本屋、BUILDING K。中央線快速ホームからも見えるのだが、通りを歩くといっそう面白い。 次々と通りすぎる小さな店舗の少し上あたりに、少しずつビルの上階が見え隠れする。高さがばらばらだから、山のシルエットに近い。この第一印象がとてもよい。よい、というか、腑に落ちる。そして建物の前に差し掛かると、引きを取って建つ大きなガラス壁が突然目に飛び込んでくる。ぱっと見ると、巨大なガラスの空間が上の大きなビルを支えているようにも見える。それはありえない建物だ。ただ、瞬間的に「ありえないもの」として見えるために、この建築がとてもチャーミングなものに思えた。 既存のまちなみの雑多さを複雑化することなく、しかしすでに見事になじんでいる。 たぶんこの1階には、ドラッグストア的なテナントが似つかわしいのかもしれない。路面は、ファーストフード、風俗店、飲み屋、コンビニ、古本屋、ドラッグストアと変化する。生れるのは日本の商店街のきわめて日常的な風景に見える。しかし、それは、つくり直されたものだ。新たな意味を押し付ける(あるいは声高に提案する)のではなく、まちがもともと持っている文脈から外れない建築によって再構築された、新しい都市の風景だと思う。 それは、「よくある建物」という意味ではもちろんない。既視感はなく、しかしまちにフィットした建築(しかも新築の)が建っている。まちの文脈が流れ込む血管を太く鍛え上げて、都市的欲望との終わらない闘いに耐え抜く建築がつくられたと思う。 -- でも、質問してみたい箇所もあります。プランニングと構造ではない部分についてです。 まず、共用部について、藤村くんがどうやってあの内装にたどり着いたのか、知りたいです。5階以下の共用部の床は、どういう経緯で黒いゴムチップの床になり、天井の高さが決まり、壁の塗り方や階段のあり方が決まったのでしょうか。あるいは決めたのでしょうか。内装や素材の話はこれまであまり聞いたことがないので、どう考えているのか、いちどお聞きしたいのです。めんどくさい質問ですみません。 もうひとつ細かい話ですが、設備が詰まっているスペースは非常に見栄えがよかったのですが(手前のメーターボックスに入る検針の人もらくちんだろうし)、あそこに入る扉だけが、共用部におけるガラス扉(しかも大きなガラス)であるために、やけに個性的に見えました。それはまるで「マシーンさん」の部屋のような、ある種の人格を帯びている印象さえ受けました。外に見せないように設備を収めたのなら、なぜ住民が見えないようにしなかったのか、少し不思議でした。そこで、なぜそのような扉なのかをお聞きしたいです。 yamasaki
山崎さん、感想+質問ありがとうございます。
素材については、外装はメンテナンスも考慮して基本的に素地のものでハードに、内装はスケールに対応して金属っぽい感じを消してソフトにしよう、みたいな感じでまとめていきました。ゴムチップは近所の歩道橋にヒントを得たもので、遮音のことを考えても合理的な選択だったと思いますが、見た目の素材感としてもわりと好評でしたね。
MBのガラスについては、基本的に建物の裏側を感じさせないようにメガストラクチャーは隠蔽していますが、他方で住人が建物の裏側を忘れずに暮らすことは大事なことだと思うので、ちょっとしたヒントがあることは大事かと理由でああなっています。どちらかというと思想の問題のようなもので、機能的に説明されるものではありませんね。
*
1日、BUILDING K内覧会2日目。最終的に来場者は400人を超えた。いい天気で屋上のテラスが気持ちよい。1階で説明して、見送って、1時間ほどすると興奮気味に下りてくる。
自分たちはこの建築を全く新しい建築だと思っているが、どうやってその新しさを伝えればよいのかわからない。ただ、いろいろな人に説明していくうちにポイントはわかってくる。
この日はメガストラクチャーというコンセプトを主に空間的な側面から説明したが、社会的側面から説明しても良かったかも知れない。例えば、坪単価を教えると反応が変わる。意匠、構造、設備の融合とは、形式美だけの問題ではなく、コストパフォーマンスやサステイナビリティの問題等も当然入って成立している。そのあたりをどう伝えていくか。
19:00スタッフ打ち上げ@抱瓶。担当の城間の労をねぎらう。設計を受注してからというものの、本当にいろいろなことがあり、血も凍るような場面もいくつも経験した。細かい反省点はいろいろあるにせよ、担当者の能力に助けられた建築だと思う。
2日、11:00新建築編集部の中村光恵さんご案内@K。一通りご案内し、記事の作り方、撮影の仕方など作戦会議。それほど間を置かずに発表できそうだ。その後東工大へ戻り設計製図のアシスタント。事務所に戻り20:00Table of Youth。
3日、11:00展覧会打ち合わせ@INAX:GINZA。既にリリースされているが、6/10に発売される『JA』の若手建築家特集「風景の解像力」のメンバー(乾久美子、藤本壮介、中山英之、平田晃久、中村竜治、石上純也、藤村龍至、長谷川豪)8名の合同展示が6/28(土)から7/5(土)までINAX:GINZAで行われる。面白い展示になりそう。
4日、論文佳境。つかもと師と打ち合わせを繰り返す。この日は深夜1:00スタート。3:30終了。それから修正作業。寝る暇がありません・・・。
5日、9:00撮影@K。あいにくの雨なのでひと部屋のみ。塚本研の連中が見学にやってくる。11:00過ぎシャネルモバイルアートへ。五十嵐太郎さんに話を頂き、周囲の学生に声を掛けてよいとのことだったので、先日の即日ブログレポートに参加してくれた学生にお礼の意味を込めて声を掛けた。総勢14名でザハ建築をうろうろ。
17:00現代研究室の小倉さんと柳澤田実さん来社。『ディスポジション 配置としての世界』の刊行記念シンポジウム(6/21 14:00-17:00@代官山ヒルサイドプラザ)にお声掛け頂き、参加させて頂くことになった。
http://www.hillsideterrace.com/art/080621.html
6日、9:00論文打ち合わせ@ハウス・アンド・アトリエワン。つかもと師とランチ・ミーティングならぬ、ブレックファースト・ミーティング。いわゆる「てにをは」のミスが多く「音読していないからだよ」と横にいた貝島さんに指摘される。
10:30各誌取材@K。新建築大沢さんと鳥村さん、川辺さん、MDR荻原さんの撮影が同時進行。5-6人でポイントを移動しながら撮影を進めていく様子は映画製作の現場のよう。
14:00過ぎ、五十嵐淳さんご案内@K。この日はお施主様や銀行関係者など来客が多く、残工事もあり落ち着かない。ゆっくりお話しできず残念。20:00過ぎ無事撮影と引き渡しが完了。
7日、事務所で打ち合わせ後、13:30菊竹清訓レクチャー@INAX:GINZA。「か・かた・かたち論」。ブリジストンの一連の仕事から1958年のスカイハウス、1968年の『代謝建築論』へ至るストーリー。
氏の主張は「形態ではなく、方法論を問うべき」というものでとても明快。その他にも、使い方から建築を考える、という発想は、意外にも大江匡さんとの連続性が感じられた(ちなみに大江さんは菊竹事務所の出身)。
個人的にはBUILDING Kの構造システムは東光園に似ているといわれるし、設計プロセス論+メガストラクチャーという表現の組み合わせに勝手に親近感を抱いていたのだが、スタッフの方のご紹介で講演後ご挨拶することができた。
菊竹さんだけではなく、BUILDING Kの全体構成は坂出人工土地(大高)のようでもあるし、ダイヤグラムはメガフォーム+グループフォーム(槇)の組み合わせだし、4本のコアは寒河江町庁舎(黒川)のようでもある。メタボリズムの現代的再構成というテーマについて、もう少し整理してみたい。
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佐藤敏宏さんの「ことば悦覧」で4月9日にお話ししたBUILDING Kの設計プロセスについてのインタビューが公開されました。龍光寺眞人さんとの議論も楽しかったです。佐藤さん、ありがとうございます。
http://www5c.biglobe.ne.jp/~fullchin/eturan/toukyou2008haru/07fuzimura/01/fuzi01.htm
そのほか、全力ゼミのメンバーも続々レビューをアップしてくれています。ありがとうございます。
伊庭野大輔ブログ
http://ibano.jugem.jp/?eid=90
松島潤平日記
http://www.ne.jp/asahi/studio/lithium/diarylog.htm#080531
藤井亮介ブログ
http://www.fujii-data.com/
fujimura
日本建築学会の機関誌『建築雑誌』6月号の第2特集「批判的工学主義に向けて」を担当させて頂いた。
フリーペーパーでの議論をきかっけに柄沢祐輔、南後由和と展開して来た「批判的工学主義」を35,000人の読者に向けて放つ。柄沢+南後+藤村によるテキスト、大江匡氏、林昌二氏、長谷川一氏、岩佐明彦氏へのインタビュー。組織的アトリエの大江氏、アトリエ的組織の林氏、メディア論の長谷川氏、研究者の岩佐氏、と立場は異なるが批判的工学主義を論じる上で欠かせない方々にご登場頂いた。いずれもコンパクトだが重要なコンテンツとなっている。
https://secure1.gakkai-web.net/gakkai/aij_zassi/index.html
僕らは日本社会におけるアトリエと組織・ゼネコン系の対立を問題にしているが、これを『10+1』でやるのと『建築雑誌』でやるのとでは意味も効果も違う。チャンスを下さった五十嵐編集長に感謝したい。
継なる仕掛けは10月に建築会館で開催される建築文化週間のシンポジウムである。1月のLRAJ、6月の『建築雑誌』批判的工学主義特集に続けて、より広い議論の場とするべく仕込み中。
『建築雑誌』学会の会員でない方は南洋堂等で購入できます。お問い合わせを。
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もうひとつ、『JA』に初めて取り上げて頂いた。10日から店頭に並んでおり、学生たちからも「買いました」というリアクションがちらほら。
今回選ばれているメンバーは全員30代のアトリエ系建築家のみ。『建築雑誌』に比べると発行部数はずっと少ないのかも知れないが、全編英訳されるということもあって、海外への広がりもあり、とても緊張した。僕はあえて竣工写真をほとんど載せず、理論、方法論、実践をオーソドックスに提示することにした。
あえてピークをつくらない乾さん、模型写真+手描きスケッチでスタイルを提示した石上さん、作品紹介に徹した長谷川さん、スケッチを全面展開した中山さん、コンセプトでまとめた平田さん、絵はがきのようにページ毎のレイアウトを完結させた中村さん、キーワードでまとめた藤本さん、というように8人8様だ。
ぱっと見て図像を中心に説明するイメージ派(乾、石上、中村、中山)と形式を中心に説明するフォルム派(藤本、平田、長谷川、藤村)と分けられるように感じる。よくも悪くもイメージとフォルムに拘泥する内向きな建築家像が世代の紋切り的なイメージとして固まってきたような気がするが、このままでいいのだろうか。月末にINAX:GINZAで開催される連動企画展(6/28-7/5)、シンポジウム(6/28,7/5)は、この世代に対する新たな批評を構築する機会としたい。
申し込みはこちらへ。
https://www.japan-architect.co.jp/JA70_Symposium/
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BUILDING Kの竣工引き渡し、学会の黄表紙論文の提出を終え、ほっと一息つきたいところだが、書籍企画、原稿依頼、ゲスト審査員依頼などが続く。
28日から始まるJA連動企画「風景の解像力」展の会場調整も佳境。それぞれの建築家の希望を叶えるのは想像以上に骨が折れるが、調整ごとは嫌いではないし、お祭りのようで楽しい。内容は各事務所とも気合いが入っているのでシンポジウムの抽選に外れてしまった人も、展覧会には来て頂ければと思う。会期が短い(6/28-7/5)のでご注意を。
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14日、前日に満田衛資さんより連絡がありBUILDING Kへご案内。その後ロータリー財団の最終オリエンテーションのため埼玉の坂戸へ。奨学生を送り出す。13:00から19:00までの長丁場。ロータリーの委員の方々も交代。打ち上げのあと、この日開通した副都心線で渋谷へ。後輩イハツの初担当作である14番出口を通って出ると、本人がいたw。突っ込みどころは満載ではあるが、イハツらしく都会的で端正な仕上がり。内側のガラスにエスカレーターを上り下りする人が映ってカコイイ。
17日、小さな改装の現場。4月入社の櫻井の初担当作。細かなミスが出てしまったが、いいスケールでまとめられたのではないか。お施主様にも喜んで頂けてとりあえず一安心。
19日、この日はアポだらけ。10:00長谷川豪さん、JA編集部の橋本さん、有岡さんとJA展シンポジウム打ち合わせ@新建築社。顔ぶれから言ってどう転んでも面白くなるだろうが、当日の話の道筋をつけるべく若干の議論。
昼食後、13:30PROJECT KOHの定例@品川。いよいよ現場が始まる。気を引き締めて行きたい。移動し、16:00JA展会場打ち合わせ@INAX:GINZA。細かい確認。基本的なことを話し合ったあとはスタッフの伊藤に任せて移動。
18:00過ぎ、スタッフの城間とオーノさんと待ち合わせBUILDING K打ち上げ@リーガロイヤルホテル早稲田。お施主様のお招きで設計事務所、ゼネコン、不動産管理、銀行など、関係者が一同に揃う。お施主様のスピーチに感動。紹興酒に酔いしれて帰宅・・・したいところだが帰社し住宅のお施主様と打ち合わせ。終電ぎりぎりまで。
20日、10:00PROJECT n-GN1の設計分科会@現場事務所。午前中の築地は活気があって面白い。躯体が地上に顔を出して来た。仕上げを徐々にFIXさせていくべく打ち合わせを重ねる。18:00打ち合わせ@MDR。書籍企画と別企画、原稿など3件の打ち合わせ。
21日、10:00住宅打ち合わせ。コストコントロールに苦しんでいるが、何とかまとまりそう。当たり前だが、住宅の計画はビルとは違う難しさがあり、勉強になる。フィードバックを繰り返し、案はどんどん進化している。
14:00『ディスポジション』刊行記念シンポジウム「『うまくいくこと』の倫理と技術」@代官山ヒルサイドプラザ。岡崎乾二郎、小林康夫氏と並んでプレゼンテーション。南後君に「よく引き受けましたねえ」と言われびくびくしていたが、小林先生と岡崎さんにもいろいろ突っ込んで頂き、珍しかったからか会場からも質問が集中。「うまくいくこと」に絡めてきちんと反論できれば良かったのだが、しどろもどろに返答。
残念ながら本の内容について突っ込みを返すことはあまりできなかったが、建築設計における「うまくいくこと」の作業イメージを示すことは辛うじてできただろうか。声を掛けて下さった方々に感謝したい。
本番後も岡崎さんには「超設計プロセス論」のみならず「批判的工学主義」についてもいろいろ突っ込んで頂き、「『批判的工学主義』というのは『批判的批判的地域主義』ということだな!」とご理解(?)頂く。
会場に塚本研の後輩KとSとMYが来ており、打ち上げ後合流して感想を聞く。建築界にはない議論が展開して楽しめたとのことで一安心。帰社し打ち合わせをこなすも頭の芯が疲れる。
22日、10:30近代美術館の「建築が生まれるとき」展へ。担当学芸員の保坂さん経由で『美術手帖』誌での展覧会評のご依頼を頂いた。第一印象としては思考を空間化している青木パートが、青木さんにとって模型を時系列に並べることと設計の手法があまり関係ないように思えた。思考過程の単なるビジュアリゼーション(結果論)と、設計プロセス論(方法論)は大きく違う。逆に青木さんがストーリー(=物語、ナラティブ)についてすごく気にしているのが80年代的思考の影響が感じられて面白かった。
移動し、明治大学へ。学生団体MADS主催のコンペの審査員。お題は社会学的フィールドに建築的な問いを立てる、という趣旨で「次世代のコンビニ」とした。いろいろな案が出たが、形態を提出したもの(曲線で構成された案など)と空間モデルを提出したもの(住宅型のコンビニなど)、に分かれた。両者とも建築的思考と言えるが、より抽象的な後者を高く評価した。
審査では提出された案全てを整理して議論の軸を作り、分析しながら評価を決める、というある意味ではとてもオーソドックスな手続きを採らせてもらった。いいと思う作品をピックアップして、それだけを礼賛するだけだと審査員と選ばれた人だけが楽しいコンペになってしまう。全員の案をきちんと拾って、議論の全体に位置づけるというプロセスが大事だと考えている。そうすれば参加した人全員がコンペの意味を見出せるはず。
終了後のレクチャーは「批判的工学主義」と「超線形設計プロセス論」について。建築の芸術性よりも政治性を強調した。コンペの審議についての考え方と連続する話でもある。今までにあまりみられなかった議論なので、学生たちもきょとんとしている。僕の提示するストーリーは文章よりもレクチャーの方がわかりやすいと思うが、少しはこちらの考えが伝わったのではないかと思う。
fujimura
先日BUILDING Kへご案内した満田衛資さんがブログで感想を書いて下さっています。
満田衛資さんのブログ「だから構造家は、楽しい。」
http://ameblo.jp/mscblog
非常に正確に見て頂いていると感じる部分と、こちらの説明が足りず、誤解されてしまっていると感じる部分があります。
全体に「超線形設計プロセス論」には比較的共感するものの、「批判的工学主義」には違和感を感じていらっしゃるようです。僕の中では表裏一体なのですが、「なぜそれを主張するのか」というアジェンダ・セッティングの部分がうまく伝えられていないと反省しました。
メールでも叱咤激励を含んだご意見を頂きましたが、そちらもとても刺激的でした。ここで議論を尽くしてしまうと来月のインタビューで聞くことが無くなってしまいますので、話題をしっかり暖めておきたいと思います。
*
もうひとり、「藤村龍至について」というタイトルで僕のことを論じている人がいました。
itu415さんのブログ「カラー ミー ポップ !」
hhttp://d.hatena.ne.jp/itu415
批判の中に「叱咤激励」的なニュアンスを含む満田さんとは異なり、どちらかというと根本的な「批判」。とはいえ印象論に留まるものではなく、かなり正確に僕の書いたものを読み込んだ上で議論の前提を問いかけてくれています。
構築性を徹底し、飛躍を包含しない「超線形設計プロセス論」は言うならば、最適解のみを生産し続ける資本主義の建築のための方法論である。そこに至った藤村の問題意識は確かに的確であるが、彼が生み出した方法論は徹底すれば資本主義の要請する凡庸な最適解でしかない建築を生み、徹底しなければ建築家の作品としての建築を生む。
書いたものだけで議論を展開させた結果、結論を過剰に単純化させている節もありますが、なるほど、とも思いました。ただ形骸化に陥らず、かといってマニエリスムからも距離を取り、方法論を徹底することによって得られる複雑さを内包した解こそが建築家の作品足りうると主張している私からすれば、彼のイメージする最適解とは、資本主義の要請に従ったかのようにみえて、形骸化してしまった合理主義の産物のことのようで少々違和感が残ります。お会いしたことのない方だと思いますが、いずれお会いして議論してみたいですね。
いずれも自分の議論の伝わり方を知る上で勉強になりました。ありがとうございます。
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岡崎乾二郎さんからご返信を頂く。「批判的工学主義」について「輝く都市のコル(アルジェ計画+ビシー政権との絡みも含めて)などの問題とかもっと論じたかった」とのコメント。小林康夫先生からも同じく「検索不能なものとはなにか?ということで議論したかったですね。」とのレスを頂く。ありがたいですね。
17日、藤本壮介さんの事務所へ。前回は『新建築』の月評で「情緒障害児短期療養施設」について執筆するにあたって押し掛けたとき(2006年夏)以来なので、2年ぶり。当時「オープンデスクの風景」と呼ばせてもらった独特の内部空間は「外国人インターンの風景」へと変貌を遂げ、模型の山で事務所が覆い尽くされていました。
「読み飛ばしていた」という『JA70』の拙稿「批判的工学主義」については、「巻末の解説かと思った」「言葉が良くない」と厳しいコメントだったが、背景をお話ししていくうちに「意外と近いかも知れない」と認識を変えて下さった模様。僕の方も、原理的なモデルを量産する藤本さんの設計スタイルについて、コンテクストとの関係をどう取っているのかが理解できなかったが、商業空間の営みを自然現象のように眺めるまなざしがあることを知り、より深く理解できたような気がして楽しかったです。
24日、ぽむ企画の平塚桂さんと会う。学会の委員会などいろいろな場所でよくご一緒するが、じっくり話を伺うのは初めて。建築家の使う言葉に疑問を持ったこと、建築×映像がコンセプトの「建築ナイト」が今から思えば建築×情報だったこと、80年代のニュータウン育ちという共通点、などなど。同時代性を感じられてこちらもとても楽しかったです。
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告知:7/10-12に取材で関西・広島に行きます。盛り上がりましょう!詳細は後日。
fujimura
「風景の解像力」展、いよいよ6/28からINAX:GINZA7Fで始まります。先ほど会場から戻ってきました。
20:00搬入開始。一番乗りは長谷川事務所。続いて乾事務所、藤本事務所が到着。平田事務所、中村事務所も続々到着。石上事務所と中山事務所は明日らしい。
展示は各事務所とも気合いが入っている。初日のシンポジウムは5倍の人気だったそうで、東大より人気ですねw。チケット当たった方は外れてしまった方の分もしっかりメモを取って、ブログにがっつり即日レポートするつもりで来て下さい。
明日は朝8:00から設営です。
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以前RAJの配布に協力してもらった京都精華大新井研の渡辺雷蔵君から『京都精華大建築学部優秀作品集』を送って頂きました。どうもありがとう。
「この冊子はRAJから直接的に影響を受けています」とのことで、学生にインタビューを行い、それだけで構成している。ちょっと分析的でカウンセリングっぽい話の聞き方など、確かにRAJ風。
話のまとめ方がうまい。学生の皆さんの話の魅力的な部分がうまくパッケージされていて、ストレスなく読めました。この調子で議論がどんどん生まれるといいですね。
他方、東北大五十嵐研の大学院生からインタビュー依頼。「批判的工学主義」に興味を持っているとのこと。
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dot architectsの家成俊勝さんを中心とした関西在住の若手建築家の皆さんで7/10に関西方面で計画していたイベントの開催場所が神戸芸工大カフェテリアで決まったそうです。家成さん、会場探しにご協力下さった皆さん、どうもありがとうございます!
詳細は未定ですが、濃密な議論の場にできればと思っています。
東京も、関西も、地方も、どんどん盛り上がって行きましょう。
fujimura
8:00会場入り。各事務所のスタッフが続々集まり、テキパキとセッティング。王道的模型展示と映像で構成と生活を見せる長谷川豪さん、巨大なグラフィックと造形的な模型群でコンセプチュアルに攻める平田晃久さん、対照的に小さな本とテーブルを展示し、来週から始まる個展の予告を行う石上純也さん、ジュエリーのように完成度の高い模型と小さな写真で埋め尽くす中村竜治さん、スタディ模型を山のように積み上げた藤本壮介さん、キメの細かい演出でコンセプトをコンパクトに表現する乾久美子さん、繊細なドローイングだけで空気を作ってしまう中山英之さん、というように各建築家の展示も素晴らしくテンションが上がる。
藤村事務所は超線形的なプロセス模型をずらっと並べ、BUILDING Kの1/20を並べ、方法論を展示した。設計のプロセス(結果論)というよりもプロセスの設計(方法論)を提示するということを暗示するために、魚の発生プロセスとエクセル表を掲示。
13:30一旦会場をあとにし、事務所へ。打ち合わせ後、会場へ戻るといきなり混雑が始まっており、手応えを感じる。
16:00関係者顔合わせ。主催者の新建築社、INAX、出展建築家、グラフィックデザインを担当した刈谷さんらが集合。橋本さん、INAX:GINZA辻館長ほかから諸々説明。
17:00シンポジウムスタート。最初は各建築家からのプレゼンテーション。4人とも熱が入りやや伸びるも充実した内容。幕間にコメントを挟む。
休憩後、ディスカッション開始。「司会がしゃべり過ぎ」と突っ込みも入ったが、グローバリゼーションによって顕在化した場所性や慣習の流動化という社会の問題と、情報技術によって可能になった動的な形式性という建築の問題をどう繋げるか、という議論のフレームに4人の実践を位置づけようと試みる。
時間配分に注意しながら議論の流れを作る。LRAJなどで壇上の議論にも少し慣れて来たつもりだが、まとめが難しい。途中一旦ブレイクし、レビューを担当される倉方俊輔さんにコメントを求める。各建築家の立場に明快にコメントをつけてくれたが、「『建築の慣習』というのはつまらない」と司会にダメ出し。
その後の質疑応答は思ったよりも静かだったが、平田さんが「コンテクスチュアリスム(文脈主義)vsフォルマリスム(形式主義)の対立は無効になった」とはっきり宣言してくれて、胸がスカッとした。外部空間についての長谷川さんのコメントは「建築とは街を愛する方法だ」と言っているように聞こえ、とてもいいと思った。
4人の建築家から力強いコメントが出て来て急に気が楽になり、開放的な感じでじゃべりはじめたら急に会場が暖まる。
終了後、司会について「LRAJより俎上に上る覚悟が出ていた(倉方さん)」「最初からあの感じでやればいいのに(新建築編集長・四方さん)」とコメントを頂く。(いつもながら)誉められているというよりけダメ出しに聞こえるのは気のせいか。
来週は自分が発表する番だ。どのような展開になるだろうか。長谷川さんの手腕に期待することとしよう。
*
倉方俊輔さんが早速昨日の模様をアップしています。昨日参加したブロガー諸兄のレポートも楽しみにしております。
倉方俊輔さんのブログ「建築浴のすすめ」
http://kntkyk.blog24.fc2.com/
fujimura
事務所をBUILDING K内へ移転することにした。最上階の一室である。今の渋谷にある事務所は立地もよく、坂を上って行くアプローチや周辺の感じが気に入っていたので特に不満はなかったのだが、最近は手狭になってきたことと、自分たちで設計した建築に入居できるチャンスは少ないと考えたことと、何よりも勉強になると考えた。「風景の解像力」展で模型が出ている隙を見計らって残りを移動するという作戦。
2日、引っ越し1日目。本箱と模型から順番に移動。19:00、この場所で夕食を取るのも最後となる。2005年10月以来、2年9ヶ月。モノがなくなって声がよく響く。事務所開設当時を思い出す。
「UTSUWA」も「BUILDING K」も、「批判的工学主義」も「超線形設計プロセス論」も、フリーペーパーもTable of Youthも、全部渋谷のこの部屋から生まれたものだ。たくさんの学生たちに来てもらった。今となっては連絡の取れない人たちばかりではあるが、感謝しています。
新しい事務所から、さらに多くの建築と、コンセプトと、情報を発信して行きたい。
7/3(木)より連絡先が変更となります。高円寺駅から近い(徒歩3分)ので、お近くにいらした際はぜひお立ち寄り下さい。本日一杯は引っ越し、土曜日はシンポジウムと会場の撤収などでバタバタしていますので、落ち着くのは週明けになりそうですが・・・。
*
FORM_Story of designにて展示をレビューしてくださいました。私たちの展示やBUILDING Kについてコメントを頂いています。
今回初めて藤村さんの模型をみて正直おどろいた。建築が微に細に入り人間の思考とそして手の動きのなかでこのように具現化されるものなのか、整然とならべられた建築模型から、建築家本人の人格までもがあわわせれていて、まるで優れた私小説を読むような充実した印象をもった。
http://form-design.jugem.jp
五十嵐太郎さんも展示を見て下さったようです。近代美術館における青木淳の「迷宮的」プロセスの展示と私たちの構築的な手続きの展示が比較されています。
http://www.cybermetric.org/50/
そのほか、ブロガー諸兄のリポートも続々UPされています。
g86山道拓人
http://d.hatena.ne.jp/sandotakuto
sawada
http://croquisxcroquis.blog21.fc2.com
taniyaan
http://taniyaan.blog.drecom.jp
最後に、展示を手伝ってくれたDESGIN HUB中島弘陽のブログで、準備風景がレポートされています。
http://blog.livedoor.jp/koyonet
5日までで終わってしまうのがもったいない感じもしますが、シンポジウムで盛り上がってしっかり終わりたいですね。
fujimura
昨日から、自分たちで設計した建築を自分たちで使っています。すごく不思議な感覚です。仮に使っているだけなのではないか、数日したら渋谷のあの部屋に戻るのではないか、という錯覚にときどき襲われつつも、快適に過ごしています。
使ってみるといろいろ気がつくことがあります。今のところ使い勝手は悪くないし、寸法もいい感じ。昼の感じも、夜の感じも、なかなか気に入っています。建築を使うことが、こんなに楽しく、気持ちのよいものだとは。
*
「批判的工学主義」について、コメントが続けて出ています。
10+1ウェブサイト
議論が拓く世界──「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」評釈(前篇)|倉方俊輔
http://tenplusone.inax.co.jp
建築史の倉方俊輔さんが、LIVE ROUND ABOUT JOURNALのレビューと、それをもとに議論を展開して下さっています。
LRAJの発表を聞く限り、誤解の種になりそうなポイントは大きく2つある。
ひとつは、既往の建築論との違いに重きを置くあまり、単なる「工学主義」と混同されてしまいそうな点。(中略)もうひとつは、どこまでが「批判的工学主義」の理念で、どこからがそれを達成する手法であるかが、混同されやすい点である。
厳しいなあ(^_^;)。でも、まさにその通りです。
ここでいう「新たなる場所性」とは何か? 「批判的工学主義」を《手段》としたときの《目的》とは何か? 衒いを捨てて、次に論じなければならないようだ。
そうそう、そうなんですよ(-_-)/!!。
明日のINAX:GINZAで、できれば論じたいです。そこんとこ、よろしくお願いします>倉方様
もうひとつは千葉大学の岡部明子先生。
古き良き都市を標榜する反動的な都市論が目を背けてきたマーケットの必然的産物であるコンビニやタワーマンションや郊外地区。建築家としてこれらと正対しようとする姿勢は頼もしい。
ありがとうございます。
ただ、工学主義を利用する「戦略」とは具体的に何なのか。「メディア論と建築の共同作業」(長谷川一、メディア論)、「計画学と行政の連携」(岩佐明彦、建築計画)が手がかりとして出てはくるが、いかにも動きが遅く弱い。商業主義がマーケティングに圧倒的な投資をして築いているデータベースの牙城を我がものにしている限り、「批判的工学主義」に実効性のある戦略を期待しうるのだろうか。
倉方さんの問いとも通じる問いかけですね。今後の運動の展開や、設計の実践で徐々に示して行きたいと考えています。
*
30日、18:00編集委員会@建築学会。先日ネットで藤村批判を繰り広げていた学生は五十嵐研の院生ということが判明。
1日、10:00BUILDING Kの掲載打ち合わせ@新建築社。ページ構成を考え、写真を選ぶ。13:00『建築雑誌』に連載中の「建築マンガ」のため漫画家さんと打ち合わせ@外苑前。15:00インタビュー@TNA。武井さんは塚本研出身なのでお話する機会は多いが、じっくりコンセプトやルーツについて伺うのは初めて。とても面白い。
事務所に立ち寄る間もなく地下鉄で移動し、伊東豊雄×セシル・バルモンドの講演会へ。打ち合わせ続きでぼーっとしていたら話しかけられること数回。卒業設計講評会で出会った人が東京に出て来たり、社会人になったり。頼もしい。
セシルの英語は聞きやすく、論理構成がかなり図式的でわかりやすい。
曰く、
1.中心があり、対称的な幾何学
2.中心がずらされ、歪曲された幾何学
3.アルゴリズムで構成されたダイナミックな幾何学
モダニズムは1、デコンは2、自身の展開は3。
アルゴリズムで出来た空間の意味は「ラブリー」以上には語られないのだが、それでサマになるのだから文句は言うまい。建築の新しい展開として、とても面白い。
伊東さんのレクチャーでは「諏訪湖博物館・赤彦記念館」(1993)が1として反省的に語られ、「サーペンタイン・ギャラリー」(2002)が3として位置づけられている。「多摩美術大学図書館」(2007)は2だし、UCBのギャラリーなども2であろう。伊東建築は2と3のあいだで試行錯誤を繰り返していることがよくわかる。
会場(1800人収容)は満員御礼。学生も多いが、スーツを着た社会人も多い。そのことが多少不思議にも思える。セシルの思想はヨーロッパのサロンでは熱狂的に迎えられているとしても、現代の日本社会ではすぐに応用可能であるとは言い難いからだ。
僕らはどうやってレファランスすればいいんだろう。レクチャーで盛り上がって、翌朝オフィスにつく頃には忘れるのか、その日から実務に応用するのか。思想と実務が連続する社会ならもっと面白くなるはずだ。ではどうすればいいのか。それは「批判的工学主義」のミッションのひとつでもある。
3日、11:00打ち合わせ@エクスナレッジ。先が見えて盛り上がって来た。14:00ゼミ@東工大。20:00永山祐子さんインタビュー。23:00事務所に戻る。
*
最後に、告知を。アキレスの皆さんと、神戸芸工大の皆さんのご協力を得て、10日に以下のイベントを行います。神戸近辺の方はぜひいらしてください。
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ラウンド・アバウト・ジャーナルVol.8公開収録
「若手建築家のアジェンダ」
1995年以降、経済のグローバル化と、情報技術の環境化によって建築設計を取り巻く環境は厳しさを増している。1970年代に始まったアトリエ系建築家と組織・ゼネコン系建築家の乖離や、2000年代以降のあいつぐ建築専門誌の休刊によって議論の場が消滅したことによるメディア環境の断絶は、解決の糸口も見えないまま私たちの前に立ちはだかっている。
2002年より活動を開始したROUND ABOUT JOURNALはブログ、フリーペーパー、イベントの開催などを通じてアトリエ系と組織・ゼネコン系、東京と地方などをブリッジする議論の場を設計しようとしている。今回は、関西地区の若手建築家に公開インタビューを行うことで、彼らが何を考え、実践しようとしているのか、それぞれのアジェンダを共有する場としたい。
■日時:2008年7月10日(木)18:30-21:00
■場所:神戸芸術工科大学 セレンディップギャラリー・カフェ(D棟)
■アクセス:http://www.kobe-du.ac.jp/access/index.htm
■参加建築家(敬称略)
柳原照弘(isolation unit)、市井洋右(市井洋右建築研究所)、今井敬子、山崎亮(studio-L)、香川貴範(SPACESPACE)、家成俊勝 大東翼 赤代武志(dot architects)、笹岡周平(WASABI)、藤村龍至 山崎泰寛(TEAM ROUND ABOUT)
■タイムテーブル
18:30-18:50 挨拶・問題提起(藤村)
18:50-21:00 ディスカッション
■主催:TEAM ROUND ABOUT、アキレス
■お問い合わせ
dot architects
tel : 06-7171-1977
mail : dotarchitects@tcct.zaq.ne.jp
■協力:神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科
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明日は頑張ります。
fujimura
昨日で「風景の解像力」展終了。シンポジウムも盛況でイベントとしては大成功。新建築社とINAXのコラボレーションというかたちが作れたのはよかった。このような場を作って下さった両社の皆さんには感謝したい。
今回の雑誌、展示、シンポジウムは、多角的に各建築家のアイディアを知らせるいい機会になっただろうし、自分にとっても世代の近い建築家の皆さんと並んで雑誌や展覧会でプロジェクトを発表する初めて機会だったのでとても勉強になった。
順番に振り返ってみよう。
まず雑誌で思ったのは、自分たちのページが全体の中でかなり浮いてしまったということ。最初に編集長の橋本さんから頂いたお題は「作品紹介ではなく、ステートメントを述べるように」と言うものだったのであえてテキストに6ページを割き、かなりはっきり理論的な文章を書かせてもらったのだが、ビジュアル・インパクトという意味では少し弱かったかも知れない。もっとも、しっかり文章を書いておくとあとでじわりじわりとリアクションが増えてくるので、長期的にみてどちらがいいのかわからないが。
次に展示で思ったのは、特に僕たちの場合は模型がメインだったので、本より意図がはっきり出たということ。今回も方法論に特化した展示を試みたが、隣の藤本さんや石上さんの展示をみて、何事もつかみが大事だという気もした。もっとも、デビュー戦では全力でやるしかないのだが。
最後にシンポジウムで思ったのは、改めて思いを伝えることは難しいということ。自分のキャラクターは出せたし、話したいことを話せたのでその意味では後悔はないが、あとで長谷川さんに「自分は他の人たちがやろうとしないことをやっている、とはっきり言えばよかったのに」と言われ、なるほどと思った。
終了後、南後さんに「今までの発表のなかで一番よかった」と言われ、写真家の川村さんやNUNOの安藤さんに「今までは隙がないという印象があったが、今日の話を聞いて好感が持てた」と言ってもらえたものの、藤本さんには「昔、ギャラリー間で篠原、長谷川、隈、藤本で出たときの篠原さんみたいだった」と言われる。要するに浮いていたということでは。
いつもそうだが、イベントで何かを大量に発信した後は、エネルギーを大量に放出するのでぐったりと疲れる。昨年のプリズミック・ギャラリーのときはオープン後しばらく何も手につかなかったほど。最近は立ち直りが早くなって来たので以前より馴れて来たとも言えるが、意図が通じなかったり、思うような評価が得られないことで、若干のフラストレーションも溜まる。
でもまあ、それがよいのだ。今回できなかったことを改善して、次に活かせればよい。またみんなで集まって、表現して、議論できれば楽しいではないか。
fujimura
久しぶりに関西に来ています。
10日は神戸芸工大カフェテリアで「ラウンド・アバウト・ジャーナルVol.8公開収録『若手建築家のアジェンダ』」を行いました。短い告知期間にも関わらず80名くらい集まり待って下さいました。
早速をレポートを、と思いましたが既に詳細なレポートがUPされています。ありがとうございます。
portrait in something
http://shinkiti.exblog.jp
ブログまでブログ
http://d.hatena.ne.jp/sakakibara1984
詳細は後日振り返りたいと思いますが、皆さんバラバラで議論が成立しないかも知れない、と心配されていたのに、強い議論の軸が取り出せました。
終了後、皆で地下鉄で三宮に移動し、軽く打ち上げ。終電で帰宅。最後の電車まで、ずっと議論が止まらない。何なんですかその熱さは。
11日は朝イチで京都四条の満田衛資さん、その後広島に移動し谷尻誠さんを訪問。詳細は後日。
夜はFUTURE STUDIOの小川文象君、宮森事務所の石川誠君も合流し、飲み。こちらもとても熱い。
future studio weblog
http://fstudio.exblog.jp
12日は朝イチで京都に戻り静原の森田一弥さんを訪問。その後豊中のdot architectsへ。こちらも詳細は後日。
インタビュー終了後、神崎川駅近くの沖縄料理屋に10日のメンバーが再集結。議論の続き。
店が閉まり、神崎川の川辺に移動し、車座になって議論。10日に議論し足りなかったので、studio-Lの山崎亮さんに絡んでみる。
いい大人が集団で座り込んで河原で議論をしている絵が可笑しい。時折通り抜ける夜風が気持ちよい。議論を続けながら、この気持ちよさと楽しさは一生忘れないだろう、と思った。
「風景の解像力」展に続いて、いい刺激になった。お世話になった皆さん、どうもありがとうございました。
fujimura
8日、20:30松川昌平さんインタビュー@BUILDING K。松川さんとは2002年くらいからおつきあいさせて頂いているが、じっくり話を伺うと見えてくるものもある。特にデザイナーとは何か、建築とは何かについて考えさせられる。
10日、午後イチの新幹線で16:00過ぎ神戸入り。三宮でdot家成俊勝さん、大東翼さんと待ち合わせ。喫茶店でちょっとした打ち合わせ後、学園都市の神戸芸術工科大学へ。小学生4年生のとき地下鉄が名谷から学園都市まで延伸されて父と乗りに来たことがあるので、かれこれ20年ぶりということになる。ザ・郊外的な風景が広がる。
今回の公開収録イベントは、僕が別件の企画で関西方面を訪れる機会があり、それに合わせて家成さん、今井敬子さんらが動いて下さり実現したもの。
18:30、人も程よく集まりイベントスタート。トップバッターはデザイナーの柳原照弘君。女の子の入ったスタイリッシュな写真でコンセプチュアルな作品を説明。プレゼンのスタイルは東京で言うと中村竜治さんのものに近いが、中村さんをもっと社会化したような感じである。クールに自己分析しながら話すスタイルにとても共感した。
続いて市井洋右君。郊外の住宅地に立つ住宅を2つほどプレゼ。「単純な形態で複雑な空間を作りたい」と主張。
3番目はSPACE SPACEの香川貴範さん。住宅、ホヅプロ、熊本駅前広場コンペ案を例に「package」「ヒューマンスケープ」といったキーワードを提示しながら、デザインにおける「『』を設計する」というデザイン行為における問いの立て方そのものを問う。「ぐちゃぐちゃしたものを捉えられないか」と問題提起。
4番目はWASABIの笹岡周平君。インテリアの領域でキャリアを積んだだけあってエモーショナルな空間作りがうまい。結婚式場、福祉施設、住宅と手がける領域も広い。
5番目は今井敬子さん。アトリエ系と組織系両方の勤務経験から、「反工学主義」と「工学主義」の境界は「2000平米がクリティカルになる」と興味深い主張。BUILDING Kがちょうどその規模である。2000平米を超えると設計が自動化していくという。まさに工学主義である。「ある一定規模をどう超えるか。」と鋭く問題提起。
6番目はdot architects。家成さんとは昨年apple storeで講演を2度一緒にやらせてもらった。彼らの考え方は十分に知っているつもりだが、今回もどんどん思考が発展し、仮説が確信に満ちていて正直驚いた。来春竣工予定という「住宅00」はドミニク・チェン君が「設計の道具としては最もコンピュータから遠いが、思考としては最も近い」と述べていたプロジェクト。「脱中心化」「動的編成」をキーワードに掲げる。
最後はランドスケープ・デザイナーの山崎亮さん。いきなり「『批判的工学主義』が何のために『批判的』なのか、金儲けがしたいだけじゃないのか。本当にそのデザインを続けていくことが人を幸せにできるのか。」と挑発的に問い詰める山崎氏。背筋が伸びる。
まずローレンス・ハルプリンの『ニューヨーク・ニューヨーク』を引きながらデザイナーズ・デザインを批判。自身のプロジェクトを簡単に紹介しつつ「人口減少時代にデザインをどう位置づけるか」「市民の主体性をどう引き出すか」「いま建築に何が可能か」「『社会建築家』は可能か」とたたみかける。大きな声と流暢な運び、理論と実践を踏まえた完璧なプレゼに圧倒される。「風景の解像力」展のシンポジウムにこんな人がいたらみんな黙ってしまったであろう。
発表の順番を考えているとき、なんとなく柳原君スタート、山崎さん終わりにするといいのでは、と思ったがこれが大当たり。紋切り型の「デザイナーズ・デザイン」に懐疑的な山崎さんと、紋切り型の「公共」に懐疑的な柳原君の対立軸が実にきれいに浮かび上がった。もうモデレーター要らないくらい。
一旦ブレイクし、個別に質問を。柳原君:「場所性をどう捉えるか」、市井君:「周辺環境をどう捉えるか」、香川さん:「全体性をどう捉えるか」、笹岡さん:「デザイナーの主体性をどう確保するか」、今井さん:「『ある規模』を超えたときの建築的思考の可能性とは何か」、dot:「『脱中心化』していったときの効率をどう確保するか」、山崎亮さん:「デザインの力をどう位置づけるか」。
以降の詳細は長くなるので別の機会に譲るが、個人的には柳原君の「ものをどう楽しんでつくれるか?を伝えたい」「ものをつくらないことも伝えたい」という問いかけが山崎亮さんの問いかけにぴったり重なったのが興味深かった。両者とも「デザイナーとは何か」ということを最も問題にしている。僕が「批判的工学主義」の議論で伝えたいこともそこだ。もっと議論を尽くしたかったがそこでタイムアップ。
最後に神戸芸工大の長濱伸貴先生にコメントを頂いてシンポジウム終了。時間はもっと欲しかったが、濃密な時間を過ごした後の充実感が残った。他方で山崎亮さんの冒頭の挑発に応えきれず、多少の悔しさもあったが、それは12日の深夜、神崎川の河原で開かれた会議にて再び議題とすることでいくらか解消することができた。が、まだまだ議論して問題意識を共有していきたい。他にも香川さんやdotの皆さんが提示していたデザインの問題など、話したりないことも多い。
今回の議論は河原での延長戦も含めて可能な限り録音してあるので、次号のフリーペーパーにて濃密な記事となって皆さんの元にお届けできるはずだ。次世代を切り開く刺激的な議論の萌芽と、それを生み出す熱い建築家達の動きがここにある、ということを確信した。
改めて、今回の議論でお世話になった皆さんに感謝したい。またそのうち続きをやれればと思う。
fujimura
15日、13:00山崎亮さん来社。つい先日会ったばかりなのにもうこのタイミングで訪ねて来て下さるこのフットワーク。事務所を見て頂き、軽くBUILDING Kの内部をご案内。先日の議論でご一緒して以来、根本的な問題意識が共通していると感じる。博士課程に在籍しているところなど共通点もある。いくらでも話ができそうな感じがする。
16:00INAX:GINZA。虫鹿さん、小熊さん、辻館長にご挨拶。「風景の解像力」展がうまく行ったので、またやりましょう、と言って下さる。ありがたい。
帰りに石上純也の個展「小さな本のための小さな展覧会」を見る。「風景の解像力」展でも予告されていた通り、ベニス・ビエンナーレに併せて編集されているという『plants & architecture』のページを展示。シンポジウムでは「植物は周辺環境の象徴」と話していたが、都市的なスケールに自作を位置づける試みは少し意外。展示空間は90年代にセゾン美術館で開かれた「迷宮都市」展の妹島和世さんのコーナーを思い出す。
17:00大野博史さんインタビュー@オーノJAPAN。建築家とのコラボレーションの話になって、我々はいつもパラメーターを整理して諸条件を調整していくが、そのようなパラメトリック・スタディはどちらかというと構造家の思考だということを指摘されて驚いた。BUILDING Kはパラメーターのはっきりした建物だが、それはスタディの仕方がはっきり影響している。他の建築家はスケールとかプロポーションとか空間のイメージを提示するのだと言う。なるほど、そうかも知れない。
大いに納得し、「だから話が合うんですね!?」と実感を込めて同意を求めると「いや、構造としてはやりにくいです」と距離を取られる。
20:00中村竜治さんインタビュー@中村事務所。卒業設計の講評会とか、シンポジウムとかではご一緒することはあるが、この日は改めてじっくり話を伺うことができた。「かたち」の意味するところ、特に形式について、「美しいもの、繊細なものには人は何か感じるはずだ」という信念。「short cut」のある流山のコンテクストをどうか考えるか、みたいな少し意外な話もできた。
17日、10:30打ち合わせ@山本理顕設計工場。万国橋に移転してからは初訪問である。西田司さんとともにあるプロジェクトに携わることになった。山本さんに「西田さんと僕は同じ1976年生まれです」と言ったら「だからふたりを呼んだんだよ」と言われる。そういうコンセプトだったらしい。
以前から、高齢化と地域社会など、ミクロレベルで社会を論じる山本さんと中国でグローバルキャピタリズムに則ってマクロレベルで設計を実践している山本さんの関係に興味があった。話していると、前者の側面を西田さんが、後者の側面を僕がそれぞれ分担しているような気もしてくる。どちらも社会的なリアリティの問題であるが、建築家同士で十分な議論が尽くされているとは言い難い。
西田さんの事務所を拝見し、近所で昼食を挟みつつ軽くブレスト。途中Y-GSAの前を通ったが、心地よい距離感でいろいろな事務所や学校が集まっている馬車道駅周辺の環境はなんとなくロッテルダムのそれを思い出させる。OMAやベルラーへやMVRDVが至近距離にあり、互いに行き来しているあの感じである。
その後品川に移動して麹町の定例をこなして事務所に戻ると、程なくして大野さん来社。BUILDING Kをご案内。いろいろお話ししているとすぐに時間となり、移動。
20:00倉方俊輔さんインタビュー@王子。作家論に取り組んだきっかけと意義、歴史と批評の境界、実証と創作の境界、世代に対する認識などじっくり伺うことができた。熱い文章のタッチとは裏腹に、とてもクールに物事を見ている感じが意外。倉方さんのスタンスについて、理解を深めることができた。
19日、講評会のゲスト・クリティークに呼んで頂き、京都精華大へ。朝早くの新幹線に飛び乗り、地下鉄とタクシーで駆けつける。道中で商店建築のエッセイのオチと新建築8月号のキャプションを考えながら、宿題になっている乾久美子さんのテキストを読む。あれこれ考えを巡らせているうちにキャンパスに到着する。11:00新井先生ほかとご挨拶。学生の作品を眺め、投票し、学生とランチに出て、13:00講評開始。
新井清一さんのスタジオは「パラレル・アクティビティ」をテーマにしており、建築的思考を外部の領域へ拡張。パフォーマンス的な作品もあり、少々面食らうが、服部滋樹さんのスタジオのように比較的オーソドックスな建築的スタディをしているスタジオもあり、次第にコメントしやすくなっていった。鈴木隆之さんのスタジオはネットワーク・アーキテクチャーが主題。環境から情報を抽出する試み。
先週の神戸芸工大でのシンポジウムもそうだったが、一見バラバラな議論をしている、その多様性自体は価値のあることだ。しかし、それらを何らかのかたちで位置づけ、議論を束ねていくと、その場に思いがけないパワーが出てくることがある。少々力不足ではあったが、議論の場に呼んで頂いたからには、そのようなパワーを引き出すようなコメントを心がけたい。声を掛けてくれた学生の皆さん、お世話になった先生方に感謝します。
終了後、四条に事務所を構えるGENETOの山中コ〜ジ君と会い、近況を聞く。出町柳の三角州で京都精華大の学生、鈴木先生と打ち上げ。最終の新幹線で帰京。
fujimura
20日、13:00西沢立衛さん、MDR荻原さん、斉藤さんと待ち合わせ、乾事務所へ。ある書籍企画のため、乾さんのレクチャーを聴く。西沢さんのコメントに対して、自分の意見を述べる。緊張したが、とても楽しかった。
21日、工藤和美さんにお声掛け頂き、川越市内で開かれた「まちかど講評会」へ。閉鎖した映画館の建物を利用して課題の講評を行う。東洋大学では川越を舞台に課題に取り組んでいるそうだが、僕が川越高校の出身ということで声を掛けて下さった。山崎別邸という大正時代の邸宅を残し、庭に地域の交流施設を計画するという課題。学生の課題に対し、コメント+ショート・レクチャーを行う。
映画館といい、山崎別邸といい、こういう歴史的な資源が豊富な川越は、全てタワーマンションに置き換わってしまった所沢に比べればまだ場所の濃密さが残っていると言える。が、観光地化された旧市街と、マンションが建ち並ぶ駅前の間の対立は以前に比べても深まっているという印象も残る。今や日本全国どこにでも見られる現象だが、我々は設計で答えを出すしかない。
22日、環境エンジニアリングの鈴木悠子さんインタビュー@BUILDING K。塚本研究室の出身で、今は設備設計の分野でキャリアを重ねており、BUILDING Kで初めて本格的に共働した。「設備家」と呼ばれるような、社会に向けて発言することのできる設備エンジニアのロールモデルが作れれば面白い。
23日、桑沢デザイン研究所へ。渡邉健介さんにお誘い頂き、前期課題のクリティークに参加。学生8名に対し、渡辺真理さん、木下庸子さん、大松俊紀さんら総勢7名の講師陣。高密度居住という課題。桑沢と聞くとインテリアのイメージが強いが、都市系の課題にも学生たちは意欲的な取り組みを見せる。
1999年夏、コロンビア大学でのサマースクールに参加した際に、ゲストクリティークに来ていたのが渡邉さんだった。あのとき、トレーシングペーパーで100枚以上のセクションを切る、など腕力で疑似的にコンピューター的思考を導入するスタイルに衝撃を受けた。日本ではスイス建築的なスタティックなボックスを寡黙につくっていくのが主流であったが、コロンビアでは3次曲面と形態生成のためのストーリーテーリングに熱狂していて、そのギャップはなんだろうと考えたことを不意に思い出した。
『新建築』原稿校了。BUILDING Kが8月号に掲載される予定。紙幅に限りがあるが、濃密な誌面ができたような気がする。
BUILDING Kと言えば、FORM_story of designにて詳細に論じて下さっています。
主観的BUILDING K 前編
主観的BUILDING K 後編
同潤会アパートとの比較は面白いですね。ありがとうございます。
時系列的には少し戻りますが、「風景の解像力」展シンポジウムについて、松島潤平のレポートがUPされています。
また、森田一弥さんが、ブログにて先日インタビューのことに触れて下さっています。
森田さんにはいつかお話を伺ってみたいと思っていましたが、お話ししてみると社会との距離とか、自らの職能をかなり正確に位置づけていらっしゃって驚きました。静原の美しい風景を眺めながら、全然フィールドが違うけれど、きっかけが違えば僕もここにいたかも知れない、と思えるような、不思議な交換可能性を感じる。
その前日の満田衛資さんへのインタビューは、ブログで書かれていたことも含め、誤解を解く機会になったのではないかと思う。個人的には構造家としての満田さんにも興味があるが、京都の歴史に位置づけられた建築家としての満田さんのスタンスにも興味があり、今回は主に後者のお話を伺った。設計プロセス論についてや、理論と実践の関係など、もっと突っ込んだ話も伺いたかったのですが、今後も継続的に議論させて頂ければと思う。
場所との関わりで言えば、谷尻誠さんは広島をベースにされているから、もっと広島の話題になるかなと思いきや、あまりそういう話にはならなかった。むしろエリアを限定せずに活躍されているので、広島のことを殊更に意識することもないそうだ。とにかく伝えていきたい、と前向きに話す谷尻さんには大きく刺激を受けた。
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24日、田中浩也さんへインタビュー。tEntの事務所を初めて訪れた。様々な工作機械とコンピュータ機器が並ぶ工房。久しぶりにゆっくりディスカッションできた。
26日、10:00小野田泰明さんをBUILDING Kご案内。もっといろいろなことをお話ししたいと思った。12:30、少し遅れて山本事務所へ。山本理顕さん、西田司さんと打ち合わせ。
その後、日本橋に移動し、ラウンドリーディング・プラスに出演。五十嵐太郎さん、槻橋修さん、南泰裕さん、平田晃久さん、吉村靖孝さんと公開読書会を行い、ディスカッションするという企画。
僕の課題は隈研吾さんの『10宅論』。五十嵐さんにこの本を割り当てられたとき、なぜだろうと思ったが、松島JPに「確かに似てますね」と言われる。建築家を社会のなかに位置づけようとする姿勢は共通しているかもしれない。
つかもと師がかつて、住宅を日本の伝統と結びつけた篠原一男を「1宅論」、商品化住宅との対比を指摘した坂本一成を「2宅論」であるとし、その先に「10宅論」を位置づけ、さらに住宅のスタイルが部分化した現代は「1000宅(選択)論」が必要であると主張したが、ここでは現代はスタイルの多様性を生み出す構造そのもの注目するべきであり、住宅というカテゴリーでの議論を一旦キャンセルする「0宅論」を採るべき、と主張してみる。
我ながらキャッチーなのでは、と悦に浸っていたところ、隣に座っていた平田晃久さんに「『0宅論』は『オタク論』とも読める」と突っ込まれる。
会場で五十嵐さんに藤村批判を繰り広げているI君を紹介され、話す。大学院生らしく、いろいろ興味や関心が振れているようだ。批判でも賞賛でもいいが、それがある一貫性に基づいているものでなければ単なる言葉遊びとなる。今後も精力的に評論を量産して欲しい。
fujimura
28日、編集委員会@学会。途中退出し、スタッフと構造家の大野さんと待ち合わせ、近所にあるゼネコンにて打ち合わせ。少々ヘビーな空気からスタートしたが、ポジティブな空気で終わる。何事も早めの調整が肝要。
29日、11:00鳥村さん追加撮影立ち会い@BUILDING K。14:00日経アーキテクチュア取材。19:00H邸の工務店営業+積算担当者来社。
21:00長谷川豪さんインタビュー。長谷川さんは元々つかもと研での同級生だが、互いに作品を発表するようになり、文章を書くようになり、展覧会やシンポジウムに出るようになってきてからというものの、議論していて楽しいと感じる。この日も話題は自然に展開し、とても楽しいインタビューとなった。
しかし、いつから彼はあんなに渋く、さわやかになったのだろう。切断よりも連続を、対立よりも関係を強調するスタイル。これは好かれる。対して僕は連続より切断を、関係よりも対立を強調するのだが、それは異分野の人と意見交換するようになり、つくることの前提を説明する場面に多く出会ったせいだろうと思われる。逆に長谷川は建築分野の諸兄と交流するようになって連続や関係を強調するようになっていったのかも知れない。
31日、朝起きてメールをチェックすると「おめでとうございます」のメールがちらほら。BUILDING Kが『新建築』の表紙になっているらしい。プレゼンテーションしたいことをいろいろ詰め込みすぎて、少し心配していたのだが、まさか表紙に掲載して頂けるとは。四方編集長はじめ、『新建築』編集部の方々の英断に感謝したい。
11:00A邸引き渡し@和光。13:30定例@品川。移動し、16:00南後由和さんインタビュー@東大。この日を最後に助教に就任するとのこと。学生時代最後の記念すべきインタビュー。じっくり話を聞くのは初めてだが、各段階できちんと経験をストックさせながらキャリアを重ねているのがわかる。
20:30中山英之さんインタビュー。すごい人数がアトリエに集まっている。聴衆が多いので少々緊張したが、中山さんの回答は鋭く、かつ的確で、一瞬こちらのインタビューが上達したかと勘違いしてしまうほど無駄がなかった。終了後、スポーツの後のような壮快さを感じる。
1日、銀座プロジェクトの打ち合わせで外を回る。途中、本屋さんで『新建築』をチェック。本当に表紙になっているのを確認し、購入。
移動し、午後はキッチンショールームにて打ち合わせ。終了後、近所の「HUNDRED CIRCUS」へ。旧「ホテル海洋」の建築をコンバージョンしたリプラスの看板プロジェクトで、『新建築』8月号でも詳細に紹介されている。山口誠さん、永山祐子さんの部屋はどれも面白いが、足下のエントランスまわりが思ったよりも窮屈に感じた。
20:30大西麻貴+百田有希インタビュー。意外と苦戦。「スタンスを問う」インタビューだけに若い人は難しいが、じっくりと質問を重ねて答えを引き出す。
2日、納涼会@BUILDING K。屋上でのパーティは想像以上に気持ちよい。くぼみに家具がぴったりとはまって、スケールもいい具合である。来れなかった人も多かったので、涼しくなる頃にまたやりたい。
fujimura
4日、12:00設計製図第一講評会。この授業、帰国直後から4年間アシスタントを担当させてもらった。東工大を9月に満期退学することになったので(論文の作成は継続)、東工大でアシスタントを務めるのは今年で最後となる。いろいろと勉強させて頂いた。
5日、16:00名古屋工大の北川啓介さんインタビュー@BUILDING K。『建築雑誌』でマンガ喫茶に泊まり続けるというレポートを発表するなど、とにかく型破りでバイタリティのある人、という印象は1999年の夏に初めてニューヨークでお会いしたときから変わらない。当時北川さんはライザーウメモトのところで働いていて、僕はまだ建築を始める前、コロンビア大学のサマースクールに通っていた。
20:00この日2本目のインタビュー@トラフ。最近竣工したという「横浜の住宅」からいろいろ辿っていく。インテリアや商業系からスタートしているキャリアに興味を持ったが、設計はワン・アイディア型でそれをデベロップさせていくスタイルで一貫している。有意義なインタビューになった。
7日、16:00白井宏昌さんインタビュー@BUILDING K。ロッテルダムでの留学時代にルームメイトとしてお世話になった方で、今はLSEでオリンピックと都市計画の関係をめぐってリサーチをされている。
深夜、リビングでブログを更新していると白井さんが帰宅され、一緒にビールを飲みながら議論する、というのが日課のようになっていた。当時はCCTVの設計が佳境だったが、それが実現する前に僕の方のビルが先に完成し、案内しているのがなんだか変な感じだ。
8日、9:30打ち合わせ@INAX:GINZA。今年から来年にかけてサポートのお願い。これまでのフリーペーパーやLRAJ、「風景の解像力」展など、次世代の建築家が集まり、情報発信する場をINAX:GINZAを舞台に作ろうとしてきた流れを発展させ、新しい流れに繋げていきたい。
19:00インタビュー@中央アーキ。昨年刊行された『新スケープ』をめぐって問いかける。同世代なのでいつものようにリラックスできるし、同時にインタビューといういつもより特別なシチュエーションのおかげでいつもより真剣に話を聞くことができた。
この日でインタビュー取材はほぼ終了。これから編集作業にシフトし、11月に刊行される予定。面白い本になりそうだ。
*
2008年後半戦も佳境。詳細は追って発表していきたいと思うが、とりあえず流れとしては以下のような感じとなる予定。
8月 仙台・阿部アトリエにてレクチャー(25日)
9月 学会発表@広島大学(18-20日)+シンポジウム(企画中)
10月 日本建築学会でシンポジウム(2,9日)開催
11月 横浜トリエンナーレにて展示(21-30日)+シンポジウム(21日)
インタビュー集刊行
ROUND ABOUT JOURNAL vol.8発行
2009年1月 『LIVE ROUND ABOUT JOURNAL 2009』開催(24,31日)
3月 住宅竣工
5月 ビル(project n-gn1)竣工
7月 ビル(project KOH)竣工
10月のシンポジウムは学会の建築文化週間における本部企画で中谷正人さんが担当されてきたシリーズ「建築夜楽校」を引き継がせて頂くことになったもの。「建築学と社会学の架橋」をテーマとして、『建築雑誌』6月号の「批判的工学主義」特集を部分的に展開する内容になる予定。学会ならではという感じでゲストもコメンテータもモデレータもかなり多彩なので乞うご期待。
11月の展示は山本理顕さんにご推薦頂き、やらせて頂くことになりました。同じ1976年生まれの西田司さんとオープンしたばかりのBank ART Miniで2人展を行います。初日に山本+西田+藤村+αでシンポジウムも予定。個人的には「批判的工学主義」後の新しい展開の予感。
1月のイベントは今年1月に行ったものの続編。詳細はこれから詰めていきますが、あの熱気と興奮をもう一度蘇らせたいと思います。
このほか、『新建築』表紙の効果か、取材依頼、原稿依頼、イベント出演依頼、非常勤講師の依頼など。
*
ところで、以下のサイトでBUILDING K論が展開されていました。
時事的な話題について、メールで対談したものをウェブで公開するというものらしいです。
faas「いや、俺はけっこうこの建物は惜しいとは思ってるんだよ。」
motoa「ただ俺としては実は完全に否定的ではないんだよね。」
・・・ってオマエらどんだけ上から目線だよ(- e -;)
と突っ込みつつも(どんな方かは知らないので)、これまで僕が展開してきた設計論をかなり丁寧に読んで下さっています。学生ではなく実務をやっている方のようですが、少なくない時間を費やしてこの建築について論じて下さっていることは実にありがたいことです。
惜しむらくは、自分たちで設定したお決まりの結論を自分たちで脱却できていない前半部分。色眼鏡が少なくない事実誤認を生んでしまっています。こちらの説明が足りない部分でもあるのですが。
他方、後半部分では
faas「新しい建築家のタイプが生まれる予感も俺は感じている。」
motoa「少なくとも新しい建築家像の一つとして成立するんじゃないかな。」
という熱いメッセージも頂いていますので、いつか直接お会いして話してみたいですね。そして、彼らのスタンスも逆に問いたい。
その意味で匿名なのが残念。プロフィールを晒して議論を挑む勇気も必要です。建築家にとって評論のクリエイティビティとは、他者を論じて自らを位置づけることです。自らのスタンスがはっきりしていればネガティブなトーンに頼らずに互いの前提や可能性をはっきり位置づけることができるはず。それができないということは結局作家としてスタンスが定まっていないか、単に勇気がないだけです。
その意味で企画として「建築公園」には何かが決定的に足りないが、ここに欠けているものを次に期待したいと思う。
fujimura
22日、山本理顕さん、西田司さん来社。BUILDING Kをご覧頂き、横トリ展示打ち合わせ。
翌日、山本さんから電話。「とても面白かった。構成が緻密だと思った。意匠と構造と設備と。構造は誰?大胆だよねぇ。メガストラクチャーがああいう風に使えるとは思わなかったな。屋上の使い方も新しい。ただ、『周辺に合わせる』って説明する必要があるのかな。でも、とにかく面白かった。」と激励を頂く。
BUILDING Kの屋上の路地は「保田窪」みたいなところもあるし、資本の流れにオーバーライドするという「批判的工学主義」の主張は「建外SOHO」的でもあると勝手に思っていたので、ご本人に見て頂けてとても嬉しい。
25日、ヨーロッパの雑誌でコレスポンダント(特派員)をしているというオランダ人の友人が取材で来社@BUILDING K。「塚本の影響は?」「同世代の建築家との違いは?」などいろいろ聞かれる。これまであまり真剣に考えたことはなかったが、つかもと師の影響も、同世代の他の建築家との違いも、「都市との関係で建築を考えようとすること」なのではないかと思う。
14:00『建築雑誌』のマンガ打ちわせ@外苑前。月イチでいろいろな漫画家の方に会うのは面白い。今回ご担当頂く穂苅さんも強烈な個性を放っているので期待したい。
その後、近代美術館の「エモーショナル・ドローイング」展のオープニングへ立ち寄る。「建築が生まれるとき」に続き、保坂健二朗さんのキュレーション。今回の内容はいわば「芸術が生まれるとき」。アートの分野でプロセス論への関心の高まりがあるのか、保坂さんがそういう文脈を作ろうとされているのかはわからないが、アートの分野でも方法論への関心が高まりつつあるならば、それは興味深い流れだと思う。
26日、ライター加藤さんが取材で来社@BUILDING K。「主観的BUILDING K論」を書いてくれた方。いろいろお話しさせて頂き、楽しい時間を過ごした。プロダクトデザインのことをたくさん書かれているというので、柳宗理の「アノニマス・デザイン」との接続をお話ししたらすごく驚かれ、かつ納得されていた。「そう説明した方がわかりやすいですよ」をアドバイスを頂く。
柳宗理の「アノニマス・デザイン」が偉大だったのは、工業化社会を否定しなかったことにある。工業化がものすごい勢いで拡大するなかで手仕事の復権を唱えたモリス、民芸運動(反機能主義)から一歩進め、工業化の可能性と限界を見極めた上で、批判的に乗り越えようとする柳の精神(批判的機能主義)こそ現代のデザイナーは見習うべきではないか。同じ意味で、情報化、工学化の社会を否定せず、そこに現代の美学を見出そうとする「批判的工学主義」は現代のアノニマス・デザインを目指している(とこの際だから強調しておこう)。
27日、9:00打ち合わせ@虎ノ門。移動し、13:00山崎さんとRAJ関連打ち合わせ@京橋。15:56の新幹線で仙台へ。仙台駅で堀口徹さん、五十嵐太郎さんと合流し、阿部アトリエへ。
阿部アトリエは倉庫ならではの開放的な雰囲気。松川さんたちと作ったsyncを思い出す。その後、五十嵐太郎さんによるインタビュー。編集なしで音声配信するとのことで緊張するがやってみると意外と面白い。RAJの由来、コンセプト、今後の展開など15分でコンパクトに話す。
やがて定刻近くになると小野田泰明さん、石田壽一さん、本江正茂さんなどそうそうたるメンバーが集まって来られ、緊張。会場も、夏休みなので少ないかと思ったが、しばらくすると立ち見も出ていた。
レクチャーの構成は迷ったが、建築プロジェクト「BUILDING K」>理論「批判的工学主義」>方法論「超線形設計プロセス論」>メディア展開「PROJECT ROUND ABOUT」の順に話す。
終了後の討議で、五十嵐さんにみかんぐみの「非作家性」の議論との連続性を指摘される。まさにその通りで、さきほどの「アノニマス・デザイン」や「批判的工学主義」の文脈に照らして、その現代的な意義をを再評価できないかと考えている。他方、みかんぐみがフラットネスを主張してもそのプロセスはブラックボックスなのに対し、僕は「超線形設計プロセス論」によって徹底的にオープン化しようとするという違いも同時に指摘して頂いた。
石田壽一さんには論文と実務の関係性を突っ込まれる。ちょうど8月の黄表紙に論文が掲載されたばかりということもあり、かなり突っ込んだ質問を頂く。「一次オーダーとしての都市形態と二次オーダーとしての建築類型の関係についてどう思っているのか」「一次オーダーに影響を与えようと考えているのか」「研究と設計の関係はどう説明できるのか」などなど。
一生懸命答えるも、しどろもどろで大学院の面接試験のような雰囲気になってしまったが、「超線形設計プロセス論」とは、仮説からスタートし、検証した内容を線形的に書き下すことで再現性を表現する論文の作成方法のような設計手法であると説明する。
東京からわざわざ来て下さった方もいて恐縮したが、学生(主に東北大?)は思ったよりもおとなしかった。先生方が活発だから遠慮が働いたのだろうか。もうちょっと論争などしたかったのだが、またの機会に譲るとしたい。
終了後、先生方と食事。皆さんとじっくり議論の続きをさせて頂き、とても楽しく、励まされた。どうもありがとうございました。
その翌日、五十嵐太郎さんをご案内@BUILDING K。「周辺の写真って見せてないよね」と言われる。確かにアイレベルの写真はあまりプレゼンテーションしていなかった。また、坂本さんの建築のようなぱっと見たときのわからなさがある、とも。
その翌日、石田壽一さんからもメールを頂く。仙台から福岡への移動中、わざわざBUILDING Kへ立ち寄って下さったとのこと。実際に街並のなかに建っているのを見て、「議論を誤っていた感がある」と感じられたとのこと。また学会のときなどにお会いするのが楽しみである。
29日、夕方、中野駅近くの旧桃が岡小学校へ。この秋、UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)の非常勤講師をさせて頂くことになった。この日はオープニング。今村創平さん、会場淳さん、松田達さんに加え、ケン・タダシ・オオシマさんやデイビッド・スチュワート先生もいらしていてご挨拶。乾さんのスタジオがもうすぐ始まるらしい。僕の担当させて頂くスタジオは10月からだが、大変楽しみだ。
またこの日、「建築雑誌オールレビュー」で『新建築』8月号が取り上げられ、岡部明子さんがBUILDING Kに触れて下さった。
最後の一文について。最初はこちらの取り組みをただ茶化されているだけのようにも読めたが、次第に岡部先生のコメントが私の説明の足りない部分を指摘し、かつこの建築の一番ナイーブなところを補足して下さっていることに気がついた。個人的というよりも、集団的な想像力の果てに「かなしさ」を獲得できれば本望であるし、誌面でもその部分についてもっと表現できれば良かったと反省した。
*
ところで、先日とりあげた建築公園のふたりが、僕の書き込みを受けて追記をしてくれている。
faas氏曰く、彼はアンチ「私性」らしいが、そもそも「私性」などというものは理論と理論の間、歴史と歴史の間にお口直しのように出てきているもの新しいではないか。そんな一時的で流動的な現象に対抗する方法を模索するより、時代が変わったときに自分が依って立つべき主題や方法論とは何かについて、今探求するべき。新しい時代はすぐそこです。
*
これからもいろいろな方に自分の建築を見て頂き、叱咤激励頂ければと思う。
fujimura
もうすぐ建築学会の大会です。今年は広島大学が会場です。学会の日程に合わせ、広島を拠点にする若い建築家の皆さんと一緒にシンポジウムを仕掛けることになりました。学会で広島に行く人も、そうでない人も、9/19は予定を空けて、集まりましょう。
*
シンポジウム「若手建築家のアジェンダ」
平和公園そばのカフェで、若手建築家による公開シンポジウムを行います。私たちが何に基づき、何を考え、何を実践しようとしているのか、それぞれのアジェンダを共有する場としたいと思います。
■日時:2008年9月19日(金)19:00-22:00
■場所:「カフェ ポンテ」広島市中区大手町1丁目9番21号
■アクセス:路面電車「本通」停留所より徒歩3分/「原爆ドーム前」停留所より徒歩2分/原爆ドームより徒歩1分
■参加建築家(敬称略):谷尻誠、小川文象、土井一秀、石川誠、藤村龍至
■申し込み:不要
■入場料:無料
■シンポジウム終了後、アフターパーティを行いますので奮ってご参加下さい(会費1500円程度)
■お問い合わせ先
suppose design office
TEL082-247-1152
藤村龍至建築設計事務所
TEL 03-3330-3765
*
会場の確保に動いて下さった谷尻さん、ありがとうございます。
盛り上がって行きましょう!
fujimura
東北大の脇坂圭一さんが、先日のハウスレクチャーのレビューを書いて下さいました。
共有化され量産化される議論でオルタナティブを切り開く藤村龍至
五十嵐太郎さんらの『エディフィカーレ』と比較して、『ROUND ABOUT JOURNAL』は建築と社会を架橋する議論を行うことで成立する「双方向性」、イベントでフリーペーパーを即時発効し、受け取った来場者が発信者となる「多産型」のベクトルを持っていると指摘されています。
ハウスレクチャーの前に、『ROUND ABOUT JOURNAL』について、五十嵐太郎さんにインタビューして頂きました。
藤村龍至インタビュー――ラウンド・アバウト・ジャーナルについて
下記の討論でも言及があります。
その2「ネットとフリーペーパーの衝撃」(基調報告2―平塚桂「ぽむ企画のウェブから建築ガールズ特集へ」
コルビュジエやコールハースのように建築家が自作のメディアで自らの理論を発表する例はたくさんあるが、「ROUND ABOUT JOURNAL」以前と以後を分つのはネット環境の有無であろう。雑誌が続々と休刊している時代において、これからの建築家はネット時代にふさわしいメディア戦略とは何か、考える必要に迫られているのだろう。
*
1日、朝6:30後輩Kと久しぶりに走る。K宅から多摩川まで軽く往復。気持ちよい。
18:00編集委員会@建築学会。最近出産した委員の田島喜美恵さんが先日の「ポスドク問題」に続いて「お産空間」という企画を出してきたが、個人的な体験に根ざしていて面白い。僕は「設計プロセスを考える」という企画を出したところ、倉方俊輔さんに「1年前でも同じ企画を出してきたのではないか」と批判(?)される。もう少し練り直そう。
終了後の飲み会で、最近BUILDING Kのネタが盛り上がるのはなぜか、という話になる。ネットで固有名を挙げて論じているのは氷山の一角で、飲み会などの席で賛否両論、というかほとんどムキになって否定している人たちがたくさんいるのだという。五十嵐さんはBUILDING Kネタで盛り上がっているある飲み会の様子を見て「これで番組が作れる」と感じたそうだ。
話題にして頂くのはありがたい限りだが、そこまで論争的になってしまうのはなぜだろうと話す。その結果、例えば、石上純也さんはすごいと思うけれどやっていることが特殊すぎて批判の対象にならず、長谷川豪さんは創作のフィールドが住宅という伝統的なカテゴリーに収まっているので論争を呼びにくいのに対し、BUILDING Kは「メガストラクチャー」というコンセプトも、「超線形設計プロセス論」という設計論も、「批判的工学主義」という理論も、看過不可能で論争を誘発するレンジを見事についてしまっているのかも知れないという話になる。
しかしまあ、どれも狙ってやっていることではなく、興味があることを追求していったらたまたまそうなっただけだが、「天然論争誘発キャラ」というのもなかなか避けたいところである。
2日、16:00学会の学生ワークショップArchiTVのスタッフ3名が来社。出演依頼を受けている企画の説明を受ける。10/5(日)の10:00-12:00の「建築と、建築」で審査員をする予定。
学生たちと議論するのは楽しい。学生の1人に「藤村さんは難しいことを言っていると思っていたけど、今日ここ(BUILDING K)に来て考えが変わりました」と言われる。
3日、14:00塚本研ゼミ。
4日、7:00集合でアトリエワンの新作「ポニーガーデン」の現場へ。つかもと師は飲み会の席などでも「角を押さえる」と良く言っていたが、本当に敷地の角を押さえているのが面白い。内部は複雑な構成をシンプルなディテールで納めている。見学後、草取り。久しぶりに雑草を抜く。生物の多様性を目の当たりにする。
16:00のmash comix軍司さんと打ち合わせ。その後事務所に戻り、倉方俊輔さんを迎える。程なくして久米設計の芝田さん、宇川さん、竹中工務店の関谷さん、中盾さんら来社。10月の建築夜楽校の事前打ち合わせ。終了後、BUILDING Kをご案内。
てっきり厳しく批判されるかと思いきや、意外にもポジティブな反応。「姿勢がはっきりしている」との感想を頂く。コンセプトにうるさそうなアトリエ派の人々がディテールを中心に反応し、ディテールにうるさそうな組織・ゼネコン系の人の方がコンセプトに反応してくれるというのは意外ではあるが案外そういうものかも知れない。倉方さんは「作風を理解した」と言って下さったが、JAシンポジウムの前にお見せしておけば良かったか。
議論が拓く世界──「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」評釈(前篇)
議論が拓く世界──「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」評釈(後篇)
*
最後に告知を。10月2日と9日に建築会館でシンポジウムを行います。アトリエ系、組織系、ゼネコン系の建築家、研究者がそれぞれの立場から現代社会の状況における建築の可能性を議論する予定です。
(以下告知)
建築夜楽校2008
テーマ:グローバル社会における「建築的思考」の可能性
主 旨:
商業施設のインテリアでは、什器や商品のレイアウトによって購買客の動線や視線をコントロールし、そっと売り上げを伸ばす工夫がなされている。また、マンションの計画においては、法規や慣習、経済性、物理的条件等、複雑な制約条件のなかで最大限の専有面積を確保する工夫がなされている。このように、社会基盤の整備が進んだ1970年代以降、商業的な効率を最大化するために建築が半自動的に設計され、1990年代以降のグローバル資本主義の台頭によってより一層のスピードが要求される状況が生まれている。
そこで本企画では、このような市場化と技術依存が進んだ「工学主義」的状況で生まれた郊外型の商業施設やタワーマンション等、従来の建築デザイン論にとって周縁であった領域で生まれつつある建築を取り上げ、パネルディスカッション形式で議論することを通じて、グローバル化する社会における建築の新たな可能性を描くことを目的とする。
第1夜:「タワーマンション」とグローバル・シティ
日 時:10月2日(木)18:00~20:30(開場17:30)
パネリスト:
迫慶一郎(建築家・SAKO建築設計工社主宰)
大山 顕(サイト『住宅都市整理公団』主宰)
山梨知彦(建築家・日建設計設計室長)
北 典夫(建築家・KAJIMA DESIGNプリンシパル・アーキテクト)
モデレータ:南後由和(社会学者・東京大学大学院情報学環助教)
藤村龍至(建築家・藤村龍至建築設計事務所代表・建築文化事業委員)
コメンテーター:東浩紀(哲学者・東京工業大学特任教授)
第2夜:「ショッピングモール」とローカル・シティ
日 時:10月9日(木)18:00-20:30(開場 17:30)
パネリスト:
中村竜治(建築家・中村竜治建築設計事務所主宰)
岩佐明彦(建築計画学者・新潟大学准教授)
芝田義治(建築家・久米設計設計本部建築設計部主査)
関谷和則(建築家・竹中工務店東京本店設計部設計主任)
モデレータ:南後由和(社会学者・東京大学大学院情報学環助教)
藤村龍至(建築家・藤村龍至建築設計事務所代表・建築文化事業委員)
コメンテーター:若林幹夫(社会学者・早稲田大学教授)
会 場:建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20)
定 員:300名(当日先着順)
参加費:無料
問合せ:日本建築学会事務局出版・普及事業グループ 鎌田
TEL 03-3456-2056 E-mail kamata@aij.or.jp
fujimura
広島に来ています。今日は建築学会大会の初日です。
明日のシンポジウム「若手建築家のアジェンダ」はオープンカフェでの開催を予定していましたが、雨天の場合下記の場所に移動することになりました。
*
場所:広島市まちづくり市民交流プラザ
住所:〒730-0036 広島市中区袋町6番36号
アクセス:市内電車:「袋町」電停から徒歩約3分
バス:「袋町」バス停(広島電鉄・広島バス)から徒歩約3分
「放送会館前」バス停(広島バス)から徒歩約6分
アストラムライン:「本通駅」から徒歩約6分
*
会場を移動するかどうかは19日朝に決定しますので詳細は谷尻誠さんのHPでご確認下さい。なお、予定の会場「カフェ・ポンテ」は「原爆ドーム前」、「まちづくり市民交流プラザ」は「袋町」で、400mくらい離れています。
fujimura
学会2日目。藤本壮介さんが近くの講義室でセッションに参加されていました。僕も無事発表を終え、あとは後輩諸兄の発表を聴くのみです。
さて、本日のシンポジウムですが、予定通り平和公園横の「カフェ・ポンテ」で行うことになりました。朝の曇った天気が嘘のように晴れ渡っています。
シンポジウムの内容はここでまたご報告しますが、広島近辺でお時間ある方はぜひいらして下さい。
fujimura
シンポジウム「若手建築家のアジェンダ」、おかげさまで天候にも恵まれ、盛況のうちに無事終了しました。議論も盛り上がり、会場は満員、立ち見の方々が路上に溢れ、ざっと見積もっても200人くらいは来て下さったようです。ありがとうございます。
*
順に振り返ってみたい。
18:00平和公園経由で会場のカフェ・ポンテに到着した瞬間、そのロケーションの素晴らしさに感動。元安橋橋詰の遊歩道沿いのオープンカフェ。道を行く人がふらっと立ち寄れるくらいに開かれた少し高いテラスにセットされたスクリーンは、遠くからもよく見える。台風は見事に逸れ、夕焼けが美しい。
会場のコーディネートは谷尻さん。「広島らしく、川のそばの気持ちのいい場所を探した」とのこと。素晴らしい行動力。
19:00既に会場は満席。人が道路に溢れそうになっている。マイクをとり、シンポジウムの趣旨とパネラーを紹介していよいよ開始。
まずは私から「批判的工学主義としての建築」と題し、問題提起を兼ねてプレゼ。「批判的工学主義」「BUILDING K」を紹介。
続いて小川文象さん。「break construct 破壊構築」と題し、アイディアコンペ案、実施コンペ案、SDレビュー2008入選作とプレゼ。コンペキラーっぷりを見せつける。
3番目は石川誠さん。「楽しい関係」と題し、施主と対話し、住宅のエスキースを重ねるプロセスを美しくプレゼ。丁寧に分析しながらシチュエーションを読み解く。施主に対して、聞き上手なのだろうと思わせる。
4番目は土井一秀さん。SDレビュー2008入選作「オーベルジュH」などビジュアルを中心にプレゼ。提案も背景も実に美しく、完成度が高い。
5番目は谷尻さん。タイトルは意表を突いて「はじめてということ」。対象を初めて考えるときのように扱うということ、常に建築のつくり方を考えるということ、日常の要素に構造のヒントを見出すこと、などについて語る。設計プロセスでの驚きを大切にするタイプなのだろうと思わせられる。
後半戦。まずはコメント。
小川:見えるものについては「破壊」できるが、見えない環境については?
石川:内部空間についてはわかったが、高知につくることの意味は?
土井:とても美しい空間であることは伝わったが、醜い風景については?
谷尻:構造との関係はわかったが、環境との関係については?
全体に東京から来た僕の方がコンテクストに意識的で、広島組は比較的抽象的。次第に「制約条件の再構成にこだわる」藤村 vs 「空間の美しさや気持ち良さにこだわる」土井の構図となり、(いつものように)追い込まれる。
コメンテータとして参加して頂いた満田さんからは「方法論の違いはよくわかったが、『モノの決め方、(プロセスの)止め方』が気になる」とコメントを頂く。
会場からの質疑に順番に応答しながら、パネラーに議論を振って行く。それぞれのキャラクターを立て、4人の違いがなんとなく浮かび上がって来たところでタイムオーバー。
議論が白熱し、通りすがりの人も足を止めて見ていた。若い建築家が議論する姿を伝えたい、という私たちの思いは伝わっただろうか。
終了後、後ろで見ていた後輩Kに「途中のコメント滑ってましたね」とダメだしされる。
今回は郊外化する風景についての問題意識や方法論を共有するところまではなかなか難しかったが、それぞれの主題なり、キャラクターなりの違いはより強く印象づけられたのではないだろうか。
21:30パーティでいろいろな人と話す。売り上げも上々で会場費も無事回収(さすが!)。
23:00打ち上げに移動。充実したイベントの後、打ち上げに皆で移動する感じが楽しい。2次会では議論の続きが盛り上がる。酔いが回って次第に睡魔が襲ってくるも、締めの広島風つけ麺(辛さ10倍)で目が覚める。2:00頃、最後に固く握手して散会。
短く、濃密な時間が終わり、感動の余韻が残った。またいつか、どこかで続きをやりたい。
fujimura
8日、11:00ブリティッシュ・コロンビア大学ご一行来訪@BUILDING K。13:30ジャーナリスト細野透さん来社。17:00理科大授業ミーティング。小嶋一浩さんと初めてじっくりお話しした。
10日、筑波大の文芸サークル「筑波批評社」の2名来社。哲学と社会学を専攻する学生がフリーペーパーを読み、「批判的工学主義」や「超線形プロセス」について興味を持ったとのことでインタビューを受ける。言葉にしてまとめておくと、時々このようなアプローチを受けるのが面白い。言葉に慣れている連中だけに、少ない時間でかなり深いところを突いてくる。
12日、この日は打ち合わせ+移動ばかり。10:00現場打ち合わせ@築地、14:00テナント打ち合わせ@高円寺、16:00シンポジウムの件で北典夫さんと打ち合わせ@赤坂、18:00住宅工事契約@高円寺、21:00展覧会オープニング@横浜。
15日、18:00小川晋一さん来訪@BUILDING K。じっくりお話しするのは初めて。
16日、18:00大山顕さん打ち合わせ@新宿。10/2のシンポジウムについて。
17日、20:00終了間際のSDレビュー2008のオープニングに駆け込む。広島の土井一秀さんと小川文象さんにご挨拶。曽我部さん、百枝君などに会う。その後東京駅にてつかもと研の連中と合流し、広島行き夜行バスに飛び乗る。
18日-20日学会大会@広島大学。結局3日連続で8:00入り。18日夜は西条にて岡河貢さん主催のパーティへ。地元の酒蔵の一角に東工大系の研究室が集結。坂本研、奥山研の連中に加え、岡河研の連中とも絡むと、「批判的工学主義って何すか」と絡まれる。19日朝は発表。夜はシンポジウム。
翌20日も9:00から計画系のセッションを聴講。門内研の発表は百田有希君の修論。パースの解釈、ワークショップの分析、実験を含む読み応えのある設計プロセス論だが実務を考えるとシンプルすぎる印象もあった。そのほか、アトリエを生態学的に観察した研究や、学生と実務者を比較した研究など。普段は歴史意匠系のセッションしか見ないが、なかなか面白かった。
夜はつかもと研打ち上げ。その後レンタカーで島根入り。吉賀(旧六日市)町にある後輩K宅を研究室のメンバーと訪問。鮎の塩焼きを御馳走になる。
21日、Kのお父さんにご案内頂き、新居千秋の温泉施設、象設計集団の研修所、三分一博史のストーンハウス、内藤廣のグラントワ益田等を見学。場所性や、地域主義について考える。石州瓦の扱いが時代毎に変わって行くのが面白い。グラントワも良かったが、建築としては象の群造形+軸線+ニッチという、70年代らしい濃密な設計に感動。
Kの話に聞く六日町とはどんなところか、一度行ってみたいと思っていたが、山紫水明の美しい場所であった。こうしたコンテクストでは内藤さんのようなオーセンティックな場所性の表現が似合う。自分だったらどうするだろうか。19日の土井さんとのディベートを思い出す。
19:00塚本研のメンバーと別れ、新幹線で新大阪着。dot architectsの家成俊勝さん、ISOLATION UNITの柳原照弘君と待ち合わせ。3人で移転したばかりの柳原君の事務所へ。広々としたギャラリーのようなアトリエ。ここを拠点にイベントを仕掛けて行くという。前日もみんなで集まって議論していたとのことで、大阪の若手の核になっていくと面白い。
翌22日、12:00再びISOLATION UNITヘ。家成さん、大東さんらと一緒に柳原君にインタビュー。いろいろな人にインタビューして来たが、ここまで共感できる人も珍しい、というくらい意見が一致する。違うとすれば個人の緩やかなネットワークを指向している点と、スタティックな作品のスタイルだが、デザインの位置づけや社会との関係の取り方がまるで自分にインタビューしているのではないかというくらいのシンクロ率。とても刺激になった。
18:00山梨知彦さんと打ち合わせ@日建本社。10/2のシンポジウムについて趣旨説明。とても戦略的、分析的に自らを位置づけている人という印象を持った。その意味で柳原君にも通じる。
「批判的工学主義」についてや、アルゴリズミックデザインについての考えを説明すると、すごく共感して下さった。領域も表現も違うし、キャリアも違う。でも、立場が近い。偶然だが、そうした近い考えのデザイナーに1日に2人も出会うことができた。
fujimura
10月2日(木)と9日(木)に田町の建築会館でシンポジウムを行います。アトリエ系、組織系、ゼネコン系の建築家、研究者がそれぞれの立場から現代社会の状況における建築の可能性を議論する予定です。奮ってご参加下さい。
(以下告知)
建築夜楽校2008
テーマ:グローバル社会における「建築的思考」の可能性
主 旨:
商業施設のインテリアでは、什器や商品のレイアウトによって購買客の動線や視線をコントロールし、そっと売り上げを伸ばす工夫がなされている。また、マンションの計画においては、法規や慣習、経済性、物理的条件等、複雑な制約条件のなかで最大限の専有面積を確保する工夫がなされている。このように、社会基盤の整備が進んだ1970年代以降、商業的な効率を最大化するために建築が半自動的に設計され、1990年代以降のグローバル資本主義の台頭によってより一層のスピードが要求される状況が生まれている。
そこで本企画では、このような市場化と技術依存が進んだ「工学主義」的状況で生まれた郊外型の商業施設やタワーマンション等、従来の建築デザイン論にとって周縁であった領域で生まれつつある建築を取り上げ、パネルディスカッション形式で議論することを通じて、グローバル化する社会における建築の新たな可能性を描くことを目的とする。
第1夜:「タワーマンション」とグローバル・シティ
日 時:10月2日(木)18:00~20:30(開場17:30)
パネリスト:
迫慶一郎(建築家・SAKO建築設計工社主宰)
大山 顕(サイト『住宅都市整理公団』主宰)
山梨知彦(建築家・日建設計設計室長)
北 典夫(建築家・KAJIMA DESIGNプリンシパル・アーキテクト)
モデレータ:南後由和(社会学者・東京大学大学院情報学環助教)
藤村龍至(建築家・藤村龍至建築設計事務所代表・建築文化事業委員)
コメンテーター:東浩紀(哲学者・東京工業大学特任教授)
第2夜:「ショッピングモール」とローカル・シティ
日 時:10月9日(木)18:00-20:30(開場 17:30)
パネリスト:
中村竜治(建築家・中村竜治建築設計事務所主宰)
岩佐明彦(建築計画学者・新潟大学准教授)
芝田義治(建築家・久米設計設計本部建築設計部主査)
関谷和則(建築家・竹中工務店東京本店設計部設計主任)
モデレータ:南後由和(社会学者・東京大学大学院情報学環助教)
藤村龍至(建築家・藤村龍至建築設計事務所代表・建築文化事業委員)
コメンテーター:若林幹夫(社会学者・早稲田大学教授)
会 場:建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20)
定 員:300名(当日先着順)
参加費:無料
問合せ:日本建築学会事務局出版・普及事業グループ 鎌田
TEL 03-3456-2056 E-mail kamata@aij.or.jp
fujimura
2日の建築夜楽校はすごかった。動員が心配だったが、ふたを開ければ満員御礼。パネラーやコメンテーターの顔ぶれが豪華であったこともあり、「グローバル社会における『建築的思考』の可能性」などという堅めのタイトルにも関わらず大いに盛り上がった。
以下、ブログの速報です。
DESIGN HUB「建築夜学校2008 経済を愛する方法」
archi theater「建築夜楽校1/愛される建築のために」
shoya.n design site「建築夜学校2008 グローバル社会における『建築的思考』の可能性」
9日も盛り上がると思うので乞うご期待!
*
25日、18:00東京理科大学の宇野研にてレクチャー。作品>理論>方法論>メディアといういつもの流れで1時間+討議。こじんまりとした空間だったのでじっくりと議論できて充実していた。学生のひとりに「説明に完璧を尽くそうとするから逆に反論したくなる」と言われなるほどと思う。宇野さんに『ストリートスマートな建築へ』を頂く。宇野さんの「建築学的多様性」という概念に興味を持つ。
26日、9:20南後君と待ち合わせ、TXで流山おおたかの森へ。社会学者の若林幹夫さんと駅前のSCを見学。噂通り、駅と巨大SCとタワーマンションだけで街がつくられており、ランドスケープがない工学主義の街。中村竜治さんの「short cut」を見学後、シンポジウムの打ち合わせ。その後、現場定例、コンペ打ち合わせなど。
27日、11:00H邸地鎮祭。クライアント夫妻、工務店関係者、構造家のオーノ氏と。いい天気。来年の春先には角地に不思議なスケールの住宅が建つだろう。住宅は初めてだが気合い入れて行きたい。
夕方、土肥研の先輩である古山さんの就職お祝いパーティ@東工大。OBもたくさん集まり、ちょっとした同窓会。社会工学科の人たちと話すのはいつも新鮮で楽しい。3:00くらいまで話す。
28日、11:00アトリエワンの新作の見学。旗竿敷地。フォルマリスティックで、レトリカル。とても知的な建築でとても盛り上がる。アプローチから見ると本しか見えないのもいい。
15:00塚本由晴先生と貝島桃代さん来訪@BUILDING K。竣工後、初めてご案内させて頂く。下から順にご案内し、最上階の事務所にて進行中のプロジェクトをお見せし、じっくりと感想を伺う。貴重な時間である。「各パートの説明は明解だが、もっと関係を説明した方がいい」とアドバイスを頂く。
29日、11:00乾久美子さん来訪@BUILDING K。じっくり見て頂き、感想を伺う。ちょうど乾さんの作品集『そっと建築をおいてみると』が届いたばかりだったので、そちらの感想なども話す。
15:00柄沢祐輔君と待ち合わせ、東浩紀さんと打ち合わせ@新宿。東さんとは初めて顔を合わせる。シンポジウムの趣旨、当日の運びなど説明。「批判的工学主義」についても事前にテキストを読んで頂いたので、「むしろあなた方と議論したい」と言って頂き、イベントの趣旨や進行について説明し、軽く議論。東さんの著作はいろいろ読んで来たので、直接議論できるのは嬉しい。
18:00編集委員会@建築学会。来年の企画案など審議が続く。終了後の飲み会で五十嵐さんにベニスビエンナーレの写真なども見せて頂く。
30日、9:30東京理科大の野田キャンパスへ。今学期より、初めての非常勤講師を務めさせて頂くことになった。野田はTXのおかげで思ったより近かった。運河があり、芝生が広がるキャンパスはオランダの風景を思い出させる。小嶋さんにご紹介頂いて学生に挨拶。
14:00銀座PJ打ち合わせ@築地。今後の方針と予定を確認して16:00塚本研ゼミ。9/30付けで博士課程を単位取得退学するため、これが学生最後のゼミとなる。つかもと師といつものように議論しつつ、あまり最後という気もしないが、しばらくはこの場に参加することもないだろうと思うと不思議な気分となる。
その後、この日から加わる留学生の歓迎会を兼ねた壮行会。つかもと師と最初の出会いから回想しつつ話す。塚本研に合格し、大学院からの編入が決まった日がついこの前のようだ。あれから8年。「論文は書けなかったけど、一定の存在感は示した」とのお言葉を頂く。
一応、博士論文は書き上げるつもりなので、この日は制度上の区切りに過ぎないが、塚本研究室で師に教わったことは量りきれず、深く感謝したい。
短くお礼を言い、学生だけで自由が丘へ行き2次会。3:00解散。長かった学生生活の終わり。この先は論文だけになるため、吉村さんや後輩諸兄とはこの日である程度区切りとなるのかも知れない。いろいろお世話になった。
1日、17:00打ち合わせ@空間研究所。篠原聡子さんにお誘い頂いて、10/19(日)に日本女子大で行われるシンポジウムにパネラーとして出席させて頂くことになった。東大の大月敏雄さんと初顔合わせ。
2日、11:00ペンシルベニア大学の大学院生ご一行が来訪@BUILDING K。引率のMattias HollwichさんはOMAでポルトのcasa da musicaなどを担当したそうだ。ペン大の院生だけあって皆落ち着いていて優秀そう。12月の最終講評会に来てくれと言われる。面白いかもしれない。
15:00麹町PJ定例。16:45建築会館へ。いよいよ建築夜楽校。いつもに増して緊張した。続々パネラーの方々が集まって来て、パソコンの設定にあたふたしているとあっという間に本番となり、会場は満員で、議論は大盛り上がり。それもあっという間に終わり、打ち上げと2次会を終えると3時。いつものように、頭の芯から疲れたが、心地よい充実感が残る。
*
事前の仕込みにはそれなりに時間を割いたつもりだったが、よくも悪くもコントロールの難しい議論となってしまった。
原因は大山/東さんの「萌え」を位置づけるのに手間取ったこと。大山顕さんは、単なるノスタルジーを超えるために戦略的に「萌え」てみせる。あえて無責任な鑑賞者を演じることで、問題を浮かび上がらせるという大山さんのパフォーマンスには植木等的な二重性があるのだが、そこをうまく牽制できず独走させてしまった。
困っていると、東さんが「制約条件と作家の関係は結局美と崇高の話ではないか」とまとめてくれたのだが、建築的思考の可能性についてここで議論するのは時間もないし無理だろうとあきらめ会場に議論を振るとディスポジションのシンポジウムでお世話になった天内さんが「今日の議論はフローからどうやってストックを抽出できるかについて話しているのではないか」と指摘してくれて、ようやく問いが整理された。
僕らとしては最初からそういう問いを投げかけていたつもりだったが、説明が足りなかったのだろう。作家と鑑賞者の対立軸が最初に前景化してしまい、問いを共有するのにずいぶんと時間がかかってしまった。
終了後、観客の反応はとてもよく、打ち上げの席での会話も弾んだ。だが、肝心の「建築的思考の可能性」については結局踏み込めなかったのはモデレータとして力不足であり、反省しなければと思う。
打ち上げの席で大山さんに聞いた話は面白かった。大山さんが大手家電メーカーに勤務していた際に携帯電話の開発に関わっていて、デザイナーどんなにコンセプチュアルなモデルを提案しても社内で揉まれているうちに無難で切れ味のない製品となってしまう状況にジレンマを抱えていたのだという。それはまさにタワーマンションの抱える問題そのもの。大山さんは最後まで「建築家がタワーマンションを設計すると何かいいことあるんですか」と言っていたが、その一見無責任ふうの問いは自分がタワーマンションの作り手ではないことを自覚して意図的に発しているものだということがわかった。どこまでも戦略的な人だ。
いくつか反省点は残るものの、一度こういうメンバーでこういう議論をしてみたかったので、率直に嬉しい。今回のパネラーの皆さんや東さんとはまた個別にお話しさせて頂きたい。
次週も面白い顔ぶれなので今から楽しみである。しっかり準備をして、いい結論を導きたいと思う。
fujimura
10月2日(木)に引き続き、本日18:00に田町の建築会館でシンポジウムを行います。アトリエ系、組織系、ゼネコン系の建築家、研究者がそれぞれの立場から現代社会の状況における建築の可能性を議論する予定です。奮ってご参加下さい。
(以下告知)
建築夜楽校2008
テーマ:グローバル社会における「建築的思考」の可能性
主 旨:
商業施設のインテリアでは、什器や商品のレイアウトによって購買客の動線や視線をコントロールし、そっと売り上げを伸ばす工夫がなされている。また、マンションの計画においては、法規や慣習、経済性、物理的条件等、複雑な制約条件のなかで最大限の専有面積を確保する工夫がなされている。このように、社会基盤の整備が進んだ1970年代以降、商業的な効率を最大化するために建築が半自動的に設計され、1990年代以降のグローバル資本主義の台頭によってより一層のスピードが要求される状況が生まれている。
そこで本企画では、このような市場化と技術依存が進んだ「工学主義」的状況で生まれた郊外型の商業施設やタワーマンション等、従来の建築デザイン論にとって周縁であった領域で生まれつつある建築を取り上げ、パネルディスカッション形式で議論することを通じて、グローバル化する社会における建築の新たな可能性を描くことを目的とする。
第2夜:「ショッピングモール」とローカル・シティ
日 時:10月9日(木)18:00-20:30(開場 17:30)
パネリスト:
中村竜治(建築家・中村竜治建築設計事務所主宰)
岩佐明彦(建築計画学者・新潟大学准教授)
芝田義治(建築家・久米設計設計本部建築設計部主査)
関谷和則(建築家・竹中工務店東京本店設計部設計主任)
モデレータ:南後由和(社会学者・東京大学大学院情報学環助教)
藤村龍至(建築家・藤村龍至建築設計事務所代表・建築文化事業委員)
コメンテーター:若林幹夫(社会学者・早稲田大学教授)
会 場:建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20)
定 員:300名(当日先着順)
参加費:無料
問合せ:日本建築学会事務局出版・普及事業グループ 鎌田
TEL 03-3456-2056 E-mail kamata@aij.or.jp
*
来られる方はお早めに。
fujimura
建築夜楽校第2夜、無事終了しました。
さっそくブロガー諸兄のレポートをどうぞ。
archi theater「建築夜楽校2/絵を描くのは誰か」
shoya.n design site「建築夜学校2008 第2夜」
City_Scape「建築における『出来事』、『非場所』における場所性」
サイコロガシ「建築夜楽校 第2夜レポート『場所性と身体性』」
No! Hedge「建築夜学校2008 第二夜 「ショッピングモール」とローカル・シティ」
ブロガーというカテゴリーではないかも、ですが、
ぽむ日記
*
4日、13:30豊洲の迫事務所へ。迫慶一郎さんへインタビュー。北京へ戻る飛行機の前に時間を作って頂き、シンポジウムの後日談的にお話を伺う。これまで短い時間でお会いすることはあったが、サシで話をするのは初めて。
インタビュー後、「『批判的工学主義』については今回のシンポジウムでよくわかった。でもそれは、自分が普段から考えていることだからだ。他の人に伝えたいなら、もっとビジュアルインパクトをつくった方がいい」と言われる。「言っていることに共感するからこそ、苦言を呈したい」と、熱いメッセージを受け取った。
その後、柄沢祐輔、南後由和、編集の飯尾さんと神楽坂で会い、軽くブレスト。
17:00石上事務所へ。石上純也さんへインタビュー。開催中のベニスビエンナーレのこと、神奈川工科大学工房のことなど、じっくり話を伺う。石上事務所へはRAJ1のインタビューのときに来て以来だから、約1年半ぶりだろうか。そのときは「工房」の1/3模型がたくさん並んでいて圧倒されたが、今は少し落ち着いている。
石上さんの鋭くて迷いのない答えのなかに、戦略的に自分を社会の中に位置づけるデザイナーの姿勢を感じ、ふと京都の森田一弥さんを思い出した。自分とはアプローチもスタイルも異なるが、社会への位置づけ方にある種の交換可能性を感じる人のひとりである。
5日、9:00建築会館へ。ArchiTVの一企画「ソツセイ脱構築」へ。長谷川逸子さんと五十嵐太郎さんと一緒にゲスト審査員。言葉を審査し、次にボードを審査する。模型を封じるという形式で卒業設計のあり方を問うというもの。審査は面白かったが、応募者のほとんどが会場におらず、自分の選んだ人ではない人のプレゼを聞くことになってしまった。
総評で「建築家には建築家固有の思考と言葉があるので、それを意識して語って欲しい」と述べたら、長谷川さんに「私たちの頃は建築家で言葉が閉じていると批判されてばかりだったから、時代が変わったのね」と言われる。控室で長谷川さんから聞く東工大や篠原研の話はとても興味深かった。
終了後、五十嵐さんに誘って頂き、写真家の小山泰介さんと昼食。作品は表層の読み替えを主題にしている。組んだら面白いかも知れないと思う。
6日、打ち合わせを終え、14:00で小川晋一さんと待ち合わせ@航空公園。タクシーで日本大学芸術学部へ。所沢は地元だが、このキャンパスに来るのは初めて。3年生の集合住宅の課題を講評させて頂く。アイディアに拘ってかたちを発展させていない人が多いようだ。設計のうまい人はかたちをどんどん発展させて行くのだが、その違いは案外気がつかないことかも知れない。
終了後、プロペ通りの飲み屋で懇親会。芸術学部の学生だけあって皆それぞれ個性的で人間的な魅力もあるが、「建築に興味が持てない」という学生が多い。製図室にも残らないというし、あまり雑誌も読まないようだ。
学生がどんどん建築を離れるようになった。もちろん僕らの頃も一定の割合でそういう人はいたが、最近は建築そのものを語る学生になかなか会わない。時代を反映しているのだろうか。
7日、9:30理科大非常勤。課題の「ピクニック」について小嶋研助教の坂下加代子さんとエスキス。ピクニックを空間の問題として捉えるのは難しい。聞いているとゲームや仮装の話に脱線しがち。「それは企画の話であって設計ではない。企画と設計の違いを考えよう」と口を挟んで回る。1年生なのでほとんど高校生のように幼いが、それゆえに面白い。
午後はレクチャー。小嶋さんにリクエストを頂き、課題でもある「篠原一男の空間」を解説。東工大を離れると、東工大を語る場面が増える。「住宅は芸術である」というマニフェストを紹介し、4つの様式を解説。その後、自分のレクチャー。1年生も対象だったが、容赦なく「批判的工学主義としての建築」を語る。
小嶋さんも聞いて下さっていたので話に熱が入り、質問もたくさんもらってなかなか楽しかった。終了後、「僕らの頃は『○○主義』と言われないようにするのに必死だったのに、自分からあえて『主義』を唱えるのは逆に新鮮」とコメントを頂き、なるほどと思う。
最近、レクチャーで受ける反応が少し好意的になって来た。『SD2007』の頃は完全なる逆風だったが、最近は徐々に変わって来て、時に追い風すら感じる。しつこく議論の場を仕掛けて来た成果も多少はあるのかも知れないが、やはり『新建築』で作品が発表されたのが大きな転機となったように思われる。
8日、11:00mosakiのふたりが取材で来社。syncでは一時期場所を共有していたが、じっくり話すのは久しぶり。14:00UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)の乾久美子さんのスタジオの最終講評会へ。中野の一角に小さな建築を設計するというお題。うまくまとめている人はいたが、形そのものを捉えている人は案外少ない。今月の下旬からいよいよ自分も教えることになるので、楽しみ。
18:00東工大へ。坂本一成展のシンポジウム。会場は超満員で既に座席はなく、学生に混じって最前列に体育座り。熱気があって楽しい。
前半は坂本一成さんのレクチャー。「形式と現実の緊張関係」をめぐって展開。完結的な「散田の町家」と開放的な「水無瀬ANNEX」の対比は確かに象徴的。後半は奥山信一さんの司会で、坂牛卓さん、八束はじめさんが加わって討論。建築の批評性をめぐって意見交換が進む。
全体に面白かったが、冒頭で八束さんが「Who cares about design?」と短く述べ、それによって建築の固有性を対象とする坂本さんと、非批評としての都市を対象とする八束さんの対立的なポジショニングがなされたのにも関わらず、そのことについては最後まで触れられなかったのが少々物足りない。
疑問としては、住宅ならばともかく、都市空間ではスケールやプロポーションといったオーセンティックな建築固有の概念が通用しなくなっているのではないか。つまり、坂本さんの「建築」が射程とするところは「住宅建築」であって「都市建築」には届かないという偏りがあるのではないかということ。八束さんにはどこかでそれをストレートに問題化して欲しかった。
もっとも、その構図が最初に顕在化してしまうと議論そのものが成立しなさそうであったので、意図的に話題を逸らしたのかも知れない。質問時間もなく、そのままあっさり終了。終了後、塚本研の連中と飲む。
9日、施主打ち合わせを2本終え、建築会館へ。18:00「建築夜楽校」第2夜シンポジウム「ショッピングモールとローカル・シティ」開始。まずアトリエ派として中村竜治さん、研究者として新潟大学の岩佐明彦さん、組織派として久米の芝田義治さん、ゼネコン派として竹中の関谷和則さんの順にプレゼ。
討議に移ると、若林先生がショッピングモールは「見えない建築」であると指摘。そこでの建築の役割として、経験や仕掛けをつくる可能性を指摘し、「建築的経験」というキーワードを提示。建築は「もうひとつの経験」をつくれるのか?と問いかける。僕は「場所性と商業主義は両立可能か」とブレークダウンしてみたが、若林さんがいわゆるオーセンティックな場所性ではなく、視認性が生む場所性のような「引き算としての場所性」について補足してくれた。南後君は郊外型SCが「中心vs郊外」ではなく「地域vs地域」の構図で捉えられるとき、建築が果たすことのできる役割は?と問う。なかなか興味深い。
2日の討論では作家性の再定義が話題になったが、この日のポイントは場所性の再定義ではないかと思った。「非場所の場所性」という主題に対しては、建築的思考が役に立つ場面は多いように思える。つまり、作家像の変更と場所性の再定義が、さしあたって「工学主義的状況における建築的思考の可能性」ということになるのではないか。
*
打ち上げの席で竹中工務店の車戸城二さんに伺った話が興味深かった。イオンモールのような巨大な商業施設のプロジェクトでは、企画から竣工までの期間が1年しかないのだという。「現場で電気を消してまわるだけで4時間かかる」という巨大な建築が、それだけの短期間で私たちの日常生活に深く実装されてしまう。
責任所在の明快さと時間短縮の有利さという決定的要因により、ゼネコンによる設計施工の体制は今後ますます有利になるだろう。タワーマンションやショッピングモールのような巨大建築でアトリエ系の設計事務所が設計監理を受注するのは論理的に言って不可能に近く、デザイン監修で生き残るしかないだろう。
芝田さんが「そうすると組織はいらなくなっちゃうんですよ」と言っていたが、なるほど、表層(デザイン監修)と深層(設計施工)の二層構造化を止めることはできないとすれば、案外そういう結論に帰結するのかも知れない。となれば、アトリエ系組織系の建築家はデザイン監修という立場を使ってどこまで領域を拡大できるか、という戦略が主題となる。現に安藤事務所や隈事務所の動きを見ているとそう思わざるを得ない。デザイン監修なんてビッグネームの事務所の話だと思っていたけれど、藤村事務所のような若い事務所ですら、大きな規模のプロジェクトではそういうポジショニングで動くことを求められる。そういう時代なのだ。
車戸さんの「アトリエ派の皆さんの仕事は面白いけれど、我々にとってみればボランティアのようなものですよ」という一言が深く胸に刺さる。
これからの日本社会がアメリカ型の社会へ移行していくならば、アトリエ派、組織派は社会的役割を失い、ゼネコン派は立場上「工学主義」に回収され行くだろう。とすれば、「批判的工学主義」はアトリエ派、組織派、ゼネコン派を問わず、あらゆる立場にとって建築家の生きる唯一の道となる。したがって、現状の日本の建築ジャーナリズムにおける「つくりたいものをつくる(アトリエ派)」「その社会が建築をつくる(組織、ゼネコン派)」という建築家のトートロジーの二項対立には早々に終止符が打たれる必要がある。
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自らが仕掛けるシンポジウム活動については、年内はこれにてひとまず終了としたい。「LIVE ROUND ABOUT JOURNAL」から「建築夜楽校」に至るまで、2008年は「建築的思考の可能性」をテーマにずいぶんたくさんの議論を仕掛けてきた。おかげでずいぶん論点も整理され、問題意識もだいぶ共有されて来たように思う。特に「批判的工学主義」は東浩紀さんにまで議論が届いたのが大きな成果となった。
2009年に向けて、議論の成果を徐々にアウトプットして行こうと思う。
fujimura
建築夜楽校2日目の打ち上げの最中、突然携帯が鳴る。菊竹事務所の塚本さんからで、明日10時に菊竹清訓さんがBUILDING Kに来て下さるという。
先日INAX:GINZAで行われた菊竹さんのレクチャーを聴きに行った際、メガストラクチャー+方法論という組み合わせに勝手に親近感を抱いてはいたが、恐れ多くて話しかけることなどできず、そそくさと帰ろうとしたときのこと。スタッフの塚本さんが紹介して下さった。恐る恐る名刺交換させて頂き、「メガストラクチャーとテンション構造で集合住宅を作りました」と言うと、「今度見に行きます」と菊竹さん。
そしてついに実現。
概略をご説明し、構造の説明に及んだとたん「基礎梁はどのように入っているのですか」「杭長は」と質問が始まる。少し興味を持って頂けたのか「これまで設計の経験は」「大学は」とバックグラウンドに質問が及び、まず「構造が上手ですね。寸法も上手です」とコメントを頂く。
だんだんとボルテージが上がり、「吊り材のジョイントは」「たわみの調整方法は」といったディテールレベルから「なぜ窓はこんなに小さいのですか」「あなたのコンセプトは何ですか」といったコンセプトレベルまで、質問が鋭くなる。しどろもどろになりつつ、夢中になって答えていると「それは理由になりません」「そんなものはコンセプトではありません」とどんどんハードルが上がっていく。
最上階の空中路地に着く。「いや、大変面白い。これだけの才能をお持ちなのだから、もっと表現するべきです。」「スケッチをしなさい。言いたいことはスケッチに表れます。」「海外に出なさい。そして仲間を見つけなさい。あなたの言うことを理解する人が必ず現れます。」と激励を頂く。
思い切って「なぜ先生は方法論を問題にされようとしたのですか」と伺ってみた。すると菊竹さんは「それは仮説を問題にするためです」と即答された。「ノーベル賞を取った学者も言っていたでしょう。仮説が重要なのです。」仮説とはもちろん「か、かた、かたち」の「か」に他ならない。
力強い激励のお言葉を頂いていると、伊東さんや藤本さんが「思いっきりやれ」と言うのがなんとなく理解できた。壮大なイマジネーションと強固なアイデンティティがないとこの気迫に対抗できない。
わずか1時間ほどではあったが、何か強烈な印象を残して帰られた。この日のことは一生忘れないだろう。
お忙しい時間を割いて下さった菊竹先生と、スケジュールの調整に骨を折って下さったスタッフの塚本さんに感謝したい。いつの日かまたお目にかかれればと思う。
fujimura
帰宅して晩ご飯を食べていると、奥さんから、「ハンコンデモってのがあったんだって」と聞かされた。半婚?犯婚?と脳内変換できないで困っていると、反婚なんだという。ようは反戦と同じつくりの言葉なんだけど、結婚に反対ってこと? と考えるうちに、ますます分からなくなった。おかしな言葉だなと、まずは思う。
で、検索してみると、ありました、こんな記事。 実は、ぼくと奥さんは結婚しているのだけど、一度入籍した後でよく相談して、結局それぞれがもともと持っていた名前を使っている。よくある「仕事は旧姓、戸籍は本姓」ではなく、仕事も戸籍も本名に戻して生活している。結婚を機に名字を変更して「それまで存在しなかった人名」が出現することに、大きな違和感があったからだ。この経緯はとてもおもしろいんだけど、長くなるのでそれは省きます。 さて、自分の話はいいとして、「反婚デモ」である。ぼくたちは、この記事が不快だった。どこか、おかしい。何かがずれている。客観的に見れば、ぼくたちも既存の婚姻制度に疑問を持って、別姓を求めた結果として籍を抜いたのだから、まあ、行動としては反婚と言えなくもない。でも、この「反婚デモ」は方法として間違っているんじゃないかと思う。どうにも共感できない。 たしかに、たとえば10代で子どもを産んで女手一つで育てるのにはたいへんな苦労があったと思う。でもたぶん、その苦労と現状の婚姻制度の間には、まったく関係がない。 現在の婚姻制度には問題がある。たとえば、戸籍を一つにしなければ得られない優遇措置がいろいろとある。夫婦のどちらかが扶養という優遇制度を甘受するためには、自ずから収入に限度を設けなければならない。だから、それぞれが経済的に自立したままで関係を継続するのは不可能だ。現行制度上、夫婦はあくまでも合わせ技で一本なのだ。 でも、それは制度のデザインの問題であって、結婚の実体がそこにあるわけでは決してない。結婚生活のデザインは、自分たちで何とかしなければならない。もし自分の不遇の現況を制度に求めるとするならば、それこそが、制度を過信(盲信)し、制度に身を委ねた思考にほかならない。少なくとも、「自分たちにはこんなに良いアイデアがある」と主張しなければならないと思う(記事に載っていないだけで、叫んだのかもしれないけど)。極端な言い方だが、「子守りをしてくれる人を探しても家族制度が壁にな」るなんて主張は意味不明だし(経験上はありえない)、「友達に結婚しない生き方を理解してもらえない」のは、本人の友達の質の問題に過ぎない。つまり、社会や制度のせいではなく、あくまでも自分と社会の関わり方の問題だと捉えるべきなのだ。 検索すると、webでの評価も引っかかった。「結婚がおめでとうの社会では、非婚の人が生きづらい」という彼らの主張に対して、「進学おめでとうの社会は、浪人の人が生きづらい」「新築おめでとうの社会は、中古の人が生きづらい」ということなのか?と疑問が呈されていた。その指摘は鋭い。しかも、笑える。 だからぼくたちは、この記事を読んで次の二つの教訓をかみしめた。 ところで、別姓問題では、役所の「裁量」の幅を実感した出来事があった。ぼくたちは同じ住まいで協同して暮らすことを結婚だと考えたので、「戸籍はどうでもよいけど、住民票には何かしらの記載があってほしい」と望んでいた。すると左京区役所は続柄に「妻(未届け)」と記してくれた。もちろんわれわれへの特例ではない。一向に進まない制度改正に歯ぎしりするカップル一般に示される、役所の心意気である。これ、ロマンチックで、とっても気が利いた表現じゃありませんか? ぼくたちはとても気に入っています。 ええと、このエントリの肝は、言うまでもなく、菊竹さんの言う「もっと表現すべきです。スケッチをしなさい」であり、藤村くんが言う「かたちを発展させていく」ことの実践だということです。 yamasaki
1. 自らが被る不利益を、社会や制度のせいにしてはいけない。
2. 主張する時はかならず対案を出し、実行すべく努力する。
筑波批評社という文芸サークルの同人誌『筑波批評』の最新号で巻頭インタビュー「批判的工学主義とは何か」が掲載されました。
「批判的工学主義」とか「超線形設計プロセス論」などで述べて来た「データベースの書き換え」「場所性と作家像の再定義」「メディアのあり方」などの一連の主張について哲学を専攻するシノハラ氏と社会学を専攻する伊藤氏と共に議論しています。個人的にも、今考えていることが包括的にまとまった内容になりました。
インタビューしてきた!(9/10のインタビューについて)
インタビュー先をちょこっとだけ公開するよ。(藤村龍至についての紹介)
彼らの同人誌は11/9の文学フリマにて発売される予定だそうです。筑波批評社は東浩紀さん主催のイベント「ゼロアカ道場」に参加しているようで、何だか盛り上がっている模様。
「批判的工学主義」などという、印象としては一見閉じているけれども、逆に異分野の人に通じるというのは「理論」の成せる技。もともとは南後由和さんの企画したコンビニのシンポジウムに出たときに配ったフリーペーパーを読んだのがきっかけで興味を持ってくれたようで、きっかけを与えてくれた南後氏には感謝しております。
昔、ブライアン・イーノのレクチャーにレム・コールハースやアレハンドロ・ザエラポロが来ていて、システム理論について議論していたのを見て、理論が分野を超えていくダイナミクスを感じたことを思い出します。今回の件は小さな出来事かも知れないけれども、主張が分野を超えて響いたと手応えを感じたという意味で、ひとつの成果を感じるものになりました。
*
12日、20:00OMAの重松象平さんインタビュー@BUILDING K。OMAの設計プロセスは、プロジェクトのスペシフィシティ(固有性)を頼りにスキームを発展させて行く、というアプローチらしい。自分のやりたいことはまさにそれで、聴いていてとても共感した。
ただ、Casa da MusicaやCCTVなどのアイコン建築のシリーズ以降、最近のOMAは迷走気味という印象もある。NYのコンドミニアムのプロジェクトは久々にOMAらしさを感じるので実現が楽しみだ。
17日、アーキニアリング・デザイン展のオープニングへ。展示は濃密で面白い。小西さんがいらっしゃったので一緒に見て回る。どれも面白いが、スカイハウス、ポンビドゥーセンター、モード学園スパイラルタワーなどが新鮮で印象に残る。
ひと通り見て、構造表現のフロンティアは平屋と超高層とドームなんだなと思った。ある高さ、あるスパンを超えると工学の割合が強くなる。構造と意匠の融合、工学と社会の関係という観点からいえば、40-50Mのビルで何ができるかを考えることも問いとしては面白いはず。
19日、7:00後輩KとNに手伝ってもらい、自宅の引っ越し。独立当初は事務所にしていたこともあり、UTSUWAやBUILDING Kの初期案などを生み出した部屋でそれなりに思い出深いが、9月末で東工大を離れたことと、事務所を高円寺に移して以来通勤に1時間くらいかかっていて体力的に辛かったので引っ越しを決意した。この機会に荷物も思い切って整理。もっとミニマムにしたい。
引っ越し後、へとへとになりつつ18:30日本女子大へ。シンポジウム「集住とコミュニティ コミュニティはデザインできるか」に参加。司会は篠原聡子さん、パネラーは東大の大月敏雄さん、URの井関和朗さんと僕。西川祐子さんや小谷部育子さんにもお会いする。
西川さんを含む4者の発表を聴き、後半がパネラーによる討論という構成。「若手建築家はコミュニティの問題をどのように見るか」を話して欲しいとのお題を頂き、80年代のニュータウン育ちというルーツも含めて感じたところをお話しさせて頂く。
専門ではないし、研究を共有しているわけではないという立場から発言を求められていたので緊張しつつも、発表は濃密で学会のようで面白い。「コミュニティ」とか「場所」とか「空間に意味を重ねる」とか、若手建築家の間ではまず議論されない話題ではあるが、発表を聴いてみると意外なほどダイナミクスがあり、逆に新鮮。
日曜日にも関わらずお客さんも集まり、程よく盛り上がって終了。打ち上げで関係者の皆さんといろいろお話しする。小谷部さんに「ニュータウン育ちの建築家に初めてお会いしたわ」と言われたが、あと20年くらいするとタワーマンション育ちの建築家が現れるに違いない。
22日、14:00日刊建設工業新聞の80周年記念号に掲載予定の若手建築家座談会「21世紀の建築・都市」に出席@建築会館。五十嵐太郎さんが司会進行で、メンバーは平田晃久さん、中村竜治さん、福屋粧子さん、吉村昭範さんと僕。
最初に五十嵐さんからベニス・ビエンナーレについて、繊細な日本のデザインと世界のデザイン潮流との距離などが報告され、討論スタート。「21世紀」「グローバリゼーション」「地域主義」等をめぐってそれぞれが持論を展開する。
新聞なのでわかりやすくと思い、建築家が建築家固有の思考と言葉と方法論を持って社会的諸問題に対峙する「建築主義」を唱えたら(例によって)批判が集中。
いや、グローバルキャピタリズムによって社会が流動化しているからこそ、建築はその思考や方法の固有性をまず主張しなければ、という至極真っ当な主張なんですけれどね。あるいはその真っ当すぎる主張が論争を誘発してしまうというか。
座談会をやりながら思ったのは、この日発言した「建築」にせよ、中村さんの「かたち」にせよ平田さんの「生成」にせよ、90年代の後半に「それを言ったら叩かれる」と思われていた一種の地雷タームをあえて復活させている点で共通しているのが興味深い。
例えば、平田さんは90年代にグレッグ・リンらが提唱した「ブロッブ・アーキテクチャー」のコンセプトを意図的に復活させている。座談会のなかで「90年代の試みとの違いは何ですか」と平田さんに聞いてみると、「身体性の有無」だと答えが返って来た。逆に平田さんに90年代のMVRDVの「データスケープ」との違いについて聞かれたので、同じく「身体性の有無」だと答えてみた。
90年代後半に設計環境のコンピュータライゼーションに伴って提出された「ブロッブ・アーキテクチャー」や「データスケープ」などのコンセプトが、身体性や建築性といった概念、場所性や環境といった社会の諸問題を伴って復活してきているのがゼロ年代の一側面なのではないか。
解散後、駅前のカフェでウラ座談会。「皆さんもっと『主義』とか主張してはどうですか」と勧めてみる。中村さんは十分に「かたち主義」だし、平田さんも既に「生成主義」なので、そのように主張したほうがわかりやすいのでは。
18:00事務所に戻ると、dot architectsの家成さんと大東さんが来てくれている。途中でISOLATION UNITの柳原さんも合流。BUILDING Kを見てもらう。その後近所の飲み屋で建築界や社会の諸問題について管を巻き→移動してしっぽり人生について語るコースで夜が暮れる。同世代で、互いに良き理解者であり、心おきなく意見を交わすことのできる貴重な友人たちである。
彼らは大阪ベースなので、近所に住んでいればもっとたくさん議論できるのにと思うが、逆に東京−大阪くらいの距離感がまたいいのかも知れない。2009年は彼らの個展も東京で開かれるとのことなので、たくさん絡めればと思う。
2009年の展開もだいぶ見えて来た。「ゼロ年代」もそろそろまとめに入らなければ。
*
(以下、『筑波批評』関連の情報を掲載しておきます)
『筑波批評2008秋』
目次
* 批判的工学主義とは何か——建築家・藤村龍至インタビュー
* アダルトヴィデオ的想像力をめぐる覚書——ゼロ年代的映画史講義・体験版(渡邉大輔)
* リアル入門——ネットと現実の臨界(工藤郁子)
* 文芸批評家のためのLudology入門——<ゲーム>定義のパースペクティブ(高橋志行)
* 工学の哲学序説(シノハラユウキ)
* 「コンテンツ植民地」日本(min2fly(佐藤翔))
* ケータイ小説の作り方——ケータイ小説家・秋梨インタビュー
* フィクションするとは一体いかなる行為か(シノハラユウキ)
* 兄弟という水平面/擬似的な垂直性(シノハラユウキ)
* フラグメンタルアプローチ(塚田憲史)
* &LOVE——『あたし彼女』『メルト』(塚田憲史)
* Synodos+筑波批評社
* 座談会 ニコニコ世代に歴史はあるか?
東浩紀氏主催の「ゼロアカ道場」についての情報
http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/zeroaka.html
「ゼロアカ道場」は、昨年の12月から講談社BOXと東浩紀氏がタッグを組み、若手批評家を育成するというものです。第一関門から第六関門まで設定されており、第六関門突破者には、講談社BOXのレーベルから1万部をもっての批評家デビューが約束されています。
同人誌を販売するイベント「文学フリマ」についての情報
http://bunfree.net/#l2
イベント名:文学フリマ
日時:08年11月9日(日) 11:00~16:00
場所:東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎 第1・第 2展示室
(JR線・東京メトロ日比谷線 秋葉原駅徒歩 1分、都営地下鉄新宿線 岩本町駅徒歩 5分
「文学フリマ」は、小説・詩・批評といった文章系の同人誌を作るサークルが集まり、販売するイベントで、今回が七回目となっています。筑波批評社は当日「B-62」というブースで本誌を販売しています。
http://bunfree.net/dai7kai/circle_detail.html#B62
*
彼らの挑戦に対し、「批判的工学主義」がどれだけ貢献できたかは定かではないが、頑張って欲しいと思う。
fujimura
26日、9:30久しぶりにTEAM ROUND ABOUTのメンバーが集結@BUILDING K。編集者の植田実さんを迎える。
現在準備中の書籍『1995年以後』(仮称・2009年1月発売予定)の目玉として、植田実さんにインタビューを行った。伝説の雑誌『都市住宅』の創刊当時、植田さんは32歳だったという。ちなみに磯崎さんが37歳、伊東、安藤、石山らが27歳、元倉真琴さんらは22歳。
たまたまだが、『ROUND ABOUT JOURNAL』でインタビューしているレンジもほぼ一致している。僕が今年32歳。藤本さん、平田さんらが37歳、最年少のg86が22歳。なるほど、そういう距離感で彼らもムーブメントを作り上げていたわけで、大いに勇気が湧く。
植田さんと議論したかったのは、なぜ世代論を仕掛けたのか、それらはどういう意味を持ったと思うか、当時の社会的背景との関係についてどう考えているか、など。
『都市住宅』が創刊された1968年は霞ヶ関ビル竣工の年で、巨大建築とインフラが都市を覆い始めた時期に一致する。『RAJ』を発行し始めた2007年は1995年以降のグローバル・キャピタリズムに伴う都市空間の変化のピークの時期に一致する。100冊を数えた雑誌と10号にも満たないフリーペーパーは比較するのもおこがましいが、両者が世代論を問題にしているのは、単なる偶然というよりは、社会的コンテクストの構造的な反復に起因する。
終了後、植田さんにBUILDING Kをご案内。「今までありそうでなかった建築」「このビルだけで写真集を作れる」とコメントを頂く。『新建築』の掲載記事を読み込んで下さっていて驚いた。
植田さんと別れてから、久しぶりにTEAM ROUND ABOUTでミーティング。全員集合したのは恐らく2月のLRAJ打ち上げ以来。さすがにいろんなアイディアが出てスパーク。いろんな企画が一瞬の内に決まった。素晴らしいチームだ。
なお、当日の様子はこちらにも掲載されているので参照されたし。
27日、14:00カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)のスタジオスタート。生まれて初めて「課題」なるものを出したが、考え始めると意外と難しいもの。
悩んだ末、課題は「建築的ランドマーク」とした。ランドマークとはいかに設計可能か、そこに貢献し得る建築的思考とは何か、といったことを議論できればと考えた。
19:00スタジオ後、編集委員会に合流@建築学会。インテリアをめぐって議論が盛り上がる。インテリアとは結局フェティッシュの表現だ、最近の若手建築家はフェティッシュに傾倒しているのだ、という。
なるほどとも思うが、個人的な実感も含め、インテリアはフェティッシュ(表層)の表現を求められる一方で、動線や収容量など、厳密な機能(深層)の解決を求められる分野であり、異なる表現が乖離的に共存する独特の領域を構成していると思う。
インテリアが批評性を持っているとすれば、社会全体の建築設計に対する要求が、インテリアデザイン的に分解してしまっているという点においてである。建築表現にしても、表層と深層の一致よりもそれぞれの強度を求めるが故に、乖離的にならざるを得ず、インテリア化していると言える。
考えてみれば、誰もそうした指摘をしていないのではないか。商業主義が作家像の変更を迫っていることは確かだが、誰もがインテリア=フェティッシュだと片付けがちである。中村竜治さんの眼鏡屋さんが秀逸なのは、装飾は過剰にフェティッシュなのに構成は厳密に機能的で、それらが一致するというよりただ乖離的に共存している点だということもできるのではないか。
先日見た村野藤吾展は、繊細な手すりと同時に巨大な設備シャフトを同時に設計しているという二層構造が最も興味深かった。おそらく、商業主義に身を投じて建築家として名を残した建築家は、そういう二層構造を持っていたのだと思う。「手すり」も「設備シャフト」も、商業主義と深く関わっていることを考えれば、表裏一体の問題である。片方だけ論じていては見えない問題の広がりがある。
31日、18:00成瀬・猪熊の「ひとへやの森 インタラクティブな風景」展オープニングへ。インスタレーションは想像以上に刺激的で、成功していると思った。ただレクチャー後の討議では平田さんにマイクが回ったら最後、さながら独演会のようになってしまい、議論そのものは面白かったが、結局一言しか話せなかった。
彼らはあの風景を「インタラクティブ」というが、もっと説明が必要だと思った。身体と空間との関わりというならただ収納棚がある部屋だってインタラクティブである。どういうインタラクションなのか、もっと説明すれば、そこに尽くされる言葉から彼らは次の展開を導くだろう。
ヒルサイド・ウエストで11/4(火)まで。詳しくはこちら。
fujimura
g86と筑波批評社がチャット対談していますね。
筑波批評社×g86対談 前編(筑波批評社ブログ)
[Interview]vol.17批評集団 筑波批評社(g86)
参考:藤村龍至インタビューについて(筑波批評社ブログ)
前半は「議論する僕ら」の自意識について語り合い、後半の最後のほうに議論の枠組みが見えてきます。なかなか面白いですね。
*(以下引用)
塚田: 地域とか地方とかの関係で建築が担える役割みたいなものってあると思いますか?
山道: そこを今めちゃかんがえて、ショッピングセンター研究をしているのですが、都市形態とかと絡められるんじゃないかなとか。
塚田: 個人的には安易に、その地域っぽさを取り入れる、ご当地キャラみたいなものはいやだなとか思って不安に思ってるのですが。
山道: それこそ地域の差異を建築の何かに変換したいですね。
塚田: 今ある都市の形を所与の条件として、そこに最適化するみたいなことですかね。
シノハラ: まさに、藤村さんの批判的工学主義みたいな話ですね。
山道: 特産品とかではなく、空間的な差異に落としたいですね。
(中略)
鎌谷: 実際藤村さんのインタビューをされて、どんな感想をお持ちになりました建築にたいして。
シノハラ: 実務と思想が繋がっていること(実務的な思想を作ろうとしていること)、新しい価値基準を作ろうとしていること、建築業界そのものを変化させようとしていることの3点に、なるほどなあと思いました。すごくざっくりした感想で申し訳ないですが。
山道: 東工大の建築の文脈て、スペクタクルじゃなく、どうインパクトを作るかっていうのが、あるかもしれませんね。そこにある、ごく普通の要素をどうこねくりまわすか
klov: ショッピングセンターとかコンビニとか普通に考えたら建築家の作家性とか絡まないところに絡む。
山道: そうですよね。ショッピングセンターとかコンビニがおもしろいのはシステムと絡んでるからだと思います。
塚田: 作家性が取り戻せない状況でいかに振舞うかについてかなり刺激的でした。そういうのって文学でもなんでもいろんなところで見られる現象なので。つまり作家性が抜け落ちるということだよ、ケータイ小説とか。
山道: 村上春樹も、ビームサーベルとかが出てくるようなSFでないのに、飛び感があるのはそれに近いと思います
klov: 飛び感。
山道: あくまで日常的だけど内容は飛んでる。ケータイ小説とかはとび感は無いような気もしますよね
klov: なるほど。ベンチューリの逆!
*
それにしてもg86といい、筑波批評社といい、行動力、仕掛けのタイミングの読み、文章の編集力、どれも抜群です。もはや学生の域を超えていますね。
『筑波批評 2008秋』はいよいよ本日(11/9)秋葉原で行われる文学フリマで発売されるそうです。より多くの人に読んでもらえるといいなと思います。
大学院に在籍していた頃(ってそんなに昔ではないですが)、情報化とは何か、市場化とは何か、郊外化とは何か、社会の動きについて話し合いたくても製図室や研究室では話そのものがなかなか成立しなかった記憶があります。今日のように社会が動くときに建築そのものを見ても何も見えないのは当然で、だからこそ学際的な議論がいるわけですが、少しずつ議論が育って来て、分野を超え、世代を超え、面的な広がりを感じられるようになって来ました。
シノハラ君の言う「ザクティ」の意味はよくわからないが、彼らの動きが彼らの世代の学生たちのロールモデルとなって、本当に「革命」のような動きに育って行けばいいなと思う。
fujimura
現在開催中の横浜トリエンナーレ関連イベントとして、建築家・山本理顕さんのご推薦を頂き、下記の展示を行う運びとなりました。お忙しいことと存じますが、お立ち寄り頂ければ幸いです。
同世代の建築家、西田司さんとの2人展です。
*(以下、概要)
BankART BANK under35
西田司+藤村龍至展
「URBAN COMMONS」
横浜トリエンナーレに連動し行われている「BankART Life 2」展で山本理顕氏ディレクションのもと行われる展覧会。同じ1976年生まれの西田と藤村が、都市の共有物(URBAN COMMONS)をテーマに展示を行う。
場所 BankART studio NYK 1F (BankART Mini)
(横浜市中区海岸通り3-9)
期間 11月21日(金)〜11月30日(日)
時間 10:00-19:00
入場 900円(共通)
11/21(金)18:00より会場にてオープニングパーティを開催
11/30(日)14:00-16:00 山本理顕氏を交えシンポジウムを開催
16pのカタログを発行予定
問い合わせ先 BankART studio NYK 045-663-4677
fujimura
直前ですが、小川晋一さんにお声掛け頂き、近畿大学工学部*にてレクチャーをさせて頂きます。
日時:11月14日(金)10:40-12:10
場所:近畿大学工学部*メディアセンター1階 マルチメディア講義室
外部の方も聴講できるそうです。お近くの方は是非。
*追記:正しくは「工学部」です。お詫びの上訂正致します。
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12月に曽我部昌史さんにお声掛け頂き、下記のシンポジウムに参加させて頂きます。
「建築家ピーター・クックと未来を語る」
日時:2008年12月8日(月) 13時~16時30分
場所:熊本テルサ テルサホール(熊本市)
内容:英国現代建築の先駆者ピーター・クック氏を迎え、アートポリスや建築の未来を考えていきます。
出演:伊東豊雄 桂英昭 末廣香織 曽我部昌史 松原弘典 藤村龍至
入場無料、事前申し込み不要
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南後さん、インタビューされていますね。
インタビュー04「都市・建築における無名性の価値、有名性の価値」/南後由和 前半
インタビュー04「都市・建築における無名性の価値、有名性の価値」/南後由和 後半
(Querycruiseサイト)
(批判的工学主義について)現状の都市・建築をめぐる社会学的診断というか、いわば現代の建築家が置かれている社会的位置を踏まえた姿勢とも言えるのではないでしょうか。だから特定の建築家としての藤村さんや柄沢さんだけが取り組むべき問題ではなく、建築界全体が無視することができない問題のひとつとして、アトリエ系事務所、組織・ゼネコン系事務所、研究者の垣根を越えて、多くの人に開かれたものにできればと思っています。(インタビューより)
ルーツからアジェンダまで、包括的な内容で読み応えあります。「批判的工学主義」についても、南後さんが言うとさわやかに聞こえますね。なぜだろう。
*
mashcomixの益子悠さんからメールを頂く。ブログで藤村事務所のHPを紹介してくださったとのこと。
ちょっと前ですが、HPをリニューアルしました。扉は益子さんのイラスト。全体はショールームと倉庫というIKEA的二層構造を応用し、JPEG(インデックス)とPDF(データ)の二層構造にしました。
まだまだ改良を重ねるつもりですが、とりあえずご報告まで。
*
BankARTの展示の準備(11/19まで)を手伝ってくれる方を、期間限定で募集中です。長期は無理だけど少しなら手伝ってみたい方、歓迎です。こちらまで。
fujimura
本日スタートします。昨日、UBCでの授業後に設営完了のチェックに行ってきました。ただのチェックのはずが、だいぶ作業が残っており、結局終電まで作業しました。
西田さんエリアと藤村エリアを肩を並べているのですが、なかなか迫力ある展示に仕上がったと思います。
オープニングは本日18:00からです。お近くの方は是非。
*(以下、コンセプト文)
西田司+藤村龍至
URBAN COMMONS
本展は、建築家・山本理顕氏のディレクションにより開催される展覧会である。西田は野毛で計画中の「横浜アパートメント」、藤村は高円寺に竣工した「BUILDING K」を中心に、それぞれの設計コンセプトを展示している。
私たちは同じ1976年に生まれ、80年代の東京郊外で育ち、バブル崩壊後の90年代後半に建築を学んだという共通の背景を持つ。郊外化が進行し、コミュニティも場所も失われていくなかで、どうやったら都市に濃密な経験を取り戻すことができるか、という問題意識もまた、共通している。
「横浜アパートメント」と「BUILDING K」の共通点は、ともにコモン・スペースを内包していることである。前者は1階に、後者は屋上に、それぞれコモン・スペースを持っている。ここでは、こうしたコモン・スペースでのアクティビティの可能性を、西田は都市のグランドレベル(1階)、藤村がルーフレベル(屋上階)を切り口に、それぞれ表現している。
それらのスペースはそれぞれの建築の特徴に留まるものではなく、それぞれの地域(野毛、高円寺)独特の建築のあり方の提案であると考えた。ここでは、西田は「インタラクション」、藤村は「設計プロセス」をテーマに、それぞれの建築がどのように生まれ、また地域を再定義していくのか、コンテクストとの関係や、それを描くための方法論を表現しようとした。
こうした建築の設計によって得ることの出来るアクティビティの場や、建築言語のような都市の共有物の総体を、「URBAN COMMONS」と名付けた。「保田窪団地」や「建外SOHO」の実践を経て、「地域社会圏」の構想を提示している山本氏と、建築の可能性について議論しているうちに浮かび上がってきた概念である。
「URBAN COMMONS」は、都市空間に濃密さを取り戻すための建築的な方法足り得ると、私たちは確信している。
fujimura
6日18:00、UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)の6週間の課題のうち、最初の2週間の小課題のファイナル・プレゼンテーション@中野。George Wagnerさん、会場淳さんに加え、今村創平さん、木下庸子さん、松本文夫さんも加わってファイナル・レビュー。
今回、浅草の6叉路を敷地に、周囲の7つの角地建築をランドマークとして再設計せよ、という課題を出した。「建築的であること」「ランドマークであること」を条件に、規模や用途の異なる建物を、プログラムや都市形態と関連付けながら設計するよう指示した。たった2週間の課題なのでどうなるかハラハラしたが、リサーチも功を奏して何とか形になった。
生まれて始めて課題なるものを出したが、発表会がこれほど緊張するとは。今まではクリティークするだけなのである意味では気楽だったが、最終発表会は出題者が審査される場であることを身を以て勉強する。
続く4週間は、雷門前の角地(某コンペの敷地)に、同じくランドマークを「超線形プロセス」で設計する、という課題を出した。最初はボリュームとゾーニングだけ、次にプログラム、構造、ファサードと徐々にパラメータを増やしていく。
設計にあたり条件としたのは「毎回必ず1/100模型を作ること」「案を捨てないこと」「枝分かれさせないこと」というもの。超線形プロセス論と同じである。
「考えずに何かをまず作り、それから考えなさい」と言って迎えた第1回エスキス。相変わらずアイディア勝負で作ってきちゃう人や、模型だけでプレゼする、という方法がつかめないのか、ダイヤグラムやらスケッチやらを出してきてしまう人も出てきたが、次第にプロセスのイメージが共有され、3回を経た現段階では全員が案を順調に発展させ、構造やファサードの検討へと駒を進めている。スポーツと同じで、飲み込みのいい人はさっさと感覚をつかみ、どんどん先へ進むが、少々時間のかかる人もいる。
超線形プロセスの授業では、どんな案でも必ず拾う。その時のアイディアの善し悪しで○と×をつけるというよりも、「何を改善した?」「何を発見した?」「で、次は何にする?」と順番に聴いていくカウンセリング型の議論をする。
全員が落ちこぼれること無く、空間のイメージのみならず、構造やファサード、家具に至るまでトータルで設計を行き渡らせるようなスタジオをやってみたいと考えていた。最終講評会は12月9日の予定。さて、どうなるか。
*
14日、8:15発の飛行機で広島へ。空港で小川晋一さんに拾って頂き、近畿大学へ。小川さんが熱心に働きかけて、合同講評会には毎回東京の建築家を呼んでいるとのこと。そう言えば僕が大学院の頃、つかもと師も行っていた。最近では石上さんや長谷川も来たらしい。
近畿大学はスタッフの畑と城間(BUILDING Kの担当者)の出身校と言うことで、彼らのルーツを辿るという意味もあった。
10:40まずは特別講義。先日の学会で会った広大の連中も来てくれている。「愛と力の関係」と題し、BUILDING K、「批判的工学主義」「超線形設計プロセス論」「PROJECT ROUND ABOUT JOURNAL」を語る。約1時間。
非常勤講師の先生方が聴いて下さっているので緊張したが、終了後「面白かった」「文章で読むよりわかりやすかった」と言って下さり、胸を撫で下ろす。
9月のシンポジウムで対立(?)した土井一秀さんには「シンポジウムのときは時間が短くてわかりにくかったが、今回はきちんと背景を理解できた」と言って頂き、9月のリベンジという当初の目的はとりあえず果たされる。
13:10講評会開始。小学校の設計課題。発表者を選び、順番に講評。なるべく建築的、分析的に話すようにする。最後は学部3年生相手にアーキテクチャー論をぶってみる。細かなところはあまり理解されないだろうが、筋の有る話に人は何らかの説得力を感じるものだと思う。自分がかつてそう思った。
終了後、小川研究室にて交流会(第1ラウンド)。3年生のほかに、小川研の4年生、修士の学生とも話す。その後、広島市内に移動し第2ラウンド。小川文象君も合流。しばらく普通に話していたが、だんだんボルテージが上がり、斎藤正さんと藤本寿徳さんに「お前の言うことはわからん」「そもそも『愛』とか『力』とか言うことがおかしい」と絡まれ(?)始める。
「構造家にやりたいようにやられて何も言えなかったんちゃうん」と挑発する斎藤氏。戸惑っていると、先日は対立していた土井さんが味方してくれて応戦する場面も。
言われているだけでも、と思い「構造を表現すると言うのは、それこそ構造家の言いなりになっているだけなんじゃないですか。」「そんな単純すぎることは恥ずかしくてできない」などと言い返しているうちに、互いの立場の違いがはっきりしてきた。「互いの前提の違いを明らかにすること」とは、「議論」の定義である。
この議論ですっかり打ち解けてしまい、斎藤さんや藤本さんの考えもより深く知ることが出来た。きちんと応えれば、より深く受け止めてもらえる。なかなか濃密で楽しい時間であった。
その後、ホテルのラウンジにて学生も合流し、第3ラウンド。広島のほか、島根、兵庫、大阪、香川等関西圏の出身者が多い。ざっくばらんに話す。
第4ラウンドはお好み焼き。来て下さった宮森洋一郎さんに、先日のシンポジウムを見て「いろんな人に影響を与えている」と言って頂く。ただ「谷尻さんは声が大きかったが、藤村さんは声が小さくて聞き取りにくかった。そこに社会に対する姿勢がそのまま出ている。君は社会を語っているけれども、姿勢は内向きなのではないか」と苦言を頂戴する場面もあった。「フリーペーパーでアウトプットするところまでが一連のプロセスなので、そこで評価して欲しい」とお願いする。
第5ラウンドはつけ麺。10倍を必死に食す。0:30解散。朝イチの飛行機から長丁場ではあったが、学生たちとの出会いもあり、なかなか刺激的で濃密な時間を過ごさせて頂いた。小川晋一さん、広島の皆さん、ありがとうございました。
fujimura
UBCのスタジオで超線形プロセスを実践していると、
いつも口を突いて出てくるメッセージが次の3つであることに気がついた。
1. "Do NOT Think!"
2. "Do NOT Imagine!"
3. "Do NOT Look back!!"
1.考えるな。考えることに拘ると、手が止まってしまう。何か作り、後で考えれば良い。
2.想像するな。想像することに頼りすぎると複雑さを受け入れられなくなり、図式的になってしまう。目の前の課題を発見し、小さなジャッジを繰り返して発展させれば良い。
3.振り返るな。最初の方がいいのでは、前の方がいいのでは、と振り返ってばっかりだといつまで経ってもアイディアが積み重なっていかない。出来たものに責任を持ち、問題があるならそれをただ改善すれば良い。
そうやって作業していくと、デザインのアルゴリズムがクリアになり、余計な自意識が取り除かれて、アウトプットがやわらかくなる気がする。そういうやわらかな建築のありかたを「社会的」と呼んでも良いかも知れない。
そのような考えを突き詰めた先の風景が、今回のURBAN COMMONSの展示というわけである。
BUILDING K日記
11/21(会場風景)
11/23(オープニング風景)
展示について、ジャーナリストの片野順子さんが早速レポートして下さっています。
オランダに留学しているとき、このブログを見てオランダまで取材に来て下さったのが片野さんである。あれから6年経ったと思うと感慨深い。
その他、下記の通り、ブロガー諸兄が感想をうぷしてくれています。
西田さんは「人間のコミュニティー(=共同体)がつくる風景」を問題にしているのに対して、藤村さんは「建築のコモナリティー(=共有性)がつくる風景」を問題にしている。西田さんのアプローチは空間プロデューサーでも可能かもしれないが藤村さんのアプローチは建築家にしかできない。似ているようで全然違う。
藤村氏はより多くの他者が介入できるプロセスを(主に建築を知っている人たちに)展示していたのに対し、西田先生は設計プロセスは隠し、他者が介入できる表現を作ろうとしていたことである。両者ともに他者介入の方法論を提出していたが、介入できる懐は西田先生の方が深いような気がした。
3.西田司+藤村龍至展/70’世代で建築の地域性を考える(City_Scape)
『建築の地域性』を、藤村さんは『建築形態』によって、西田さんは『空間現象』によって、獲得しようとしているといえよう。(中略)建築デザインは各々の建築家で棲み分けるべきだと思うが、世代を通した建築コンセプトはある程度共有するべきなんじゃないかなと今回の展示を見て強く感じた。
3人ともなかなか読ませますね。3人とも、藤村=建築的、西田=広告的という分類はほぼ共通しているようです。
そこで指摘されているように、西田さんと僕にはバックグラウンドや問題意識には共通点があることは確かであり、世代的にも一定の共感を覚える一方、アウトプットの仕方や戦略は全く異なる。僕は内向きに狭く、西田さんは外向きに広い、という違いである。
印象だが、西田さんのスタンスはぽむ企画にのそれに近い。建築家は言葉が難しいから、わかる言葉で翻訳しよう、そうすれば建築家はもっと社会的になる、という信念を感じる。
それに対して、僕はもう少しターゲットを建築家に絞ろうとしている。建築家の言葉がわかりにくいのは、そもそも社会に出すべきメッセージを失いかけているからだと感じるからである。
そもそも伝えるべきメッセージが無ければ、言葉をいくら紡いでメディアを整えても意味が無くなってしまう。建築家はまず、建築家同士で閉じた議論を繰り返して自分の立ち位置をはっきりさせ(理論的段階)、そのあとそれをわかりやすい言葉でメディアに載せ(広告的段階)、最終的にそれを社会制度上で運用する(政治的段階)を考えるべきだ。
その意味で、西田さんは僕よりも先の段階へ行っている。僕の議論は閉じているように見えるのは、自分の段階を理論的段階にあると位置づけているからである。そのことを狭く捉えるべきではない。
30日のシンポジウムで、そうしたことも話し合えればと思っている。
*
展示は30日(日)まで、馬車道のBankART NYKにて。刈谷悠三氏のデザインによるかっこいいパンフレット(フルカラー、16p)も出来上がったので、これを手に入れるために来ても損ではないです。特に、卒業設計に悩める諸兄にはぜひ見てもらいたい。
fujimura